Menu
 > レビュワー
 > かっぱ堰 さんの口コミ一覧。54ページ目
かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1244
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
616263
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1061.  沖縄怪談 逆吊り幽霊・支那怪談 死棺破り 《ネタバレ》 
冒頭で「日華合作」との表示が出る。日本に昔あった大蔵映画株式会社というものと、当時国交のあった中華民国の会社が共同で作ったようだが、中華民国側の出演者は主人公夫妻の2人だけで、ほかは全部日本人だったことになる。題名は二本立てに見えるが実際は沖縄怪談がメインになっており、支那怪談は沖縄の悪役が妻の貞操を疑う動機として語る昔話である。瀕死の病人が口述するには長い話なので途中で息絶えてしまわないかと思った。 映画としては一応カラーだが、保存状態のせいか画質は悪い。場面のつなぎが悪く話の展開にも説得力がなく、怖い場面も一瞬のドッキリが連続するだけで恐怖感が高まらない。また美女への病的な執着が災いを呼ぶというのが基本路線のようだが、他の男に奪われる妄想を生じるほどというには微妙な美女ばかりである。特に中華民国側はかなり微妙な美女で、これはいわば脱lookismの表現かと思った。なお日本側は「ピンク映画」や「成人映画」で知られた役者が出ていたようだが、全体的にエロい場面はほぼ皆無だった。  怪談話として見た場合、まず沖縄怪談は那覇市真嘉比(〒902-0068)の怪談とされる「真嘉比道(まかんみち)の逆立ち幽霊」に結構近いようで、時代が現代なのと純愛物語風に脚色してあるのが主な違いである。原話は地名付きということから場所に憑く妖怪の印象もあるが、この映画では人に憑いてところ構わず出現するのが伝統的な和風幽霊の感じを出している(顔は四谷怪談)。 支那怪談の出所はわからないが、何となく「胡蝶の夢」を思わせるものがあると思ったら、登場人物の荘周とは荘子のことだったようで、つまり西暦紀元前の物語ということになる。さすが支那怪談だけあって奥が深いと思わせるが、物語としては不倫の可能性が内在するというだけで妻を罰する理不尽な展開だった。実際の荘子の教えにはそぐわないだろうが古典を茶化しているということか。ちなみに未執行の死刑囚を殺して脳を取るというのは大陸的な発想かも知れない(従者が逃げるのは笑った)。 全体的にはゲテモノ映画という印象しかなかったが、怪談話のネタが少し興味深かったのと、ラストが意外にもハッピーエンドだったのは悪くなかった。
[DVD(邦画)] 3点(2021-06-12 08:43:59)
1062.  ザ・プラネット 《ネタバレ》 
アルゼンチンのフェルナンド・カブサッキというギタリストのアルバムに、18人の映像作家がアニメーションをつけたものとのことである。「アルゼンチン音響派」というものを代表する人物だそうだが、特に何かそういう派閥があるというよりは、現代アルゼンチン音楽の新しい動きを担う人々という意味らしい。最近では2020年1月(入国制限の前)に来日公演したそうで、日本でも一定の人気があることになる。 映画としてみればオムニバスともいえるが、CDをプレーヤーにかける/外す実写映像が入っているため映像作品としては不純な印象で、要はアルバムのPVなのかと思わせる。音楽はフォルクローレとかではなくギターも入ったインストゥルメンタルの曲集で、ジャンル的にはよくわからないが、環境音楽のようなのもあり普通に楽曲として聞けるのもある。 映像面では、まとめていえばアニメーションだろうが手法はそれぞれ自由にやっているようで、静止画中心のものや実写を使っているものもある。純粋に抽象的なものは多くなく、具象的だが意味不明というのが目立つ気がするが、後半になるとストーリー性のあるエピソードも出る。せっかくなので少し褒めるところを探すと、個人的には三頭怪人と三頭バエの話で、描かれているもの自体は汚らしいが色調が好きだ。またスーパーガールの宅急便はイヌの最期が悲哀感を出していた。 いま見てそれほど斬新さを感じるものでもなかったが、音楽と合わせて息抜き程度に見ればそれなりかとは思った。明らかに性的な表現があるので子どもには見せられない。
[DVD(字幕なし「原語」)] 3点(2020-12-05 08:29:56)
1063.  ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像 《ネタバレ》 
この監督の映画は3作目になる。美術商の映画としては、ほかに邦画の「嘘八百」(2017)と「文福茶釜」(2018)を見たことがあるが(両方とも関西の話)、それほどの殺伐感はこの映画にはない。ネット上のレビューを見ても評判のいい映画のようだったが、個人的には残念ながら同じように感じられなかった。 まず、老人と孫が出るからには世代間継承がテーマかとは思ったが、自分としてはその孫が全く信用できなかった。才覚があって行動力もあってモバイル機器が使えるにしても、それだけでは日本でいう転売ヤーのようになるだけではないか。このガキに後を任せたところで、うまくやれば1千万円台で売れる資産をゲットしたとしか思わないだろうが。 また、せっかくキリスト教の救世主が真顔で何か言いたげな様子を見せておきながら、「個人よりも全体」という言葉が結末に生かされないのは落胆した。自分のためより家族(子孫)のためというだけでは、富を一族で独占しようとする富豪や権力者と同じではないか。美術商という前提はあったにせよ、私利私欲を越えた公の価値が美術品にあるという認識に最後まで至らなかったのは非常に残念だ。 要は、例えば公共の美術館に匿名で寄付すればよかったわけで、店じまいを機に主人公が商売人の立場を捨てて、優れた芸術作品を公共の財産にしたというなら最後の仕事にふさわしい。それが主人公最後の自己変革となり、またその姿を見せれば孫の人格向上にも役立ったはずだが、そのようにできないのが商売人の性という意味なのか、あるいはそもそもフィンランドには公の観念がないということなのか。 ほか個別の点として、終盤の殴り込みはやりすぎだ。また死去は唐突だったが、「ヤコブへの手紙」(2009)ほどの必然性は感じられなかった。  [2021/2/20変更] この監督の映画だから、この国の映画だから誠意をもって見なければ、と思っていたのが馬鹿らしくなってきたのでやめにした。半端な感動を提供する薄っぺらいドラマだというのが正直な感想だったと書いておく。あるいは女性を苦しめる時代錯誤の老人はさっさと世を去れというメッセージとすれば文句はいえない。何にせよ点数は落とす。
[DVD(字幕)] 3点(2020-10-31 08:55:07)
1064.  1303号室 《ネタバレ》 
「ディレクターズ・カット版を逆輸入」(96分)というのを見たが、もとの94分とどれだけ違うのかわからない(例えば洗面所の場面を追加したとか)。そもそも何でこれがアメリカ映画かと思うわけだが、極端に陰気くさい和風住宅とか和室の押入れなどは海外向けに見せる日本像という意図なのか。わりと忠実にジャパニーズホラーなるものを作ろうとしているようには見えながらも、リングとか呪怨とか出所のわかりやすいネタをあからさまに入れ込むのでは真似事にしか見えない。 原作は読んでいないが、映画で見た限りでは母と娘の関係がテーマだったらしい。途中までは一応真面目にドラマを作ろうとしたように見えたので、せめて主人公とその母親の問題には区切りをつけて終わってもらいたいと思っていたところ、ラストがこれでは結局何だったのかわからない。とにかく最後は理不尽な結末にして、これこそがジャパニーズホラーだという安直な態度には納得できかねる。  キャストでは、個人的には中越典子さんに注目していたが、最初のうちは疲れたような顔ばかり見せられて不満がたまる。しかし終盤になって怒りを露わにしたあたりからちゃんと美貌が見られるようになり、若干ながら色っぽい場面もあったりする。また初音映莉子という人は地味ながらも味のある表情を見せているが、この物語でこの役柄ならこういうメイクはなしで済ませてもらいたかった。 ほか隣室の少女役は、後にアイドルグループ「私立恵比寿中学」で活躍した松野莉奈という人らしい。また他の映画で印象的な役をしていた荒川ちかという人が出ていたはずだが、幼少時の写真に写っていただけのようである。  なお雑談として、この映画では家庭の問題よりも悪徳不動産業者の告発が主目的に見えたが、今なら変に安い物件などとりあえず事故物件サイトで見てみるという手もあるのではないか。昨年ネットでたまたま見た怪談(体験談)で、著名な事故物件サイトの名前がごく普通に出て来ていたのでそういう時代になったのだと思ったことがある。ただ現実問題として、誰かが嘘を書き込んだのがそのままになっている場合もあるようなので要注意ということらしい。
[DVD(邦画)] 3点(2020-09-19 13:29:30)
1065.  雨の町 《ネタバレ》 
見ている間じゅう原作がどうなっているのか気になって仕方なかった。やむを得ず読んだが、それ自体は何とか成り立ちえていた短編を、長編映画にした段階で破綻したようでもある。 まず撮影地に関して、群馬県中之条町の中心街は原作の町に近い気はするが、実際の出来事はほとんど山間部(旧六合村?)で起きており、また序盤で申し訳程度に天気雨が降ったものの、基本は好天の日のため題名のイメージにかなりそぐわない。撮影の事情を観客側が斟酌してやらなければならない状態になっている。 またこの映画独自の趣向として、現代の都会では自宅に安心できる場所のない子どもがいる、という社会問題を最初に提示したのは特に悪くなく、主人公が劇中の子どもらに同情する理由にもなっている。しかし一方で「カッコウ」という言葉が原作のような侵略者的な存在を思わせるため、可哀想な子どもというイメージとの整合が取れない。最終的には侵略テーマの雰囲気が強くなり、当初の社会問題はどこへ行ったのかという変な印象を残す。 そもそもバケモノの基本的性質が整理されていないようで気分が悪いが、あるいはこの映画では少年と少女の性格付けが違っていて、少年の方は原作通りの侵略者だが、少女の方は当初の社会問題に対応した映画独自のキャラクターだったということか。それにしても少女の元の家庭環境に問題があったようでもなく、主人公の思いに直接つながる存在には感じられなかった。結果的に何を受け取ればいいのかわからない半端な作りで、どちらかというと見て損した部類の映画だった(感想もまとめにくい)。  その他気づいた点として、 ○根本原因は何なのかという疑問を持ったまま解消されずに終わる印象だったが、それは「あまんじゃく」などという言葉を半端に出したためである。 ○少年少女がモンスター化するのは安直だ。オカリナも安直だ。 ○内臓がないというのも映画独自のことである。「内臓がないぞう」というオヤジギャグを言いたくなる。 ○成海璃子という人は「妖怪大戦争」(2005)に続き変な役をしているが、小学生にしては発育が良すぎるように見える。こういう少女が「お兄ちゃん好き」では、その方面の愛好者を狙ったように見えるがそういうことなのか。内臓がなくても女の子といえるのかと思ったが、あるいは内臓がない方が純粋な少女愛の対象かも知れない(突っ込み過ぎか)。
[DVD(邦画)] 3点(2020-09-12 10:23:18)
1066.  サイレン FORBIDDEN SIREN 《ネタバレ》 
背景設定としては15世紀の出来事を発端にして、1976年の事件と29年後(2005年)の今回の事件がつながっていたことになっており、いわば八つ墓明神の祟りのようなものが一貫していたらしい。「赤い服の少女」の赤い服は、むかし疫病(天然痘)の患者が着せられたものかと思ったが関係ないか。また赤と疫病からは「赤死病の仮面」を連想するがだから何だということはない。ちなみに海底ケーブルの切断というのは確かに不気味だ(2003年、伊豆半島沖の初島)。  内容としては、最初から薄っぺらいので真面目に見ようとする気が失せる。南の島(設定は伊豆諸島付近だが撮影は八丈島)で、陽光がさしていながら陰のある雰囲気を出そうとしたようでもあるが、変な外国人居住区とか変な住民、変な像、変な儀式など上っ面だけ適当に作った感じなのは気が抜ける。煙草の銘柄がKYONだとかいうのは全く面白くない。 観客を飽きさせないよう見せ場をつないでいるようではあるが、何かあるのかと見せておいて結局何もなく肩透かしだとか、光過敏性発作を起こしそうな場面(DVDの最初に警告が出る)が延々と続いてだれるなど、それほど感心されられるところはない。最後に意外な展開もあるが、「まさに奇跡」と言い訳したり、こじつけじみた説明でごまかしたりするのでうまく騙されたという気もしない。 ただ光の明滅とか大音響など刺激的な作りなのは特徴的かも知れない。鉄塔の場面では、台詞がかすむほどのサイレンに代わって大仰な背景音楽が鳴り続ける中、空が赤くなっているのが見えたという趣向は悪くなかった。 そういうことで別に恨みはないが、好意的ではないので低い点にしておく。  なおキャストとしては、主演の市川由衣という人は19歳くらいで可愛く見えるが、今回また変な役をやっている高橋真唯(当時)も、この人らしい個性的な可愛さを見せている。ほかは可愛くない。
[DVD(邦画)] 3点(2020-07-25 08:25:41)
1067.  アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲 《ネタバレ》 
シリーズ2作目になるが、今回もまたとりあえず作ってみた的なものができている。全編パロディで構成されているようなのが特色だろうが一生この作風で行くつもりなのか。 今回は宇宙戦争の場面は限定的で、代わりに地球空洞説とか恐竜とか実は全部が爬虫類型宇宙人のせいだったという趣向を盛り込んでいるが、映像的にはどこかで見たものを再現しているだけで新鮮味はない。物語としても、思い付きの設定をもとにして適当な流れを作っただけで、それ自体を面白がるほどのものにはなっていない(前回もそうだったかも知れない)。ちなみに前回のヒロインも出ていたはずだが、どこにいるのか最後までわからなかった…というか外部情報を見れば簡単にわかるわけだが、キャラクター性で記憶しているので役者が同じということ自体に意味はない。 前回と似た印象の場面として、人類史に破壊と堕落をもたらした古今東西の英雄が一堂に会する場面があり(夕飯かと思ったらその後に昼飯もあった)、チンギス・ハーンやKim Jong-Unといった偉人の姿も見えたが、アル中ケッコネンとかいう何だかわからないのを出すのは場違い感があった。有名人を茶化すだけで笑えると思うのは、精神年齢を低く抑えた制作姿勢が成功をもたらすとの確信があるらしい。 ラストの映像を見ると、次回は人工衛星スプートニクが破壊兵器として蘇って宇宙戦争を展開する映画と予想されるが全く期待しない。  ちなみにネット上の評価も割れていると思うが、どこまでも内輪受けを狙ったようなものにそのまま乗れる観客ならいいかも知れない。自分としては、前回は御祝儀っぽい感覚でそれなりの点を付けたが毎度同じことはできない。 そのほか、動物が可哀想な目に遭わされる場面が結構あったのはよろしくない。NOKIAもゾロトニクзолотник(4.266g)も面白くはなかったが、ルービックキューブの本当の意義が忘れられた世界というのは少し笑った。
[インターネット(字幕)] 3点(2020-05-30 10:26:09)(良:1票)
1068.  サマー・ヴェンデッタ 《ネタバレ》 
森でキャンプをしていた若い男女が殺されていくタイプの映画である。一応は1960年にフィンランドで起こった「ボドム湖殺人事件」(未解決)を題材にしている。 実際の現場はそれほど人里離れた場所ではなく、首都ヘルシンキ近郊の行楽地のような場所らしいが、この映画では深い森の中ということになっている。映像的には湖水に面した岩塊のロケーションが印象的で、これこそフィンランドらしい景観と思ったが、実際の撮影地はエストニアだったという話もある。 時代に関しては、序盤で出た家庭の古臭さが昭和30年代の表現かと思っていると、実際はかなり年数が経った時点で事件を再現する形になっているのが後に判明する。ただし現代というよりは少し前の、携帯もカーナビもパワーウィンドウも?なかった時代と思うのが妥当ではないか。今でいえばリベンジポルノ(リベンジではないが)のような話題も出ていたが、ネット上の画像ではなく実物の写真のことだったと思われる。  登場人物4人が現場に行った動機としては「事件を再現して検証」するためだと説明されているが、そういう変な小理屈をいうよりも、日本でいえば若い連中が心霊スポットに行きたがるようなものと思えば簡単である。ただ実はそれほど単純でもなく、女子2人・男2人の共通目的とそれぞれ個別の思惑もあって結構複雑な状態になっている。 ストーリーの面では、実際の事件の真相に関する複数説を融合させたように見える。途中で意外な展開が2回あるが、1回目でどうなるかは何と予告編でネタバレしているので2回目が本番と思うしかない。しかし残念ながら1回目も2回目も真相がありきたりで驚きがなく現実味も感じられない。 どうも話の中身が軽く、またそもそもの事件も地元で有名なだけで、例えば津山三十人殺しほどのインパクトがあるわけでもない。映像面ではそれなりの映画に見えているので悪くはいえない気はするが、面白いともいえないので人には全く勧められない。  なお主人公の女子は地味な風貌に見えたが、実は意外に豊満な体型だったのがかなり目についた。ただしそれが目的で見るほどの映画ではなく、見れば途中で非常に気になるという程度のことである。これも無意味にエロいのではなく、厳格な父親との関係で意味があったのかも知れないがよくわからなかった。
[DVD(字幕)] 3点(2020-05-23 09:27:29)
1069.  臨場 劇場版 《ネタバレ》 
TVシリーズは見ていない。昨年判決の出た新幹線の事件とは違って刑法39条の話だったが(相模原の事件に近いか)、責任能力の有無が大前提になるこの社会では一般大衆が何を願っても無駄である。法律の世界は一般大衆と別次元で閉じている。 劇中では殺人者が「みんなに保護されている」のは理不尽だという発言があったが、これはこういう世の中なのだと思うしかない。上層民は当然のように守られる一方、お上品な社会を演出するため犯罪者もしっかり守るので、そのしわ寄せがその他一般大衆に来る構図になっている。日頃権力批判に熱心な社会勢力やメディアも一般大衆の味方はしない。  この映画にしても、別に最初から期待してはいなかったが、やはり一般大衆の味方をしないメディアの立場だったらしい。復讐者だけが死んで悪人が生きている結末を見れば、一般大衆の心よりも綺麗事を優先する姿勢が明瞭である。復讐しなかった人物だけは最後に救われていたが、これは現にある社会の枠組みを仕方ないものとして諦めて、あとは各人の気分の持ちようでそれぞれ何とかしろという発想のようで、まるで江戸時代か何かの身分制社会の人生訓のようだった。 ちなみに、ドラマの主人公は主人公というだけで恩師を罵倒して構わないほど偉いものなのか。一応は主人公のいうことなので話は聞いたが、あくまで当該個人の納得の仕方を言っていただけで、偉そうに他人に説教するほど汎用性のある話ではない。それより少しでも社会に影響を及ぼそうとした恩師の行動は、一般大衆の立場としてもより共感しやすいはずだが、これを否定してみせるのがこのドラマの意図ということなら、結局は薄っぺらい安手の綺麗事ヒューマンドラマの枠から出ていないことになる。まあそういうものを目指したのなら成功作だろうが。  ほかキャストに関して、冒頭場面で殺される役の前田希美という人はこれ以外にも殺され役が多かった人らしいが、単に殺されて終わりかと思ったらそうでもなく、最後に笑顔の場面が用意されていたのは意外だった。何であの場所(宇都宮?)にいたのかわからないというのでいろいろ邪推していたわけだが、ちょっと泣かせる趣向を残していたのは反則じみている。若村麻由美は久しぶりに見た気がするが、演技はともかく台詞や演出が陳腐で見ていられない場面が多かった(心霊現象もある)。
[DVD(邦画)] 3点(2020-01-11 00:20:20)
1070.  恐怖新聞(2011) 《ネタバレ》 
原作は懐かしい。この映画はあまり原作を思わせるところはないが、頼んでもいない新聞が来て生命が縮むというのは最低限のところを押さえたようには見える。ただし見出しは読んでも支障ないという設定が勝手すぎるのと、メリーさんの登場が原作のイメージからは若干ずれている。そのメリーさんもまめに電話をよこすわけでもなく、注意事項を1回だけというのは本来のあり方ではない。  ストーリー的にはそれなりに作ってあったようではあるが、配達員とか発行元はいいとして、主人公の友人の意味付けが微妙だった気がする(よく考えていないがすっきり説明がつくのかどうか)。 また自分としては、特に主人公とヒロインとの関係性をもっとしっかり描写してもらいたかった。昔の悔いを晴らす意味もあったにせよ、今回はこの相手が本気で大事と思ったからこそ助けたというのが本筋だろうと思うが、それを象徴するものが手作りストラップ(餃子)というだけでは弱い。また主人公にはこの先2週間程度しか残されていないはずだが、それでも最後は達成感があったのか、それより悲壮感とか空しさがあったのか(どうせ死ねば速やかに忘れられる)というようなことがよく見えない。ラストでは背景事情の説明の方が前面に出てしまい、主人公の心情は曖昧なまま終わってしまった気がする。 なお個人的には、ヒロインの体調が悪かったときに「だからほら、そのマスクしてくださいよ」と不機嫌な口調で言ったあたりがその辺の普通の女子のようで親近感を覚えたが、その後に刃物を構えた場面の凶悪そうな様子がいかにもありきたりで、ここで見る側としての好意が失われてしまったのは残念だった。  ほかどうでもいい感想として、2日分の新聞を並べて見る場面があったので、過去の新聞が消えるわけでもなく残るのなら、そのうち古紙回収に出さなければならないくらい溜まるのではないかと思ったが、あと2週間程度ならまあいいかも知れない。 また登場人物として、サークルの眼鏡女子は嫌いでない。この人と仲よくなって、物理現象を起こす霊は必ず物質でなければならない、などという話を聞かせてもらいたい。
[DVD(邦画)] 3点(2019-10-23 23:20:42)
1071.  恋骨 KOIBONE 劇場版 《ネタバレ》 
2006-03-30に作品登録されていながらレビュー数0だったので興味本位で見た。「エグゼクティブ・プロデューサー 堀江貴文」とのことだが、今となってはだから何だという感じである(帯広のロケットに期待する)。 もとは1話5分×全7話の連続ドラマで、TVではなく東京都内の街頭大型ビジョンで2004年に公開したとのことだが、その後に未公開部分を含めて拡大編集したのがこの劇場版である。公開日は2005年3月19日だが、その1か月前に主演女優がTV番組で万引きの話をしたことが問題になり、公開時点では主役が活動停止中だったらしい。 なおドラマ版は「to be continued…」で終わっており、この劇場版まで見ないと題名の意味はわからない。女子高生が制服を脱がされて強姦されるなどという場面(演者は当時AV女優)を街頭で見せていいのかと思ったが、それは劇場版にしかなかったようである。  内容に関しては、どうも別のところで見たような要素が多い。自分が知っている範囲でいうと(狭いが)、転落死後の状態と怪しい男の白い顔(能面だが)、「しまったあ!」という台詞が「犬神家の一族」を思わせる。またラストで主人公が「八つ墓村」(1977)の寺田辰弥の役回りだったことを明かしておき、さらに劇場版で追加した部分で「八つ墓明神の祟り」に相当する呪いの存在を示唆して終わっている。 呪いのほかに心霊現象もなくはないが、ときどき死者が姿を見せて何か言いたそうな顔をするだけで、主人公が霊感少女だったために見えたというだけのことらしい。見てもいちいち慌てることはなく(嫌な顔はしたりする)、警察には亡霊のことを話さないというのもこういうのに慣れた人物であることを感じさせ、この辺は現代のリアルといえなくはない。  問題点として、全般的に安っぽいのは仕方ないとしても、謎解きの部分がかなりいい加減なのと、実在の著名な人物(明治の人)が現代人に呪いをかけたなどという話を作っていいのかどうかとは思う。参考文献の名前が出ているので根拠はあるということだろうが、子孫もいるだろうし、歴史上の人物ならどう扱ってもいいというものではない。 あまりうまくできた話とも思えないが、死者数が限定的だったのは一応良心的ということになるか。金田一シリーズらしきものを現代の女子高生で再現しようとした映画であるから、どんな出来なのか見てみる意味はあるかも知れない。
[DVD(邦画)] 3点(2019-09-06 22:55:31)
1072.  きらきら眼鏡 《ネタバレ》 
原作は読んでいない。千葉県船橋市の映画だが、ふなっしーは出ない(舞台挨拶には来たらしい)。監督は犬童一利という人物で、著名な犬童一心監督との関係はわからないが、池脇千鶴が主演していることからも関係ないでは済まない気がする。  物語的には何が言いたいのかわからなかったが、若い男に関していえば、最初は“恋人に死なれた立場”で心を閉ざした状態だったのが、それ以外に“友人に死なれた立場”もあることに気づき、さらには“恋人を残して死ななければならない立場”もあることを知って心が一回り大きくなったというようなことか。題名の「きらきら眼鏡」に関しては、「心にシャッター降ろす」のに使うと嘘になるのでよくないが、全てを受け入れた上でなお世界を輝かせようとするのは悪くないという意味かも知れない。 しかし地元の皆さんには大変申し訳ないが、自分としては誰にもどこにも全く共感できない映画だった。年上の女は訳あり風の妙な言動が人物の魅力につながらず、個人的に見た範囲では「潔く柔く」(2013)パターンで目新しくもない。また若い男は、何を考えているかわからない顔がバカに見えて苛立たしいだけである。さらに腹立たしいのが年上の男の「何でおれなんだよ…」という言い方で、誰が何歳で死んでも不思議でないだろうに、自分だけが特別な人間と思ってきたいわゆるリア充だとこういう発想になるということか。登場人物それぞれの人生はあるにせよ、とりあえずおれには関係ないという気分のままで終わった。 唯一面白かったのは、若い男が職場で突然脈絡ない話をしたときの女性駅員の反応だった。この場面は最近お疲れだろうから休めというところにしかつながっていないように見えたが、ほかに何か深い意味があったのか。  出演者に関しては、古畑星夏さんが非常に魅力的に見える場面があったが(きれいで可愛い)、気色悪い男に乱暴なことをされる場面が入れてあるのが気に食わない。また大変失礼だが、池脇千鶴がおばさん体型に見えたのはまずくないか(わざとなのか)。おばさん役なら仕方ないが、一応ラブストーリーのはずなので困ってしまった。 そういうことで個人的には残念な映画だったが、世間の評判はそれほど悪くないようなので、どうかそっちの方を信用していただきたい。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-08-24 15:07:34)
1073.  黒蝶の秘密 《ネタバレ》 
低予算映画と思われる。題名に「黒蝶」とあるのは昆虫ではなく花のダリアの品種名だそうで、英題のBlack Dahliaと同じ意味らしい。 映画紹介では「ミステリーホラー」とされているがミステリーというほどのものとは思えない。序盤20分くらいのところでもう真相を匂わされるので、本当にそうだとすればかなり陳腐で俗悪な話だと思っていると実際その通りに終わってしまう。またホラーとして見た場合、よくあるヒトコワ系オムニバスの一編を87分に拡張しただけに見えるが、その手のものによくあるように、悲惨な結末にすることだけ考えて現実味や説得力や細部の作り込みを軽視しているのは観客に甘えた印象がある。ちなみに終盤、主人公が錯乱して荒い息の状態が延々と続くのは同じ監督の「デスブログ 劇場版」(2014)にもあり、特に褒める気にはならないが役者の関係で前回よりましになっている。 登場人物としては、主演俳優も見たことがあるがそれはそれとして、実質的には黒ヒロインと白ヒロインの2人が注目のしどころと思われる。個人的には白ヒロインの同僚女子が普通に可愛く見えていたあたりが好きだったので、主人公がいつの間にか黒ヒロインの方に惚れてしまった理由が不明で阿呆に見えたが、しかしここは設定上、「黒蝶」のせいで黒い女の虜になってしまったと理解すべきことらしい。あまり緻密な感じのしない映画でも、その程度の理屈は一応つけていたということである。 それにしても、実際どのくらいの本気度で作ったのかよくわからずに困惑させられる映画ではあった。個人的な相対評価としては、同じく永尾まりや嬢(まりやぎ、元AKB48)の出ている「リアル人狼ゲーム 戦慄のクラッシュ・ルーム」(2014)と同程度ということにしておく。実際は2.5点くらいだが四捨五入ということで。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-08-03 08:29:22)
1074.  かしこい狗は、吠えずに笑う 《ネタバレ》 
別にほのぼの青春ストーリーを期待していたわけでもないが、自分としても基本は娯楽志向なので、こういう延々とストレスを溜め込んでいく映画は正直嫌いだ。最初からチワワ女子が胡散臭く見えて、こんな嘘っぽい友情物語をどこまで続けるのかと嫌気がさして来たところでさらに胸糞悪い展開になっていくのではたまらない。 またラストに違和感を残す作りだったので、もう一度どういう話だったのかを真面目に考えてみる必要があるかと思っていたところが誤ってネット上でいろいろ種明かしのようなものを見てしまい、それでもう考える気がなくなった。自分としては意外な仕掛けがあったというだけで褒める気にはならないので(ミステリーなら別だろうが)何か普通に人の心を打つものがあってもらいたかったが、そういうことは特に意図していなかった(期待されてもいなかった)らしい。 ほかに何かよかったところを書きたいが見つからない。申し訳ないが自分にとってはハズレの映画だった。  なお好意的でない映画で細かいところに突っ込むのも馬鹿らしいが、映画の撮影地が主に埼玉県の東武東上線沿線と思われるのに対し、映像には監督の出身地である愛媛県をイメージさせるものが出ており、序盤の踏切の場面で「和食処 伊予っ子」(実在)の看板が見えたほか、庭にミカンの木のある家が普通にあったりもする。また劇中の「石神市」が現実の東松山市に相当するらしいのも愛媛県松山市にかけたと思われる。 ほか「東温女子高校」の「東温」は伊予国温泉郡の東部を意味する地名だが、これは監督の出身地である東温市そのものであり、女子高ではないが県立東温高等学校というのも実在する。一方でチワワ女子が進学するつもりだった「東高」というのが県立松山東高等学校のことだとすれば、旧制中学由来の県下随一の進学校ということになる(「坊っちゃん」「がんばっていきまっしょい」の学校、監督の出身校)。カワイイだけでなく成績も優秀で将来有望だったはずが、もと親友のせいで道を外れてしまった状況だったと取れるが、そういう読みも全体を理解する上で役に立つわけではないらしい。
[DVD(邦画)] 3点(2019-07-13 10:55:40)
1075.  GODZILLA 星を喰う者 《ネタバレ》 
前の2つを見たので一応最後も見たが、延々と宗教談義を聞かされるのであくびが出た。ちなみに劇中の鱗粉少女は人間でいえば中高生くらいに見えるが、客人(まれびと)から子種を採取するなどという風習に何歳頃から従事させられていたのかと呆れる。また生物学者の実況中継は昭和29年のアナウンサーのようでもある。  自分としては主人公の立場がどうなるのかを主に見ていたが、かろうじて終盤の吐露(「獣と一緒だ」)を聞いて、この人物の悲痛な思いを感じ取らなければならない気にはさせられた。カルトの英雄として祀り上げられるのは拒否したが、結局は地球の現実に裏切られて自滅した英雄未満の男の末路ということか。 少なくとも第1部の時点では、「人間としての最低限の誇り」を訴えて人類の存続を図ろうとするのが主人公の意図だったはずだが、最終的には単に個人的なプライドと私怨で勝ち負けを争っただけに見えている。実際そういう面もなくはなかっただろうが、失敗したことでマイナス面ばかりが際立ってしまう理不尽な状態の表現に見えなくはない。この主人公の物語として見た場合、他の例でいえばチャイコフスキーの交響曲第6番の終楽章に似た印象といえなくはないが、それにしても三部作の最初が頂点でその後は低落するばかりという構成には疑問を感じる。  またその一方、この映画から専ら感じられるのは<滅びたくなければ原始時代に返るしかない><人間は余計なプライドを持たずひたすら生殖に励むのが分相応で幸せだ>といった時代がかった悲観主義である。人類の未来がどうなるかなど実際なってみなければわからないものを、自分だけ高次元から見下ろしたように手前勝手に決めつける態度は気に食わない。人類も生物であるから生存が基盤になるのは言うまでもないことだが、それだけではないから人間なのだという主人公の思いをあえて踏みにじるのが制作側の方針なのか。 昭和29年の第1作は人類の存続を願うからこその警鐘であり、また邦画最後の「シン・ゴジラ」は、不安が絶えず先行きの見えない現代でも「まだやれる」との励ましが込められていたと思うが、人類全体の未来を個人的趣味で封じていい気になっているこの映画を、そのような先行作と同列に扱う気には全くならない。壮大なスケールの三部作の割に社会に向けてまともなメッセージを発するでもなく、作り手の一方的な自己表現にしかなっていない独りよがりで傲慢なアニメだった。期待して損した。
[ブルーレイ(邦画)] 3点(2019-06-29 12:57:18)
1076.  少女ピカレスク 《ネタバレ》 
まず前半ではウェブ配信と自撮り映像を多用して、地下アイドル3人の日常に「ちーちゃん」なるものが忍び寄る過程を見せられる。ここまではホラー風味が強く結構面白いと思っていたが、しかし後半ではその「ちーちゃん」が前面に出て来て種明かしを始めるのでサスペンス風味は失われる。あとは残虐行為が中心になるがおふざけ感が非常に強く、そういうものの愛好者がどれだけ面白がるかはわからない。 また並行して、精神状態に問題が生じていた主人公(題名によれば少女)の「嫉妬、憎悪、憧れ」が異常な形で噴出し、これを通じて人の真実の一側面が表現される映画と取れなくはない。しかしリアリティ皆無の茶番じみた展開で制作側の本気度が疑われ、こんなものを誰が真面目に見るのかとしか思えない。自分としては馬鹿らしいのでもう勝手にしろということで投げた。 エンディングのPV(劇中で撮影したのがこれか)では地下アイドルの光と影、表と裏といった感じのものも見せられたが、個人的にはろくでもないものを見てしまったという思いだけが残った。こういう作風の監督なのか。  登場人物のアイドルに関しては、見た目は年齢不詳で中高生のようだが演者はみな成人である。主演の椎名ひかりという人は実際に極端にユニークな人物らしく、これはもう本当にこういう人なのだろうと思っておく。 また「日菜子」役の長澤茉里奈という人は童顔で中学生のようでもあるが、天使と呼ぶなと言っていたあたりが実情を示しているものか。これまで見た範囲では「咲-Saki-」(2017)で鶴賀学園の初心者役をやっていたが今回かなり印象が違っており、この映画の方が地の状態に近いのかも知れない。もう一人、「亜依」役の神門実里という人は大写しにすると味のある顔で、たれ目気味なのは愛嬌がある。 また人気モデル役で出ている武田玲奈さんは、途中で写真だけ見えていたが本人の出番はラスト12分程度のところまで延々と待たされる。友情出演とのことで、この映画としては大御所のような扱いで貫禄も見えていたが、演者の実年齢ではこの人が一番下である。自分としては何でこの人がこんなバカ映画でウソ泣きまでして真面目に演技しているのかという気分だったが、しかし見えないよりは見えた方がいいのでこの人だけでも点数が若干上がる。
[インターネット(邦画)] 3点(2019-06-01 10:25:15)
1077.  空母いぶき 《ネタバレ》 
公開前から叩かれていたので笑ったが一応見て来た。 原作に含まれている各種要素のうち、この映画では「戦争」と「人命」に絞って基本的なところを表現していたようで、うち「戦争」については敵に関する設定との関係なのか独自の定義をしていたらしいが別に悪くはない。ただ戦争映画として面白いかは何ともいえないものがあり、侵略された島に行こうとしたら途中で敵が攻撃をしかけて来て原作にある出来事が起こったというだけで、戦術的な駆け引きのようなものは特にない。また自分としては原作12巻までの間で3回くらい出た「当事者として」という言葉がなかったのは不満だが、それは日本国民にはまだ早いという判断か。  そのほか映画独自の部分として、ネットニュース記者の「燃えています」の場面は、意図はよくわからないが少し泣かせるものがあった。この人物はジャーナリストというよりも、戦闘の現場をじかに見てしまった一般人の位置付けのようでもあるが、あるいはこの映画としても既成のマスコミに期待するものはないと考えているのかも知れない。 また人命に関わることとして、救助された敵兵が逆上して自衛官を殺害してしまい、同僚が報復しようとして止められるエピソードが入っている。ここは敵とはいえ未来のある若者を、殺してしまうのでなく改心させるのが大事という意味かも知れないが(いわば少年法の精神?)、しかしそういう目的のために柿沼1尉を犠牲にしたのは絶対に許せない。自分がこの場の責任者でも止めるだろうからそれは仕方ないにしても、こういう話をわざわざ入れるこの映画を憎まずにはいられない。本当に守ろうとするのは誰なのかを厳しく考えることもなく、八方美人的に綺麗事を言ってみせる映画など全く求めてはいない。 なお最後に紛争を終結させた驚愕の出来事は、もしかすると日本国憲法前文でいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」するとの理想を表現したものではないか。ここは専ら憲法を愛する人々へのサービスのようでもあるが、そもそも敵に関する設定が原作と違って荒唐無稽なため現実的な切迫感もなく、何か異世界ファンタジーのようなものを見せられた気もした。  そういうことで原作読者として満足できるものでもないが、最低限、原作の存在を世間に知らしめるという意義はあるので、世間の評価はどうでもいいからとりあえず話題にはなってもらいたい。ちなみに原作は今年中に完結とのことで期待している。   [2019/12/07追記] DVDで再度見たが、やはり柿沼1尉の件は許しがたい。わざわざ妻子の顔を見せて「替えは利かない」と言わせておいてから死なせるなど極めて悪趣味で、制作側には人の心というものがないのかと疑わせる。 また公開中は少し遠慮していたがあえて書くと、最後に取ってつけたように外交の心得だか極意のようなものを説明するのが煩わしい上に、大きい国が小さい国を追い込むな、などと突拍子もなく語らせるのは不快感を催した。こういう誰の意向を斟酌したのか不明な主張で話を逸らしてしまうのは、映画というメディアの不自由さなのか作り手の独善性なのか。 もう一つ、公開時に見て気になっていたのは、ラスト近くの「こんな時間に開いてる店あります?」「何でもありだよこの街は」というやり取りである。これがどこまで現実味のある話なのかわからないが(東京だとあるのか)、そういうのこそが世界に誇れる日本の底力だ、と言いたいのなら話はわかる。 [2020/02/13変更] ニュージーランド映画「米中開戦 20XX年:悪魔のシナリオ」(2019)との相対関係でマイナス1点とする。 [2020/07/27変更]「みんなのコミックレビュー」に原作のレビューを掲載したので、この機会に映画の方をさらにマイナス1点とする。
[映画館(邦画)] 3点(2019-05-25 10:53:16)
1078.  17 SEVENTEEN 《ネタバレ》 
家庭環境に恵まれない素行不良の高校生が、覚醒剤の販売に関わってしまって後戻りできなくなり、それが転落の第一歩になったという話である。英題とエストニア語の原題は同じ意味で、主人公の回想による物語であることを示している。原作小説の題名は”Mina olin siin. Esimene arrest”だったようだが、後半の部分は「最初の逮捕」という意味なので、主人公の先行きが暗いことも示唆されている。薬物以外の犯罪描写もあり、犯罪体験記というか犯罪指南のように見えるところがある。 ちなみに2001年(多分)に、エストニアで麻薬が蔓延して大人だけでなく少年少女にも被害が及んでいるという内容のNHKの番組を見たことがある(故・後藤健二氏の取材によるもの)。それはエストニアに多く居住するロシア人の話だったが、この映画の登場人物はエストニア人だけらしい。  この映画で問題だと思うのは、観客に何を感じてもらいたいのか全くわからないことである。主人公が高校生に見えない(役者は当時27歳くらい)のはいいとしても、観客が共感を寄せたくなる人物像ではなく、また医者志望とのことだが頭がよさそうでもなく、できもしないことを勝手に妄想しているガキのように見えるので、その後の転落人生に心が痛むこともない。 また社会的な面では薬物の乱用や犯罪組織の存在、家族の性的虐待といった未成年を取りまく有害な環境を告発しているとも取れるが、しかしその手のことは他の先進諸国でも当然あるだろうし、程度の差はあれ日本でもあると思われる。自国内向けならともかく外国人にとっては今さらという感じで、ここでもそうなのかと聞き置く程度のものでしかない。 そもそもエストニアが他の欧州諸国と比べて社会問題が深刻だというようなことがあるのかどうか不明だが、もしかするとその辺で目につく悪事を殊更にあげつらってこれが世間のリアルだと騒ぎ立てる中二病的露悪趣味の映画なのか。または、みんな幸せに暮らしていると思っているエストニアでも、こういうinvisible peopleが存在すると告発して国際社会の歓心を買おうとしているのか。 何にせよ自分にとっては受け取れるものが乏しい映画だったが、しかし原作あっての映画なので、映画だけでは読み取りにくい部分があるのかも知れない。事情のわからない外国人がどうこういうのも何なので、現地の人々がどう思ったのか知りたいとは思った(ネット上で少し探したがエストニア語のGoogle翻訳がわかりにくい)。
[DVD(字幕)] 3点(2019-04-27 10:23:54)
1079.  青鬼 《ネタバレ》 
ゲームはやったことがない。小説版も読んでいない。ちなみにAKBの人も知らない。 時間が短いこともあってそれほど損した気はしないが得した気もしない。CGの造形物が単なる変な生き物のようで安っぽく、コミカルな顔や動きはゲーム風なのかも知れないが、映画ならもっと圧倒的に不気味なものが迫るところを見せてもらいたかった。また緊迫しているはずの場面で人物の動きが鈍いとか長々と話し込んだりするのも気が抜ける。 ストーリー的にもよくわからなかったが、実際にああいうわけのわからないことが起きて悲惨な結果になったものの、主人公が事態打開の条件をクリアしたことで、河川敷の場面まで時間が戻ったということではないか。つまり基本的にハッピーエンドだが、死んでよかったと思った男も死んでいなかったことになるのは困る。次回もあるようだがもう見ない(見る動機がない)。 なお主人公の同級生役で出ている古畑星夏さんは当時17歳くらいのはずで、まだ顔に高校生っぽい可愛らしさがある。映画出演は「1/11 じゅういちぶんのいち」(2014)に続く2作目で、女優としてのキャリアはあまりなかった時期かと思うが(本来はモデルだと思うが)、この映画の主演との対比では演技派に見える。この人と須賀健太の組み合わせなら少しまともに見えただろうが、アイドルホラーとしてはそうもいかないということか。
[インターネット(邦画)] 3点(2018-12-25 22:36:22)
1080.  ねこにみかん 《ネタバレ》 
和歌山県有田郡有田川町のご当地映画である。 まず題名との関係でいえば、ネコは1匹出る。また登場人物がミカンを食う場面がやたらにあるが、皮をむきかけて半端になる例が多いようで気に障る。ちなみにこの題名は「ネクロノミコン」を思い出させるので印象がよくない(ホラーかと思う)が、その言葉を知らない人間が多ければ支障ないかも知れない。  基本設定としては17年前に、当時35歳の男が妻(連れ子あり)を亡くした心の痛手を癒す名目で、30歳、25歳、18歳の女3人を同時期に妊娠させたことになっている(妊娠しなかった、あるいは男に黙って堕胎したのはもっといたかも知れない)。その関係者が今も一つの家に同居しているという突飛な状況で、劇中でも「一夫多妻」という言葉が使われている。 その上で、この映画で何がいいたいのかは正直わからない。「ちゃんと迎えてあげる」という言葉が大事そうには聞こえたが、そのことをこういう事例をもとにして訴える必然性はなく、そもそも皆がこの“家族”を維持しなければならないと思っている理由が全くわからない。普通にいう家族の有難味ということよりも、家族に関わる固定観念を破壊してみせることの方が主目的に見えたが、それなら今となれば「万引き家族」(2018)でも見れば自然に納得する。黒川芽以という女優は嫌いでないが、もう少しまともな映画に出てもらいたい。  ところでこの状況について、登場人物も“普通でない”とさかんに言っていたので、有田川町とか旧有田郡域とか和歌山県全部とかでこれが普通なわけではないことが一応アピールされてはいたようである。しかし先日死去した和歌山県田辺市の実業家のイメージなどからすれば、そもそも内縁の妻の存在を自慢する感覚とか、社会の枠に縛られない性的な自由を容認する風土がこの地域にあって、それを全国に認めさせたい承認欲求でもあるのかといった想像が広がる…本当にそう思っているわけでもないが、ともかくこういう映画が地方政界その他の絶大な?支援で製作されたのを見ると、日本もいろいろ多様性のある国だと思わせるものはある。 なお最後によかった点を書くと(かなり局部的だが)「なに忘れたん?」「言い忘れ」というやり取りは気が利いた感じだった。また主人公の父親の言動はマンガのようだったが、最終的な割り切り方は好きだ。相互理解が不可能なら断絶するしかない。
[DVD(邦画)] 3点(2018-12-16 17:29:23)(良:1票)
0110.88%
1272.17%
2614.90%
3987.88%
418014.47%
532526.13%
628522.91%
717814.31%
8614.90%
9171.37%
1010.08%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS