961. 純喫茶磯辺
《ネタバレ》 こういった軽薄なオッサンをやると妙にハマる宮迫は知っていたが、気だるく複雑でガサツでおっかないけど純粋な女子高生を演じた仲里依紗と、気立てが良くて朗らかかと思いきや腹で何を考えてるかわからない女性(ヤリ●ン?)を演じた麻生久美子の二人はかなり見事。 こういう女たちは普通にいそうだ。会話に「なんか」とか「あれだ」とかがやたら使われるのがまどろっこしくもあるが、ポンポンセリフが出てこないところにリアリティがありました。脇役の配置も巧みで、コメディとしてクスクス笑いの散りばめ方も良いのに、いきなりピリリとした変な緊張感を放り込まれてしまうから油断できない。 変わった展開も、派手な演出もないし、特別に面白い映画でもないが、この空気づくりには非凡なものを感じました。嘘臭くない父娘関係がとても微笑ましい。吉田恵輔監督に今後の期待もこめて机のなかみに続いてまたまた甘めの8点をつけさせていただきました。 [DVD(邦画)] 8点(2009-04-23 22:55:04)(良:1票) |
962. 落語娘
ミムラ好きで落語好きの僕としては、見過ごせなかったこの一本。話の語り口は軽快で、ミムラは可愛いし、津川雅彦の勢いも良い。伏線の回収もきれいで、最後まですっきり見やすい映画でしたが、やはり地味。落語娘というタイトルながら、実質的な主演は津川さんだし、TVの二時間スペシャル風だったし、ちょっと物足りない。 むしろ、TVドラマで観たいが、ヒットしてないっぽいし無理だよなー。 [DVD(邦画)] 6点(2009-04-19 21:28:22) |
963. 月とチェリー
《ネタバレ》 時効警察でおなじみ、一度見たら忘れられない圧倒的な存在感の脇役で近年の映画・ドラマに引っ張りだこの江口のりこが最近妙に気になる。そんな彼女の主演作品ときたら、いつまでも観ない訳にはいかぬとして、この度鑑賞。 堂々たる脱ぎっぷりにも驚かされたが、なんかしらないが異様にエロいぞこの娘。他で観たときにはエロスの欠片も感じなかったコメディ女優江口のりこに興奮してしまった時点で僕の負けです。主演の二人をはじめ、こんな奴いるよなーって人たちのリアリティが中々楽しい。男の悲しい性(サガ)をコミカルに切なく描いた後味爽やかな恋愛ドラマの良作。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-19 21:23:17) |
964. 逆噴射家族
新築マイホームと家庭をぶち壊したいという熱意は伝わってきました。役者の熱演と破壊活動を楽しめますが、自由度が高すぎてなんのこっちゃですな。楽しめた部分も多いのですが、ブチキレ映画としてはどうも中途半端で、作り手の理性的な部分が見えてしまうのがノリきれなかった原因かな。ここまでやるならスプラッターにしちゃえばいいのに、って思ってしまう自分もどうかと思うが。有薗芳記の目つきがヤバイ。 [DVD(邦画)] 6点(2009-04-18 21:53:40) |
965. ヒドゥン(1987)
《ネタバレ》 軽い気持ちで観れる良質B級SFモンスタームービーを観るつもりで鑑賞。 序盤からなかなか激しいアクションが繰り広げられ、しっかりとした出来に普通に見入ってしまいました。化け物もほとんど姿を現さず、人から人へと移っていく厄介な相手と、二人組の刑事の諍いや友情もちゃんとした映画っぽい。カントリー嫌いで爆音で音楽をかけてお気に入りの車を乗り回す姿には愛嬌があったけど、姿は人間だしすぐに変わっちゃうから化け物に愛着を持てない。宇宙人だなんだ言っても、それほどとんでもない設定はなく、血しぶきが飛び散るわけでもなく、なかなか抑えがきいてる。 …あれ? 最後には化け物が巨大化して、イキナリなB級展開をみせてくれるんじゃないのか…。確かにアクション満載で楽しめたんだが、突っ込むところがあまりない。安っぽくない。いや、それは普通ならいいことなんだけど釈然としない。だって、あんまりB級じゃないんだもん。モンスターがあんまり出てこないんだもん。オチも秀逸なんだもん。あ、宇宙の兵器のビームがちゃちすぎて笑いました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-04-17 01:14:02) |
966. ブラインドネス
《ネタバレ》 なんだか案外チマチマした話。密室での長ったるい醜い人間たちの社会は、一人だけ目が見える時点で圧倒的有利なのに途中まで悪党のいいなりになりっぱなしってのが納得いかない。敵側に一人目が見えるヤツがいるって方が、スムーズに絶望的で面白かったのではないか。ともかく、そこらへんを差し引いても途中まで「es」にそっくりだが、「es」のがずっと怖いし面白い。 このまま密室劇で終わるのかと寝そうになっていると、後半やっと外に出られた解放感は大きく、スケールの大きいゾンビ映画みたいな絵面はちょっとワクワクさせられたのですが、そこから大きな展開もなくあっけなく終結。 白のごり押しの映像や、細かい演出は不安感を煽っていて独特なものがありましたが、設定を支えられる脚本になってなかったような気がしました。せめて、ラストぐらいもうちょっとちゃんと考えてくれ・・・。 監督の手腕には今後も期待してます。 [DVD(字幕)] 4点(2009-04-15 10:52:40)(良:1票) |
967. ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス
《ネタバレ》 パッと見はセサミストリートのような人形劇(そうでもないか)。憎たらしいドロドロとした人形達の愛憎劇は、意外とシリアスなドラマ(そうはみえないが)。テンポが若干悪く、ブチ切れっぷりが小出しなので物足りなく感じていたら、壮絶で芸術的(嘘)なスプラッターなクライマックスに涙が溢れました(嘘)。 汚い心をもった人間はこんな畜生だよ、って皮肉を込めてのあえての人形劇(なわけないか)。エンドロールで笑いました。体液飛び散る絶望的クソ映画なのに見終わった後の後味はなかなか爽やか(本当です)。ドリームガールズの元ネタ(大ウソ)。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-04-13 22:49:18) |
968. KT
《ネタバレ》 金大中拉致事件を扱った本作ですが、どうも面白くない。韓国内での政治的イザコザが発端で日本を舞台に韓国人同士で起こした暗殺未遂事件で、罪なき人間が何人も殺されたというわけでもないので、はっきりいって地味。映画内でもこの事件に積極的にかかわった日本人は、一人の自衛官だけ。しかも、関わるまでの流れが強引。 事件背景はほとんど描かれず、金大中が日本に亡命する流れも最初に字幕で流れるだけなので、どうもわかりにくい。人間ドラマと観るには、主人公ですら薄いし、新聞記者、体に傷のあるヒロイン、日本語をしゃべれない在日のボディーガードなども存在意義も深味もほとんどない。 この事件後に日韓の関係がどう変わったかなども描かれるわけではないし、どちらも批判的に描かれるわけでもないのは冷静でいいのだが、熱を感じなく、最終的にアメリカだけを悪者にしてまとめてしまった感もある。 結局何で日本人監督が日韓合作でわざわざこの題材を取り上げたのかが不明。日朝間の数ある根深い問題の中で、この事件を取り上げた以上はもうちょっと観るべきところ、考えさせるべきところを作って欲しかった。やはり色々枷があったのだろうか。 阪本監督のジトっとした重厚な作風は好きなんですけどね。 [DVD(邦画)] 5点(2009-04-12 06:27:33) |
969. ソナチネ(1993)
《ネタバレ》 都会バイオレンス⇒沖縄バカンス⇒沖縄バイオレンス。この流れで印象的なのはたけしが演ずる村川の表情。ヤクザ稼業をやっているときは全くの無表情。人を殺すときも、仲間が殺されても、命を突然狙われてもまったく動じず、むしろ退屈そう。 しかし、沖縄に派遣され、やることがないからと、ゆきずりの女や子分とグダグダと遊んでると次第に本当に楽しそうな子供のような表情になる。だって沖縄だもん。沖縄の美しい景色と、ゆるやかな音楽と、寺島進いじりのコメディで一時は彼らがヤクザということも忘れてこちらも微笑んでしまう。 そして忘れたころに戻ってくる血の匂い。あっという間に元の表情に戻ってしまう。そして、全てが終わり、全てがなくなったときの放心とした空っぽの表情に浮かぶ切なさ。たぶん、観ている僕と村川の表情はシンクロしていたような気がする。 程度の差はあれ、弱っちいのに強がっている人や、希望のない毎日に退屈している人には、その心持ちが伝わるのではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-11 12:57:31)(良:1票) |
970. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 床屋の旦那になっておっぱい揉みまくりてー!という純粋な妄想超特急だった少年は、おっさんになり映画の序盤で運命的な出会いをあっさりモノにします。ソコにいたる苦難は毛糸のパンツが乾きにくかったことしか描かれません。夢を叶えたおっさんと美しい嫁さんの完璧なまでの円満な夫婦生活。これがこの映画のほとんど。映像や雰囲気は上品なのにおっさんはエロエロでコミカル。短いけれど若干退屈。 終始オッサンの独白を聞かされるものの、意地悪なことにラストだけは聞かせてくれません。嫁さんの行為は、自分のための最善の選択だったのかもしれませんが、それに対し旦那は何を思ったのでしょうか。さて、この映画は悲劇だったのか喜劇だったのか・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-11 12:10:58) |
971. おくりびと
《ネタバレ》 もっくんの納棺師っぷりは非常に格好良く、惚れぼれ。納棺師になりたがる若者達が続出することでしょう。給料も良いしっ! さて、内容はと言えば、序盤に少し軽さがあり、わりととっつきやすい映画ではあるんですが、中盤以降は笑いの場面はほとんどありません。山崎努のせっかくの良いキャラクターも物語にそれほど影響を与えていない。チェロ弾きの設定も過剰にもっくんをカッコよく見せていて、一人で外で弾きまくってるシーンの演出はかなり恥ずかしい。 良くも悪くもクソ真面目な映画で手抜きは感じられないものの、意外な展開や面白味は薄く、後半は同じようなシーンの繰り返しは退屈で、ラストの展開は日本の感動映画のお決まりパターンといったところ。 納棺師の仕事を見せるという意味では、綺麗な死体だけを映していて、腐った死体の場合はどう処理するのかなども気になるし、その職業が汚らわしいと言われてしまう側面も見せてくれないと職業差別にもピンと来ないので深みを感じられない。 こぎれいで万人受けする優等生な感じのする映画。 [DVD(邦画)] 6点(2009-04-08 00:34:13) |
972. サスペリア(1977)
《ネタバレ》 つ、つまらん。ショッキングなオープニングで掴みは良いのに、ちっとも話が進まずちんたらちんたらやってるわ、女の子は寝すぎだわ、血は絵の具っぽいわ、せっかくの濃いキャラの面々は活躍しないわ、ガラスが割れるばっかだわ、音楽うるさいわ、もったいぶった前ふりは全然いかされないわ…。 舞台の色彩センスはともかく、ウジ虫や針金は無意味な悪趣味さ。不気味なんだけど怖くもないし、笑えもしないし、意味不明。女の子は最後なんであんなにルンルンなの? エンドクレジットが唐突にながれたときは、面白くなさすぎて笑ってしまった。まったくついていけませんでしたが、忘れえない映画になってしまいそう。 コウモリがかわいすぎて萌えた。 [DVD(字幕)] 3点(2009-04-06 23:16:59) |
973. TOKYO!
一作目、ひとつのカップルが部屋探しをして、いつのまにか不思議ワールドになりますが、映像の拘りも見えて心地は悪くないです。藤谷さんが可愛かったです。 二作目、これホラー? ホラー風シュールコメディを狙ったのでしょうか? 渋谷の歩道橋のシーンはよく通る場所のせいか印象的でしたが、後は全然面白くない…。 三作目、一風変わった世界観ができていて、蒼井優の雰囲気と香川さんの冴えない中年っぷりは流石だし、話としてもまとまっているし、ちょっと素敵でした。 三作目が良かったせいか悪い印象はないですが、二作目が酷かったな。海外の映画監督が日本で映画を撮るという企画自体は面白いですが、日本人監督が悔しがるような刺激作にはなっていない感じです。東京をテーマにしてる割に東京観がステレオタイプかなー。愛を感じません。 [DVD(字幕)] 5点(2009-04-06 00:04:24) |
974. けんかえれじい
戦前を舞台にした元祖(?)不良アクション。 この時代からすでに学級崩壊の構図はできあがってたんだなぁ。学生役の高橋英樹は今と全く変わらないオッサン面だなぁ。などと感慨にふけりながらも、斬新な演出や、下ネタ、なかなか軽快なドタバタアクションは楽しめます。でも、喧嘩にはもうちょっとなんか理由がないと熱くなれないよなー。 [DVD(邦画)] 6点(2009-04-04 20:46:06) |
975. ニキータ
《ネタバレ》 なんという、消化不良な終わり方。これから組織に追われながらの壮絶なクライマックスが待ち受けてるかと思ってたのに…。 前半の流れは面白くて、後半のニキータの活躍と苦難を予感させるのに、そこから何であんなに盛り上がらなくなっちゃうのだろう。唐突に出てくる掃除屋ジャン・レノの、話を無理矢理ひっかきまわすために出てきたかのような滅茶苦茶な不自然さには興ざめもいいとこ。 演出は好きなのに、話が全く面白くないんだよな。 殺しの罰としてはぬるすぎるでしょ。あんなとこで終わっちゃあ、ニキータにまったく同情を抱けません。 [DVD(字幕)] 5点(2009-04-04 20:37:30)(良:1票) |
976. ハンサム★スーツ
《ネタバレ》 見た目のコンプレックスにスポットを当てたソコソコ笑えるコメディ。印象的な色遣いもソコソコの好印象。中盤からの不細工の苦難が描かれるシーンはなかなかヘビーで、身につまされて泣きそうでした。こうなると、もうオチ次第で傑作になりえると期待したのですが後半からの展開がいただけない。 都合の良い事故シーンと、アメリカ的演説シーン、絶対脱げないスーツという一番大事な設定をいとも簡単に棄却するという暴挙。そして、一番やってほしくなかった予想範囲内のラストにがっかり。 北川景子が出番が少ないのはともかく、自分がきれいだから中身を見てもらえないというただの傲慢女で終わってるためラストにもイマイチ喜べない。琢郎には「俺は本江さんの見た目もひっくるめて好きだったのに!」と言ってほしかった。中身至上主義になってしまうと「なんだ結局はキレイごとかよ」と、ひねくれものの僕は思ってしまうのでした。 見た目と中身を合わせて一人の人間だと思うんですよね。あのラストに琢郎が喜んでしまうと、この映画のメッセージもぶれちゃうでしょ。塚地、大島、谷原の三人は面白かったです。洋服の青山さん、試作品でもいいからハンサムスーツ売ってくれ。 [DVD(邦画)] 5点(2009-04-01 00:17:47)(良:1票) |
977. 生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言
原発ジプシーというテーマを扱った映画なんですが、登場人物のノリが軽いのに話が重いためバランスが悪い。オープニングの掴みは良かったのに話の展開の仕方がグダグダしててどうも面白くない。主演の倍賞さんにも魅力を感ぜず。 同監督の後の作品「ニワトリはハダシだ」と比べてしまうと、作風は同じながら脚本や役者のエネルギーなど全てが劣っている気がしてしまいました。 [ビデオ(邦画)] 4点(2009-03-31 00:07:02) |
978. おいしい殺し方 -A Delicious Way to Kill-
《ネタバレ》 元々はテレビ用だったためか、映像は映画のそれでないのが残念だが、全てのシーンに笑いを入れようとする徹底っぷりは見事。軽快な会話の絶妙なずれっぷりに最初から最後まで笑わせもらいました。誰が一番とは言えない、それぞれがぶちぬけてる主演の三人のキャラクターのせめぎあいが素晴らしいし、脇のキャラクターの使い方も巧い。いい加減すぎる人々が描かれるだけあって、いい加減すぎる結末にも気持のよい脱力感。すっとぼけまくったバカサスペンス。 [DVD(邦画)] 7点(2009-03-31 00:03:35) |
979. 助太刀屋助六
真田広之の江戸っ子なしゃべくりが気持ちよい。90分もないシンプルな仇討ち物語はちょっと物足りない。祭囃子風ジャズのBGMは堪らなくかっこよい。晩年の喜八監督が肩の力を抜いて作ったと思われる現代的センスの軽快で粋な小品時代劇。 [DVD(邦画)] 6点(2009-03-31 00:01:39)(良:1票) |
980. パコダテ人
《ネタバレ》 なんでこんなにシリアスなんだ? ある日突然尻尾が生えてきた女の子をとりまく微笑ましく頭を空っぽにして楽しめるコメディじゃないのか? 異端に対する人々の個のない無責任な悪意はシザーハンズを思い起こさせるが、この映画での表現は異様に不快。そんな胸糞悪い展開誰も求めてないって。 そうでなくても、こんなふざけた設定なのに、展開は普通の上に家族愛やらで感動でもさせようとする狙い方がすべってる。笑いどころは全くと言っていいほどないので、宮崎あおいの愛くるしさだけが救いの悪い意味でバカバカしいだけの映画。 [DVD(邦画)] 3点(2009-03-30 23:59:53)(良:1票) |