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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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101.  次郎長三国志 第六部 旅がらす次郎長一家 《ネタバレ》 
前作ラストで兇状持ちとなった次郎長一家の逃避行を描いたシリーズ第6作。今回は冒頭からシリーズ今までの雰囲気とは違う暗い感じで、笑えるシーンも少なく、全体的に湿っぽくシリアスな展開なのがかなりの異色作に感じるのだが、今まで第一部からずっと見ていて次郎長一家に親近感がわいていたせいか、泣けて泣けて仕方がない。なんといっても今回はお蝶さん。病に倒れても匿ってくれた場所に兇状持ちになっているが故に長居は出来ない次郎長親分たちに対して「大丈夫、元気になったわ。」と言うのが何とも健気で見ていて辛く、これだけでもう泣けてくる。親分に盃を返そうとする三五郎と石松、それに弱っていくお蝶さんを元気づけようと無理に笑う大政たちにもついつい感情移入して思わず泣きそうになった。お園さんがお蝶さんの回復を願って権現様に願をかけるシーンも思わず感情移入して見てしまう。そして最後、お蝶さんがいよいよ亡くなるというシーン、ここで一人一人に声をかけるお蝶さんの姿を見て、前回の親分との馴れ初めの話をするお蝶さんの姿や、そのほかいろんな事を思い出して、また自分がその場にいるような気分にもなってしまい、せつなすぎて泣かずにはおれない。お蝶さんを演じる若山セツ子の演技ももちろん素晴らしく、このシーンは本当に名シーンだと思う。最初に書いたようにほかの回とは雰囲気がかなり違うものの、こういう映画でもマキノ雅弘監督のうまさを感じることが出来るし、これはこのシリーズの中でもかなりの傑作だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2009-01-26 02:32:35)
102.  次郎長三国志 第五部 殴込み甲州路
シリーズ第5作。今回は冒頭から祭りのシーンでマキノ雅弘監督らしい盛り上がるスタート。既にぐるぐるさんや青観さんが書かれているけど、この前半ではお蝶さんに酒を勧められた次郎長親分が久しぶりに酒を飲むシーンの親分のものすごくうれしそうな表情がたまらなくよく、そこでお蝶さんが親分との馴れ初めを語るんだけど、ここのお蝶さんの表情も最高で、ああ、この二人は本当にいい夫婦だなあと感じさせてくれるまさに名シーンだと思う。後半は後半で前半の和やかな雰囲気とは一転して人質にされたお仲さんを救出すべく殴り込みをかけるという展開。クライマックスのこの殴り込みのシーンもマキノ監督らしいどこかお祭り騒ぎ的な演出なのだけど、そこにいたるまでの大人数相手の喧嘩を前に不利とわかっていながら行かねばならぬ次郎長一家が見ていて実にかっこいい。それに人質にされるシーンのお仲さんの啖呵もかっこ良かった。マキノ監督のテンポのいい演出も見ていて心地よく、充分に楽しめる映画だったと思う。ただ、前回登場したばかりの豚松が、演じる加東大介のスケジュールの都合(黒澤明監督の「七人の侍」に出ることになった。)で早くもここで退場なのはなんか惜しい気がする。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-10 23:08:19)
103.  次郎長三国志 第四部 勢揃い清水港
第4作。今までのシリーズと比べると間延びしていて、やや中だるみと言った感じ。とはいえ、石松、三五郎、お仲さんらが清水に集まってくるのは見ていてワクワクするし、ここでも前回と同じく森繁久弥演じる石松が最高。そして、次郎長一家の仲間に加えてほしいとやってくる加東大介演じる漁師・豚松もなかなかいいキャラクターで、このシリーズらしい(というか、マキノ雅弘監督らしい)お祭り的雰囲気もあって面白かった。でも全体的に見て明らかにつなぎに徹している印象はぬぐえず、楽しめる作品にはなっているのだが、前回までと比べるとやっぱり何か物足りないなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-01-07 19:35:31)
104.  次郎長三国志 第三部 次郎長と石松
シリーズ第3作。「次郎長と石松」というタイトルのわりには次郎長一家の出番は少なめで、どちらかと言えば「石松と三五郎」という感じで石松と今回初登場の追分三五郎との絡みが中心。前回、最後にチョロッと出てきただけでも抜群の存在感を放っていた森の石松が、今回いよいよ本格始動して大活躍。演じる森繁久弥の持ち味がじゅうぶんに発揮されていて面白い。そして今回もう一人初登場となるお仲さんが色気があって美しくて気風の良い姉御肌で博打で壷を振る姿もかっこよく、見てるこっちまで石松や三五郎と一緒に思わず惚れてしまいそうじゃないか。お仲さんが酔った勢いで石松と一緒に旅に出る約束をするシーン。このシーンの二人はなんかいい感じで、そういえばお仲さんを演じる久慈あさみって「社長シリーズ」では森繁久弥演じる社長の奥さん役だったよなと思って見たり。そのほか、博打で捕らえられた次郎長一家に会うためにわざと見張りをぶん殴る張子の虎造も面白い。しかし、今回はなんと言っても森繁久弥演じる森の石松のキャラクターと久慈あさみ演じるお仲さんにすっかり魅せられた一本だった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-04 22:48:37)
105.  次郎長三国志 第二部 次郎長初旅
シリーズ第2作目。冒頭の婚礼シーンのあと、次郎長一家が旅に出るのだが、それを見送るお蝶さんを演じる若山セツ子の演技がとても良かった。ただ、今回はちょっと最初からしんみりするような展開だったため、この先、どうなることかと思っていたが、あとは全体的に喜劇タッチで、料理屋でのドンチャン騒ぎ(一緒になって騒いでいる料理屋の主人佐太郎役の堺左千夫が女房に呼ばれて「ああ、そうか。」と下へ行くシーンが笑える。)とか笑えるシーンが前回よりも増えている感じで前回同様楽しめた。佐太郎の奥さんのお徳さん(この名前を聞くとなんか「洲崎パラダイス 赤信号」の千草のおかみさんを思い出す。)の優しさはたまらないし、おきねの父が娘の恋人である仙右衛門と和解するシーンは思わず感動した。そして終盤に登場する森の石松を演じる森繁久弥の存在感がすごい。これは、石松が本格的に物語に絡み出す次回が楽しみだ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-04 17:18:02)
106.  次郎長三国志 第一部 次郎長売出す
マキノ雅弘監督の「次郎長三国志」東宝九部作の第一作。今まで「サラリーマン清水港」とかパロディーものしか見ていなく、本家を見るのはこれが初めてだったのだが、とにかく出てくるやつらがみんな個性的で魅力があって楽しく、明るい作品でとても面白かった。今回出てくる子分たちの中ではとくに最初に次郎長の子分になる鬼吉。このキャラクターは演じる田崎潤に渋い役者というイメージが強くこういう役のイメージが皆無だっただけにそのハイテンションな演技がとても新鮮に感じられて面白い。彼が棺桶を背中にかついで走るシーンは同じ監督だからだろうかどことなく「決闘高田馬場」を彷彿とさせている。ほかにも浪曲をうたう張子の虎三(演じる広沢虎三は実際に次郎長伝の浪曲で知られている人。)なんかも実にいいキャラクターで楽しかったし、「青い山脈」で笹井和子を演じていた若山セツ子演じるお蝶さんは可愛い。大政と女房が別れるシーンは全体的に見て、少ししんみりするが、このシーンの大政役の河津清三郎の演技が素晴らしく、ここはこの映画の中でも名シーンの一つだろう。それにしても、新年一発目に見た映画がこれなのだが、とても満足いく作品だったと思う。第二部も楽しみ。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-02 11:17:23)
107.  源氏九郎颯爽記 白狐二刀流
シリーズ第2作。前作は白黒だったが、今回はカラーになり、共演者も前作に比べてやや豪華になった印象で、ところどころ笑えるシーンもあり、話としても前作より面白かったし、加藤泰監督らしい絵づくりもあるのだが、何かなあ、前作のレビューでも書いたけど全身白ずくめのヒーロー剣士を演じる錦之助を見て何か違うと思ってしまう。前作を見ているので多少は慣れているつもりだが、初めて見た錦之助の主演映画が内田吐夢監督の「宮本武蔵」五部作ということもあってか、ぐるぐるさんも書かれているが、こういう役よりは宮本武蔵や「反逆児」の三郎信康のような重厚な役柄や、股旅モノでのヤクザな旅がらす役のほうが合ってる気がする。果たしてこれから数年置いて作られた3作目はどうなのだろうか。ちょっと気になるので次の3作目も見てみようかな。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2008-12-14 00:33:47)
108.  源氏九郎颯爽記 濡れ髪二刀流
錦之助の主演映画を見るのもかなり久しぶりなのだが、まだ子供たちにアイドル的人気を誇っていたと言われる初期の作品ゆえか、同じ加藤泰監督とののちのコンビ作である「瞼の母」や「沓掛時次郎 遊侠一匹」のようなアウトロー役ではなく、全身白ずくめのヒーロー剣士を演じている。こういう役もさすがの存在感を発揮していてうまいと思うものの自分の中で思い浮かべる錦之助のイメージとはかなり違うので見ていてなんだか違和感を感じる。シリーズ作品みたいなので続編を見ていくと慣れてくるかもしれないが、内容的にもなんか退屈であまり面白くなかったのがどうもなあ。それに加藤監督の作品としても何やらイマイチな気がするが、一応続編も見てみよう。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2008-12-11 15:08:18)
109.  氾濫
別に悪くはない映画だが、増村保造監督の映画としては「巨人と玩具」のような圧倒的なテンポの良さが感じられず、「妻は告白する」や「清作の妻」のようなインパクトのある作品でもないのでなんだか普通すぎて物足りない。また若尾文子も可愛いのだが、「青空娘」や「妻は告白する」と比べてあまり魅力を感じられず正直言って残念。ただ、ドロドロした人間関係や男たちのダメさ、いい加減さを描いているところに若干の増村監督らしさを感じることはできるので増村作品としては発展途上の映画という感じもする。船越英二が沢村貞子に対して「確かに三度ほど女房を変えたけど、僕はその都度真剣だった。」とか言っててなんか怪しいと思ったらやっぱり女たらしな男の役。この俳優は「黒い十人の女」とかでもそうだけど、こういうダメな男の役とかやるとハマるなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2008-09-22 20:00:47)
110.  東海道四谷怪談
四谷怪談を題材にした映画と言えば深作欣二監督の「忠臣蔵外伝 四谷怪談」しか見たことがなく、ストーリーもあまりよく知らない状態だったので新鮮な気持ちで見ることが出来た。映画としては低予算なB級ホラー映画ではあるが、それでも歌舞伎のような音楽と演出がとても効果的に使われており、溝口健二監督の作品とためをはるぐらいの映像美にもあふれ、単なる怪談映画では収まりきらないような芸術的傑作になっていて正直驚いた。中川信夫監督の作品を見るのはこれが初めてだったのだが、これ一本でじゅうぶん巨匠のひとりだと感じた。出演している俳優陣も天知茂のニヒルな伊右衛門はハマリ役だし、名前は知らないがお岩役の女優もなかなか不気味で、とくに毒薬を飲んで顔が醜く変わった直後の演技はかなりインパクトがあり印象に残る。「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で荻野目慶子が演じたお梅は高笑いだけが印象に残るだけの存在だったが、本作では若き池内淳子で清楚なお嬢様という感じで良かった。何はともあれ、いかにも日本的な怪談映画でありながらそれ以上に日本的な美しさ、様式美を感じさせてくれる、そんな映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-08-14 15:25:27)(良:1票)
111.  巨人と玩具
この異様なテンションの高さは何なんだろう。とにかく巻頭の強烈な歌詞の歌からしてもうテンションが高く、映画が始まっても冒頭の山茶花究のまくし立てるような台詞回しに始まり、出てくる俳優たちがやたらとテンションが高い演技をしていて圧倒されっぱなし。そのまま最後までいってしまうのだからちょっとすごい。とくに高松英郎のテンションの高さは凄まじく、後半になって過労で吐血しているにもかかわらず、それでもテンションの高さを保っているのがすごすぎ。増村保造監督の初期50年代の作品はこれまでデビュー作の「くちづけ」と若尾文子との初コンビ作となった「青空娘」を見ていて2本ともハイテンポな展開だったけど、ここまでのテンションの高さはなかった。そんなテンションの高さを維持しつつ、現代でもじゅうぶん通用するような社会風刺劇としての面白さがあり、増村監督のパワーを感じさせる作品になっている。普通の女の子から大スターになるヒロインを演じる野添ひとみも明るい元気娘という前半の感じから、後半のワールドキャラメルを離れた後の少しタカピーな感じまでうまく出していて素晴らしい。彼女がステージで歌い踊っているシーンがやや悪趣味なのが増村監督らしい。先週見た「妻は告白する」のような深みはない作品だが、これもなかなかの傑作だと思った。
[DVD(邦画)] 8点(2008-07-24 17:28:08)
112.  青空娘
若尾文子といえば落ち着いた上品な大人の雰囲気が漂う女優、あるいはちょっと小悪魔的な魅力を持つ女優というイメージがあるのだが、増村保造監督との初コンビ作となる本作では、そのイメージとは違う明るく元気なヒロインを演じていて、川島雄三監督の「しとやかな獣」や「女は二度生まれる」でも印象的だった彼女だが、ここまで爽やかで清潔感溢れる魅力を感じるのは初めてだ。映画の面白さや完成度としては確かに「しとやかな獣」や「女は二度生まれる」、同じ増村・若尾コンビの作品なら「華岡青州の妻」のほうが上だと思うものの、この映画の若尾文子の明るい魅力にはとにかく「やられてしまった」という感じですごくかわいい。そして映画としても増村監督らしいハイテンポな演出も見ていて心地よく、軽い仕上がりになっていて、とても見やすく楽しいものになっている。脇のミヤコ蝶々や南都雄二もいい味を出していて楽しいが、とにかく本作「青空娘」は、何度も同じことをいうようだが、若尾文子、若尾文子の魅力に尽きる映画だ。
[DVD(邦画)] 8点(2008-07-08 20:38:26)(良:2票)
113.  人間の條件 第四部 戦雲篇 《ネタバレ》 
第四部。今回の見どころはなんといってもクライマックスとなる終盤の戦闘シーンだろう。戦争映画の大規模な戦闘シーンの場合、バックに壮大な音楽を流してシーンを盛り上げる演出が多いと思うが、そうせずに淡々と描く小林正樹監督の演出と梶を演じる仲代達矢ら俳優陣の迫真の演技のおかげで逆にリアルで緊迫感のある戦闘シーンとなっていて見ごたえじゅうぶんだった。この戦闘シーンを含めて上等兵になった梶の苦悩や、少尉として梶と再会した影山の運命など今回も重い展開。とくに発狂した小野寺兵長を梶が殺すというラストは偶然そうなったとはいえ、かなり衝撃的だった。このことで第二部のラストで楊春蘭が言っていたように本当に「鬼」になってしまった梶。(劇中、自分自身で言ってる。)あとの2本がこの先、どうなっていくのか見るのがちょっと怖い気もする。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-18 23:34:52)(良:1票)
114.  俺は待ってるぜ
蔵原惟繕監督のデビュー作で石原慎太郎が弟・裕次郎のために脚本を書いた作品らしいのだが、冒頭から妙な違和感があり、内容が暗く、正直最後まであまり楽しめずにおわったという感じ。また内容のみならず映像までが暗めに感じられるのもちょっとと思ってしまう。裕次郎(島木譲次って役名が笑える。)の演技はいつも通りだし、ヒロイン役北原三枝もなんかぶっきらぼうな印象しか残らないのが残念。この二人のコンビ作はほとんど見てないのだが、少なくとも北原三枝に関しては川島雄三監督の「愛のお荷物」での三橋達也の恋人役が今まで見た中でいちばん良かったと思うし、裕次郎も芦川いづみとのコンビ作である「乳母車」が個人的にはベストだと思う。ちなみにこの映画の主題歌自体はそんなに嫌いではない。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2008-06-12 20:02:28)
115.  人間の條件 第三部 望郷篇 《ネタバレ》 
老虎嶺から軍隊内へと舞台が変わった第三部。第二部までと比べてかなり重く、軍隊内でのリンチなど前作までの捕虜虐待以上に壮絶だった。今回は劣等兵である小原二等兵が自殺に到るまでの経緯がとても悲痛に描かれ、見ていて痛々しいのだが、そんな小原に思わず感情移入してしまい、この小原のエピソードはとても印象に残った。小原を演じる若い田中邦衛も後の「若大将シリーズ」で見せるコミカルな青大将・石山とは全く違う内向的なキャラクターを見事に演じていて素晴らしかった。そして、梶に会うためにはるばる訪ねてきた美千子が梶との一夜を過ごす場面も切なくて悲しい。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-12 15:18:11)
116.  人間の條件 第二部 激怒篇
第1部では重い内容の中でも梶が妻といるシーンだけは雰囲気が和んでいたが、この第2部ではその二人のシーンすらも重くなり、梶が人間として苦悩する姿など第1部に比べて見ていてかなり辛い。高をはじめとした脱走を企てたとされる捕虜たちが処刑されるシーンは直接的な残酷な描写がないにも関わらずショッキングに感じた。それでもほとんどが重々しいシーンばかりの辛い内容なのについ引き込まれてしまうのは第1部に続いて完成度の高い作品という証拠だろう。この第2部では梶の妻・美千子の悲しみがよく描かれており、また演じる新珠三千代もその悲しみをうまく表現する名演を見せており、素晴らしい。以前、小林正樹監督が男性的な作風の監督であると何かで読んだことがあるが、この作品の美千子を見ていると、やっぱり脚本担当の松山善三共々木下組出身ゆえか女性の描き方もうまいと感じる。
[DVD(邦画)] 8点(2008-06-04 20:34:47)
117.  人間の條件 第一部 純愛篇
小林正樹監督が五味川純平の戦争文学を映画化した6部作、上映時間の合計が9時間半という超大作の第1部。本当にこれは日本映画なのかと思うくらいに日本人による中国人捕虜に対する迫害がリアルに描かれていてビックリ。捕虜たちに対し非道な扱いをする現場監督 岡崎役の小沢栄太郎や所長役の三島雅夫の演技も憎々しく、「シンドラーのリスト」ほどではないが、それに近いものを感じてとても重苦しく辛かった。でも、普通、日本の戦争映画ではまず取り上げないような日本人の負の歴史を目を背けずに真正面から堂々と描いているところは感心させられる。下にも書いておられる方がいらっしゃるが、この第1部だけでもじゅうぶんに見ごたえがあるし、傑作だと思う。あと5作、たぶん回が進むにつれて重苦しさが増して来るんだと思うけどぜひ最後の第6部まで見てみよう。
[DVD(邦画)] 8点(2008-05-27 14:29:23)(良:1票)
118.  鍵(1959)
市川崑監督の谷崎潤一郎原作ものといえば80年代に作られた「細雪」があるが、あれとは全く印象の違う映画。冒頭映画を見ている観客側に向かって話しかけてくる仲代達矢をはじめ、京マチ子や叶順子の表情と視線など主要な登場人物たちがとにかく不気味で怖く、映画自体の雰囲気も異様な感じがしてインパクトがありなかなか面白かった。ちょっと題材的に数年後に同じ谷崎作の「卍」を手がける増村保造監督向きかとも思うが、「卍」よりも楽しめた。市川監督らしい凝った映像は本作でもいかんなく堪能できるし、皮肉めいたブラックなラストシーンも印象的だった。
[DVD(邦画)] 7点(2008-03-18 18:19:17)
119.  こころ(1955)
先ごろ亡くなった市川崑監督が夏目漱石の名作を映画化した作品。原作は知らないのだが、全体的に重く暗い内容で居心地が悪く、見終わった時にはどんよりと気分が沈んでしまった。ひと月半ほど前に川島雄三監督作「風船」を見ていたせいだろうか、森雅之と新珠三千代が夫婦という設定や、回想シーンで森雅之、新珠三千代、三橋達也の三人が三角関係の間柄というのに少しだけ違和感を感じた。とはいえ、やはり三人ともなかなかの好演で、とくに森雅之は「風船」のような老け役からこの映画の学生時代の先生役まで自然に演じていてうまいなあと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2008-03-11 12:35:22)
120.  わが町(1956)
大阪を舞台に明治・大正・昭和の時代を豪快に生き抜いた一人の男の一生を描いた川島雄三監督の映画。川島監督の映画というと、これまで見た限りではちょっと風変わりな映画が多いという印象だが、この映画はとてもオーソドックスな人情劇となっていて久しぶりにとても温かい感動を味わうことができた。主人公のターやんがとても魅力的で演じる辰巳柳太郎が「無法松の一生」のバンツマを思わせていて素晴らしく、特に人力車を引く姿は思わずダブってしまう。ほかにも、妻と孫娘の一人二役を演じる南田洋子(孫娘がターやんを批判して殴ってしまう後半のシーンがなんだか切ない。)は勿論、殿山泰司、小沢昭一、北林谷栄なども実にいい。三橋達也も今回はダメ男ではない孫娘の幼馴染を実にうまく演じていて好印象。既に他の二人の方も書かれているが写真屋で孫娘がマラソン大会の写真を見て自分の両親の存在を知るシーンとラストのプラネタリウムのシーンはこの映画の中でも特に感動的で思わず涙が出そうだった。川島監督、こういう直球ストレートな映画でもこんな名作を作ってしまうなんてやっぱりただ者ではない監督だと思う。
[DVD(邦画)] 9点(2008-01-30 20:46:05)(良:1票)
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