1101. 追憶(1973)
《ネタバレ》 若い頃見た映画の中で、特に思い出に残っている映画。考え方や生き方が違う二人が愛し合い、別れ、そして再び巡り会う。そのラストの再会シーンが何と言っても秀逸、最後になってどっと涙が出てきたことを覚えている。 しかし最初見たときは前半から中盤までは消化不良だった。戦争を挟んでいる時代背景も今ひとつピンとこなかったし、赤狩りについては当時はよく知らなかった。だからどうしてこれほどまでにケイティが一生懸命になるのかが理解できなかった。 だけど年月が経って赤狩りだけでなく時代背景がわかるにつれ、ケイティのひたむきさがわかるようになったと思う。人には政治好きと言われようと、不幸な人や迫害を受けている人がいればじっとしておれない純粋な性格だったのだろう。だからハリウッドに赤狩りの嵐が吹き荒れ、表現の自由が損なわれたときは我慢できなかったに違いない。 しかし私を含め一般人は共感はできても、行動はなかなかそこまでついて行けないものである。映画の中のハベルも彼女に合わせようと最大限努力したのだが、それでも別れざるを得なかったのだと思う。 言い忘れたが主題歌を含めこの映画の音楽は実に良い。まったく同じメロディーなのに、時にはオーケストラで盛り上がり、時には一つの楽器でもの悲しく響く。 [映画館(字幕)] 9点(2012-08-18 16:50:20) |
1102. バイオハザード(2001)
《ネタバレ》 最初の方だけSF的な雰囲気と謎に満ちていて期待されたが、レーザー光線?で身体が切り落とされるシーンからついて行けなくなった。ゾンビが出てくるともう嫌でたまらなくなり、主演のミラ・ジョヴォヴィッチにつられて見たのがまずかった。最後の方ではストーリーもどうでもよくなり、早く終わってほしいと思ったほど、私が見る映画ではなかった。 [DVD(字幕)] 1点(2012-08-17 21:52:33) |
1103. I am Sam アイ・アム・サム
何の役をやらせてもうまいショーン・ペンと、とてもかわいい天才子役ダコタ・ファニングとなれば、悪い点数になりようがないのだが、ありえないような映画設定には腰が引ける。自分自身が生活するだけでも障害が多々ありそうなサムに、果たして乳幼児期の子どもを育てることができたであろうか。母親がいて7歳で離ればなれになったのならばともかく、乳飲み子の段階で逃げられたというならばその時点で問題なく施設預かりが現実というもの。 [DVD(字幕)] 4点(2012-08-17 14:28:33) |
1104. アイリス(米英合作映画)
言葉を失うことは作家としての生命を失う、そういうアイリスを大仰なくリアルに描いている。またそのアイリスを愛おしみ最後まで支え続ける夫ジョン、二人を演じたジュディ・デンチとジム・ブロードベントはとてもすばらしく、どちらが賞を受賞しどちらが逃したかの問題ではないと思う。 それに対し若きのアイリスは自由奔放さが際だち、ケイト・ウィンスレットは美しかった。また若き日のジョンを演じたヒュー・ボネヴィルは驚くほど顔立ちがジム・ブロードベントと似通っていた。 映画は自転車でサイクリングするシーン、二人が水に潜るシーンなど印象に残る。ジョシュア・ベルの独奏ヴァイオリンを含むジェームズ・ホーナーの音楽もまたすばらしかった。 [DVD(字幕)] 7点(2012-08-17 06:56:25)(良:1票) |
1105. きみに読む物語
妻が認知症になっても、記憶を取り戻させようとただひたすら、二人の物語を読んできかせる、実にロマンティックな愛の物語だと思う。湖一面のあひるにはびっくりしたけど、映画の雰囲気が実に良い。こういう映画は音楽が地味ながらそっと雰囲気作りをしている。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-16 18:15:54) |
1106. はだしのゲン PART3 ヒロシマのたたかい
原爆が落ちた後の広島で生き抜くことはとても大変だった。焼けてしまった家には食べるものすらない。親を亡くした孤児たちは他人のものを盗んだりもするが、生き抜いていくためには仕方がないことかもしれない。一方、生き残った人の中にも原爆症で亡くなる人が次々と出てくる。 映画としては必ずしも良いできとは言えないが、私たちが知っておかなければならないことがたきさん含まれているように思う。 [DVD(邦画)] 6点(2012-08-16 00:46:30) |
1107. 赤い鳥逃げた?
60年代後半に始まった米国のニューシネマの波は、70年代になると日本にも少なからず影響を及ぼした。それに原田芳雄、大門正明、桃井かおりとくれば、監督藤田敏八の名を見なくてもおよその内容は見当がつく。そう若者の閉塞感だ。 何もすることがなければジジイだ。何かをしたいが何もできない。行動は行き当たりばったり・・・。まさにそういう若者を描いた映画であり、上半身裸の桃井はそのシンボルなのか。そして無惨なラスト。映画としてどれほどの価値があるのかはわからないが・・・。 [映画館(邦画)] 4点(2012-08-15 06:18:30)(良:1票) |
1108. 歓びを歌にのせて
まず言えるのはオーケストラ指揮と合唱指揮はまったく別物だということ。いかにプロの世界的指揮者であっても合唱指導においては素人だということである。発声指導や歌唱指導などそれなりの知識と実践経験が必要なことは言うまでもなく、あの忙しい演奏スケジュールの中ではまず考えられないことだ。 映画だからそういう音楽の専門的要素は目をつぶるにしても、ドラマ自体大変嘘っぽく感動しづらい。ただ北欧の自然や本物の音楽(吹替用)は良かったと思う。 [DVD(字幕)] 4点(2012-08-14 20:42:27) |
1109. 続・社長外遊記
《ネタバレ》 今では猫も杓子もハワイだが、当時のハワイは海外旅行の夢の島。この映画でもダイヤモンドヘッドを初めとするハワイの名所が紹介される。そして何と言っても名物はフラダンス、何と三木のり平の女装フラダンスが登場する。 さていろいろあって、支店建設や浮気問題そして結婚話など四方八方すべてが丸く収まる。まるで夢の島の夢のようなお話。続編は結構おもしろかった。 [映画館(邦画)] 7点(2012-08-14 11:35:05) |
1110. 社長外遊記
《ネタバレ》 毎度おなじみ社長シリーズ、今度の森繁はデパートの社長。子どもも一人娘から一挙五人の子持ちで皆娘ばかりという花盛り。もはや常連となったフランキー堺を加えた五人組、今度はハワイ進出と豪華になる。 そう思い出したフランキー堺さんは元々ジャズドラマーだったのだ、上手なはず。それに森繁の「籠の鳥」逢いたーさ見たーさに怖さーを忘れー♪ しびれるなあ。 おっと例によって感想は「続・社長外遊記」を見てからに。 [映画館(邦画)] 6点(2012-08-14 08:29:47) |
1111. シャイニング(1980)
意味不明と思われるわからないシーンが多くやたら長く感じるしおもしろくない。だんだん嫌になってくる。オープニングの風景は大変すばらしいのに・・・。そうか冒頭の音楽が幻想交響曲なのか。 [DVD(字幕)] 2点(2012-08-13 20:25:35) |
1112. ミスティック・リバー
非常に重苦しく後味の悪い嫌な映画だ。米国社会の醜さが象徴されている。あのラストのパレードは何だ。デイブはなぜ殺されなければならなかったのか。こういう映画が賞になってほしくない。ヒューマンドラマと思ってみたのが間違いだった。 [映画館(字幕)] 2点(2012-08-13 06:57:23) |
1113. 誰が俺を狂わせるか
《ネタバレ》 ドラマ「美しき日々」や映画「JSA」で人気スターとなったイ・ビョンホンの、初出演で新人賞受賞となった映画。対するチェ・ジンシルはすでに韓国でトップの座を誇っていた。この違いが役柄でも、何をやってもダメな男と男勝りのやり手ウーマンとの違いになって出てくる。そしてラストのパーティでは、酔った勢いもあり、怒りの大爆発となるのだが、映画は結構おもしろい。だがちょっと荒療治過ぎ。 [DVD(字幕)] 6点(2012-08-12 17:52:48) |
1114. ほえる犬は噛まない
結構おもしろく笑えるシーンもあるが、よくわからない妙な映画だった。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-12 11:50:15) |
1115. ハモンハモン
情熱的=本能的なのかもしれない。悪くはないと思うが、好きになれない映画だ。救いはペネロペの魅惑的な美しさのみ。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-11 22:13:13) |
1116. 天国の駅 HEAVEN STATION
《ネタバレ》 「天国の駅」と「おはん」でまったく異なる女性像を演じた吉永小百合は、この年日本アカデミー賞の主演女優賞に輝いた。日活時代に清純派お嬢様女優として活躍していた彼女だったが、さすがに70年代になるとそのイメージではやっていけなくなり低迷していた。それが本格的女優としてのきっかけとなったのが75年の「青春の門」であり、大きく花開いたのがこの「天国の駅」と「おはん」だったろうと思う。 この映画の林葉かよは本当に不幸な女性である。下半身不随となった夫、つけまとう元警官、狂った妻を持つ旅館の主人、彼らもまた不幸でありかよの身体に救いを求めていた。これがさらなる不幸を呼び殺人事件となっていく。彼女が求めたのは愛そのものだったろう。だからこそ彼女のために献身的に尽くすターボとの逃避行となるのだが、雪の中で戯れる二人の姿に安らぎを覚える。 惜しまれるのはあの主題歌、吉永本人に歌わせるとたちまち安っぽくなってしまう。忘れるところだったが、西田敏行の好演も光る。 [映画館(邦画)] 8点(2012-08-11 00:24:15) |
1117. おはん
《ネタバレ》 夫を旦那様と呼び、浮気をされようと粗末に扱われようと嫌な顔一つせずただひたすらに尽くす。そういう女性の生き方を現代に生きる人たちはどれだけ理解できるだろうか。ウジウジした嫌な女と思われるのが落ちではなかろうか。 この映画の時代背景はいつ頃だろうか。人力車が通っているところを見ると明治のようだけど、戦争に勝った話が出てくると日清日露かその後の大正時代かと思う。その頃は女は男より一歩身を引き慎み深くという教育をされていたであろう。しかしその中でもこのおはんはまれな存在である。亭主が女の元に身を寄せるときも暖かく見送っているし、別れた後もじっと見守っている。子どもができたことさえ知らせたりはしない。 このような女の生き方があったのだと共感できなければ、この映画や原作小説は決して理解されないだろう。そうした一途な女性おはんを吉永小百合が演じている。彼女はこの年「天国の駅」とまったく違った犯罪者の女性をも演じている。この幅広い演じ方があったればこそ、日本アカデミー賞の主演女優賞が取れたのだと思う。 対するおかよは笑ったり泣いたり、人を責めたりする普通の女性、いや強い女性である。この対照がまたすばらしい。そして確信犯たる石坂浩二の幸吉の煮え切らない態度、許せない存在なのだが・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2012-08-10 19:15:19) |
1118. 扉の影に誰かいる
《ネタバレ》 自分の妻の不倫を、記憶喪失の男を利用して精算させようとする計略は、大変すばらしいと思う。ちょっと考えつかないようなアイデアだ。しかし考えがすばらしければすばらしいほど、およそ現実性がないと思う。ちょっとした手違いや突発的なことで簡単に崩れるはずだ。そういう思わぬことに対して十分に計画が練られているようにも思えず、おあつらえ向きの記憶障害者が飛び込んでくる偶然に頼っているようではお粗末だ。 映画全体に緊迫感が足りないと思ったらあの音楽だ。いくら何でもドヴォルザークの「家路」はないだろう。雰囲気をぶちこわしているしか思えない。それにタイトルだ。邦題は原題をそのまま訳したものだが、いくら何でもそのまんま。味も素っ気もなし。 前年の「雨の訪問者」が良かっただけに、非常に期待はずれだった。 [映画館(字幕)] 5点(2012-08-10 15:03:43) |
1119. ポワゾン
見始めてから、昔見たド・ヌーブの「暗くなるまでこの恋を」によく似ていると思ったらやはり同じ原作だった。つまりこの映画はリメイクということになるのだが、前半はストーリー的に同じでも、途中からオリジナルと雰囲気がまったく違ってくる。こちらはあくまで悪女でだます女である。そしてまた悪女と知りつつだまされる男の方は、愛情というより肉欲に負けたただの男にすら見える。そう何もかも安っぽい、しかしこれが現実に近いのかもしれない。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-10 10:36:20) |
1120. 暗くなるまでこの恋を
映画の中でも語られるが、男は馬鹿で女は悪女という言葉がぴったりの映画だ。ヒッチコック風な描写にフランスの恋愛感を加え見事なまでに描き出す。決して好きにはなれない二人だが、それをジャン=ポール・ベルモンドとカトリーヌ・ドヌーヴが演じると妙に引っかかるものがあり、今まで持っていたイメージががらりと変わってしまった。 働かないで金を得ようとするあさましさや犯罪の醜さは普通ではすぐ気づくところなのだが、それが見えなくなるところが盲目の愛か。 [映画館(字幕)] 7点(2012-08-10 02:10:51) |