41. バニー・レークは行方不明
《ネタバレ》 娯楽作品として十分楽しめたものの、途中までまともな雰囲気だった兄が、途中から急におかしな人になるのは不自然かな。 それにしてもあの大家のジジイ、非常に変態的で鬱陶しかった。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-04-19 05:01:48) |
42. 吹けば飛ぶよな男だが
《ネタバレ》 最初から最後まで全力疾走な内容で少々疲れるも、ギュッと濃縮されたてんこ盛りの内容に十分満足できた。 最後まで飽きさせないその作りは、さすがの山田洋次監督。 他の方もおっしゃっている様に、なべおさみがこんなに巧い役者とは思わなんだ。 なべやかんを裏口入学させただけのオッサンかと思っていたが、これは大変失礼しました。 緑魔子は時代を問わない、普遍的な魅力を持った人だ。 何より服装がとても素敵。 不思議でいて、唯一無二の魅力がある。 ただ、死なす展開には不満だ。 二人で幸せになってほしかった。 山田洋次がここまで露骨で下品な作品を撮っていたのが意外。 家族モノ、人畜無害な人情モノしか撮らないイメージを勝手に持っていたが、これまた大変失礼しました。 トルコ風呂街の景色は今見るととても貴重で、思わず一時停止して見入ってしまった。 [インターネット(邦画)] 7点(2023-03-28 22:46:57) |
43. 華氏451
《ネタバレ》 フランソワ・トリュフォー作品の中で唯一未見だった作品で、ようやく見ることができた。 これでフランソワ・トリュフォーをコンプリート。 活字や本が違法とされた近未来を舞台としたSF。 もちろんトリュフォーの作風からすれば異端の内容で、それが原因で今まで見るのをためらってきた。 おそらくつまらないんじゃないか? 地下鉄のザジみたいに気色の悪い内容なんじゃないか? ジャック・タチ作品みたいに奇妙なだけでつまらないんじゃないか? そうした憶測を勝手に自分の中で持っていて、この作品を敬遠してきた。 だけど、かの蓮實重彦氏が推薦している作品だ、見ない訳にはいかない。 というわけで、土曜日の暇な時間に意を決して鑑賞開始。 これが独特の世界観を構築していて、意外と完成度が高い。 奥さんも綺麗。 主人公も存在感抜群。 ところがその主人公、最後は奥さんに逃げられ、上司を火炎放射器で焼き殺してしまう。 なかなかのショッキングな展開だったが、ラストは本大好き人間の桃源郷に逃げ込み、難を逃れた。 奇妙な作品であり、決してトリュフォーの得意分野とは思えないが、そこが逆にこの作品の独創性に貢献しており、飽きずに最後まで見ることができた。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-02-25 11:48:31)(良:2票) |
44. 水の中のナイフ
《ネタバレ》 これはオッさんの方が悪者だ。 若者の方は被害者。 金持ちの道楽に付き合わされただけだ。 そこに深い意味など無いのだけれど、案外、そこまで退屈はしない。 不思議な物語。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-02-18 18:04:10) |
45. 緋牡丹博徒
《ネタバレ》 短い尺の中で物語がギッシリと詰まっている。 藤純子が実に美しい。 着物がとにかく似合う。 今作の後にシリーズが続いたのが納得の出来栄え。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-11-13 23:43:31) |
46. 関東無宿
《ネタバレ》 鈴木清順作品を何本か見てきて、今回でようやくその魅力を感じることができた。 とにかく目の覚めるような赤色が印象的。 カラー映画で躍動する真っ赤な赤。 照明の使い方や音楽、効果音にいたるまで、鈴木清順監督の強い個性を感じられる逸品。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-09-25 08:22:14) |
47. 初恋・地獄篇
《ネタバレ》 羽仁進は好きで、寺山修司は苦手なもんで、どんな映画か不安だったが、面白かった! 変態要素てんこ盛りも凄いけど、何より映像が良い。 1960年代の新宿、都電も出てくるのが個人的には喜ばしい。 主演二人は、いずれも不細工だが、それが逆にこの作品を味わい深いものにしている。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-06-19 13:36:19) |
48. 恐怖の岬
《ネタバレ》 中盤まで、緊迫感があって楽しめた。 最後は物足りない。 川に沈められてからの逆転は不可能。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-25 19:59:49) |
49. 台所太平記
《ネタバレ》 豊田四郎監督、森繁久彌主演とくれば、安心して楽しめます。 色んなお手伝いさんが出てきて、そこに森繁久彌が絡んでいきます。 喜劇的な部分もありながら、人情劇としても楽しめます。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-05-16 11:08:40) |
50. ガス人間第一号
《ネタバレ》 五日市街道を横道に逸れ、山中にひっそりと佇むお屋敷。 夜更け、蛍が舞い、蛙が鳴いている。 そこで踊る八千草薫。 なんと幻想的なことか。 下手したら雨月物語に肉薄する幻想美。 このシーンだけでも特筆に値する。 ストーリーや設定は無茶苦茶。 そこには敢えて目をつむりたい。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-05-05 00:27:26) |
51. 如何なる星の下に
《ネタバレ》 これは間違いなく豊田四郎監督による力作でしょう。 ただ、同じ豊田四郎監督の『猫と庄造と二人のをんな』ほど名を残していないのは、全体的にキレ味がないのと、主演女優の力の差によるものか。 「なんやかんや言っても結局、好きなものは好きなんだから」 みたいなセリフが出てくるが、これは実に的を射ている。 好きな人を嫌いになろうと、しのごの言ってみたところで、結局は好きなんだ。 確かに、これには思い当たる節がある。 これ以外にも、含蓄のある男女にまつわるセリフがいくつか出てくる。 そういった点において、とても深みのある作品である。 人生の悲喜こもごも、特に男女間のどうしようもない感情、避けることのできない運命など、色んな事を感じる事ができる作品だ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2021-04-20 22:35:45) |
52. 飼育(1961)
《ネタバレ》 なかなか期待通りの陰鬱さと、窒息しそうな閉塞感を纏った内容でした。 三國連太郎はこういう映画にほんと馴染みますなぁ。 とにかく土臭いし下品なのですが、これが戦時中の田舎というものだ、というリアリティがあります。 かといって、あそこまでツバタンを履いたり、ゲロを撒き散らす必要があったのか、とは思いますが。 最後は村人の中で無かった事にしようってところに落ち着く訳ですが、よっぽどこの黒人よりも村人たちの方が頭がおかしい訳であります。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-04-04 17:25:20) |
53. 禁じられた抱擁
《ネタバレ》 この男、ほんとクズだ。 しかも情けないクズ。 性行為に興味がないとか悟ったことを言ってたくせに、やることはやってるし。 彼女を独占しようと親から貰った金をばら撒くし。 かと言えば、フラれたくらいで自殺を図る。 彼女も確かに血の通っていない冷たい女だが、男の方も負けず劣らずクズ。 共依存のお手本のような男女関係だ。 でもこの話って意外と奥が深くて、金に不自由なく生まれ育つと、こうした厭世的なクズが出来上がるという話でもある。 金持ちのボンボンが陥りがちな人生の罠。 そんな心の闇を描いている。 カトリーヌ・スパークは相変わらずスタイル抜群でブロンド美人! そりゃ老人も歳を忘れて腹上死するわな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-19 23:18:27)(良:1票) |
54. 太陽が知っている
《ネタバレ》 『太陽がいっぱい』『太陽はひとりぼっち』に続くアラン・ドロン太陽三部作の最終章(嘘)。 あれだけ若くてスタイルの良いブロンド娘が来たら、あっという間に手を出すのは至極当然な訳だが、殺人を犯した事によって主演二人の愛が深まるのは奥が深い。 しかし、あそこまで警察が鋭い捜査をしておきながら、家宅捜索で剥ぎ取った衣服を探さないのは不自然かな。 証拠の衣服が見つかれば、逮捕になるのは間違いないわけだし。 世俗とは隔絶された屋敷における束の間のバカンス、そして全編に漂う気怠い雰囲気はとても良いだけに、サスペンスの部分が弱いのが弱点かな。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-12-01 22:08:52) |
55. ひき裂かれた盛装
成田三樹夫が主演クラス且つ現代劇で出ている数少ない映画という理由、つまりは成田三樹夫を目当てで鑑賞。 実際に見てみたら、期待通り成田三樹夫の魅力が炸裂しており、しかも藤村志保が予想以上に美しくて、得した気分。 しかしツボにハマったのは藤村志保のボディガードのご婦人。 これが実は一番面白かったかも! [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-11-29 22:38:17) |
56. 江分利満氏の優雅な生活
《ネタバレ》 飲んだくれオヤジの戯言を、延々と聞かされている感覚。 江分利満氏の酒に付き合わされている、周囲の登場人物に完全に同化して、後半部分を体感した。 いやぁ、酔っ払いの相手は辛い。 でも、これぞサラリーマン。 戦後、サラリーマン的な生活が当たり前になり、それは現代も変わらない。 この映画で描かれているような悲喜こもごもは、今も決して変わってはいない。 戦争中でない限り、この映画で語られていることは、普遍的なものである。 人は、特に男は、苦しい生活の中から、たまに訪れる、ほんの些細な幸せを感じるために生きている。 いや、幸せがいつかやってくると信じて、生き続けている。 人生は苦しいことの連続であって、躍り上がるような幸せな瞬間なんて、そう沢山あるわけじゃあない。 そんなサラリーマンの悲哀が、独特の語り口で展開される。 数ある日本映画の中でも、稀有な作品。 何度も観たいとは思わないが、一度観たら、忘れようのない作品だ。 小林桂樹の、地味でいながら入魂凄まじい、その演技に、拍手を送りたい。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-05-14 02:35:21) |
57. 異邦人
《ネタバレ》 人が死に直面した時、何を思うか? それを深く追究した内容。 原作はアルベール・カミュの名作で、原作は既読だが、映画を見る際に、原作を既読か未読かなんてことはどうでもよいことだ。 誰もがいつかは死を迎える。 その際、人は何を思い、どう気持ちが弱るのか? とても考えさせられる内容だった。 どんなに気丈にふるまい、自分を鼓舞しようと、最後の最後は何かにすがるのだと、本作は言いたいらしい。 でも、おそらくそうなのかもしれない。 だけど、そんなことは死の間際に考えればいいだけだ。 それをもって、宗教に日頃から傾倒すべき理由にはならない気がする。 もう一つ、無気力、無関心というものが、いかに人間の精神を蝕むか。 そこにも焦点が当てられている。 ここは特に興味深い。 やはり、少しでも生きている幸せを実感にするには、何かに関心を持ち、感動する心を持っている必要があるのだろう。 何か面白いこと、興味をひかれること、そして感動すべき何かを模索することが、鬱々とした気分になった際の、処方箋になるのではないだろうか。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-11-04 01:43:18) |
58. 日本のいちばん長い日(1967)
ビデオテープで観た。 時代遅れのビデオテープで、昔の名作を。 それはいいとして、まずこの作品は、キャストが物凄い。 どんだけ凄いかというと、もはや序列を作れないので、エンドロールのキャスト表示が、「登場順」に なっている。 序列することさえできなかった豪華キャスト。 そんだけ凄い。 そんだけ凄いキャストの中でも、一際印象に残ったのは、三船敏郎。 あの独特の野太い声、陸軍大将としての責任感と威厳、お堅いと見せかけながら、実は事実を受け止める こともできる人間としての器のでかさ。 それらを見事、演じ切っていた。 あと印象的だったのは、上層部は色々な情報を持っていて、様々な難しい判断を下していくが、末端の 兵士たちは、情弱な面があるにせよ、結局、日本全体のことを正しく理解できておらず、行動がめちゃくちゃ なところ。 これって、現代企業にも共通点があるんじゃないかと。 素朴な疑問としては、史実にどれだけ基づいているかという点。 歴史、それも戦時中の裏の歴史に精通していないと、これはどうにもジャッジができない。 この作品で描かれていることが、仮に史実にほぼ忠実だったとして、終戦間際にこれだけの難題を、ある意味、的確に クリアしていきながら敗戦に至ったならば、何故そもそも、戦争というような愚かなことをしなければならなかったのか。 それとも、一部の戦後右派が主張するように、世界から日本を守る為に、否応なく応じなければならなかった太平洋戦争 だったのだからか? その辺りの真実、いや真実なんていっても、それほど単純な話ではないだろうけど、これを機に太平洋戦争について、 色々知りたいという欲求も湧いてくる。 そういった意味では、戦争の不毛さをアピールしていく上で、本作は貴重な機会を与えてくれる、歴史的意義の高い作品 なのではないだろうか。 [ビデオ(邦画)] 7点(2015-10-18 00:41:35) |
59. 人斬り
《ネタバレ》 異色豪華キャストで、脚本に橋本忍。 つまらないわけがない! 以蔵は野性的ながら、一方で繊細な面を持っている憎めないヤツ。 ただ少しだけ頭が足らない。 頭が足らないから、偉い奴らにいいように使われ捨てられてしまう。 これは現代社会のサラリーマンみたいなもんだ。 ブラック企業に勤めているサラリーマンがまるで以蔵のようだ。 そういう意味で、ラスト、飼い主に報復するという顛末は胸のすく思いだが、以蔵自らの命をもって報復するというのは、どうにも切ない。 もっと良い解決方法はなかったんだろうか、と思う。 映画としての完成度も高いし、キャストも良い。 なかなか良い掘り出し物を見つけた気分だ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2013-01-23 12:05:15) |
60. 厳重に監視された列車
これって、観ている最中は何とも思わないのだが、観終えた後、じんわりくるような不思議な魅力を持った作品だ。 監督のイジー・メンツェルの作品は、なかなか観る機会がないので、わくわくしながら鑑賞した。 この監督ならではの、不思議な余韻を残す独特の味わいは、他に類をみない。 楽しい作品ではないが、記憶に残るであろう作品。 戦時下で思春期を過ごすと、こうなるのかなぁ、と何だか哀愁さえ感じさせるのは見事。 それでいて、どの時代の若者にも通ずる、普遍的な思春期の悩みを描いているのが、これまた凄い。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-25 23:07:53) |