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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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841.  続・次郎長富士
前作に続き、大映が満を持して送るオールスター次郎長映画。物語は前作からの続きで、出演者もかなり共通していますが、役柄は次郎長・石松を除き、ほぼシャッフルされちゃっております。前作で黒駒を破り、破竹の勢いの次郎長一家。勢力を伸ばせば伸ばすほど、敵対する各ファミリーの包囲網もきつくなる。そんな中で、前作にも勝り存在感を示すのは、やっぱり勝新演じる石松。本当にノリノリで楽しそうに演じており、この勝新を前にして、いったい雷蔵は何のために出てきたのかと(笑)。いや、チョイ役とは言え雷蔵様の顔もしっかりと拝める、これぞ大映大作映画。勝新が活き活きしているからこそ、どっしり構えた長谷川一夫次郎長の貫禄も増し、男気も光るというもの。クレーンを用いた俯瞰の殺陣など、見所も多く、昼のシーンと夜のシーンが混ざって時系列のよくワカランところもあるけれど、何しろ勢いです、勢い。勝新と中村玉緒のカラミ、妙にネチッこくって、正直ちょっと引いてしまう(笑)けど、これも勢いということで。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-12-10 22:51:50)
842.  カンパニー・メン
会社を解雇される人たちのお話が並行して描かれます。もちろん解雇されたら誰だってシャレにならないけれど、エリートである程、立場が上である程、その落差も大きくなる。中心的に描かれるのは、真っ先に解雇される中堅社員。演じるはベン・アフレック、冴えない役をやらせたら天下一品ですね。この時点で閉塞感バリバリの実に身につまされる作品が約束されております。奥さんや子供たちがしっかりしているが故に(だからこそ主人公もホントはもっとしっかりしなければならないが故に)切羽詰まった辛さが滲み出てます。中盤、主人公が家中のガラクタを出してきて妻の前で弱音を吐く場面で、ただでさえ曇った主人公の顔にはさらに木陰がかかり、ドヨ~ンとしているのに対し、涙を浮かべて彼の顔を見上げる妻の顔には明るい光が当たっていて、勇気づけられるのですね。いいシーンです。いい奥さんです。で、その後どうなるかってえと、脇役のケヴィン・コスナーが美味しい役柄を持って行っちゃうのですが(笑)。結局のところ、不安の現代に生きる我々、大きな成功を手にせず小さな不安の数々を抱えて生きるか、成功を手にしてひとつの巨大な不安を抱えるか。このラストがハッピーエンドと言えるか否かは、価値観にもよるし、気の持ちようにもよる訳で。そういう意味では、主人公がどんな選択をしようと、ハッピーエンドにでも何にでもなり得る、ということですな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-30 17:02:09)
843.  平成狸合戦ぽんぽこ
数年前の朝、近所でタヌキを見かけました。今でも元気に生きてるのだろうか? まだ近所にオバケが出たという話は聞いていませんが・・・。志ん朝師匠の語りにのって、ウソともホントともつかぬ(そりゃウソでしょうけど)エピソードの羅列が、緻密なアニメーションの描写によって綴られていく。まさに他では観られないような光景の数々、はっきり言ってブッ飛び過ぎ。どういう発想でこういう作品になるんでしょうか。そもそも、思いっきり昭和のオハナシなのに平成狸合戦。自由だなあ。 滅びゆく者たちが最後に花開かせる、壮大な祭り。
[地上波(邦画)] 8点(2013-11-28 23:24:53)
844.  アウトロー(2012)
少々(かなり?)老けてきたトム・クルーズの顔、特に、目立つ鼻を見ていると、何となくダスティン・ホフマンに似てきてしまった気がして、そろそろトム・クルーズと若手を組ませて『レインマン2』が製作されちゃうのではないかと。ちなみに『ハスラー』続編が25年後だったから、今年あたりが狙い目かな、と。まーそんな事はどうでもいいのですが、でもついそういうヨタ話をしたくなったのは……本作『アウトロー』を観て、何となく80年代の映画を思い出したから。80年代のアクション映画。少々ユルんだ物からかなりユルんだ物まで(キャノン・フィルム全盛期だしなあ)、それなりに緩みつつも、キメるところはキメてみせる。荒唐無稽さを恐れず、適当なタイミングで適度なアクションを入れるサービス精神。本作のカーチェイスもまさにそれ、必然性よりも、“そろそろカーチェイスも観たいよね”という要望を優先しており、特にあのクルマの側面同士をぶつけ合う基本に忠実なチェイスは、感涙モノなのです。ラストの殴り込みも基本に忠実で、それがかえって新鮮。なぜそこにロバート・デュヴァルが居るのかと言えば、やはりトム・クルーズへの説教が似合うのは彼しかいないだろう、という、これもサービス精神か。ところで肝心の、トム・クルーズ演じる主人公。かつてミステリにおける探偵と言えば、真相を完全に掴むまでは多くを語らない(その結果しばしば連続殺人を招いてしまう)タイプが典型で、またそのアンチテーゼとして、やたら饒舌な探偵像なんてのも生まれたりするのだけど、本作の主人公はと言えば、元軍人でシブく気難しいのかと思えば、結構適当にペラペラしゃべり、それがあまりに適当っぽいのできっと我々に対するミスディレクションなんだろうと思ったら、ちゃっかりと真相を言い当てていたりする。ネタ的には、マルティン・ベックシリーズの某作品みたいな無差別殺人モノなんだけど、探偵像にも謎とき過程のスリルにもちょっと魅力に欠いていて、まあそこがまた、80年代っぽさ、と言えるかも知れませんが。という訳で、単品として見れば楽しめましたが、“新シリーズ誕生!”などとブチ上げられると、ちょっと心配にもなるのでした。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-11-17 08:48:37)
845.  告発のとき
トミー・リー・ジョーンズの武骨な顔に、抑えた表情。これがいいのです。感情をぶちまけることなく抑えているからこそ、さらに抑制された「無表情な言葉」で語られる真相が、ショッキングなものとなります。真相そのものは、ミステリとして捉えるならば実にストレート、ある意味平凡なものかも知れませんが、同時にこの上もなく残酷なものでもあります。そして、映画で繰り返される、息子との電話での会話、断片的な動画、そして道端の何かを捉えた写真、といったものが、最後に明らかになった真相とともに、強烈な意味をもって迫ってくる、その衝撃。悲惨な戦場と猥雑なアメリカとをつなぐのは、「息子」たちの無意味な死であった、ということ。やはり「息子」の母親である女性刑事を配置するなど、人物設定も上手く、見事な作品でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-11-03 23:36:58)(良:1票)
846.  NEXT-ネクスト-
“ニコラスケイジ映画”というのがもはやひとつのジャンルになっているらしい。いい意味では無いらしい。私は個人的には“ニコラスケイジ映画にハズレ無し”と思っているのだけど、そもそも彼の映画を片っ端から観てる訳でもないし、「たまに観る」程度に抑えるのが、そう思えるコツでもあるんでしょう。本作もまた、“ハズレてない”ニコラスケイジ映画。彼が演じる主人公、ホントは超能力者なんだけど、その正体を隠し二流手品師として糊口をしのいでいる、だなんて、もうニコラス・ケイジ本人そのものとしか思えないですよね(笑)。で、一応、予知能力を持っている主人公なんだけど、「ある場合を除いて」たった2分ほど先しかわからない。この設定を悪用して、映画は時間軸を好き勝手にいじくりまわし、楽しませてくれます。うん、実際、我々も、映画がこの後、例えば2分後にどうなっているか、なんて知れたもんじゃない。まずは軽いジャブとして「何故か」ピーター・フォークが登場、なんでこんな役で出演してるのかワカラナイし、この後登場シーンがあるのか無いのかも予想できない。ストーリーは、核兵器が盗まれたとかいう大事件が背景にあるにも関わらず、いつまでもお姉ちゃんとイチャイチャしたり、FBIとの鬼ごっこが続いたり、一体この先、物語を展開させようというのか。何でわざわざそこに、まるでお付き合いのようにテロリストが介入してくるのかも訳わかんない。訳わかんなくって、面白い。明らかに意識的に「行き当たりばったり」というものそのものを映画にした、画期的な作品でして、これぞニコラスケイジ映画の醍醐味とも言えましょう。あとは、彼がいったいいつになったら、念願の(?)ラジー賞を受賞するのか。それも誰にもわからない……。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-14 09:48:34)(笑:1票)
847.  ブロンコ・ビリー
『サーカスの世界』でジョン・ウェインがやってたようなコトを、クリント・イーストウッドがやってます。西部劇の世界を見世物興行として現代に蘇らせる。確かにそれは、ミスター西部劇とも言うべきジョン・ウェインという役者の生き様そのものかも知れませんな。そして『サーカスの世界』でのジョン・ウェインは、若い世代を見守るオヤジの立場でもありました。一方のクリント・イーストウッド、確かにこちらも西部劇の世界で重要な仕事をしてきたとは言え、“マカロニ経由”という特殊性もある。その彼が、作った本作は、ジョン・ウェインのようなオヤジの立場ではなく、上り調子の現役バリバリ、兄貴のような立場で、「オレについてこい」と見得を切るかのような。さらには「自分だって生まれついてのカウボーイじゃない」「誰でも、なりたいものになろうとすることが大事なんだ」と我々に呼び掛ける。まあそうは言っても現実の生活で夢を追うには限界があるからこそアナタの映画を観るんですけどね(笑)。とりあえずはそういう、明るい作品で、例によって俳優としては苦虫噛み潰したようなシブい顔してますけれども、映画の作り手としてはユーモリストの面が出ています。またしても助手に逃げられた主人公、「どこかにいい助手はいないかね」というところで場面転換し、およそ助手に最も似つかわしくない女性のエピソードを白々しくも入れてくる可笑しさ(ソンドラ・ロックが演じてるんだから、この後二人が出会うに決まってるし、助手になるに決まってる)。果ては「列車強盗をしよう」なんてくだりは、西部劇というよりは、まるでドン・キホーテ。何ともバカバカしく、ちょっとペーソスも感じさせます。あと、脇役ながら見せ場たっぷり、ジェフリー・ルイスの大活躍も見逃せません。……ところで本作のラストは、「星条旗に包まれる」という誠に結構な終わり方なのですが……コレ、日本に置き換えた場合、「日の丸」でも成立するんだろうか?
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-07 00:20:37)(良:1票)
848.  ターミナル 《ネタバレ》 
昔、『E.T.』って映画があって、これはエリオット君を中心に観るからこそ感動するんですけれども、間違ってE.T.氏の方を中心に観てしまうと、ああ何とマヌケな宇宙人もあったものよ、ってな事になっちゃう。そうは言っても、E.T.氏にだって、地球に来た目的もあれば夢もあり、故郷には親もいるだろうし、ひとり異国ならぬ異星に残された悲しみもあれば、エリオット君と出会いについての感慨もあるんでしょう。という訳でE.T.の方を中心に持ってきたような感じなのが、この作品。故国の動乱のため、空港に9か月も止まることになった男のオハナシ。最初は殆ど英語がわからず会話もままならない、「ええい、筆談すりゃいいやんか」と言いたくなるのはまあ私もヒアリング能力ゼロだからで、いやいやいや、筆談なんかでコミュニケーションできちゃったら、映画として面白くないですから、コレでいいんです。限られた舞台ですが周囲の登場人物たちのユニークさ、エピソードには事欠かず映画は快調に進みます。異邦人たる孤独な主人公、しかし映画が進むにつれ、みんなそれぞれ多かれ少なかれ、異邦人の要素を持って生きてるんだなあ、と。しかし、最後についに空港を後にする主人公、あまりにサバサバしていて、うーん9カ月も住んでたらもうちょっとこの「場所」に愛着が沸かないもんかな、とも思っちゃう。この辺り、映画の描き方自体がサバサバしているんです。人間関係を中心に描いているもんで、この映画の舞台である空港という「場所」への思い入れが、あまり見られない。私はどうも「場所」フェチなのかもしれず、ちょっと肩透かしな感じもしてしまう。しかし、この主人公は、私なんぞの軟弱者と違い、胸を張って決然と空港を後にする。それは父のため……そういや、『E.T.』のエリオット君には父親がいなかったっけ(いるんだけど不在)。エリオット君は一連の事件を通じて成長する、旅立ちの物語でもあったけど、本作の主人公は、父を愛し、故郷を愛し、祖国へと帰っていく。スピルバーグも(当然ですが)大人になっていくのです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-05 17:49:11)(良:1票)
849.  フランケンウィニー(2012)
またまた風車小屋燃やしますか、燃やさなあきまへんか。律義ですねえ(笑)。秘密の実験により、死んだ愛犬を蘇らせてしまった少年、本来であれば、世間から隠れ、追いやられ、つまはじきにされる少年と犬の姿をもっと中心的に描いてしかるべき作品なんでしょうが、途中から完全に違う方向に暴走しちゃって、とってもイイ感じ。怪奇映画であると同時に、少年と犬の冒険物語の要素が、大きく膨らんでます。しかし、ただ暴走している訳じゃなくって、死んだ者を蘇らせるという禁断の行為を、それを戯れに行ってしまった友人たちに関しては否定的に描くための、大暴走クライマックスな訳で、これに対比する形で、主人公の少年のペットに対する愛が肯定的にクローズアップされる。ま、正直、あの犬の造形に関しては、ボンレスハムの類に見えて仕方ないんですけれども。しかし、見事すぎる人形アニメ技術。ここまでくると単に感心しててよいものやら、人形アニメ「らしさ」って一体何だろう、と戸惑いも感じます。昔の、多少ギクシャクしていたストップモーションアニメが懐かしくもあり。本作で、一部(背景の脇役などに)いくぶんギクシャクした動きが見られるのは、あるいは意図的なものなのかも知れないなあ、などと思ったりもします。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2013-10-05 11:54:58)
850.  シェナンドー河 《ネタバレ》 
『馬上の二人』で、さらわれた人々の救出に向ったジェームズ・スチュワート。今回もまた、同様のテーマですが、作品の中に見られる対立軸は、さらに厳しいものとなっています。今回の彼は、妻を亡くした身とは言え、6男1女、さらに息子の嫁もいて、まさに“大家族スペシャル:アンダーソンさん家が大変だ”状態(ああいうTV番組、観たことありませんが…)。家族というより、プチ国家なワケで、南北戦争時代、南軍にも北軍にも与せず、教会とすらもやや距離をおいて“独立”を保っている。いわば、家族vsそれ以外、という対立軸の中で、末っ子がたまたま南軍兵士の帽子を拾ってかぶっていたもんだから、北軍に捕えられ捕虜になってしまう。で、息子たちとともに、末っ子奪還を目指すのですが、映画に「捜索モノ」というジャンルがあったとして、こんな切り口があったのか、と思わせるテーマです。「内部」から「外部」へと連れさられたとは言え、「内部」とはあくまで家族という極めて小さな世界、それに対し「外部」とは社会そのものとも言える訳で、絶望的なほどに明確な「周囲との対立」が描かれています。アンダーソン家は国家であり、息子たちは国民であるとともに兵士であって、それがアンダーソン家のアイデンティティであると同時に、悲劇の始まりでもある。家族のあるものは暴漢に襲われて命を落とし(犯人は逃亡)、またあるものは戦死するも殆ど事故死に近いもの。勧善懲悪や因果応報とは無縁の、無念の死としか言えないもので、まさに、独立するということが内在的に抱える悲劇性そのものの表れでしょう。そう言う訳で、ともすれば暗い展開に流れるのですが(息子たちを軍隊になぞらえた時点で予想された展開とは言え)、最後は、教会に突然、末息子が帰ってくる、という奇跡にが起こり、今まで不信心だった主人公が積極的に讃美歌を歌う姿で、映画は大団円を迎えます。ただし、コレ、周囲との和解というよりは、神との和解、というラストですから、私のような不信心者にはちょっとピンとこない部分もあるのですが。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-29 09:48:58)
851.  ローリング・サンダー(1977)
『タクシー・ドライバー』って、ホント、出来過ぎというか、とにかくキザな映画ですよね。いっそああいう映画を嫌いになれれば、と思わんでもないけれど、やっぱりあの作品には逆らえない(笑う)。さて同じくポール・シュレイダーが脚本を書いた本作、『タクシー・ドライバー』の二番煎じみたいな扱いですが、あちらのトラヴィスが最後はウルトラマンに変身したのに対し、こちらの主人公は、フック船長になります。最後に待ち受ける狂気の大殺戮は共通ですが、一応の体裁は復讐譚である本作、まあ、ナンボかは正常と言えましょうかね。しかしここには、復讐譚らしい“怒り”は存在していません。ベトナムから帰還した主人公に対し、『ランボー』のような周囲からの攻撃もある訳ではなく、戦場から持ち帰った「狂気」を内に秘めた主人公が、あえて自らを疎外者の立場におきながら、粛々と復讐の道を進む姿が描かれます。一方で、彼に関心を寄せるオネーチャンがいて、主人公とはまるで異なる人生を歩んできたとは言え、彼女もまた、親から鼻つまみ者の扱いを受けてきた疎外者のひとりであり、銃をぶっぱなして怒りを爆発させることで、主人公と通じ合う。そして復讐という戦場に戻っていった主人公、オネーチャンは警察に通報しようとして、それをやめるのは、彼女もまた心に傷を負った者として、主人公を理解した、ということなのか。……うーん、何だか本作も、充分、キザではないですか。素晴らしい(笑)。
[DVD(字幕)] 8点(2013-09-29 08:34:24)
852.  宮本武蔵 一乗寺の決斗
一乗寺下り松。わたしゃ子供の頃に、武蔵が地形と敵の配置を書いた紙を布にくるんで鉢巻にするのを見て、ああ、覚えにくいことはこうやれば頭に入るのか、とエラく納得したもんでした。が、ホントに効果があるのかどうか、この歳になるまでまだ試したことはありません、ハイ。本作、吉岡一門との最終決戦が描き、伝七郎との対決あり、73対1の壮絶な死闘あり、五部作の中でピークをなすような作品ですが、その分、やや大味な感じが無くも無く。ただ、武蔵が主人公とはいえ、本作ではむしろ武蔵の理不尽な挑戦によって滅亡の道を歩む吉岡一門の悲劇がクローズアップされ、一方の武蔵もまた、下り松での決闘は不本意な文字通りの“泥仕合”となった上、比叡山の坊さんに、鬼、悪魔と罵られる。一体、この戦いに勝者はあったのか。という、一大バトルを描きつつも、剣の道に対する信念の揺らぎをも描いて、これはもう何が何でも最終作を観なければ(笑)という気分にさせてくれる、なかなかに「お上手」な心憎い作品でもあります。ところで、小川べりを歩くシーンは、上賀茂神社でしょうか。伝七郎との対決の場面は、三十三間堂ですね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-09-24 22:07:54)
853.  コロンビアーナ
リュック・ベッソンという人、世紀が変わる前にはそれなりに独特のポジションにいた(要するに「作家」だった)と思うのだけど、2000年前後あたりから、大量の作品のクレジットに名前を連ねるようになって、ワケがわからなくなっちゃった。単なる「ハリウッドに負けるまじ」で突っ走っているような(まあ実態はハリウッドに片足突っ込んでるようなものかも知れないけど)。そもそも、あれもこれも「脚本:リュック・ベッソン」となっているけれど、ホントに自分で書いてるのかよ、と言いたくもなる。まさかそのギモンに答えるため、という訳じゃあないだろうけれど、「確かにワタシが書いてますよ」と言わんばかりの作品が、コレ。『レオン』から始まって『ニキータ』になり、途中『ヤマカシ』風味も加わったかと思えば、ジェット・リー起用作品やトランスポーター・シリーズを思わせる格闘シーンもある。さらにフィルモグラフィを遡って、ベッソンといえば“海”でしょ、と思ってたら、サメが出てきたのは関係あるのか無いのか(無いでしょ)。という、いかにもベッソン好みという感じの要素に満ち溢れた作品で、ああ、やっぱりこういうのを描きたいんだよね、ハリウッドへの対抗意識ばかりじゃないんだよね、と。いっそ、今後はこのまま同じような作品を作り続けてもいいかも知れない。目指せ「フランス映画界の小津安二郎」。全然違うけど。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-09-16 13:30:10)
854.  チャップリンのニューヨークの王様
批判精神を備えつつ、理屈っぽくならずにちゃんとギャグ映画に仕上げてくれている。というか、批判がそのまんまナンセンスギャグとなっているのは、批判するチャップリンの手腕が凄いのか、批判されるアメリカ社会の歪みっぷりが凄いのか。革命により祖国を追われアメリカにやってきた某国の王様がチャップリンの役どころ、という訳だから、チャップリンの立場としてはまず、「ワタシは別に共産主義者じゃないですよ」って事ですわな。で、映画は「浮世離れした王様のトンチンカンな行動でチャップリン自ら笑いをとる」という路線に来るのではなく、それを上回るトンチンカンさに満ちたアメリカ社会を、徹底的におちょくる。もちろん、ここまで戯画化してフザケてしまうと、批判としての力はむしろ損なわれてしまうかも知れないけれど、楽しければいいじゃないの。批判のための映画じゃなく、まず笑う映画。今の目から見てどのくらい笑えるかはともかく、本作で再び、しっかり「笑い」に取り組んでくれたのが、何よりうれしいところ。「自由」の素晴らしさを声高に叫ぶのではなく、映画を自由に作ることによって自由の勝利を示してみせた、それが本作。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-31 12:53:29)
855.  今そこにある危機
公開当時、姉が「しょうもない。映画館で寝てしまったのは初めてや」と大変立腹していた作品です。だとすればさぞかし傑作なのだろうと(笑)、後に私も観て、やっぱり眠くなった……ということはなくて、面白かったです、ハイ。監督・主演がなかなか固定されないジャック・ライアンシリーズの中で、今作は前作から続くP・ノイスとH・フォードのコンビ。ハン・ソロとダースベイダーとの会話も楽しめるキャスティングになってます。さて、このシリーズ、殆ど読んでないので(唯一読んだのがよりによって「日米開戦」というのが…)、何が売りなのかよくわかっておらず、「その時々のハイテクを駆使した作戦を描く軍事ウンチク作品」なんだろう、と勝手に解釈して、別名“今そこにある機器”シリーズだと思っていたのですが。この解釈でよろしいでしょうか。それはともかく、本作、前半はアクションが断片的で確かにサスペンスが続かない、あくまで「遠くの出来事」といった感じ。それが、後半、ライアン自身が「危機」の中に身をおくようになると、アクションもまたサスペンスを伴う執拗なものへとなっていく。そしてまた、あくまで事件は遠い外国で起こっている、麻薬組織との局地的な戦いであって、現地の「危機」は、国内にまでは全く及んでいないのだけど、その一方で、現地の「理不尽さ」は国内に根深く存在する「理不尽さ」と強く結び付いていて、それが同時進行的に描かれる。そりゃ、盛り上がろうともいうもの。前半で寝てちゃ、損しますよ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-25 08:27:05)
856.  危険がいっぱい
これはどういうオハナシかというと、「日頃の不真面目さがたたり、ついに和尚さんにお寺を追放されてしまった小坊主さん、山中で道に迷い、たまたま見つけた一軒屋に泊めてもらうことに。しかしその一軒屋で暮らすお婆さんの正体は、鬼婆で……」という、アレですね。だいぶ違うけど、まあ、そういうことでしょう。ただし3枚のおフダは出てきません、代わりに気の利いたオチが待っています。アラン・ドロン演じる主人公、ギャングに追われ、逃げのびた先で、とあるマダムの運転手として雇われる。しかし、マダムの家には、秘密があった。という訳で、マジックミラー越しのやり取りなどのミステリアスな道具立てや、ときにはユーモアなども織り交ぜながら、自由きままだった主人公が、身動きが取れなくなっていく様を描いていて、大いに楽しめる作品ながら、毒のきいたオチには、ため息も出てしまいます。ラロ・シフリンのいかにも彼らしい音楽も、秀逸。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-18 16:38:55)
857.  バレッツ
いや素晴らしい。我々をシビレさせてくれる映画がまたここに一本。悪の道から足を洗い平和な生活を望む主人公を、突如銃弾の嵐が襲う。全身蜂の巣となった彼は、一命を取りとめるが、仲間が殺害されるに及んで、ついに彼は復讐を開始する……で、もしこの作品が、リアリティ重視で行くんだったら大怪我をおった主人公が後遺症で苦しんだり、リハビリに励んだりする場面を脚本にたっぷり盛り込んでシタリ顔をするところなんでしょうけれど、本作はそういう枝葉末節にはこだわらない、なぜなら、雰囲気を描く映画だから。主人公は冷静に宣戦布告をし、着々と復讐を進める。そのシブさといったら、もうタマランのですね。その過程では、重要な登場人物である主人公の子供たちとの関係の描写すらも、グッと抑えちゃう。心配ご無用、映画の最後で家族愛はしっかり描かれるから。この作品は、主人公が過去を清算する物語。それなりの過去を持つ人間は、それなりの清算が無ければ、ささやかな平穏すらも得ることはできない。その姿を、その雰囲気をじっくり描けば、映画は映画になるのです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-17 10:54:16)
858.  拳銃無頼帖 流れ者の群れ 《ネタバレ》 
抗争の末、壊滅状態となった丸千組。麻島(アキラです)をはじめとする生き残り3人組に、追手が迫る。その追手というのが、これまた愉快な3人組①暗闇の銀次郎(錠です。暗闇でも百発百中の切れ者)、②青大将、③金メダル。名前の由来は①以外はよくわかりませんが、観ればなるほど、そんな通称で通ってそうな気がしてきます。丸千組の3人は、アキラはもちろんクールでニヒルでダンディ、言う事なしですが(笑)、あとの二人はどうも緊張感がない。それに比べると追手の3人組の、見事にキャラ立ちしていることといったら……いや、それほどでもないですね。まず③金メダルの泣きが入り、②青大将も冷酷になり切れず、肝心の①宍戸錠にいたっては、したり顔でゴタクを並べまくった挙句、ラストでは麻島側にちゃっかり寝返ってしまう。まるで、続編にも登場してやるぜ、と言わんばかり(多分、続編は作られなかったと思うのですが)。これだけナイスな敵役あるいはライバルのキャラクターを登場させておきながら、映画の最後までそのナイスさをまったく維持できないとは、いったいどういう了見なんでござんしょ。それを除けば、実にスバラシい作品だと思うんですけどね。「それを除くと」というすなわち、アキラ演じる麻島の兄貴の魅力に尽きる訳ですが。クールでニヒルでダンディ(しつこいってか)。単細胞の子分ふたりを巧みにいなすだけではなく、我々の目も巧みにかわし、なぜか本当になぜなのか、突然、板前と化してしまう麻島の兄貴。訳わからんけど、イナセでカッコイイから、OKなのです。アキラの魅力爆発、それに比べると、宍戸錠、ホントになんとかならんのかい。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-16 19:38:22)
859.  ラスト・ボーイスカウト
ブルース・ウィリスというヒト、役を選ばないのか働き者なのか、『ダイ・ハード』で大当たりをとって以降は休むことなく山ほど映画に出演しておりますが、『ダイ・ハード』を観ててもわかるように、このヒト、あまり真面目で必死な表情は似合って無くって、ダラダラヨレヨレした感じが非常に似合っております。まあ「そもそも」の出演作であるテレビドラマ『こちらブルームーン探偵社』での役柄が一番ピッタリだった気もする訳で。で、この『ラスト・ボーイスカウト』。『ダイ・ハード』後の彼は何か自分のハマリ役を探そうとするかのように様々な役に挑戦し(ているのかと思ってたら実際は無節操なだけだった)、そんな中で、この作品の役柄などは彼にピッタリな感じがするのですが。でも何か変。きっと「監督=トニー・スコット」ってのがマズイんでしょう。でもその変な感じがまた作品の特徴だったりもします。本作の主人公、昔はそれなりのキレ者だったらしいけど、今では酔いどれのしがない私立探偵。奥さんにも浮気されちゃったりして、どうしようもないヤサグレ感、ブルースウィリス感。またその一方で、殴り殴られ口から血反吐を吐く場面が繰り返される、タフでハードな描写。これぞまさに典型的なハードボイルドの世界ですな。夜の雰囲気も魅力的。と、イイ感じなのにそこはトニー・スコット。なぜか大味な展開になり、そもそもこのハードボイルドなはずの主人公が、まさか二丁拳銃ぶっぱなしまくるとは思わなんだ。後半の娘とのカラミももうハードボイルド形無しでむしろコメディ路線か、これは。ラストはもちろんスペクタクルに締めくくり、そりゃこんなイカした作品に出てりゃ、ブルース・ウィルスも迷走するわな、と。そしてそんな彼の自分探しの旅は、今なお続くのでありました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-08-14 00:41:57)
860.  次郎長富士
大映が贈る、オールスター娯楽超大作時代劇。いや実際、大映作品だか東映作品だかよくわからない出来栄えです(一応、褒めているつもりなのですが…)。日本の誇るゴッドファーザー・清水の次郎長親分と、次郎長一家の面々の活躍活躍大活躍を、これ以上詰め込みようのないくらいぎっしりと詰め込んだ細密充填構造、呆れる他に無いくらい楽しい作品です。どっしり構えた長谷川一夫の次郎長に、やんちゃぶりが乗りに乗ってる勝新石松。雷蔵の神妙な顔もあれば、仇役はタッキー黒駒、そしてその側近である好敵手・小岩には、帰ってきたウルトラマンの2代目隊長(すみません、あの特徴のある声を聞くと、伊吹隊長を思い出してしまうのです)。さあ、この映画を楽しまずして、何を楽しむというのか? え? 展開が早すぎてついていけない? 大丈夫大丈夫、ついていく必要はありません、どこからでも楽しめる映画です。ラストの富士をバックにした戦争映画のごとき闘争絵巻! 最高ですな。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-12 14:44:19)
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