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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2385
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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941.  ボディ・スナッチャー/恐怖の街 《ネタバレ》 
現代の感覚からではSF映画としてはプロットなどに突っ込みどころ満載ですけど、ポリティカル・スリラーという視点で観るとこれほど不安心をかきたててくれる映画は滅多にないと思います。また何度もリメイクされているし、何よりこの映画のフォロワーとして位置付けられる作品に至っては数知れずで、映画史に残るB級映画の金字塔です。 全体主義体制・共産主義社会の恐ろしさを描いた文学作品としてはオーウェルの『1984』が有名ですが、こんな低予算のB級SFでも匹敵するような影響を与えることができたというところが映画の面白いところです。劇中で乗っ取られた者とそうでない者との会話は、もう暗喩にすらなっていなくて当時の全米に蔓延していた共産主義アレルギーをストレートにセリフにしているかのようです。低予算にしてはカメラワークが実にシャープなのも見どころの一つです。たとえば町の広場にさやを受け取るために住民が集まっているシーン、診療所の二階から広場を見下ろす固定された視点で見せますが、ロングスパンで見せられるその風景にはゾクゾクさせられるような恐怖を感じてしまいます。また夜の映像が鮮明でメリハリがあり、夜間シーンになると何が映ってるかわからなくなる最近のヘボ監督たちは見習ってほしいです。 ラストのハッピーエンド(?)だけは夢オチ並みに鼻白まされますけど、ここは50年代の映画ということで許してやってください。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-08-18 22:08:46)(良:1票)
942.  橋(1959年/ベルンハルト・ヴィッキ監督) 《ネタバレ》 
50年以上前に撮られた映画ですけど、いわば『フューリー』をドイツ側から描いたような内容です。1945年4月27日(ヒトラーが自殺する三日前、ドイツが無条件降伏する10日前)に戦闘に巻き込まれてほぼ全滅する7人の少年兵たちの悲劇ですが、観るたびに太平洋戦争が本土決戦の寸前で終わってほんと良かったなと感じます。 前半はかなりダレダレな出来のような気がします。いくら西部戦線とはいってもすでにドイツ本土に連合軍が攻め入っている時期にあんなのんびりした生活をしていたとは、ちょっと信じ難いところがあります。なんせ女学生たちがブルマ穿いて体育の授業ですからね(笑)。まあここにはストーリーテリング上の仕掛けがあると思います。同時期のドイツ東部ではソ連軍がベルリンに向けて突進中で、その民間人に対する残虐ぶりで住民たちはパニックになっています。その地方が舞台なら“郷土と家族を守るために必死に戦う少年たち”という英雄的なストーリーになりがちで、相手が米軍ということになると彼らの無駄死に感がより強調されることになるのでしょう(史実でもソ連軍に撃破されるよりは米英軍に投降することを選ぶ部隊が続出しています)。 後半の戦闘シーンになるといっきにシビアな展開になります。でもあのシャーマン戦車もどきだけは何とかしてほしかったですね、いちおう動くキャタピラはついていますが見え見えの張りぼて、おまけに車体の底には芯にしているトラックのタイヤがはっきり見えているんですから。と思えば、パンツァーファウストを撃ったら真後ろにいた民間人が噴射炎で黒焦げになったりして、妙に兵器考証に凝ったところもありました。 いかにもドイツ映画らしい不条理かつ虚無的なラストでしたが、少年兵に射殺されちゃう爆破係りの兵士は可哀想な感じもします。ちょっと口が悪いだけで、なんも悪いことしてないと思うんですけど…
[DVD(字幕)] 7点(2016-08-14 20:15:26)
943.  宇宙からの侵略生物 《ネタバレ》 
ハードボイルド・サイエンティスト、クエイタマス教授シリーズの第二作目です。今回のプロットは『ボディ・スナッチャー』ばりの寄生エイリアンものです。脚本家のナイジェル・ニールによれば『ボディ・スナッチャー 恐怖の街』のことは全然知らなかったそうですが、米英同時期にこのようなストーリーの映画が撮られていることからも、冷戦時代の世相が窺えます。前作のヒットで予算は二倍になったそうですが、ロケを多用しているのでどこにカネをかけているのかは判りにくいです。 ストーリー・テリングはさらにミステリー色が濃厚になっています。いつの間にかクエイタマスが計画していた通りの基地をエイリアンが建設していたり、政府の上層部もエイリアンが操っていることを示唆したりしていて、当時の“ケンブリッジ・ファイブ”スパイが英国政府に浸透していたことを考えると、かなり現実世界の不安が反映されています。でも肝心のエイリアン寄生の描写がかなりチャチだったりして、盛り上がりには欠ける映画となってしまいました。ラストにようやく登場するエイリアンもウルトラマンに出てくるグリーンモンスみたいな感じです。これじゃ知的生命体なのかモンスターなのか曖昧でしたし、エイリアンの母星に核ミサイルを撃ち込んだらみんなもとの人間に戻るというのもご都合主義の極みです。 前作と違って興業的に大コケして次作が撮られるまで10年近くかかったというのも仕方ない出来でした。
[DVD(字幕)] 4点(2016-08-11 23:30:37)
944.  原子人間 《ネタバレ》 
“クォーターマス”という名前は“クェイタマス”と読むのが発音に近いみたいです。まあそんなことはどうでも良いとして、このクェイタマス教授はなかなか興味深いキャラでもあります。もとが大人気TVシリーズの映画化だけあって、クェイタマス教授のことは知ってて当然というスタンスだからこの人の情報量は極端に不足しています。どうも英国の月探査プロジェクトの責任者みたいです。演じる俳優が科学者というよりも鬼警部か将軍みたいな風貌のせいもありますが、彼の行動は終始ハードボイルドです。科学の進歩のためなら宇宙飛行士が何人犠牲になっても意に介さないという非情な男で、あんな大参事が起こっても「もう一度やり直すぞ」と部下を叱咤して立ち去ってゆくラスト・シーンは、なんか虚無感すら漂っていました。 冒頭のロケットが墜落してくるシークエンスからSF映画とは思えないミステリー・タッチで思わず引き込まれてしまいます。劇中いっさいセリフを発することなく怪物化してゆく宇宙飛行士カルーンですが、これまた演じる俳優の形相が怖くてこりゃ子供のころに観ていたらきっとトラウマになってたでしょう。このキャラ造形や少女と遭遇するシーンなどには『フランケンシュタイン』へのオマージュも感じられ、そこはさすがハマーフィルムと感じました。この怪物化した宇宙飛行士は、生きるために動物や人間を吸収するぐらいで他には大したこともせず割とあっさり焼き殺されてしまうのですが、そこにはクェイタマス教授の実験の犠牲となった男の悲哀が込められているような気がします。 本作こそウルトラマンに登場するジャミラの元ネタに違いないと思います。
[ビデオ(字幕)] 8点(2016-08-09 21:34:36)
945.  原子怪獣現わる 《ネタバレ》 
怪獣映画の古典中の古典ですが、恥ずかしながら今回初鑑賞となりました。米国が水爆実験に成功した直後の映画で、初めて核と恐竜を結び付けた映画として記憶されています。とはいってもその核の知識は恐ろしく低レベルで、だいたい北極で水爆を爆発させたらおそらく氷のほとんどが溶けるか蒸発してしまって大変なことになっちゃいます。そして核兵器の実験をまるで科学の進歩みたいに描く神経は不愉快極まりなしです。まあ50年代のアメリカ映画にそんな文句を垂れてもしょうがないですけどね。ストーリーライン自体は後年の映画に影響を与えていることからわかるように、オーソドックスです。リドサウルスの造形と特撮は、さすがハリーハウゼンの仕事だけあって当時としては高レベルだと思います。原作はレイ・ブラッドべリの短編小説『霧笛』だそうですが、灯台が襲われるシーンあたりが原作の痕跡なんでしょうか。機会があれば『霧笛』も一度読んでみたいです。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2016-08-07 11:04:27)(良:1票)
946.  カンニバル!THE MUSICAL 《ネタバレ》 
『サウスパーク』の才人トレイ・パーカーがコロラド大学の学生時代の春休みに撮った映画処女作。出演者はほとんど素人の学生たちでトレイの父親も判事役で出演、つまり実の息子に死刑宣告するわけですけど、これがトレイよりも遥かに演技が上手くて笑わせてくれます。西部開拓時代に起こった人肉食事件を『オクラホマ!』をパロッたようなミュージカルにしちゃったもんですけど、もうその発想がバカバカしくて素晴らしい。安っぽい仕上がりながらもスプラッター描写もけっこう真剣に撮っています。映画祭に出品した後売り込んであのトロマに買ってもらったそうですが、並みのトロマ映画よりもこっちの方がはるかに出来が良いと思わせるところがまた憎いです。もちろん所詮はおバカ映画ですけど、個人的にはティム・バートンの『スウィーニー・トッド』よりはるかに面白いと感じた次第です。
[DVD(字幕)] 7点(2016-08-05 23:28:47)
947.  復讐するは我にあり 《ネタバレ》 
緒形拳が演じた榎津巌は、まさに日本映画史に残る魅力的というかふてぶてしい殺人犯。はっきり言ってなんでこの男が人殺しをするのかは観客にはさっぱり理解できませんが、緒形の演技があまりにも堂に入っているのでそんなことはすっかり忘れてしまいます。後半にある緒形と清川虹子の息詰まるようなやり取りはただ息を呑むばかりでした。そして倍賞美津子や野川由美子との絡みがまたドロッドロッとしていて今村昌平らしくて良かったです。 原作は佐木隆三の直木賞を受賞したベストセラーですけど、これは事実をもとにしたフィクションという形式で、時代設定は昭和38年ということになっています。そしてロケが多いので街並みが当然映されるわけですが、走っている車は普通に昭和50年代の風景です。まあこれは予算に限りがある中で映画を完成させるためにロケ映像をそのまま使っているだけで、今村昌平という人はあまり細部にこだわらないタイプの映画監督だったのかもしれません。ところが劇中で緒形と倍賞が映画館にいるシーンでは、ニュース映画ではケネディ暗殺を伝えているのは良いとしても次に上映されるのが昭和46年製作の『ヨーロッパの解放』なんです。これはひどいミスなのかとも思いましたが、あれだけ堂々とオープニング題字を見せられるとなんか変な感じがします。これも今村昌平の演出意図なんでしょうか、そうだとしても自分には全く理解不能ですけど…
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-08-02 22:59:06)
948.  怪獣ゴルゴ 《ネタバレ》 
英国版『ゴジラ』にして『大巨獣ガッパ』の元ネタとしても有名。そもそも米国とは違って英国映画界ではこういう巨大怪獣ものは非常に珍しく、たぶん本作だけじゃないでしょうか。今回観て気が付いたのはプロデューサーがアメリカのB級映画の製作者として有名なキング兄弟であるということ。つまりドライブ・イン・シアターなんかで上映するために資金を出して英国で撮影されたってことみたいです。だけど特撮だけは気合が入りまくっていて、ミニチュアワークなんかはかなりのレベルです。そりゃ担当しているのがトム・ハワード、すでにオスカーを二回も受賞していてのちに『2001年宇宙の旅』にも参加する名手ですから。だけど肝心のゴルゴの着ぐるみ造形はどうしようもないほどセンスが悪く、あの異様にアンバンスな腕というか前脚だけは何とかしてほしかったところです。 物語自体は『キングコング』なんかの古典モンスター映画の焼き直しでしかないのですが、親ゴルゴが島に上陸しくてるシークエンスなんかは明らかに『ゴジラ』からの影響というかパクりですね。特撮以外はいっさいカネをかけないというところがまたキング兄弟らしく、エキストラ以外いっさい女優を使わないというのはちょっと異様です(戦争映画では時々見かけますけどね)。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-31 22:52:24)
949.  ノーマッズ 《ネタバレ》 
これが『ダイ・ハード』を監督したジョン・マクティアナンのデビュー作なんだそうですが、はっきり言って仕上がりは微妙でした。SFでも純粋なアクションでもなくホラーなわけですが、なんかおどろおどろしい雰囲気だけは感じられますが、何が起こっているのかわかりにくいせいで、あまり怖くはなかったです。要は、「死霊がパンク野郎の姿になって追っかけてくる」ということみたいですけど、インパクトは今一つという感じです。途中で出てくる怪しげな尼僧は印象深かったんですが、もっとここを膨らませた方が良かったんじゃないでしょうか。妙に情感たっぷりなビル・コンティの音楽もあまりマッチしてなかった感があります。ビルの屋上からピアース・ブロスナンが悪霊を突き落とすシーンには、「なるほど、確かにこの監督は『ダイ・ハード』を撮ることになっている人なんだな」と思わず苦笑してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-29 23:31:31)
950.  ドム・ヘミングウェイ 《ネタバレ》 
いきなりウルバリンみたいなモミアゲスタイルで上半身ハダカのジュード・ロウが、カメラに向かって自分のムスコ自慢を延々とシャウトしてます。カメラが少し引くとそこはどうも刑務所の中みたいで、実は下半身の方はというと… と、なかなかシャレた(?) オープニングでちょっと期待が高まります。ジュードのキャラは伝説の金庫破りであるドム・ヘミングウェイなる男で、ボスの罪を被って12年もムショ暮らししているという人です。そのドムが仮釈放もらってシャバに戻ってからの、ついてるんだかついてないんだか良く判らない日々がメインストーリーです。 この粗暴を絵にかいたようなドムというキャラを、とにかくジュードが好演してるんです。元から演技力には定評ありますが、こんなワイルドでアホなキャラでも余裕で演じちゃうんですから、もう堪りません。またスタイリッシュな感じのストーリーテリングも、これはガイ・リッチーの再来か、と感じさせてくれます。場面展開で使われるテロップもウェス・アンダーソン風でセンスがありますねえ。ドムの親友ディッキーが渋いながらも味わい深いキャラで、ハチャメチャなドムに振り回されながら「お前の墓は掘りたくない」なんてぼやきつつもドムの窮地を救ってくれます。 ボスの愛人にはカネを持ち逃げされ実の娘には徹底的に嫌われ、この映画のジュード・ロウには共感させる要素は皆無なんですけど、最後には愛おしくなってくるから不思議です。できたら続編も撮ってシリーズ化して欲しいぐらいです。私の中では“FOXサーチライトの映画に外れなし”なんですが、今回もジンクス通りでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-26 20:56:17)
951.  ミッション:インポッシブル 《ネタバレ》 
『アンタッチャブル』に続いてのデ・パルマの名作リメイクです。彼は今回は脚本に参加していないみたいですが、『アンタッチャブル』以上に原作の再構築化が激しいですね。なんせあのフェルプスくんがまさかの黒幕・ラスボスとは、驚きました。TVではマーチン・ランドーが演じていたイーサン・ハントというキャラも本来は脇キャラだったことを考えると、まったく独自の世界感で撮られているわけです。デ・パルマも堂々とした監督ぶりで、彼もビッグ・バジェットの作品でもそつなく撮れる人なんだと見なおしたんですけどねえ、結局その後はご存知のような現状です。トム・クルーズが主演でプロデュースしたんですからそれなりの苦労をデ・パルマもしたんでしょうけど、たぶんこれがデ・パルマのキャリアで最大の大作だったということになりそうです。 そのトム・クルーズは逆に本作からは本格的に大作出演とプロデュース路線が軌道に乗ってきたというのも皮肉な感じです。あの怒涛のラスト10分でのアクションはもちろん合成ですけど、彼はきっとこれで危険に身をさらすと快感を感じる自分の本性に気づいて、ついには『ローグ・ネーション』の正気とは思えないアクションまでエスカレートしたんじゃないでしょうか。 CIA潜入のシークエンスは何度観ても「さすがデ・パルマ!」と唸らせられますし、テンポやキレもあって名作と呼んであげてもいいんじゃないかと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2016-07-23 20:09:48)
952.  サスペリアPART2 《ネタバレ》 
『サスぺリア』の大ヒットにびっくりした東宝東和が、お蔵入りになっていた同じアルジェントの旧作を引っ張り出してきて無理矢理『PART2』に仕立てたという経緯はもうあまりにも有名。『サスぺリア』のようなオカルト要素は少なくて、伝統的なイタリアン・ジャーロをサイケデリック風味で再構築しましたって感じで、初めは未公開だったと言うのもまあしょうがなかったのかも。完全版は公開時にカットされたデヴィッド・ヘミングスと当時のアルジェントのかみさん(というか、アージアのお母ちゃん)ダリア・ニコルディとのラブコメ的なシークエンスを復活させてるみたいですけど、これはカットしたのは正解だったと思います(笑)。いちおうアルジェントはヒッチコックをイメージしたスリラーのつもりで撮ったみたいですけど、登場キャラが順番に消去されてゆくのだから、犯人は残ったあの人ってぼんやり観る主義の自分でもすぐ判るところはご愛敬。でも有名な機械仕掛けの人形がゴブリンのスコアに乗って迫ってくるシーンは、さすがにアルジェントの才気が迸っていましたね。その他にも随所に非凡なカットが散りばめられていて、まず映像ありきのビジュアル系映画と捉えた方がいいんじゃないでしょうか。あと犠牲者や犯人の死にざまのえぐいところは、『サスぺリア』なんて子供騙しと思えるほどです。この映画を観て勇気づけられて自作で真似した映画監督はうじゃうじゃいますしね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-07-21 22:35:47)
953.  動脈列島 《ネタバレ》 
原作は当時話題になったそこそこのベストセラーだったと記憶しています。その原作を映画製作会社としてはほとんど死に体だった東宝が『新幹線大爆破』の二番煎じとしてチョイスして映像化したわけですが、観て判ったのは原作がやはりヘボだったのが失敗の原因だったということです。“不偏不党”“明るく楽しい”がモットーだった東宝がこんなコテコテの社会派映画を製作したと言うところに、当時の追いつめられていた邦画の状況が窺えます。 とにかく近藤正臣が演じる犯人の、いくら犯罪素人とは言ってもその杜撰さはちょっと酷い。大きく筆跡が判り易い字で脅迫状は書くし(おまけに指紋がベタベタ付いている)、国鉄総裁の自宅に堂々と談判しに現れるに至ってはもう笑うしかありませんでした。あまりに簡単に田宮二郎たち警察に見破られるので、これは何かの伏線で後半でどんでん返しがあるのかと思えばそれもなし。この映画のいちばん嫌なところは、 “正義のテロなら許されるんだ”と言いたげな、いかにも全共闘チックな浅薄極まりない視点です。そのために誰にも文句が付けようのない新幹線騒音公害をダシに使ってる様で、気分が悪くなりました。これなら動機が純粋にカネ目当てだった『新幹線大爆破』の健さんの方がまっとうに感じるぐらいです。ちょっとした悪戯でもすぐに止まる現在の新幹線を考えると、あんなに大々的に実行日まで予告しても新幹線を運行するというストーリーも、ちょっと理解不能です。だいいちその日は誰も新幹線を利用しないでしょう。まるで新幹線が一日止まれば日本の社会が崩壊するかのような妄想じみたプロットで、これはもう清水一行の原作小説じたいのレベルが低かったということに尽きるでしょう。 増村保造も70年代になってからはめっきり監督としての腕が落ちてきたなと実感させられる一篇でした。
[DVD(邦画)] 4点(2016-07-16 23:45:10)
954.  EVE/イヴ 《ネタバレ》 
B級臭がプンプン、というか正真正銘のB級アクションです。ボーっと観る分にはさして問題はないでしょう、たぶん記憶にも残らないでしょうけど。いわば『ターミネーター』と『スピーシーズ/種の起源』を足して二で割った様な感じでしょうか。でも『スピーシーズ』よりは本作の方が早いので、パクリじゃなくていわばオリジンなんでしょう。ヒロインがあまりにごつい顔なのでなんじゃと思ったら、ヴァーホーベンの『4番目の男』のオランダ版シャロン・ストーンだった女優じゃないですか。『スピーシーズ』のナターシャ・ヘンストリッジぐらいとは言いませんけど、せめてもう少し美形を使ってほしかったな。 しかし最大の突っ込みどころは、サイボーグ兵士を開発している科学者が(しかも女性)、そのサイボーグを自分そっくりの外形にして記憶まで埋め込むなんてこと、ふつうはあり得ないでしょ、ってことに尽きます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2016-07-11 23:52:56)
955.  恋するリベラーチェ 《ネタバレ》 
確かに、ホモという要素を抜いて観ればごくありふれた恋愛痴話に過ぎないのかもしれません。でもまったくその気が無い身としては、その“ホモ”の世界を覗き観れることにちょっと引かれてしまうんです。マイケル・ダグラスとマット・デイモンの接吻やベッド上でのアレなんて正直気持ち悪いだけですが、ハリウッドを代表する(たぶんノーマルな性癖だったはず)両名優のホモ演技は称賛に値するんじゃないでしょうか。ダグラスなんてハゲ姿までみせるんですからねえ。じっさいリベラーチェとマイケル・ダグラスはメイクの力とはいえそっくりです。そして『オーシャンズ13』以来ですけど、ソダーバーグはデイモンの顔をいじるのがほんと好きです。 あと今回で確信するに至ったのは、ソダーバーグという人はやはりゲイだということです。彼はクレジットに別名というかペンネームをよく使いますが、彼が編集でよく使う変名はMary Ann Bernardという女性名ですからねえ。まあハリウッドにはそういう性癖の人はうじゃうじゃいますし、別に気にする様な事でもないですけど。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-07-09 21:48:05)
956.  日本のいちばん長い日(2015) 《ネタバレ》 
映画監督としての原田眞人という人を全く評価していない自分としては、この歴史的傑作のリメイクに彼だけは起用して欲しくなかったんですけど、製作委員会という腐った制度が罷り通る日本映画界ではこうなるのは必然だったんでしょうね。■これで役所は三船敏郎に次いで山本五十六と阿南惟幾の両方を演じた二人目の俳優という栄誉を得ました。でもねえ、三船敏郎とは貫禄が大違いで一緒に並べたらそれこそ三船に失礼というものです。役所は阿南よりも山本五十六の方が雰囲気としてはマッチしていた様な感じで、そこは三船とは逆ですね。その役所に合わせたのか、妙に気さくで軽い阿南像という新解釈(?)を見せられることになります。終戦クーデター未遂における阿南善玉説には昔から個人的には疑問に思ってましたが(クーデターが陸軍省の佐官級が主謀で、梅津美治郎が統率する参謀本部には全く動きが無かった)、岡本喜八版から五十年経ってもその流れは変わっていないみたいです。これは原作自体が竹下や井田といった阿南周辺の生き残りたちの証言を採用しているので止むを得ないんですけど、この謎はこれからも解き明かされることはないでしょう。■対する鈴木貫太郎は、忠義一筋の朴訥ではなくいろいろ寝技も使う策士として描かれているのは目新しいかなと思います。これは演じる山崎勉の演技パターンにもマッチしていて、これは良かったかと思います。本木雅弘の昭和天皇は確かに雰囲気は出てましたけど、喋りが全然君主らしくなくてダメですね。これは脚本書いた監督の責任ではありますが、おそらく彼には昭和天皇がどういう話し方をしていたのかということを思案する想像力が欠如してるんでしょうね。でもいちばん驚愕したのは「…と陛下は申された」という阿南陸相のセリフがあったことで、あまりの日本語に対する無知には呆れるばかりです。いくら監督がバカでも、セリフを言う役所や周りのスタッフが誰か気がつかなかったんですかね?■“群像劇なのか阿南惟幾に焦点を当てた物語なのか判りにくい”という批評も有りますが、私は監督はこの映画をオーソドックスに群像劇として撮りたかったけど失敗したんだと解釈してます。群像劇を撮るには高度な力量が必要で、この監督にはそれはムリだったということです。そこは岡本版と較べてみればよく判ります。そして歴史的に重要な人物も多々登場するので、せめて人名テロップぐらいは付けて欲しかったですね。横浜警備隊の佐々木の首相官邸襲撃なんて、ほとんどの人がこれはどういう人物で何でこうなるのかということが理解不能ですよ。■岡本喜八版は市井の人々の視線を交えながらも大日本帝国のいわば葬式をきっちり見せてくれましたが、このリメイクでは歴史のゴタゴタを背景にして阿南惟幾の葬式を描きたかったのかと思わざるを得ません。岡本版にあった終戦前夜の特攻出撃のような心を揺さぶられる様なシークエンスが、この映画には皆無です。その代わりに阿南の娘の結婚やらホームドラマ的な要素が盛り込まれています。阿南の息子がどういう状況で戦死したかなんて妻に語らせてエンドですけど、ほんとそんなことはどうでも宜しい。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2016-07-06 21:25:08)(良:3票)
957.  ジョン・カーペンターの要塞警察 《ネタバレ》 
ベンべべ、ベンベン♪このベースを聞いてしまったら、もう“カーペンター・ワールドにようこそ”って感じでアドレナリンが噴き出します。良く『リオ・ブラボー』が引き合いに出されますけど、私にはそれプラスしてカーペンター版『ゾンビ』という感が強いです。でも良く考えると『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』はともかくとしてもロメロが『ゾンビ』を撮るより前なんですよ、本作は。カーペンターって人は、実はイメージされている以上に偉大な映画作家じゃないでしょうか。 それにしても、低予算は判りますけど脚本がけっこうヤバいですよ、この映画は。もうカーペンター親父は映画を撮るのに登場キャラに伏線を張ると言うことに全く無関心なんです。ちょっとマッチョな護送担当官や結核患者かというぐらい咳が止まらない囚人など、普通の監督ならこれを伏線として後半にある程度活躍させるものですが、もうあっさり序盤でフェイド・アウトですからね。娘を射殺されて錯乱状態になったのは判りますけど、その父親は警察署に逃げ込んでからはずっと毛布を被ったままでセリフもなし、観てる方もその存在さえ忘れてしまいました。襲ってくる連中も正体はイマイチ不明だし、何がしたくて警察署を襲撃してるのかも不明瞭な感じがします。けっこうカッコつけたセリフは良いんですけど、「なんで、ナポレオンという名前なんだ?」と聞かれて「後で教えてやる」と答える終盤のやり取り、けっきょくその答えは聞けず仕舞いで映画は終わってしまいます。ねえ、どうしてナポレオンなの?、もう気になって仕方ありません(笑)。 本作でいちばん残念なところは、ナポレオンというキャラが深掘りされてないことと、演じる俳優に全然迫力が無いことでしょう。これがご存知カート・ラッセルのスネーク・リプスケンに繋がるわけですけど、スネークはまた極端にコテコテのキャラなんです。この極端から極端にぶれるところがカーペンターらしいところでもあります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-01 22:53:15)
958.  火線地帯 《ネタバレ》 
脚本は石井輝男が書いていますけど監督はしてません。 “ライン・シリーズ”と言っても秘密売春組織がプロットになっていることと石井輝男が監督で三原葉子が出演していること以外に共通点はなく、そういう意味では純粋ないわゆる“ライン・シリーズ”とは言い難いところがあります。 ストーリーは100丁の拳銃の闇取引をめぐる陰謀に巻き込まれるチンピラ・コンビと謎の男天知茂を軸に展開します。今回の天知は軽妙なコメディ・ロールといった役柄で、この人はけっこう器用な役者だったんだなと感心します。ギャングのボスには何と田崎潤が起用されていて、その愛人はご存知三原葉子というわけです。彼女はいつものお約束の“X星人キャラ”、つまり悪の組織の一員だけど寝返って最後は命で償いをする、ってやつです。新東宝では悪の親玉には大友純(今回は敵対組織の親玉)の様ないかにもな俳優たちがキャスティングされるのが通例ですが、さすがに田崎潤だと風格がありますね。でも彼じゃあなんか立派すぎて見えてしまって、あまり悪辣な感じがしなかったですね。そうなんです、この映画については新東宝に独特な安っぽさや登場人物の奇妙さが消えていて、妙にふつうの映画っぽいんですよ。まあ同時期の日活の無国籍アクションに近いレベルまで倒産間際になってやっとたどり着いたかな、という感じですかね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-06-28 22:47:33)
959.  黒線地帯
新東宝のいわゆるライン・シリーズの中では、『黄線地帯』ほどのインパクトはないけどそれでもかなりテンポも良くて一般受けしただろうなと思います。考えてみると、三原葉子は天知茂と組むといい味が出るんですよね。これは石井輝男の脚本の功績であるのは間違いないです。この映画でも、天知茂が演じるトップ屋の軽妙で歯切れの啖呵は、聞いていて実に愉しいです。でも所々で急に天知の喋りが畏まった説明セリフになるところがあり、そこら辺は石井だけじゃなくて宮川一郎も脚本に参加していたからなのでしょうか。中盤にあるバーのシークエンスでは、言葉が喋れないホステスやモロにオカマと判るホステスが出てくるという不思議な空間で、いかにも石井輝男ワールドといった感じがして面白かったです。またカメラにもけっこう力が入っていて、新東宝にしては珍しく陰影のはっきりした画で登場人物のアップを撮っていて、石井輝男という人はけっこう画作りに拘った面も有ったんだなと再認識させられました。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-06-26 22:11:00)
960.  コマンド戦略 《ネタバレ》 
むかし良くTV放映されていたのでアレックス・ノースのメインテーマの旋律は頭に刻み込まれていますが、意外なことに未登録だったのでUPさせていただきました。 “悪魔の旅団”とドイツ軍から恐れられ(と言うのが定説ですけど、このニックネームは米軍がつけたものらしいです)戦後はグリーンベレーの創設の母体となった第一特殊任務部隊の活躍をネタにした戦争アクションです。内容的には史実とフィクションが半々と言うところですかね。この部隊は米軍とカナダ軍の合同部隊なんですが、米兵たちが軍刑務所から集めた犯罪者やあぶれ者で構成されていてまるで『特攻大作戦』みたいですけど、これはまるっきりウソです。対照的にカナダ軍兵士は品行方正で規律が厳しいことになってますが、これも見飽きたプロットです。この頃のハリウッドは、こういうゴロツキ部隊で戦争アクションを撮るのがひとつのパターンとなっていたみたいです。でも当時は元隊員がまだ健在だったはずで、彼らから抗議されたかもしれません。ちなみに『イングロリアル・バスターズ』のブラピはこの“悪魔の旅団”のショルダーバッジをつけていて、バスターズがドイツ兵の死体にカードを付けてゆくのも、嘘みたいな話ですけど“悪魔の旅団”が実際にやっていたことなんだそうです。 監督がアンドリュー・V・マクラグレンですから、前半はまるっきり西部劇みたいな感じです。ちゃんとお約束の酒場での大乱闘も用意されていまして、あまりのワン・パターンぶりにはもう苦笑いするしかありません。後半になってイタリアに舞台が移ってからはようやく大作戦争映画らしくなってきますが、偵察に行って戦車隊を含むドイツ軍を部隊ごと捕虜にしちゃうエピソードは、いくらなんでも話を盛り過ぎだろと突っ込みたくなります。クライマックスの断崖絶壁を登攀するところは撮影の苦労が偲ばれますが、肝心の戦闘シーンは見せかたが単調なので大掛かりなんだけど印象に残らないという残念なことになってしまいました。主演のウィリアム・ホールデンは可もなく不可もなくという演技ですけど、この役にはちょっと老け過ぎだったかなという感じでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-06-23 23:16:09)
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