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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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1041.  地上より永遠に(1953) 《ネタバレ》 
ふた組の男女の物語、それも「体目的以上、恋愛未満」みたいなちょっと微妙な関係のふた組の物語をうまく絡め合う見事さ。またその脇を固める登場人物たちそれぞれの存在感、物語への絶妙の関わり、といったこともあって、グイグイ引き込まれる映画ですね。見ようによっては、ボクシングをやるのやらないのとかいうツマランことでイジメが横行する平和ボケの軍隊に対して、どこかの国が空爆で鉄鎚を下す、という物語にも見える? まあ、それはともかく、イジメに黙々と耐え続ける主人公、その描写がステレオタイプであればあるほど、主人公の背景というか、彼の「伝説性」が高まるわけで、「いったい彼はどれほどスゲーやつなんだろうか」と思えてくるのだけど、結局はボクシンググラブをはめることもなく、ラスト、どっちかと言えばツマラナイことで命を落としてしまう。伝説が伝説のまま封印されるときの、その無念さと虚脱感。いいですなあ。少し残念な点としては、途中で死ぬキャラとそうでないキャラが、観てておおかた予想がついてしまうという、「出来すぎ感」ですけどね、えへへ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-17 11:02:02)
1042.  スリーパーズ
まあ、あまり物語にこだわりすぎると、「自業自得」とか「懲りないなあ」とかいうコメントに終始しちゃうのだけど、それにしてもこれはスゴイ。いわば司法制度への挑戦とも言うべき恐るべき内容。怒れる男が十二人もいるというアメリカで、一方ではこんな映画を作ってしまう(しかも実話と称して)、これもまたアメリカ。現代におけるファンタジーとは、夢と悪夢が、半々なんですかね。登場人物たちの、感情を表に出さない抑えた演技が、かえって映画そのものの「感情」を象徴的に浮き彫りにしています。そしてこのサスペンス。何がドキドキするって、頼りないオヤジ(ホフマン)に重要な役割を任せることほど、ドキドキすることはありませんって。 あと、ケビン・ベーコン登場のシーンの彼の顔が、実に不気味でコワイ。完全にあれは、爬虫類の顔。あ、元々か。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-15 10:13:16)
1043.  スーパーマンII/冒険篇
冒頭の、エッフェル塔占拠の場面がグー。水爆が仕掛けられたエレベータが転落!しかもエレベータにはロイスがマヌケにもぶら下がっている! そこに間一髪到着するスーパーマン、無事ロイスを救出する。さらに爆発寸前のエレベータを持ち上げてエッフェル塔を上昇(ミニチュア撮影にも見えるが、役者をエレベータにぶら下げて撮影しているようにも見え、後者だったらこれまたマヌケでイイナ、と思う)。そのままエレベータを宇宙にまで持って行って、無事爆破させる。ただしそのために三悪人が復活してしまう、というのだけど……。爆破寸前のエレベータを宇宙に運ぶスーパーマンが、異常に素早い。こんなに速く飛べるわりには、フランス到着までエラく時間かかってたやんけ、と。まあ、そこがスーパーマンらしいところでもありますが、ねえ。三悪人がしょぼいド田舎で暴れまわったり、スーパーマンとロイスのどうでもいいいちゃいちゃシーンがあったり、スーパーマンが人間になったり、まあ、中盤はどうでもいいのですが、クライマックスは、期待通り、いや期待以上のハチャメチャ市街戦に発展、この点では、シリーズ屈指ともいえるスペクタクルになっている、ような、なっていないような。でも興奮した。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-03 09:08:51)(良:2票)
1044.  プラネット・テラー in グラインドハウス
わかりやすい邦題をつけるなら『プラネット・テラー in テレビ東京』、いや私のような関西人にとっては『~ in テレビ大阪+サンテレビ+KBS京都』ってなところか。木曜洋画劇場を始めとする謎のような映画放送の数々。さんざん観てきたがタイトルも思い出せないもの多数(とほほ)。時には、CM入り85分という無茶な放送枠のなかで、無茶苦茶に映画をカットし、CM前後で話がイマイチ繋がらなかったりもする。時には、新聞のテレビ欄の“放送終了時間”が誤っていたせいで、ビデオ録画が映画の途中で終わっていたりする。そういうときに感じる、あの“意味深”さ! 特に安っぽい映画の方が、こういう瞬間になんだか「深い」ものを感じてしまったりするのよね。安い映画人生を送ってきた者たちがおそらく共通で持っているあの感覚が、縦横無尽に炸裂した映画、といえば、内容について語るまでもなく、どれだけ魅力的な映画であるかが、おわかりいただけるでありましょう。
[DVD(字幕)] 8点(2008-07-05 21:14:00)(笑:1票)
1045.  ヒトラー 最期の12日間
敗戦を目前にした国家の首脳陣の姿を、壮絶な市街戦を交えながら群像劇として描いた、まさに力作。『タイタニック』以上にタイナニックな沈没感覚。中でも辛いのは、子供たちが毒殺されていく光景。眠っている子供たちに毒のカプセルを飲ませ、そっと顔を隠すように、掛け布団を頭の方へ引き上げる。と、露わになる子供たちの小さな“足”、それをカメラは捉える。うん、子供が一番いとおしく感じられるのは、彼らの“手”や“足”の小ささを見る時だと思う、我が子の爪を切ってやる時なんかにそう思う。その“足”を、こういう形で見せつけられる残酷さ。・・・というわけで、なかなか感慨深い映画、ではあったのだけど、むむむ、なんか釈然としない部分も残ってしまうのは・・・この、「敗戦を前に、厭戦気分と特攻精神が相半ばしている」という、なんつーかその、“アタリマエ”っぽさ。そりゃそうだろう、と思う一方で、それだけじゃあるまい、という気がしてしまう。ドイツ人自身が作った映画でありながら、ここが限界なのか、と。「善」「悪」は当然踏まえなければならない、だけど、ほんとうの本音のどうしようもない“何か”が悲劇の背景に必ずあるのではないか(例えば映画『アマデウス』で描かれていた「ドイツ語のオペラなんてとんでもない」などというコンプレックスにもナチへの萌芽があった筈)。それをドイツ人自身の目で、心で、描けなかったのだろうか。この映画の違和感って、例えば、北●鮮で現政権が崩壊した後、『将軍様 最期の12日間』とかいう映画が作られて、やっぱり内容は「厭戦vs特攻」だったら、何か変だよなあ(アタリマエ過ぎて)、という違和感・・・・・・。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-04-28 22:33:05)(良:1票)
1046.  イヤー・オブ・ザ・ドラゴン
表面的には、ギャングに立ち向かう刑事アクション映画。チャイナタウンの中国人社会を色眼鏡で見ているということで、抗議も受けたらしい。だが、そのような観方をするには、あまりにもジョン・ローンの側の描写に重点が置かれすぎているのである。これは、ミッキー・ローク演じる刑事と、中国系マフィアの中でのし上がろうとする青年の、二人の物語だ。二人の対比。ベトナム帰りのコンプレックスにさいなまれる刑事は、妻との間も破綻寸前、周囲ともうまくいっていない。映画の中では、彼は常に、フラフラ歩き回る姿で描かれ、寄る辺無い姿が強調される。一方の中国系マフィアの青年の颯爽とした姿と、その野心。二人は対象的でありながら、社会の中ではどちらもマイノリティであり、どちらも、米国社会の中であがき続ける存在である。その二人のクライマックスにおける対決に満ち溢れる苦味。そこには悶えるような苦しみがあり、「橋の向こう」に見える「光」には、決して手に届くことがない。それだけに、映画のラストにおけるハンパな希望には、妥協を感じざるを得ない。葬儀のシーンとラストで流れるマーラーの「復活」。陳腐だと思う(まー正直言って、この曲自体が好きになれないんですけどねー、えへへ)。
[ビデオ(字幕)] 8点(2008-04-13 09:55:45)(良:1票)
1047.  バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3
3部作、なんぞという今やアリキタリの言葉を使うのもコッパズカシイ昨今ではございますが、その3部作とやらのラストでございます。おんなじようなネタで3本も作ってボロ儲けしやがって、クソ、とも言いたくはなりますが、それでも3本それぞれ異なるアプローチなのが、やはり本シリーズの魅力(マッドマックスシリーズ程では無いけどな、うふふ)。ドタバタに過ぎた第2作から一変、今回は西部開拓時代にどっしり腰を落ち着け・・・でもやってるのはやっぱりドタバタですね。K野のY心棒などを下敷きにしつつも、S場にかけるHなどもちょっと想起させつつ、はたまた「このオバチャン(?)はタイム・アフター・タイムとかいう、やはりタイムトラベルものの映画にも出たたなあ」「そこでM・マクダウェルと競演して結婚したんだっけ(でも離婚したんだっけ)」、「M・マクダウェルと言えばBサンダー(ちょっと強引)」「ああ、そういや本作にもBサンダーとよく似たシーンがあったよなあ」と、妄想はどこまでも広がるばかり。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-03-10 11:45:49)
1048.  國民の創生
この映画の差別的な部分はともかくとして(顔を黒く塗った白人が「悪い黒人」を演じるのって、やっぱり観ててヤだなあ)、あの白装束KKKの大群のシーンには圧倒されます。さらにはこの映画、私の大好きな「立てこもり映画」でもあったりするんだから、たまりません。ここに“映画の創生”を目の当たりにするのであります。
[DVD(字幕)] 8点(2008-02-09 18:16:31)
1049.  硫黄島からの手紙 《ネタバレ》 
観ている間も戦闘シーンに圧倒されるのだけど、観終わってから、何となくジワッとくる映画ですなあ。ジャニーズのネズミ男こと二宮クン、彼は本当は、何が何でも生き残って妻の元へ帰らなきゃならない、それなのにそれなのに、彼は最後、栗林中将のため、命がけで米兵にくってかかるのよね。いや多分、“栗林中将のため”というのは当たらない。理由はともかく、そこではただ、闘う人間の哀しみ、闘わざるを得ない人間の哀しみだけが、描かれています。戦争の悲惨さを訴えるのに、「誰それが悪いからこの戦争が起こったのだ」なんぞと言ってみたところで何になるだろう。悪人がいるから戦争が起こるのか? では、人類の歴史では無数の争いが繰り返されてきたというのに、そのすべての「犯人」をいちいち指摘でもしていくというのだろうか? この映画が胸を打つのは、戦争を善悪というわかりやすい軸に投影して批判するのではなく、ただただ、あらゆる時代にあらゆる人々が闘ってきた、そして今後も何らかの形で闘い続けざるを得ないであろう、その哀しみが、描かれているからではないでしょうか。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-02-09 17:47:45)(良:1票)
1050.  夕陽のギャングたち
いわゆる3部作のうち、『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』が背景不明の劇画的ヒーローものだったのに対し、『続・夕陽のガンマン~』では、南北戦争という社会背景が、曲がりなりにも登場。本作はこの“社会背景”というものの位置付けがもっと絶対的なものになり、「社会体制」「革命」という究極の“社会背景”と個人との対立が描かれて、それによって“友情”というテーマが強調されています。/戦争は一応、「敵に勝つ」という目的に対し「敵を殺す/傷つける」ということはあくまで手段であり、「100万人殺せば英雄だが~」という例の批判も成立するかもしれない。/しかし、「体制」は時に「殺す」ことそのものが目的となる。粛清により、旧ソ連で、カンボジアで、どれだけの人命が奪われたか。/そこには、英雄すら生み出されることはない。/本作においても、執拗なまでに虐殺シーンが描かれ、それに対抗する個人の情熱や友情が、これでもかと、ほとんどワケワカランような破壊的なレベルで描かれています。そして最後のシーンでは、周りの喧騒から切り離されたような、主人公2人だけの世界が、突然現れ、印象に残ります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2008-02-03 09:27:20)
1051.  トンネル(2001)
壁の向こうとコチラ側、という視覚的な効果も巧みに織り交ぜながら、実際に行われた西ベルリンへの脱出劇を、サスペンス感あふれる映画に仕上げており、歴史の重みを感じつつも、娯楽映画としても充分に楽しめる作品だと思います。ラストのトンネル内部の光景が、感慨深いですね。人間が人間の都合で“壁”を作り、それに対抗するためだけに膨大な苦労のもとに作られたトンネル。“壁”さえ無ければ無用のトンネル。発見されてしまえばもう使用できないトンネル。無駄といえばこれほどの無駄もない、しかし大変な重みを持つトンネル・・・。ところで、「命がけの脱出劇を取材して金儲けするアメリカのTV局」、それを描いた商業映画こそが、本作、だったりするワケなんですけどね~。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-12-16 19:08:32)(良:1票)
1052.  大人は判ってくれない
観る立場によっては、「子供は判ってくれない」と言いたくなるかもしれませんが(笑)。しかし子供ってのは大変なのです、何しろ、オトナの前では「良い子」を演じ、“オトナを手なずけ”なければならないのだから。これが出来ない不器用な子供はさらに大変(世間一般でいうところのマトモな職業には向いていないので、いっそ映画作家でも目指すのがよいのでしょう)。欺瞞に裏打ちされた日常の果てに、ついに警察のご厄介になったところで、初めてオトナの扱いをされるという皮肉。しかし勿論、こんなものが本当の意味での社会との接点であるワケがない。少年にとってはもしかしたら、感化院こそが、生きるための戦いの始まりであり、本当に社会と向き合うスタートなのかもしれない・・・。ラスト近く、走る少年の姿を「これでもか」とばかり、長々と追いつづけるカメラに、何だか胸がつまりジーンときてしまう。あの苦しくて苦しくてたまらないヒタムキさ、誰しも心のどこかで、自分の過去に重ね合わせてしまうものがあるのではないでしょうか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-12-16 18:36:09)
1053.  太陽の帝国(1987)
奇妙な味わいの映画なので、初めて観た時にはやや戸惑うけれど、再見したらクセになる。まるでカフカの小説のような不条理感(特に前半)。もっとも、カフカの世界が不条理だと言っても、そこには気味の悪いリアリティがあるが、それは我々の住む現実世界がすでに不条理であり、それを我々が「気が付いたら」受け入れてしまっているから。世の中の殆どの事は、実は我々が知らないこと、理解できないこと、「いつの間にか決まってしまっている」ことばかり。それを我々は意識しないまま日々受け入れ続けている。さて一方、この映画の主人公の少年。やはり世間は彼の知らないところで動き続け、彼にとってそれは不条理なものなのだけど、彼はそれらを驚きをもって、時には憧れすらをもって、観察し受けて入れていくのが面白い。彼がスタジアムで自動車と再会する面白さ。世の中は理解できない大きな力によって動いているのだ。彼が死んだ人の魂だと思った光は、未知の新兵器によってもたらされたものであったりする。こうして、何だかわからないながらも少しずつ、少年の世界は広がっていく。そんな彼の目に大きな驚異として映る日本軍、彼は理解できないながらも彼らに接近しようとするが、結局受け入れられることはない(私もガッツ石松は確かに理解できんが)。この「わからない」という無気味さと驚きを、そのまま包み隠さず映像化しているところが、この映画の力であり、強みでもある。映像もそれに応え、不条理を決して厭わない(夕日に炎上する戦闘機の次のシーンは「昼間」だったりする)。オドロキをそのままオドロキとして描くときの、新鮮さ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-12-03 00:16:02)
1054.  シシリアン(1987)
<ディレクターズカット版>というヤツしか見ておりませんが。実在の山賊、サルヴァトーレ・ジュリアーノが主人公。義賊として伝わる彼を、そのまんま義賊として、民衆のために戦う善良な青年として描くワケですが、だからといって、単に“金持 vs 貧乏人”という対立軸で描いていないところがミソ。何と言っても、テレンス・スタンプ演じるマフィアの親分の強烈な存在感。出番は必ずしも多くなくても、映画の基底にはつねに彼の存在があり、彼こそがこの映画の不変の絶対軸。いわば、本作を支配しているのは、シシリー独特の世界、その“宿命”、ですね。主人公は精一杯戦う、しかしシシリー人としての血、その“宿命”には決して抗うことはできない。この映画でも見所のひとつはやはり、雄大な自然の風景、ということになるわけですが、本作におけるこの“自然”は、主人公の“宿命”という運命論的な薄暗さをも巻き込み、その土地のすべてを支配する、その土地に宿る神というか、ご先祖サマといか、そういう視点ですな。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-10-14 08:05:13)
1055.  チャップリンの独裁者
チャップリン演じる主人公の散髪屋。戦争で記憶喪失になり入院していた彼は、まだ入院して数週間しか経ってないと思っている。その彼がある日、「例のチャップリンスタイルで」、自宅に帰る。彼が「そのチャップリンスタイルの服を脱ぎ」、ふと自宅の理容店を見回すと、数週間しかたっていないはずなのに「いつのまにか」、理容店はホコリまみれ、クモの巣まみれ。それでも彼は営業を開始する・・・。これって、何か、この映画自体と重なるものを感じます。もはや時代遅れとなったサイレント喜劇。『モダン・タイムス』では、トーキーでありながら意味のあることは全く喋らないという荒業を用いたが、そんな手が何度も通用したりはしない。しかし、当時の暗雲漂う社会情勢に、黙っていられなくなったチャップリン、河島英五のごとき、“良き時代遅れ”の彼が、敢えてトーキー作品を引っさげ、映画界に復活する・・・。その姿をふと思い起こさせます。その本作、やはりサイレント映画風のパントマイム喜劇と、その一方で「しゃべっていいんなら、しゃべりまくってやるぜ!」とばかりの熱いメッセージ、両者が同居し融合した印象的な作品となりました。残念ながら、正直言って“笑い”に関してはイマイチとなってしまったのは、セリフを持ったトーキー映画の分別クサさが、邪魔をしているのかもしれません。しかしサイレントで鍛えられた「見せる」ことへのコダワリは、確かなもの。やや被写体を追いかけ過ぎるカメラ(笑)。その一方で、例えば、主人公の店舗が焼き討ちにあうシーンでは、彼の顔を写さず後姿で絶望を表しているのが印象的でした。・・・・・・で、ではこの映画のメッセージをどう受け止めたらよいのでしょうか。確かにこの時代にこの映画を作るのは一つの「勇気」ではあるかも知れませんが・・・あまりに単刀直入に過ぎないか?という気も。ヒトラーをパロディにする、というのは、あまりに作品の意図が形式化され過ぎているのではないか。最後の演説は『モダン・タイムス』で訴えていたテーマにも相通ずるものが反映されていたにも関わらず、作品全体の印象は所詮、「ナチスドイツ反対!」という一過性のものになってしまった気がします。しかも、だからと言って例えば、この映画を当時のドイツの人々が観たとして、「ああ、戦争は良くない、止めよう」と思うでしょうか? 普遍性という深みに達しきれない憾みが残ります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-09-22 23:25:02)(良:1票)
1056.  現金に体を張れ
ドキュメンタリーのごとく淡々と語られるナレーションと、そこで強調される時間軸。クライマックスに向け、場面転換の目が詰まってくるとともに、その絶対的なはずの時間軸が揺らぎ、時間と視点がさまざまに入れ替わる。まさに緊迫感、バツグン! でありながら、何とも虚無的でドライ。その一方、室内シーンにおける、電灯の光、窓からの光(そしてカーテンの揺れ)、これらも印象的であります。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-07-15 17:07:22)
1057.  殺人に関する短いフィルム 《ネタバレ》 
殺す者、殺される者、そして事件に関わることになった弁護士。殺される者は、どこにでもいるような何の変哲も無いタクシー運転手、特に人から好かれるでもなく、特に目の敵にされるでもない、普通の男。その彼が、たまたま出会った青年に、殺される。その過程は壮絶だ。人間はなかなか死なないもの、肉体はとことんまで“生”へ執着し、ゆえに殺人者もまた、とことんまで“死”へと追いやるために残酷さを剥き出しにする。しかしその壮絶なる殺人の過程は、(我々を除いて)誰に見られるでもなく、殺される者を同情する者もなく、世界の片隅でひっそりと繰り広げられるのである。殺人者は逮捕され、裁判の後、処刑される。彼もまた、死を恐れ、生へと執着しながら、彼なりの短いドラマを展開しながら、結局はやはり世界の片隅である処刑室で、ひっそりとその生涯を終える。殺されたタクシー運転手と異なり、殺人者である彼は、裁判の過程で弁護士と交流を持つことにより、死にいたるまでの時間を弁護士と共有し、その人生の一端を弁護士の人生へと投影することができた。しかしその前途溢れる弁護士ですらも、社会全体から見れば、彼もまた社会の中でひっそりと人生を送る無数の人間のひとりに過ぎない。殺された者にしろ殺した者にしろ、死んでしまった以上、もはや確実に忘れられていく存在だ。社会の中で、生き、死んでいくことの儚さ。人間って、孤独だなあ、と感じさせられる。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-13 07:37:00)
1058.  16ブロック
映画のネタ的には、ナンボでも派手にできそうな、例えばナンボでもガントレってしまえそうな(笑)テーマですが、それを手堅く人間ドラマ風に仕上げたのがかえって新鮮、おーこりゃ現代版西部劇だなーとすら思えちゃう。どっかの田舎町でロケでもしてドハデなアクション映画にするのではなく、敢えて舞台はニューヨークの雑踏、人、人、人の海の中を彷徨う男たちの人間模様。各シーンに込められた力は、派手さはなくとも、ドナー作品きってのものではないでしょうか。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-08 19:13:04)(良:1票)
1059.  新・平家物語
市川雷蔵と若人あきらを足して2で割ったような主人公・平清盛。その若き日が描かれる、とは言っても、これって別に清盛を主人公にする必要ないんじゃないの、↓でもおっしゃているように、現代劇でもいいんじゃない、と言いたくなる内容。でもでも、何だかカッコいい映画なんだな。だから、きっと、コレデイイノダ(牡7歳。なんのこっちゃ)。いっそ、遠い遠い平安時代を舞台にしたことで、我々の日常からスパッと切り離した、一種の様式美ともいうべき異世界の楽しみが繰り広げられる。あの清盛のマユゲだって許せちゃう(笑)。大掛かりなセットの数々、市井の群集、そして圧巻はどこまでも連なる坊主の洪水。映像がスペクタクルな割に、物語はあまりスペクタクルしていないが、それでもなんでも、観てると、とにかく何だか知らんがカッコよくてシビレちゃうもんだから、しょうがない。あちらの光景からこちらの光景へ、あちらの人物からこちらの人物へ、カメラがスイッと動く、スイスイッと動く。これがカッコよくてしょうがない。私も行楽先で子供をビデオカメラ撮影するときには、こういう風に撮ってみたい、などと無理なことを考えてしまう。それこそ、できればクレーンだって使ってみたいのだ(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2007-05-13 22:33:16)
1060.  大魔神逆襲
3作目は『逆襲』と来たもんだが、実は逆襲指数は一番低かったりする作品。普通に困っている人々を助けてあげる大魔神、何をそんなに大暴れするのかと、やや唐突な感じも否めません。前半は子供たちの冒険の物語。まあスタンドバイミーの日本版と思えば当たらずとも遠からず、さりとて近からず。いや、演技は徹底してクサイんですけど、友情あり自己犠牲ありで、演技のクサさと内容のクサさがマッチして「懐かしさ」を醸し出しております。北林バーちゃんの存在感も忘れられない(今観ると、どうしてもあの「メイチャ~~ン」という哀しげな叫びがオーバーラップしちゃうのだ)。映画は途中から雪景色へと変わり、目を奪われます。この雪景色自体、なかなか効果的なのだけれど、クライマックスの大魔神大暴れのシーンでは、吹雪となり、壮絶なバトルシーンが展開される流れを導いてもいたりする。これは見応えあり、です。もしこのままシリーズが続けば、ゴジラやガメラ同様、コミカルな役回りが大魔神に課せられたかもしれないと思えば、この3作目が、引き際に相応しい作品と言えるのではないでしょうか。
[地上波(邦画)] 8点(2007-04-28 18:54:16)
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