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81.  大菩薩峠 完結篇(1959) 《ネタバレ》 
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演の「大菩薩峠」三部作の完結篇。今回は千恵蔵演じる龍之介の狂気が一作目のように戻ってはいるが、残したわが子を思う気持ちが描かれていたのは良かった。嵐によって橋が崩壊し、龍之介が奈落の底へ堕ちていくラストシーンは凄まじく、ちょっと複雑な気持ちにさせられるが、長い物語のラストとしては見事だった。兵馬役の錦之助が一作目に比べて随分と貫ろくがつき、「宮本武蔵」シリーズ同様に彼の役者としての成長が見られるシリーズでもあるのだなと最後まで来ると感じられる。この完結篇は大映版の完結篇と比べてもこっちのほうが違和感がなく、話としても納得がいく。(少し宗教臭いのはちょっと抵抗があるが。)でもシリーズ全体としては大映版のほうが入っていきやすいのも確かという気もする。これで三人の机龍之介を見たわけだが、三人それぞれの龍之介像というのがあって三人とも印象が違うのが面白い。中でもやはりいちばん印象にあるのは仲代達矢の異様に殺気を帯びた龍之介かな。それにしてもこの東映版が終わった翌年からもう大映の三部作が始まってるのはすごいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-30 14:07:04)
82.  大菩薩峠 第二部
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の第二作。今回も千恵蔵演じる机龍之助は独特の存在感を放っていて他人を寄せ付けない得体の知れないオーラを放っているのだが、前作に比べるとやや丸くなり月を見ながら子供と戯れるなど前作からは想像もできないような一面が描かれているのが意外。龍之助が前作ほどの狂気を感じさせていない分ソフトな印象となり、前作よりは見やすくなっているが、大映版を先に見ているにもかかわらず登場人物のあまりの多さにはちょっと混乱した。(大映版ではそんなに混乱しなかったのになあ。)今回龍之助を助けるお徳を演じる木暮実千代がやはり素晴らしかった。ラストの千恵蔵の殺陣も見ごたえ充分。ところで本作は子供と戯れる千恵蔵や、ラストの槍を使った殺陣などどことなく同じ監督の「血槍富士」を思い起こさせる部分がある。きっと内田監督は意識して演出しているんだろうなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-22 14:17:48)
83.  大菩薩峠(1957)
内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の一作目。何年か前に見た時は話についていきづらく、途中で屈折してしまったが、大映(市川雷蔵)や東宝(仲代達矢)で製作されたものを見ているなら、この東映版も見ておこうと思い、再挑戦。千恵蔵の机龍之介は、この頃の千恵蔵の年齢が50歳を超えていたこともあり、先の二人がそれぞれ20代、30代だったのに比べれば若さという点ではだいぶ劣っているが、狂気じみた独特の存在感とオーラがあり、不思議と違和感を感じない。映画としてはまだ三部作の最初だというのに展開がやたら早く同じく三部作だった大映版のほうがややゆったりとしてる印象ではある。しかし、大映版と東宝版を既に見ているのもあるのかも知れないが以前見た時のような退屈感はなく、むしろ本作は本作なりに見ごたえがありけっこう面白かった。のちに「宮本武蔵」五部作で内田監督と組むことになる錦之助が兵馬を演じているが、その初々しさも印象的。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-16 14:32:01)
84.  二十四の瞳(1954) 《ネタバレ》 
木下恵介監督の代名詞的な映画で、日本映画としても名作の一本として数えられている本作。11年前に田中裕子主演のリメイク版を見た時に「いい話だけどなんか古臭くてイマイチだなあ。」と思ったこともあって、なかなか手が出なかったが、今回やっと見た。なんだろうなあ、リメイク版では特になんとも思わなかった小豆島の風景やそこに暮らしている人々の営みがとても叙情豊かに綴られ、もうそこで引き込まれてしまった。そして、高峰秀子演じる大石先生が自転車に乗って颯爽と登場するシーンも最初から何やら暗い表情だった田中裕子の大石先生とは違って明るくはきはきとしている。この冒頭部分でもはやリメイク版との差がはっきりとしている。リメイク版と比べるとゆったりとした流れではあるが、その分、大石先生と十二人の子供たちとの絆がより強調されていて、だからこそ後半の戦争に駆り出されていく男子五人を見送り、病気で臥せっているコトエを見舞う大石先生の姿に感情移入することが出来るし、後半の大石先生はことあるごとに泣いているが、こちらも思わず「何もしてあげられないけど、一緒に泣いてあげる。」と劇中の大石先生の言葉をそのまま大石先生に返したくなるほど泣けた。劇中音楽を唱歌で統一したこともこの物語の感動をより深くしており、「仰げば尊し」や「浜辺の歌」など聴いているだけで涙が出てくる。一年生の時に浜辺で撮った写真も出てくるたびに切なくなり、ラストの同窓会のシーンで戦争で失明したソンキ(岡田磯吉=田村高廣)が写真を指で追いながら誰がどこに写っているかを挙げていくシーンでもうこの写真の中の二十四の瞳はもう全員揃わないんだと思うと泣けて泣けて仕方ない。戦争さえなければ、時代が違えば、この同窓会にはもちろん全員が出席でき、大石先生も夫や娘を亡くすことはなかったろうにと思うと凄く切ない。木下監督はここに戦争の儚さ、虚しさといったメッセージを込めているのがひしひしと伝わってきて、これが反戦映画と言われている理由もよく分かる。そしてまさにこの映画は普遍的なメッセージ性を持ったいつまでも語り継がれていくべき不朽の名作と呼ぶに相応しい映画だと思う。最後にもうちょっとだけ言わせてもらえれば、これを見てしまうと田中裕子版がいかにもつまらない映画のように思えてしまう。(好きな方、ごめんなさい。)大石先生は高峰秀子、高峰秀子、高峰秀子、誰がなんと言おうと高峰秀子以外に考えられない。
[DVD(邦画)] 10点(2010-05-14 20:58:23)(良:1票)
85.  警察日記 《ネタバレ》 
田舎の警察署を舞台にした人情もの。とにかく登場する警官みんなが情に厚く、演じる森繁久弥や三國連太郎といった面々の演技も実に温かみがあって素晴らしい。彼らを狂言回しに事件を起こした人々の人間模様を描いているのだが、その事件というのが殺人事件や誘拐事件といった凶悪事件ではなく、捨て子や万引きといったこの時代ならどれもが貧しさから来るようなものばかりで、戦後10年で日本がまだまだ貧しい時代だったのだなと痛感させられる。また、東野英治郎が演じた戦争で子供を亡くし、おかしくなってしまった老人などにもリアリティーが感じられる。森繁久弥演じる吉井巡査が面倒を見る捨て子の姉弟のエピソードが特に泣ける。二人に対しての吉井巡査の温かい眼差しも感動的なのだが、姉を演じた子役時代の二木てるみがなんといっても素晴らしく、弟に会いたいばかりに一人で会いに出かけていくシーンや、名乗り出た母親の乗ったジープを見つめる表情などなんとも切なく悲しげで、本当にうまく、思わず泣かされた。久松静児監督の映画を見るのはまだこれが2本目だと思うが、人間の持っている心の温かさというものを見事に描き出した正に名作だと思う。あと、書き忘れていたが、署長を演じる三島雅夫のユーモラスな演技は、普段腹黒い悪役や嫌味たらしい役のイメージが強いだけにすごく新鮮に感じられた。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-11 14:49:26)(良:1票)
86.  宮本武蔵完結篇 決闘巌流島 《ネタバレ》 
稲垣浩監督の東宝「宮本武蔵」三部作の最後。だけど、今回も武蔵の成長物語というよりは、武蔵、お通、朱美の三角関係のメロドラマに焦点があてられていて、もうかなりのドロドロの展開。今回も内田吐夢監督の東映五部作や加藤泰監督の松竹版とはかなり違い、又八やお杉が登場していなかったり、中盤に「七人の侍」のような村を襲う野武士の一団が登場したりとこれはこれで面白いのだが、やはり東映版のようなオーソドックスなほうが好きだな。三船の武蔵は最後まで来ても何かしっくり来ず、ミスマッチのようにしか思えないのだが、対する鶴田浩二の小次郎はしっかりとはまっていてはっきり言って三船よりもカッコよかった。稲垣監督は佐々木小次郎が好きだったときいたことがあるが、巌流島の決闘シーンで「小次郎敗れたり」というセリフを武蔵に言わせなかったり、決着がつき、武蔵が島を後にした直後に小次郎の遺体の画を入れ、小次郎の無常感を表現していたりして、稲垣監督の小次郎への思い入れが強いことがうかがい知れる。また、決闘シーン自体も朝焼けを背にしてという設定のため、登りゆく朝日とも相まって非常に美しい決闘シーンとなっていて、この部分は今まで見たどの巌流島の決闘シーンよりも印象的だった。
[DVD(邦画)] 6点(2010-04-08 13:51:19)
87.  醜聞(1950)
黒澤明監督の初の松竹作品。プライバシー侵害を扱った法廷劇が中心だと思っていたら、ダメな弁護士が立ち直るまでの過程が中心でちょっと驚いたが、その弁護士の人間ドラマがなかなか面白かった。(その分、法廷シーンはちょっと物足りない。)黒澤監督の映画では欠かすことの出来ない俳優の一人である志村喬がこの役を演じているのだが、寡黙な役の印象の強い彼がやたら饒舌なキャラクターで最初出てきた時にはミスキャストだと思ったが、後半は志村喬が抜群に良かった。とくに、「蛍の光」を合唱するシーンは素晴らしい。これが、後の「生きる」につながっていくんだろうなあ。黒澤作品で久しぶりに見る三船も、後々演じることになる威厳のある存在ではなく、ギラギラしている役でもないがこういう演技も新鮮。小沢栄太郎のいやらしさも板についている。しかし、山口淑子はなんか仏頂面だし、桂木洋子に冠を被せているシーンではひいてしまった。二人ともあまり見たことがないだけに魅力を感じることが出来なかったのは残念。「素晴らしき日曜日」のレビューで中北千枝子が魅力的だったと書いたけど、やっぱり、川島雄三監督や成瀬巳喜男監督のほうが女優を魅力的に撮ることに関しては黒澤監督よりも優れていると思う。
[DVD(邦画)] 6点(2010-04-04 02:30:24)(良:1票)
88.  宮本武蔵(1954)
三國連太郎と八千草薫が共演する某CMで本作の映像が使われていて、そういえばまだこの三船敏郎の「宮本武蔵」三部作は見ていなかったなと思って一応見てみることに。稲垣浩監督が戦前に片岡千恵蔵主演で映画化したもののセルフリメイクで、稲垣監督にとってはこれが初のカラー映画となる。吉川英治の「宮本武蔵」映画化作品は内田吐夢監督の東映五部作と加藤泰監督の松竹版を既に見ているのでストーリー的には既に目新しいものはないのだが、東映版と松竹版が武蔵と又八の二人が関が原の合戦で敗残兵となったところから始まっているのに対し、この映画では二人が関が原に参加する以前から始まっているのが面白い。三船演じる武蔵はどんな感じだろうと思っていたが、野性味と豪快さはあるものの錦之助の武蔵と比べると何か物足りないし、何より泣く演技にかなりの違和感を感じた。それでも悪くはないのだが、やはり、三船には「七人の侍」の菊千代や「用心棒」、「椿三十郎」の三十郎などのほうが合ってる気がする。又八役が東映版で沢庵和尚を演じていた三國連太郎というのは面白いが、ちょっと濃すぎか。沢庵和尚を演じている役者も威厳や貫禄がなく、これでは加藤泰監督の松竹版でこの役を演じていた笠智衆のほうがまだ良かったと思える。全体的に見て思ったほどつまらなくはなかったが、これがアカデミー外国語映画賞を受賞した映画と聞くとちょっと疑問がわくのも事実。同時期に作られた時代劇ならば溝口健二監督の「近松物語」、「山椒大夫」のほうがよっぽど受賞してもおかしくない映画のような気がする。(もちろん黒澤明監督の「七人の侍」も。)まあ、続編となるあとの2本も一応見てみよう。
[DVD(邦画)] 5点(2010-03-25 16:46:32)
89.  腰抜け巌流島
森繁久弥主演の時代劇コメディーで、吉川英治の「宮本武蔵」をパロディー化したような映画。森繁久弥演じる武蔵と大泉晃演じる小次郎のクライマックスの決闘シーンや冒頭の関が原のシーンの又八とのやりとりをはじめ、全体がどこかコントのような感じで、サイレントの喜劇映画のような素早い動きをするシーンなどかなり演出が漫画的で何も考えずに楽しめる。森繁久弥の陽気なキャラクターは見ていて飽きないし、大泉晃の少しオカマチックな小次郎も面白く、ほかにも当時の喜劇俳優がたくさん出ていて、ストーリーはそんな大したものではないが、彼らを見ているだけで楽しい。でも、なにか物足りなさも残るのも事実だったりする。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2010-03-18 13:35:53)
90.  最高殊勲夫人
最初にタイトルだけを見た時は若尾文子が悪女を演じるドロドロ系の映画かと思ったが、「青空娘」の源氏鶏太が原作ということで、ドロドロした重みの全く無い軽快なラブ・コメディーに仕上がっており、「青空娘」同様にとても気楽に楽しめた。初期の増村保造監督らしいハイテンションでスピード感あふれる演出は見ていて気持ちがいいし、電車の中で噂が広まっていくシーンやその後の会社で若尾文子を口説きまくる男性社員たちの滑稽さをコミカルに描いているほか、書道の先生のオーバーなアクションや生放送ドラマの本番直前にしゃっくりが止まらなくなる主演俳優などちょっとしたさりげない笑いも盛り込まれていてこういう喜劇でも増村監督はうまいと感じさせるし、後年のドロドロした人間ドラマで魅せる作品群とはまた違った魅力がある。若尾文子も「青空娘」で見せた清純な可愛さがまさにそのままでとーっても素敵で魅力的だった。はっきり言ってあの会社の男性社員たちや川口浩が羨ましくなってしまうほどの可愛さではないか。おっとちょっと興奮しすぎたか。脇の船越英二の女房の尻に敷かれたダメ男ぶりもいつものことながら見ていて楽しいし、ヒロインの父を演じる宮口精二も良かった。作風上、増村作品って他人に気軽に薦められる映画が少ない気がしてたけど、「青空娘」とこの映画は何の気がねもなく気軽に他人に薦められそうだ。
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-12 14:06:31)(良:1票)
91.  点と線
松本清張初期のベストセラー小説の映画化作品。松竹以外の松本清張原作映画を見るのは初めてだったが、よく出来たミステリー映画としてはそこそこ面白かったものの、どうも主役の刑事(南廣)が一人で息巻いていて一人浮いているような気さえして感情移入できなかった。それに、人間ドラマにあまり深みがないのも残念に感じ、全体としてはやや物足りない。出演者に目を向けると、高峰三枝子は汚れ役のイメージしかなく、とくに「犬神家の一族」の松子夫人の印象が強いのだが、本作ではちょっとだけ松子夫人の原型と感じられるような役を演じていて、ひょっとしたらこの映画がきっかけであの役に起用されたのかと思ってしまった。ただし、貫禄もインパクトも松子夫人の方がやっぱり上に感じる。その夫を演じる山形勲は東映時代劇の悪役という印象がなんといっても強く、この映画でも悪役を演じているのだけど、こういう役はやっぱりはまるなあ。ただ、山形勲を時代劇でしか見たことがなかったせいか、最初は誰だか気がつかなかったけど。のちに「砂の器」で素晴らしい演技を見せる加藤嘉が本作では刑事を演じている。
[DVD(邦画)] 6点(2009-11-12 15:00:00)
92.  次郎長三国志 第八部 海道一の暴れん坊 《ネタバレ》 
第8作。今回は石松が主役で、出演者のトップクレジットも森繁久弥となっている。これまでもシリーズの中で印象に残る様々な活躍を見せた石松だったが、今回は石松を演じる森繁久弥の演技がとくに素晴らしく、夕顔に惚れて赤くなる姿や、夕顔との風呂でのやりとりなど微笑ましいシーンでの演技も良かったが、やはりラストの決闘シーンで見せる演技はかっこよく、そして、「おらあ死なねえんだよ!」と叫ぶシーンも素晴らしかった。これ一本でもじゅうぶん森繁久弥という俳優の素晴らしさと魅力が伝わってくるし、この森の石松という役は彼にしか出来ないのではないかという気さえする名演技だ。この話だけはマキノ雅弘監督によるオリジナルらしいが、シリーズとしてここで終わらせたかったというほどの意気込みを持って演出に当たっていたというマキノ雅弘監督の演出も、彼の石松に対する愛情のようなものが感じられて、シリーズの中でも傑作と呼ばれているのが分かるし、僕ももちろんそう思う。やっぱり僕もこの次郎長一家の中では石松がいちばん好きだから。 2009年11月10日追記:石松を演じた森繁久弥さんが亡くなった。96歳の大往生とのこと。このシリーズの石松役はもちろん、コメディーからシリアスまで何の役で出ていてもとても味のある演技が印象的な素晴らしい名優で、好きな俳優の一人だっただけに訃報に接し、大往生とはいえ、かなりショックが大きく、すごく悲しい気持ちでいっぱいでとても残念に思う。本当に心からご冥福をお祈りします。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-11-10 22:07:48)(良:2票)
93.  潜水艦イ-57降伏せず 《ネタバレ》 
松林宗恵監督の訃報はとても驚いたし、「社長シリーズ」をはじめまだそんなにたくさん松林作品を見たわけではないのにとても寂しい思いがする。そんな中で松林監督の追悼の意味を込めて本作を見た。潜水艦に女というシチュエーションは「ローレライ」を思わせるが、あり得ないほど荒唐無稽な映画でしかなかった「ローレライ」に対してこちらは一切の荒唐無稽さもなく、時々笑えるシーンをはさみつつもシリアスな戦争映画としてかなり見ごたえのある映画に仕上がっており、池部良や三橋達也ら出演者の熱演もあって「ローレライ」に比べるまでもなくはるかにまともである。これは既に青観さんが書かれているとおり、戦時中松林監督は海軍におり、主演の池部良も戦後しばらくは抑留生活を送っていた経験があるなどこの映画に関わったスタッフやキャストが実際に戦争を肌で感じている世代だからこそ出せるリアリティがあり、今現代の戦争映画とは比べ物にならないくらいの深みを感じられるからだと思う。ドラマに置いても最初は潜水艦の乗組員たちに偏見を持っていたミレーヌが高熱を出したときに乗組員全員が協力して氷を作ってくれ、それがきっかけで偏見を解くという展開は松林監督のメッセージが込められているようでとても印象に残った。乗組員の中に僧侶がいるのも松林監督らしい。それにしても松林監督の戦争映画を見ているとこの監督は必ずしも「社長シリーズ」だけの監督ではないと思えてくる。最後に、松林監督、お疲れ様でした。ごゆっくりとお休みください。
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-03 18:08:35)(良:1票)
94.  楊貴妃
溝口健二監督のカラー映画は本作と「新・平家物語」の二本。「新・平家物語」がイマイチだったのであまり期待はしていなかったが、話が壮大なわりに上映時間は90分と短く、ドラマに深みを感じることができない上に後半はえらく駆け足になってしまっているのでかなり物足りなく感じる。楊貴妃(京マチ子)と皇帝(森雅之)がお忍びで出かける祭りのシーンが印象に残るのだが、それ以外は溝口監督の演出も精彩を欠いている感じで、いままで見た溝口監督のほかの作品と比べても平凡な印象しか残らず、はっきり言ってあまり気乗りしないまま引き受けてしまったのではないかとも思えるような凡作で、ちょっと言い過ぎになるかもしれないが、この前の大映のカラー映画「地獄門」がカンヌでグランプリを受賞したことで調子に乗った永田雅一社長(溝口監督に絶大な信頼を寄せていたという。)に溝口監督がいいように使われただけという気もしてきて、そう考えると残念としか言いようがない。「新・平家物語」と同じく5点という評価だけど、この映画は今まで見た溝口監督の映画の中ではいちばんつまらないと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2009-05-26 13:54:29)(良:2票)
95.  弁天小僧
のちに「切られ与三郎」でも歌舞伎を題材にした伊藤大輔監督がそれ以前に同じく歌舞伎の世界を映像化した時代劇で、主演も同じく雷蔵。歌舞伎のワンシーンがそのまま雷蔵らによって演じられる劇中劇のシーンもあって雷蔵の映画俳優としてだけではない歌舞伎俳優としての魅力も伝わってくるし、相変わらずの演技のうまさも感じられる。伊藤監督の演出ぶりや、宮川一夫の作り出す映像美、西岡善信による美術セットも素晴らしくいかにも大映らしい完成度の高い映画で、なかなか楽しめたものの、個人的には「切られ与三郎」のほうが好きだな。あと説明台詞が多いのがちょっとくどく感じてしまったのが残念。遠山の金さんを演じているのはまだ下積み時代を送っていた頃の勝新であるが、やはり勝新はこういう白塗りメイクの二枚目風より座頭市のような濃いアウトロー役のほうがかっこいいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-14 19:51:58)(良:1票)
96.  新・平家物語
僕も今まで溝口健二監督の映画は白黒作品しか見ていなく、カラーの溝口作品を見るのは今回が初めての体験だった。(溝口作品見るのもかなり久しぶり。)撮影はいつも通り宮川一夫で、やはりこのコンビの作り出す映像は最高に美しいと思うものの、「雨月物語」や「近松物語」、「山椒大夫」といった白黒作品の圧倒的な美しさとは何か違う気がするし、確かに完成度は高い映画なんだけど、これら後世に残るような名作と比べると平凡な印象が残ってしまうのがちょっと残念だし、黒澤明監督と同じく、溝口監督もカラー作品よりは白黒作品のほうがいいと感じるし好きだ。前年デビューしたばかりの雷蔵が主演で、見る前は初々しさが目立ってあまりうまくないのではと思っていたが、(失礼。)デビュー2年目とは思えぬ演技でそれほど違和感もなくなかなか良かったと思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2009-05-07 16:23:56)(良:1票)
97.  不滅の熱球
鈴木英夫監督の映画を見るのはまだ2本目だが、いかにも伝記映画という感じでエピソードの羅列に終始してる印象であまり面白くはない。しかし、沢村を演じる池部良がなかなかの熱演で、読売ジャイアンツが実際に野球指導しているだけあって投球フォームも見所の一つとなっているが、戦地でのシーンでは池部良本人の従軍体験が生かされているのか、野球シーンよりも演技がリアルに見えるのは気のせいではないだろう。沢村のファンで後に妻となる女性の役を前年デビューしたばかりの司葉子が演じているのだが、初々しくて可愛かった。(同じ鈴木監督とのコンビ作「その場所に女ありて」が見たい。)あとこの映画で「巨人阪神戦」がなぜ「伝統の一戦」と言われるのか初めて知ったような気がする。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2009-03-28 13:09:10)
98.  駅前旅館
駅前シリーズってどれか一本でも見たことあると思っていたけど、よく考えたら一つも見たことないことに気がついて第一作であるこの映画を見た。この一作目は井伏鱒二の小説を映画化した作品で文芸色が強いのかと思っていたが、全体的にかるーくゆるーい感じの喜劇映画で、森繁久弥、フランキー堺、伴淳三郎ら出ている俳優たちの演技、とくに喜劇俳優としての森繁久弥の魅力が全開で楽しめたし、この時点ではシリーズ化を考えてなかったのかもしれないけど、社長シリーズとの作風の違いもはっきりしていてその辺りも面白かった。しかし、純粋に一本の映画として見た場合、何か物足りなさを感じずにはいれない。豊田四郎監督といえばこの前年の「雪国」が傑作だったのだが、この映画はなんか雑な印象が強くてちょっと残念だ。でも久しぶりに森川信が見れたのは嬉しい。森繁久弥が番頭をやっている旅館の主人役なのだが、森繁久弥や奥さん役の草笛光子とのやりとりなど、どことなく「男はつらいよ」シリーズのおいちゃんを見ているようでもあり、それでいておいちゃんとはまた違った雰囲気もあり、とても良かった。森繁久弥もそうだがあらためてこの森川信も最高の喜劇役者の一人だと思う。やっぱり大好きな俳優の一人だ。
[DVD(邦画)] 6点(2009-03-18 21:53:27)
99.  次郎長三国志 第九部 荒神山
東宝「次郎長三国志」シリーズ最後の作品となる第9作。当初、二部構成予定の前編として作られ、その後後編が制作中止になったというのを見る前から知ってたので、まったく期待せずに見たのだが、最後の回なのにシリーズすべて見終わったという達成感よりも、もどかしさのほうが先に来てしまってかなり物足りない。これまでの回で石松と三五郎の掛け合いが好きだったのだが、やはり石松がいないこともその物足りなさに拍車をかけているような気がして、マキノ雅弘監督の演出も何かモチベーションが落ちている感じで残念だ。やはり僕もこのシリーズは前回が最後に相応しかったと思う。東宝のシリーズには劣るかも知れないが、東映の「次郎長三国志」シリーズもいつか見てみたい。(マキノ雅彦版が先になるかもしれないが。)
[CS・衛星(邦画)] 5点(2009-02-15 11:14:53)
100.  次郎長三国志 第七部 初祝い清水港
第7作。前回と比べてこのシリーズらしい明るさが戻っていて気楽に楽しめるものの、涙なくして見られない展開だった前回の続きの話と考えた場合にあまりにもギャップがありすぎると感じるし、前回ラストに登場した長門裕之演じる喜代三とお仲さんが泣いているシーンは確かに少ししつこい。でも、次郎長一家がお蝶さんの位牌の前で、百か日が過ぎたら久六を討つと誓うシーンや、親分が「お蝶を殺したのは俺だ。」というシーンは良かったと思うし、大政のところへ前回もちらっと出ていた妻 ぬいがやってきたり、佐太郎夫婦も再登場するというのはシリーズをずっと見ているとなんだか嬉しい気持ちになる。最初に書いたように前回とはギャップがありすぎるし、お仲さんと喜代三のシーンはもう少し短くてもいいと思うものの、それでも見る前に思っていたよりは楽しめたので一応満足ということでこの点数。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-01-26 15:12:53)
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