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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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661.  ヒズ・ガール・フライデー 《ネタバレ》 
ベン・ヘクト&チャールズ・マッカーシーの戯曲を映画化した作品では、最もアメリカで評価が高く成功した作品。 ルイス・マイルストンの「犯罪都市」、 ビリー・ワイルダーの「フロント・ページ」を含めると3回も映画化されている。その中で一番面白いと思ったのがこのホークス版。 マイルストン版は古臭くて演出過剰な上に退屈だった。 ワイルダー版も「教授と美女」でホークスと組んだだけあって悪くないと思うけど、もう一度見たいというほど惹かれなかった。 俺はホークス版の飾り気の無い感じが一番しっくりきたし、何より腹筋がヤバくなったのはホークス版だけだ。 ホークスのコメディは「教授と美女」が一番好きだけど、“破壊力”という点じゃ「ヒズ・ガール・フライデー」が最強。 最初は字幕で見ていたけど、字幕の速さが足りない!そもそも、原語のスピードに字幕が追いつけるワケないじゃないか。 クエンティン・タランティーノの映画といい、この手の作品は原語だけで見るのに限る。遅い字幕なんぞクソ喰らえ! 「赤ちゃん教育」は虎のようなキャサリン・ヘップバーンに追い回される狂気地味た内容だったが、この作品のヒロインは「赤ちゃん教育」よりは正気を保っている。 それでも瓶の中で爆竹を破裂させるような内容だ。 物語は女性記者のヒルディと前の夫だったウォルターが中心となって起こる騒動を描く。 明日再婚してしまうロザリンド・ラッセル、ケーリー・グラントは未練がましく彼女と別れるのが寂しい。 ウォルターは彼女に残ってもらうべく負かさなきゃならな、ヒルディもまた想うところがあるけどウォルターを負かしてやりたい。 かくしてここに90分に渡る嵐のような特ダネ合戦が幕を開ける。 密室において激しく繰り拡げられる男と女の言葉による“殴り合い”。 初っ端からまくし立て、どんどん加速するマシンガン・トークの凄まじさ。10分?5分の間違いじゃない? その後も一人が喋り終わらないうちにまた一人が喋りだしてカオスの坩堝。 銃で撃ち合うようなやり取り・・・そしたら本当に街中で銃撃戦をはじめやがった!ヒロインまでタックルを決めやがる。俺の腹筋を返してくれっ!! ラストスパートは機関砲を撃ちまくるようなスピードと破壊力。 激闘の果てに“降伏”するシーンは可愛い。この可愛らしさはパートナーが女性じゃないと味わえない面白味だね。
[DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-05-20 18:08:47)(良:1票)
662.  プレイタイム(1967) 《ネタバレ》 
ジャック・タチ最高傑作。 物語は前半後半に別れ、ユロが面会相手と中々会えないすれ違い振りが面白い。後半のアメリカ人観光客との触れ合いもそうだが、この映画はとにかくビル、ビル、ビル。ビルの美術が凄い。画面の隅々まで描かれる近代的なパリの様相は、見れば見るほどその凄さに圧倒される。 幅広い視野でその隅々まで見回していくような感覚。まるで「ウォーリーを探せ」だ。映像の美しさが何とも言えない。 そんな空間で複数のギャグが折り重なる衝撃は笑うしかない。  2時間たっぷりと見せてくれるが、ラスト5分の加速していくクライマックスは凄い。  
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 18:01:42)
663.  次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家 《ネタバレ》 
何だか伊藤大輔の傑作「忠次旅日記」シリーズを思い出す。  勘助を倒し凶状旅の道を歩む次郎長一家。 凶状の楽烙印は次から次へと苦労を引き寄せる。  敵に追われる凶状旅の苦しさ、 そんな中で倒れるお蝶、 治したくても金が無い、 かくまってくれる場所も無い、 救った恩人から返される仇・・・とにかく涙なくしては見れない。  お蝶の代わりを務めると言わんばかりの女傑お園の登場。  いや、現にみんな泣きまくっているし。登場人物がうっとおしいくらい泣きまくる。  山道での逃走劇は圧巻だ。 石松もみんな一斉に泣きだす。 旅の辛さに泣いたのか。それとも死が迫るお蝶を想い泣いたのか。  これほど想像力をかきたてるほど男たちが泣く映画もそうそう無い。  笑いあり涙ありの第六部。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-20 17:45:13)
664.  たそがれの女心 《ネタバレ》 
原題は「某夫人(特に名を秘す)」。マックス・オフュルスによる傑作。 二つの大戦によって滅び去った社交界の様相を蘇らせてしまうオフュルス。オフュルスの執念、それに応える女優陣の力強さ。 ダニエル・ダリューとシャルル・ポワイエの絡みも印象的だ。  社交界に渦巻く不倫から女たちの情念を描いていく傑作。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 17:49:12)
665.  仮面の米国 《ネタバレ》 
マーヴィン・ルロイの「心の旅路」に並ぶ、或るは囚人ものの、或いは主演を務めたポール・ムニ最高傑作の一つ。 アメリカで史上初めて本格的に作られた囚人もの映画。「ショーシャンクの空に」よりも完成されたドラマがここにある。 ルポタージュ(実録)ものの作品で、モデルとなったジョージア州の刑務所の実態を告白したある囚人の記録を元に映画化。 実在の刑務所を撮影するという困難を乗り越え、ポール・ムニの鬼気迫る演技もあいまってスリルに満ちた作品となった。 この映画の影響でアメリカの法律まで変わってしまったのだから大したものだ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 16:34:41)
666.  天井桟敷の人々 《ネタバレ》 
第二次世界大戦下のパリで作られた傑作。 ナチスの支配下でも「映画まではナチスに奪われちゃいない」と叫んだ映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 15:41:25)
667.  ヴォイツェク 《ネタバレ》 
キンスキーの演技力の凄まじさをより味わう作品。 一兵卒に徹するキンスキーは、いつもの野獣のような獰猛さがこの作品には無い。 上官に踏みつけられるキンスキー。それでも彼は反抗しない。 あろうことかマッドサイエンティストのような軍医の実験材料にまでなって“小銭稼ぎ”だ。 ヴォイツェクは散々だ。それでも、この男はひたすら耐えて耐えて耐える。 その怒りを耐えているキンスキーの表情が凄い。  上官、軍医も、みんな噛み合わない意味不明なやり取りを繰り返している。  そんな彼らを、ヴォイツェクは人間の本質をツクように語る。 一見何の抵抗もしない、頭も空っぽではないのかという彼がだ。物事の考えを上手く表現する学もない、聞いてくれる友達もいない。 それを口に出せない苛立ちが積もり続ける。  そんあヴォイツェクの心を唯一和ませてくれる愛人のマリーと子供。 ヴォイツェクの笑顔がそれを語ってくれる。 マリーもまた、鏡に映る自分を見て残念そうなため息を付く。  それでもヴォイツェクを襲う悲劇。 堪忍袋も限界、ブチ切れたヴォイツェクはダムが決壊するように、獣が理性を失うように“ブッ壊れる”・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 15:30:30)
668.  キンスキー、我が最愛の敵 《ネタバレ》 
ヴェルナー・ヘルツォーク入門&ヘルツォークをもっと好きになる傑作。 「殺したいほど愛している」なんて話はざらに聞くが、まさかそんな話を映画にしてしまう人がいるのだから困ったものだ。 監督と役者は主従である前に対等な存在だ。 「俺が監督してやっいてんだ!!」ま 「俺様が演じてやっているんだ!!!」という対立は苛烈になればなるほど現場を凍りつかせ、引き締める。そのピリピリしたものが、そのまま映画の緊張感に+されるのだ。  ヘルツォークの出世作ともなった「アギーレ/神の怒り」では、狂信的な英雄像をキンスキーが演じた。 二人の憎悪と愛情の表裏一体の関係の中は、数々の傑作を立て続けに生んでいく。  あの野郎を殺してやりたい、あの野郎を俺のものにしたい・・・!役者の狂気に、監督の狂気が応えていく。  ドイツが産んだ二人の野獣をもっと好きになる映画だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 15:16:03)
669.  シュトロツェクの不思議な旅 《ネタバレ》 
ヘルツォーク最高傑作の一つ。 夢を求めてベルリンからアメリカに渡ってきたシュトロツェク。彼は刑務所から希望へ向って突き進む。娼婦のエーファーや老人のシャイツという仲間と共に。 懸命に働き、ローンを組み、とにかく死ぬほど努力を重ねた。 だが現実は余りに厳しかった。ローンを払いきれず差し押さえられ、エーファーまでもが去ってしまう。 追い詰められた二人は強盗になり、再び刑務所にブチ込まれる危険性をおかす。 シュトロツェクに再び犯罪をおかさせてしまうほど彼を追い込んだ社会の現実。後味の悪い映画だが、人々の「どうしてそうなってしまったんだ」という虚しさとやるせなさに溢れた作品。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 15:00:42)
670.  抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より 《ネタバレ》 
ブレッソンによる収容所・脱獄映画の傑作。  ドイツ軍占領下のパリで、刑務所から脱出を図る主人公の様子を淡々と追っていく。 主人公が堅牢な監獄の中で脱出の準備を進めていく異様なまでの緊張感。 短いショットの連続で退屈させて貰えない。脱出に成功するんだろうけど、本当に無事に出られるのか?と否応なしにハラハラしてしまう。 危機の連続でこちらも息を呑む。それでも意思が揺るがない主人公の強靭さが頼もしい。 紐がロープになるまで、スプーンが鋭利なナイフになるまで神を心の支えにして耐えて耐えて耐え抜く人間の凄さを見せ付けられるような作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 14:41:24)(良:1票)
671.  ビリディアナ 《ネタバレ》 
カトリックの最高峰ヴァチカンを「冒涜的だ!!!」とブチ切れさせた問題作。 ヴァチカンすら怒らせるブニュエルの変態振りに敬意すら覚える。  ヒロインは受難に次ぐ受難でどんどん堕落していく。 「誠意をもって接すれば、相手も必ず誠意をもって返してくれる」なんて幻想は微塵も無い。  ネグリジェ姿のビリディアナの艶かしさ。 「皆殺しの天使」や「砂漠のシモン」でも美しかったシルヴィア・ピナルが最高。 さらに亡き妻を偲ぶドン・ハイメがコルセットやハイヒールを付けている。シュールすぎる。どんだけだよ。ここまで来ると完全にイッてます。 無駄に美脚だし。 黒ストッキングを脱ぐビリディアナよりもキレイかも知れん。  ハイメがビリディアナを襲おうとする。 ウエディングドレス?に着替えさせ、接吻をし、胸のボタンを外して豊満なバストを視姦。 だが、もう一歩踏み出せないドン・ハイメ。夢心地でさまよう彼女の生脚を凝視しもしたが、中々彼女を本格的には襲わない。視姦だけで愉しんでいるのか、それとも亡き妻を偲びすぎて心も乙女になってしまったのか。 そんな現場を少女に見られた日にゃ・・・縄跳び少女は見た! それに対するビリディアナの最高に洒落た“ジョーク”で大爆笑。 変態武装で来るドン・ハイメ、しかし肝心のビリディアナは夢遊病&“灰”で返答(意訳:灰になって死ね)。 ドン・ハイメは絶望して、笑いながら遺書をしたため縄跳びでアボーン。 縄跳びは少女に与えていたもの。ハイメは縄跳びで飛ぶ少女を想い描きながら死んだのだろう。どんだけ脚フェチなんだよアンタ・・・。 あの終わり方は酷すぎる(褒めてる)。  そして欲望に任せて乱痴気騒ぎの「晩餐」をする乞食の姿の凄まじさ。 ソファ越しに交わろうとする様子も凄い。  「アンダルシアの犬」以来のシュールさ、そして「皆殺しの天使」で頂点を極めた意味不明さ加減が最悪に挑発的で最高に心地良い傑作。 中毒性がヤバイ。マジで危ない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 14:22:19)(良:1票)
672.  ジョン・カーペンターの要塞警察 《ネタバレ》 
「リオ・ブラボー」の超絶進化版とも言うべき傑作。  ジョン・カーペンターは学生時代にジム・コロスと組んで「ブロンコ・ビリーの復活(The Resurrection of Broncho Billy)」という西部劇の世界に憧れる若者を描いた現代劇で編集と音楽を担当した(その年のアカデミー賞の短編部門で受賞した事は有名な話)。 今作もまた西部劇の雰囲気を持った現代劇だ。  文字通り警察署をまるごと要塞化し、「リオ・ブラボー」における冒頭の緊張が最初から最後まで持続する。 低予算をその並々ならぬ演出でカバーしてしまうカーペンターの凄さ。いや、低予算を逆手にとった閉鎖的空間に登場人物を閉じ込めてしまう見事さと言うべきか。 まるでホラー映画の、サイレント映画のように音も無く署内の物が破壊されていく恐怖。「遊星からの物体X」でも味わえるホラーテイストが、この映画でも遺憾なく発揮されているのだ。 ギャングたちの冷徹さ、アクション映画としても一級品の傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 13:19:42)
673.  ボー・ジェスト(1939) 《ネタバレ》 
ウェルマンによる戦争映画の傑作の一つ。 ウェルマンは「飢ゆるアメリカ」「紅の翼」等戦争映画の傑作が豊富だが、この作品はウェルマンの映画の中でもかなり楽しく、アクションとコメディ両方の面でとにかく面白い。 「つばさ」以来何度かウェルマン映画を飾るゲイリー・クーパーの存在も良い。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 13:12:46)
674.  スタア誕生(1937) 《ネタバレ》 
ウェルマンの傑作。 ジャネット・ゲイナーとフレドリック・マーチの火花散るぶつかり合いが凄い。 ジョージ・キューカー版の方が好きだが、コチラも充分すぎるほど完成度のある作品だ。 
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 13:04:04)
675.  牛泥棒 《ネタバレ》 
ウェルマンによる西部劇の傑作。冒頭から引き込まれる作品だ。 当時の赤狩りへの反論、西部開拓時代の歴史が詰まった作品でアルトマンの「ビッグ・アメリカン」とセットで見たい。 西部における牛の大切さを学べるぜ(ちょっと説教臭いところもあるけどな)。  ま、日本だと評価は低い。ウェルマンの評価がこれほど日本で低いのが謎だ。 でもこのサイトはこの映画が高評価で凄く嬉しい。もう何だよこのサイトは!たまに見直す。  だが、この映画が苦手という奴もいるだろう。そんな奴らも「女群西部へ!(フランク・キャプラ原案)」や「廃墟の群盗」「飢ゆるアメリカ」「無責任時代」「暗黒街の女」「スター誕生」「紅の翼」「ボー・ジェスト」辺りを見てからウェルマンを評価しても遅くないだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 12:54:08)
676.  オープニング・ナイト 《ネタバレ》 
「ラヴ・ストリームス」に並ぶジョン・カサヴェテス最高傑作の一つであり、ジーナ・ローランズが募らせたイライラを爆発させていくクレイジーさ・・・さながらカサヴェテス流「ガラスの仮面」ともいうべきバック・ステージ物の傑作! 「フェイシズ」や「こわれゆく女」がより鋭利な切れ味を持ったかのような作品だ。  この映画もまた、ジーナとカサヴェテスが愛を求めがならも劇中では苛立ちをぶつけまくり、舞台の上でも平手打ちといった場面が演技か本気でブチ切れているのか掴みかねるシーンが多い。 そもそも、映画というか劇そのものが演技か本気か観客を惑わす装置でもあるのだが。映画の中で進行される劇中劇は、さらに観客を惑わすために行われる。 ドアにサングラスを顔ごと打ちつけて片方を割った?シーンも、老いの恐怖に苛まれる女と若くのし上ろうとする女たちによる殴り合いも。 女は現実の自分と、そして輝きに満ちていた若き日の自分との、己との戦いにとことん疲れ果てる。そこから夫との愛を通じ過去と決別していく過程が素晴らしい。 カサヴェテスは、そうやってどんな監督よりも観客を散々惑わし、魅了してくれる人間なのだろう。  それにしても、カサヴェテス映画のジーナはどうして人が車に轢かれたり(「ラヴ・ストリームス」&「オープニング・ナイト」)車を吹き飛ばす(「グロリア」)光景ばかり目撃するのだろうか。  それをカサヴェテスの大ファンであるペドロ・アルモドバルが「オール・アバウト・マイ・マザー」でオマージュまで捧げてしまうのだから、よっぽどの事なんだろうねえ。  ダーレン・アロノフスキーの「ブラック・スワン」までこの映画を思い出させるではないかっ!
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 12:40:54)
677.  ラヴ・ストリームス 《ネタバレ》 
ジョン・カサヴェテス最高傑作の一つ。 カサヴェテスの映画ほど愛を描き、愛そのものがスクリーンに映されない事に対するもどかしさというか、苛立ちが悩ましい映画ばかり撮る監督もいないのじゃないだろうか。 特にこの映画のジーナ・ローランズほど「こわれゆく女」よりも痛々しく、滑稽で、愛に飢えた女性もいない。  それにカサヴェテス流「ガラスの仮面」ともいうべき「オープニング・ナイト」を彷彿とさせるミュージカル・シーンだが、そこでアリアの合唱を壮絶な奪い合いの彩りに使ってしまうカサヴェテスの恐ろしさよ!  劇中のカサヴェテスとジーナ・ローランズは愛し合っている筈なのに、何かと睨み合っているシーンばかり眼に飛び込んでくる。実際、二人とも離婚経験者で“苦い記憶”をずるずる引きずっているような感じも。その癖に片方がボーリング場でナンパのような事をすれば、もう一方も老婦人と踊り狂う。 だが、二人の関係は「喧嘩するほど仲が良い」というタイプの人間関係かも知れないし、本当はもっと熱い抱擁を交わしまくりたい中なのかも知れないというシーンも多く眼に映る。様はツンデ(ry 人を避ける孤独の中で愛を探す男、愛欲しさに狂っていく女。 男は美しい女が秘密を打ち明けるのをひたすら待ち続け、女も男が心を開いてそれを受け入れる瞬間を待ち続けてブッ倒れる。 この映画では彼女の幻覚だけだが、これが「グロリア」のジーナだったらイライラがピークに達してリボルバーで二人が乗った車をスクラップにしています。 まあ、そんな事をせずとも劇中の二人は口舌で斬り合ったり言葉で殴り合ってみたりと激しすぎる手探りをしているワケですがね。  彼女は空港で人を笑わせる“道化”地味た事もやるし、スクリュー・ボール・コメディのように大量の動物によって男を刺激しようともしている。実際、男は子供よりもその動物に対して心を開く素振りを見せたりする。  ひたすらそんな二人のやり取りを見せられてある者は劇中のジーナ以上に怒り、ある者は呆れ、ある者は感動する。いつかその感動を分かち合える人々が日本にも増える事を俺は信じたい。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 12:29:57)
678.  シベールの日曜日 《ネタバレ》 
「レオン」、「グロリア」のルーツである傑作。俺はこの作品が一番好きだな。この映画は、本当の「失う事の痛み」を知る人間にこそ見て貰いたい。 戦争の後遺症に苦しみ男、そんな男に出会ったあどけない少女との交流。戦争の痛々しさと残酷さが、二人の交流からも感じられる。 ラストの幕引きは余りにも悲しすぎる。泣いた。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 11:49:16)
679.  偽りの花園 《ネタバレ》 
「黒蘭の女」と共にベティ・デイヴィスが魅力的かつ怖いワイラーの傑作。 デイヴィスにとっても「イヴの総て」や「情熱の航路」「何がジェーンに起ったか?」等に並ぶ最高傑作の一つ。  本当に「ローマの休日」以前のワイラーのメロドラマは面白い。リリアン・ヘルマンの容赦の無いシナリオも凄すぎてドン引きしちゃうくらい。  とにかく、思わず葉巻をへし折るくらい女が怖い。ここまでくるとホラーだ。どうしてデイヴィス主演の映画はデイヴィスが並みの殺人鬼よりも恐ろしい作品が多いのだろうか  劇中のベティ・デイヴィスは黒いドレスから胸元がはだける若い貴婦人にも見えるし、年増のイジワルというか極悪な母親にも見える。彼女が階段を昇り降りするだけでもゾッとしてしまう。  彼女もまた「女相続人」におけるオリヴィエ・デ・ハヴィランドのごとく、放置プレイで男を“黙殺”してしまう。 直接手を下すよりも、より残酷な手段で男が抱えた“爆弾”の起爆を見届けるだけで良いのだから。 そんな彼女も、同時に夫を愛した過去の自分を“押し殺して”まで欲望に狂っていく様は何処か憎めないというか、悲しい。  そのデイヴィスに耐えられなくなったテレサ・ライトも、デイヴィスを、家を“見捨てる”瞬間の悲しさが何ともいえない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 11:01:39)
680.  女相続人 《ネタバレ》 
日本では「ローマの休日」以前のワイラーはちょっと過小評価気味なのが解せないが、まあ日本人には少々ドギツイものがあるのかもな。俺はこういうのに逆にそそられてしまうのだけど。 「偽りの花園」と並んで最も女が怖いワイラー作品じゃないかと思う。 ワイラーの「ローマの休日」以前のドロドロとしたメロドラマは、思わずギョッとしてしまう作品が多い。 この映画も一見ヒロインが愚かなようで、実は男のダメっ振りがまざまざと刻まれた作品の一つだ。  この映画のオリヴィア・デ・ハヴィランドは「風と共に去りぬ」で良い人のままであり続けた彼女よりも魅力的に思えた。 何せ「ガス燈」のイングリッド・バーグマンがごとく今まで散々騙してきた男に復讐を実行していく過程には背筋がゾクゾクしてしまう。 男は自分の言いなりになる女のままだと思い込むが、当の本人はどんどん変わり復讐の刃をこさえて待ち構えている状況なのだから。それで本当に面白いのは、そのこさえた刃で思いきり痛めつけてやるのではなく、あえてトドメを刺さずに放置プレイでジワジワ精神的苦痛を与える戦法!さっさと楽にしてしまっては面白くない。人間嫌な事は楽しい事よりも長く感じる。それが苦痛なら尚更。生き地獄によってなぶられるのはどれほどキツいだろうか。 それを物語る、ドアの前で叫び続けるモンゴメリー・クリフトの姿が忘れられない。 彼女は、そんな姿を脳裏に描きながら家中の電気を消して過去の男の記憶も消し去っていく。  「嵐が丘」を見た人ならご存知だと思うが、あの映画でかつて愛し合った男女の関係を冷ややかに表したのがピアノの演奏だった。この映画では、女を誘惑する手段としても効果を発揮する。 父親はそれに気付き娘に警告をするが、娘は男がかけた目先の優しさに“惑わされて”骨抜き状態。そんな自分の情けなさ、怒り、父親への申し訳なさ。それが終盤の容赦の無い彼女の力になっていく。
[DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 06:54:36)(良:1票)
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