101. ロッキー
この映画の感動するところは、成り上がりたいというアメリカンドリーム成功者ではなく、稀有なチャンスを恐れながらも、逃げずにベストを尽くす、それを愛する人にだけわかってほしいという、純粋無垢な姿ではないかと思う。まさに劇中のスタローンはロッキーそのもの。彼はこの作品の公開直前までチョイ役でしかなかったしがない俳優だったことを忘れてはいけない。自分の書いた脚本を様々な人間に売り込み、自分自身が演じるため、大作映画ではなく、あえて低予算映画を選んだ。「自分の感性」にこだわり続けたのだ。幸運にも結果として大ヒットはした。しかし作品上の彼はそんな成功を確信してはいない。とにかく与えられた、勝ち取ったチャンスにベストを尽くすだけの、まさに「ロッキー」そのものだったのだ。それにしても、試合までの描写が実にうまい。リトルマリーのエピソードも、エイドリアンとのなれ初めも実に自然ですばらしい。彼の脚本は超一流だ。演出・演技・音楽そしてストーリーすべてが奇跡的にかみ合った名作と言い切れる。 [地上波(吹替)] 10点(2005-10-27 22:54:06) |