81. ガンヒルの決斗
《ネタバレ》 おおよその結末が浮かぶ冒頭シーンから「真昼の決闘」「決断の3時10分」よりお知恵拝借といった感ある展開で、カーク・ダグラス持ち味である「胆力」を唯々堪能する作品です。対する「剛の者」アンソニー・クイン演ずる父親の溺愛からの親馬鹿丸出しの人物像に脚本の物足りなさがあります。しかしながら、最後の対決は余韻が深い名シーン。敢えて息子の後を追ったように思えた姿が切ない。ただ、このシーンでの見世物の見物客のような演出は異議あるところです。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-08-22 02:36:14) |
82. 島の女
ソフィア・ローレン(23歳)はエヴァ・ガードナーを思わせる美しさ。後の猛女の片鱗が窺えるキリリとした姿にも見惚れます。対するアラン・ラッドはシェーンから4年しか経っていないのに老けた印象。落ち着きと言えるのでしょうが、何かこうハリの無い姿が歯痒い。ローレンより低身長であるのに撮影中酷く落ち込んだというのに、クロード・レインズ、エドワード・G・ロビンソン、アル・パチーノのメンタルを持って欲しかったと激しく思います。 美しすぎるギリシャを舞台としたお宝争奪戦は弟の活躍が良いアクセントになっている見応えのある楽しめた佳作です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-08-09 15:14:26) |
83. 地球の静止する日
《ネタバレ》 巨匠作らしく手堅くまとめられた起承転結は観るに堪える出来映えではありますが、安上がりな映像と共に見応えに欠ける作品です。地球が静止するというお目当てシーンが全世界30分間の停電(除 飛行機・病院)というところで集中力が切れて、結末まで惰性で鑑賞。最後のメッセージは軍拡への注意喚起のようでありながら、力だけが正しいアメリカの性根が見えるもので、感慨もありません。 [インターネット(字幕)] 5点(2021-07-30 16:50:24) |
84. 仕組まれた罠
《ネタバレ》 冒頭での列車疾走シーンに「何かが起こりそう」釘付けで、何も起こりません「ん?」でしたが掴みはOK。ブロデリック・クロフォード、グロリア・グレアム夫妻にグレン・フォードが絡む展開は、クロフォードに何時バレるのか、グレアムが何時裏切るのか、フォードがどんな最期を見せるのか、興味津々で結構ハラハラさせられました。見立てが外れた結末は監督のいくつかの作品で感じた身を捩る物足りなさがありました。とは言うものの、ささくれだった3人を表す演出は監督ならではと思える佳作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-15 00:13:30) |
85. シェーン
《ネタバレ》 子供時分に何度か観ているもののラストショット以外記憶無く40年以上の時を経ての鑑賞。アラン・ラッドの華奢な体つきと過去を背負った男に見えない線の細さがもどかしい。出演が嬉しかったヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー(最後の映画出演)、ジャック・パランスもステレオタイプなキャラでこれまた歯痒い。ただ、ホームステッド法に於ける牧畜業者と開拓農民が争う中での意外に理性的なライカーの言い分に、そもそもその土地は先住民から力づくでむしり取ったものであって、「力だけが正しい」生々しさを感じるところが印象的。そして特筆すべきはラストシーン。画の美しさとスターレット一家にとっての流れ星のような存在であったかの去り行く姿は私的に「第三の男」と並ぶ鑑賞史上屈指の幕切れです。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-09 02:10:32) |
86. 円卓の騎士
当初の剣劇及び展開のキレが無いのにリタイアの予感でしたが、尻上がりに面白くなっていき完走できました。アーサー王(メル・ファーラー)、ランスロット(ロバート・テイラー)、王妃(エヴァ・ガードナー)、描かれる友情と不倫模様は王妃の脇の甘さに白けつつも見るに堪えるものでした。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-07-07 00:46:05) |
87. キリマンジャロの雪(1952)
「ダーウィンが来た」「野生の王国」に恋愛模様をくっつけたような作品。豪華俳優でありながらご都合主義な展開にピクリとも感情高ぶらず。あぁ残念。 [インターネット(字幕)] 3点(2021-07-04 23:22:49) |
88. 歩兵の前進
リチャード・アッテンボロー目当ての鑑賞。要領よくしたたかに立ち回るところに加えてシャープな顔立ち男前にまずまず満足。以外は抑揚無い展開の笑えないコメディで、期待外れ度合いが年に一度あるかないかの甚だしさ。デニス・プライス、イアン・バネンとクリストファー・リー(驚)の出演場面を一応再確認。軍隊・公務員への皮肉な視線はタイトルロールだけだったという思わせぶりが呆れる愚作です。 [DVD(字幕)] 2点(2021-07-01 16:29:59) |
89. 舞台恐怖症
ディートリッヒとヒッチコックの組み合わせが興味深かったのですが。綺麗なお肌!以外に印象に残らず。ハラハラもヒリヒリもする事ない起承転結。ウトウト閉じかけた瞼を何度も見開かせてくれたマイケル・ワイルディング(河原純一投手をもうちょっとオトコマエにしたような)とアラステア・シムの初めてお目にかかるお二人に2点ずつ。 [DVD(字幕)] 4点(2021-06-15 02:48:27) |
90. 無頼の群
《ネタバレ》 激しくネタバレしています。(謝) タラタラした展開にイライラが募る一方。グレゴリー・ペックなので我慢を重ねていたところでの結末に仰天。確認も取らずに復讐の相手を間違え脱獄死刑囚4人の内3人を殺害し、懺悔して神父さんにお許しいただき、町の英雄として祝福を受け妙に無邪気な娘と共に立ち去ります。生き残った1人は人殺して盗んだ金を手に妻子と共に幸せに暮らしましたとさ。悪党だから殺してもOKなご都合主義の正義が酷い。当たり外れの差が激しいフィリップ・ヨーダン脚本で大ハズレ最悪の愚作にグッタリ。スティーヴン・ヴォイド&リー・ヴァン・クリーフはこんなのに出演してキャリアを積んでいったのかと思ったところに加点。 [DVD(字幕)] 2点(2021-06-09 01:53:41) |
91. 戦慄!プルトニウム人間
悲しみの巨大人間といった感ある起承転結が小じっかりとしていたのが意外。出ずっぱりの婚約者が都合良くしゃしゃり出てくるも安い台詞しか吐かず物語に機能していなく、かといって華があると言えない存在に段々と嫌気がさしてきて、あのまま一緒に落ちればいいのにと思ったのは言い過ぎか。ラストの攻防が住民の反応も含めて至極アッサリした演出であるのも残念。それを差し引いてもまぁまぁ見応えある佳作です。 [DVD(字幕)] 5点(2021-05-31 13:39:31) |
92. 月蒼くして
女性が「処女」「妊娠」「キス」を連発するヘイズコード(男性ならお咎め無しというのが何とも・・・)を盾に介入するアメリカ映画製作者協会を脱退し反骨心剥き出しで強行上映したオットー・プレミンジャー作品。大部分が三人による室内会話劇で、お目当てデヴィット・ニーヴンは気品あるチャラ男の持ち味発揮で且つゲスでなし。ウィリアム・ホールデンも同様で且つ35歳には見えない落ち着きある包容力にウットリと。そんな二人を手玉にとるオヤジ殺しマギー・マクラマナのヘップバーンを思わせる姿が特筆モノ。(オスカーにヘップバーンと共にノミネートされたのが何とも不運・・)硬派にも程がある監督作とは思えない洗練された粋な語り口でのロマンティック・コメディに釘付けでした。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-25 15:35:39) |
93. モガンボ
野生動物が息づくアフリカを舞台に繰り広げられるジョン・フォード監督らしからぬ恋の鞘当てモノ。本作のMIPならぬMVPであるエヴァ・ガードナー。お顔もさることながらウエストラインの美しさには呆れる程の美しさで目が釘付け。いなせ且つコミカル且つポロリと見せる女心に惚れ惚れした現時点でのベストパフォーマンスが素晴らしい。現地民の歌声以外の音楽皆無の演出も空と大地の雄大さを感じるものでした。相変わらずの俺様振りを見せるクラーク・ゲイブルは52歳には見えなかった老けっぷりでしたが、エヴァ・ガードナー&グレース・ケリーの両手に花状態で、そんな旨いハナシがあるのか! なラストもご愛敬といったところでしょう。巨匠の異色作にして秀作です。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-23 00:15:55) |
94. 悲しみよこんにちは
原作未読、デヴィット・ニーヴン、デボラ・カー目当ての鑑賞。こましゃくれたガキと見てくれだけ爽やかな下衆の極みオヤジが鉋屑が燃える如きのペラッペラなやりとりを延々と繰り広げているのに、野暮を承知で「因果応報」の四字熟語を贈りたい。オットー・プレミンジャー独り善がりの愚作にデボラ・カーが出演した理由を知りたいところであり、デヴィット・ニーヴンも仕事選んでと言いたいです。 [DVD(字幕)] 3点(2021-05-21 01:46:10) |
95. 拾った女
冒頭に於ける地下鉄内シーンに早くも手に汗握り「大当たり」を確信。期待は裏切られず、テンポ良く進む切れ味鋭い展開に目が離せず、リチャード・ウィドマーク、ジーン・ピータース、セルマ・リッターが辿る結末にドキドキし通し。「No.11」を積み替えるシーンに激熱に。当時として余りに激し過ぎると思えたラストでのファイトシーンで「負けるな!」握り拳で応援していたウィドマーク。通常運転での憎ったらしさとそれを上回った男気にまさかの惚れ惚れ。彼をも上回ったMIPがセルマ・リッターで、オスカー受賞ならずに激しく異議ありの忘れ難い姿でした。反共と過度な反共への視線も感じる傑作ノワールに酔いました。 [DVD(字幕)] 9点(2021-05-14 16:32:43)(良:1票) |
96. 危険な場所で
どこが危険な場所だったのか。呆れる脚本ではロバート・ライアンをもってしても感情の高ぶり皆無な驚きの凡作。 [DVD(字幕)] 3点(2021-05-13 23:56:16) |
97. 恋ひとすじに
本作も小学生時分に観ていたなら卒倒していたでしょう。兎にも角にも美しい。唯々美しい。いやぁ、美しい。 おまけにロミー・シュナイダーも同様と来た日にはウットリするほかありません。 キザな台詞も素直に聞けます。 ストーリーなんてどうでもいいのですが、これが、意外に練られていて、同僚将校ジャン=クロード・ブリアリを始めとして父親、男爵夫妻、皆キャラが立っていて見応えも中々のもの。 特筆すべきは晴天の霹靂そのままの結末。(+1点)言葉がありません。いやホントに・・・・・・・・ 初めて彼女宅を訪れたアラン・ドロンを思い返すと顔に比例した男前な姿にジーンときます。 [DVD(字幕)] 9点(2021-05-11 16:43:34) |
98. 土曜は貴方に
原題Three Little Wordsをはじめとしたヒット・ソングを生み出した作詞バート・カルマー、作曲ハリイ・ルビイの実話もの。初っ端のアステア&ベラ=エレンのダンスが本作MIPシーンでした。特にベラ=エレンがアステアの相手役としてのプレッシャーを喜びに代えたかのような満面の笑みを一瞬も絶やさない姿に惚れ惚れ。アステアはゴールデングローブ賞受賞程には突き抜けたものを感じなく、脚本共々通常運転・安全運転な良作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-07 11:53:31) |
99. 愛情物語(1956)
実在人物エディ・デューチンの物語。脚色が加えられているにしてもドラマとして見応えがありました。希望と絶望に遊ばれるような人生でもその魂は永遠に生きる事を思わされるラストショットはまさに愛情物語。本作の2年後の早逝が惜しまれるタイロン・パワーの名演が沁み入る名作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-06 00:23:05) |
100. 媚薬(1958)
ジェームズ・スチュアート&キム・ノヴァクの共に一本調子な台詞回しでのメリハリない演技も相まって、魔法のしょうもない使い方に白けっぱなしでした。エルザ・ランチェスター&ジャック・レモンも今一つ。MIPが猫だというのが何ともはやな凡作です。 [インターネット(字幕)] 4点(2021-05-03 02:40:50) |