981. 28DAYS
サンドラ・ブロック主演の単なるラヴ・コメディだとばかり思ってたのに、まさかアル中の更生物語だったとは…。しかし映画の作りは「酒とバラの日々」等とは違って、私の期待したサンドラ主演の他のラヴコメとほとんど一緒だぞ。「酒好き」と「アルコール中毒」は明確に違う筈なのに、フワフワサクサクお気楽に話が進んでいくので、中毒の悲壮感も主人公の再生も全く伝わってこない。コンセプトとしては、アメリカではポピュラーな「精神病院モノ」の一亜流だったのかもしれませんが、シリアスにもコメディにもなりきれない中途半端な作品で終わってしまったという印象です、5点献上。 5点(2005-02-15 02:22:30) |
982. バルニーのちょっとした心配事
いかにもフランス人の好きそうな、大人の艶笑小話風コメディ映画。仕事帰りにこういう映画を観て、遅いディナーでワインを傾けつつ、洗練された下の話で盛り上がるってのが彼の地のライフ・スタイル(なのか?)。そして更にフランス的なのは、浮気には全員が大騒ぎしつつも、バルニー氏がバイセクシャルであることには誰も驚かない所。ラストの大らかさも我々日本人には真似できませんね。それでも、鑑賞中は中々楽しめる大人の映画だと思います。因みに【かーすけ】さん、原題を直訳すると「バルニーと彼の小さな悩みの種たち」って感じでしょうかネ。ということで、6点献上。 6点(2005-02-15 02:22:08) |
983. 暗い日曜日
死へと誘う名曲「暗い日曜日」を巡る哀しい物語を、大胆に創作した戦争メロドラマ。映画は東欧産の暗いタイトルの作品ということから連想されたイメージとは違って、作りがかなりハリウッドナイズされてて観易かったです。また、エリカ・マロジャーンは、「マレーナ」のモニカ・ベルッチに匹敵する程の美しきマドンナ振り(【大木眠魚】さんの仰る様に彼女の存在がある種の説得力を与えてます)。しかし私的には、危うい三角関係ドラマからユダヤ人迫害モノへと変遷するストーリーに、「暗い日曜日」がほとんど絡んでこないので少し肩透かしを食らいました。この危険な曲はどういう風に生まれたのか、何故アンドラーシェは死んだのか、何故この曲は人を死へと誘うのか? この辺のミステリーの方に私は興味があります、6点献上。 6点(2005-02-15 02:21:42) |
984. シャンドライの恋
《ネタバレ》 愛する男と、愛する男を助ける為に全てを投げ打った男。とことん説明を削ぎ落とし、タンディ・ニュートンの日常を追っただけの官能的映像で描き出される、一人の女の心の揺らぎと究極の選択。この映画を観た一人一人はシャンドライとなり、彼女と共にそれぞれが結論を下さなければならない。これは観客にとっても正に「悩ましい」状況。しかし、シャンドライの家主に対する気持ちは、果たして邦題通りの「恋」と呼べるのか? 彼の行為は無償の愛でも、その結果は金で女を買うことと何処が違うのか? ここを突き詰めれば自ずと結論が出る筈です、7点献上。 7点(2005-02-15 02:21:18) |
985. デッドマン・ウォーキング
製作者側の意識が死刑制度廃止にあることは明白ですけど、被害者遺族の描写や、加害者の魂の贖罪に死刑が一方ならぬ影響を与えてる様にも見えるので、そういうことを超えた完成度になっているとは思う。しかし多くの方が指摘されてる様に、それ以上に本作はキリスト教的考え方に基づいている(尼僧が主人公だから当然と言えば当然ですけど)。やはり肝心なのは量刑の軽重よりも、やった本人がどれだけ後悔し反省するか。それが無ければ被害者も浮かばれません。ま、私も、最も加害者に悔恨の情を与えられる量刑が「死の恐怖」だとは思ってますけど…、6点献上。 6点(2005-02-15 02:20:48) |
986. オアシス
韓流は伊達じゃないことを証明する、常識からは思いもつかない、二人の社会不適応者の壮絶ラヴ・ストーリー。社会生活を営めないこの男が、肉体的に社会生活を営めない女の何処に惹かれたのかは判らない。しかし男は、女を人間や障害者や同じ日陰者同士としてではなく、最初から単なる女として認識する。だから男は強引に抱こうとする。その時は余りの恐怖に失神してしまった女も、例えそれがレイプでも、生まれて初めて女として扱われたことで、障害者から普通の女に変わっていく。まるで打算の無い二人の心の中に湧出する、愛情という名の「命の泉」。やがて二人は、これまで「存在していた」に過ぎない社会の中で、輝きを放って「生き」始める…。「冬ソナ」で満足してるそこの貴方、これ観て驚け! 8点献上。 8点(2005-02-10 00:53:30)(良:2票) |
987. SSU
大げさな効果音と共に現れる3Dタイトル、続いてノスタルジックな回想シーン、二人の男と一人の女が繰り広げる「友情・愛情・過剰に異常」(by小泉今日子)な物語、突飛なアクシデントに悲壮なラスト・シーン…。舞台が戦場だろうが地下鉄だろうが海難救助隊だろうが、映画の作りはみ~んな一緒。韓流って、こういうことなのか? これは韓国のクォーター制度の弊害だと思うゾ。年間上映日数確保の為の映画会社主導の粗製乱造。昔の日活アクション映画じゃないんだから、今の時代にどれ観ても同じじゃ、せっかく今日の隆盛を築き上げた韓国映画に未来は無いよ、3点献上。 3点(2005-02-10 00:53:12) |
988. 王様の漢方
様々な問題を抱えた日本人一行が、万里の長城の麓で漢方の秘伝に触れ、自分を取り戻していくという癒し系ムービー…、というコンセプトだとは思うんですけど、何か説得力の無い「おもいッきりテレビ」みたいな仕上がり。群像劇のつもりなんでしょうけど、個々の登場人物やエピソードにインパクトが無いし、「病」を患ってるんだか直ったんだかもはっきりせず、有耶無耶のまま劇終を迎えてしまう。ノーマン・リーダスも、何の因果で本作に出演したのか解らないし(ま、元々大した映画には出てない様ですけど…)、折角の長城ロケも、こんな中身では活かし様がありません、3点献上。 3点(2005-02-10 00:52:50)(笑:1票) |
989. 星に願いを。
例えば欧米等、顔形も文化も違う国の映画を日本に翻案して、より日本人に理解され易くリメイクするならそれなりの意義がある(ハリウッドがしょっちゅうリメイクするのも、地域限定商品を国際マーケットに乗せるという意義はある)。しかし僅か3年前の、ラーメンを箸ですする同じ顔した人間が生活する国の映画を作り直す意義は見出せない。しかも看護婦のトラウマ克服みたいな余計な味付けまでされてしまってる。これは逆輸出して人気を博している「日式ラーメン」ではなく、一瞬で消え失せる「企画物カップ・ラーメン」みたいな映画です。ところで竹内結子、確かに不動のジャンルを確立してますね。自分か相手役が「死んでいるのに生きている」映画では独壇場。私は彼女を「ゾンビ女優」と呼びましょう。ということで、3点献上。 3点(2005-02-10 00:52:31) |
990. 友へ チング
もっの凄くありがちなヤクザ・マフィアモノの定番ストーリー、無理矢理にでも盛り上げようとするBGM、全編に亘って意味無く多用されるスローモーション…。テレビ・ドラマの映画化か宮崎アニメしかヒットしない国の人間が言うのもなんですが、この程度の映画が史上最大のヒットを飛ばすってのが良く解らない。これもお国柄なんでしょうか。日本の配給会社も「チング」等という耳慣れない言葉を使わないで、いつもの様に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・コリア」とか出鱈目な邦題を付けちゃえば良かったのに…。それにしても、後の二人はこの物語に必要だったのか? 5点献上。 5点(2005-02-10 00:52:10) |
991. 東京攻略
日本人の視点から、いくらでも中身の揚げ足を取ることは可能でしょうけど、それ以上に、「東京」を使ったこれだけの「アクション活劇」が可能であるということを中国人に見せつけられ、私は悔しい気持ちの方が大きい。東京国際フォーラムでの格闘、新宿副都心から中央公園での追っかけ(ハリウッド映画に良く出てくるセントラル・パークみたい)、公道上での車両運搬車アクション、隅田川でのボート・チェイスと、中々楽しい仕上がりです。「アクションがお粗末」ったって、日本には本作並のアクション映画さえ無いんですよ! また、トニー・レオンの日本語より、出来損ないの吹替みたいな遠藤久美子の日本語の方が遥かに問題。それにしても、セシリア・チャンがそのエンクミ並の扱いだったのが非常に解せない…、5点献上。 5点(2005-02-10 00:51:48)(笑:1票) |
992. 星願 あなたにもういちど
香港産浅田次郎型泣かせ映画の決定版、とゆーことですけど、私は目が潤む程度で、涙がこぼれ落ちるまでには至らなかった。それは多分、映画の安っぽさとありふれた設定が気になった所為だと思う(香港映画らしいと言えば香港映画らしいんですけど…)。物語も出演者も悪くないし、ユーモアと涙のバランスも絶妙だとは思いますが、貧乏臭い映画が嫌いな私としては今一つ乗り切れませんでした(それに男の名前が「オニオン」って、どうよ?)。同じセシリア・チャンで、涙だけで言えば、浅田次郎原作の韓国映画「パイラン」の方がもう少し泣けました。という訳で、6点献上。 6点(2005-02-10 00:51:28) |
993. ユリョン
国際的な二番煎じ料理を目指して、日本製の「沈黙の艦隊」とアメリカ製の「クリムゾン・タイド」を鍋に入れたくせに、「反日・反米感情」というスパイスを利かせ過ぎた為、朝鮮民族以外は受け付けられない味になってしまった、出来損ないのキムチチゲみたいな潜水艦映画。もし韓国人がこんな馬鹿映画を観て溜飲を下げているのであれば、その思考は北の将軍様と余り違わないですね。こんなことばかり繰り返してると我が国も対抗して、伊507に「ローレライ」を搭載して朝鮮半島に攻め込みそうで、そっちも怖いです…。我々はまだまだ20世紀を引きずってるんですね、3点献上。 3点(2005-02-10 00:51:09) |
994. オルガミ ~罠~
チェ・ジウ、初めて見ました。長身、スレンダー、綺麗なのっぺり顔と、韓国女優の典型的ルックスですね。もちろん私もこの方の緊縛陵辱シーンに釣られた訳ですが、監督がキム・ギドクでもない限り、そんなにハードなシーンは無いだろうとは薄々予想していたものの、そのシーン自体が無いのには呆れました。80年代ビデオ・バブル期以来、最近ではこうした嘘パッケージ作品も見なくなってきたので、本作はある意味貴重かも? で、嫁姑問題ですが、あのアメリカにさえ「沈黙のジェラシー」という作品がある位ですから、これは人類共通のテーマと言ってもいいでしょう、4点献上。 4点(2005-02-10 00:50:48) |
995. 香魂女/湖に生きる
中国の地方に、尚も色濃く残った封建的社会の犠牲となっていく女性の姿を描く、1993年度ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品。胡麻油製造を営む主人公の家庭に舞い込む日本との商談話と、主人公の知的障害を持つ長男への嫁取り話で、映画は二つの矛盾を浮き彫りにする。一つは、共産国家であり改革開放政策も進んだ中国社会の封建的因習。そして一つは、かつて社会の犠牲になった女性が、新たに生み出してしまう女性の犠牲。当時の中国のGDP成長率は10%以上! しかし、まだこんな世界が残っていたとは驚きです。ホントに中国は広いですね…、6点献上。 6点(2005-02-10 00:50:18) |
996. マシニスト
個人的に、もうこの手のサイコ・スリラーには食傷気味。大体、鑑賞中はオチを見破ろうと身構えてしまって、純粋に映画を楽しめなくなってしまったし(ま、これは自身が悪いんですけど…)、余程のオチを持ってこられても感動しなくなってしまった。で、本作は、雰囲気的には「メメント」に近い記憶を巡る物語。そしてこの映画の謎は、「地獄の黙示録」のマーロン・ブランドみたいな男が何者かではなく、激ヤセのクリスチャン・ベールを誰が陥れようとしているのかでもなく、「なぜ彼は眠れなくなってしまったのか」の一点のみ。ここをポイントに鑑賞すると面白いかもしれません、6点献上。 6点(2005-02-03 00:07:41) |
997. オペラ座の怪人(2004)
舞台版「オペラ座の怪人」は、音楽や歌以上に「装置」の戯曲です。オペラ座の舞台に見立てたステージが、物語の進行に従ってどんどんと姿を変えていきます。目の前で「現実に」繰り広げられるそのスペクタクルには、内容以上の感銘を受けたもんです。そんな戯曲ですから、表現媒体としては映画の方が合っていると私も思います。しかし、出来上がった映画は丸っきり舞台をなぞっただけで、映画ならでは空間的広がりが全く感じられない仕上がり。しかも、舞台装置のダイナミズムは当然消失しています。クライマックスも、実際に観客の頭上を巨大なシャンデリアが滑り落ちていくスリルに比べれば、どーってことありません。元が元ですからつまらない映画ではありませんし、数々の名曲も楽しめますが、何か平凡な作品になってしまって少し残念に思いました。戸田奈津子の字幕が「ロード・オブ・ザ・リング」並に出来が良くなかったのもマイナスです、6点献上。 6点(2005-02-03 00:07:19)(良:2票) |
998. ネバーランド
テーマ的には「ビッグ・フィッシュ」と同じだと思いますけど、こちらは全く感動できなかった。「ビッグ~」のエドワードの嘘(つーか、彼のは「誇張」ですよね)は、彼に関わる人々をみんな幸せにする。しかし本作のバリの嘘(彼のは「夢想」ですか)は、彼自身の現実逃避にしか見えない。あの親子に肩入れして家に寄り付かないのも、明らかに現実逃避。そういうことも含めてバリは才能を授かっていたのだと思いますけど、凡人には共感できない資質です。また、一つの舞台が出来上がっていくカタルシスが欠けていたのも、ダスティン・ホフマンの役柄同様、拍子抜けでした、5点献上。 5点(2005-02-03 00:06:57) |
999. タイタス
この一種のSF的設定は、舞台ではよく目にする演出手法なので(特にオフ・ブロードウェイ辺りで)、それ自体に新味は感じません。オリジナルの仰々しい台詞をそのまま使うというのも珍しくはない。タイトル・バックみたいな様式美が延々と続くのかと思ったら、そうもならない。そうなると、残虐シーン以外のどこを見ればいいのか解らない。古代でもない、現代でもない、舞台でもない、映画でもないという演出意図が、そのまま中途半端感として伝わってきたので(もしかして製作者側にも「これだ」というコンセプトが欠けてたんじゃないでしょうか)、もっとCG等を駆使して、全体を幻想的に装飾してしまっても良かったかもしれません。それにしてもアンソニー・ホプキンス、いつまで経ってもレクター演技が抜けませんなぁ…、5点献上。 5点(2005-02-03 00:06:35) |
1000. クレイドル・ウィル・ロック
大恐慌時代のアメリカの政治状況を背景に、当時の様々な芸能人・芸術家達の実情を丁寧に描いていく、「ほとんど実話」の群像劇。一般の労働者と同じ様に、芸能人に対しても国が「職」を斡旋していたというのは面白いですね。そうなると表現活動も政府のヒモ付きになる訳ですから、軋轢が生じるのも無理からぬこと。また同時に、労働運動・組合活動からも制約を受けてしまうという二重苦。これは思想的背景を抜きにしても、金の工面と人権の行使の狭間に揺れ続けるプロデューサーの苦悩がそのまま描かれていた様に思います。「ゆりかごは揺れる」がどういう内容なのか解り難かったので、今一つピンと来ませんでしたが、俳優達が舞台に上がらずに徐々に形作られていく舞台劇は、やはり感動的でした、6点献上。 6点(2005-02-03 00:06:09) |