1.戦後唯一の女死刑囚の半生を描いた物語。
実話だけに興味をそそられる内容なのだが、本作はもの凄い脚色がされている。
実際の死刑囚カヨは、「美しさ」とは遠くかけ離れた田舎のオバちゃん。
犯行自体ももっとドロドロしていて、死刑になるのが当たり前のような事件なのだが、
ヒロインは清純派の名を欲しいままにした吉永小百合。
確かに汚れ役には違いないが、そこは美しくはかなくカヨの役を演じている。
映画なので事実と全然違っていても別に構わないのだが、
当然のことながら実際の設定や事件内容は、彼女の役柄に沿って変更されているので、
都合のいい展開や突っ込み所が多く、演出の方も空回りが目立つ。
三浦友和、丹波哲郎、津川雅彦と、脇役のキャスティングだけは良かったけどね。
ちなみに本物のカヨは死刑になるとは思っていなかったらしく、
罪を少しでも軽くしようと、担当捜査官に色目やスキンシップを計り、
金歯を覗かせながら盛んに愛嬌のある笑顔を振りまいていたそうである。
何とも凄まじい女だったらしいが、事実に則った吉永小百合の本当の汚れ役を観たかったな。