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サーファローザさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 111
性別 男性
自己紹介 日本映画好きです。以前、Yahooブログに1000本掲載していたのが削除されてしまいました(涙)DVDよりスクリーンで観た作品の方が点が高い傾向にあるようです。月に3・4回は東京にある名画座に通ってます。

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101.  石中先生行状記(1950)
青森、岩木山の麓弘前を舞台に、原作者(石中先生)が見聞したエピソードを綴る三話からなるオムニバス映画。成瀬監督にしては(失礼?)、肩の力を抜いて観れて、かつ、ユーモアと田舎の純粋さ暖かさをも丁寧に演出しています。特に第二話と第三話が素晴らしくて、第三話の若山セツ子の清廉で明るい女性がよいし、髪の毛をぴたっとポマードで押さえつけた三船敏郎には爆笑させていただきました。青森(私の故郷であります)に、本当に居そうな「しゃべるのが苦手なシャイで暖かい青年」でしたね。実際、三船さんってああいうタイプの人じゃないかなとも思った。田園風景をバックに若山と三船、そして村の人間との面白い交流は暖まります。観終わった後、とても清々しい気分に。
[映画館(邦画)] 7点(2007-08-14 17:04:28)(良:1票)
102.  幕末太陽傳 《ネタバレ》 
DVDで何度か鑑賞していたが、NFCの特集でスクリーンで観ることができたが、圧倒的に面白かったなあ。  冒頭からの相模屋の喧騒であり、また、居残った佐平次が「へいへい、何でげしょう」と大活躍する様は、やはり観ていてすっきりする。古典落語の抱腹絶倒のエピソードを早台詞と小気味良いテンポで、多くの人間が駆け回る。  日本でコメディといった類はハリウッドを模したものが多いのだけど、古典落語を映像としてこんなにテンポが良いのだから当時の日本映画としては革新的ではないかな。  殿川=フランキーの技上手をみせた「三枚起請」がお気に入り。 左幸子と南田洋子の二階まで動かすバトルは凄かった。 石原裕次郎扮する高杉晋作とフランキーが対峙する品川沖の場面では、庶民を代弁した名台詞がポンと飛び出す。  ただ、フランキー堺とは別に撮った高杉一派の行動には、(落語のネタでもないことからも)もう少し面白く絡むことを想定していたのだろうか? やや違和感があったのだけど、マイナスではない。 日活のスタア俳優さんは川島色とは少し違う感じはありますね。
[映画館(邦画)] 10点(2007-08-14 16:59:03)
103.  夜の河
素晴らしい作品でした。主演、山本富士子の美しさはもとより、京都の街、京染織物の品など全般に美意識が徹底されている。私はモノクロが好きなんですが、このカラー色彩の素晴らしさに感嘆しました。宮川一夫のキャメラも威力増しますね。  しかし、それだけでは二流。 なにより、色彩だけでない。  山本富士子演じる織物主人・きわの女性と自立し、凜とした生き様に魅了させられる。前半は京染屋の主人としての粋な職人を演じ、中間では恋する一人の女性となり、最後には大人の女性としての変化。この推移を見事に演じています。といいますか素晴らしかった!  この全編を支配する「美しさ」は細部まで行き渡り、染めの「モダン」なデザインのセンスや、赤などの「色」にもかなり配慮がなされていて、「和服ってこんなに素晴らしいのか」と思うはず。(まあ、あの山本富士子がモデルですから・・・)男性・女性関わらず魅了されるはずです。
[映画館(邦画)] 9点(2007-08-04 02:22:25)
104.  グラマ島の誘惑 《ネタバレ》 
ずっと映画館で観たかった作品。とても奇妙な映画だった。ドタバタ喜劇を押し出したわけでもなければ、痛烈な風刺を込めている訳でもない。無人島に不時着した皇族である森繁と弟・フランキー堺と軍人・桂小金治、そこに従軍婦と何故か従軍女性記者がいて、奇妙な生活が始まる。従軍婦らは本土に帰ったら勲章を貰えるという期待を胸に森繁・フランキーらに仕えるのですが、これは典型的な戦前国民の象徴か。  淡路・岸田の従軍記者らは胡散臭さを感じ、彼らとは群を離れる。食料が無くなり、従軍婦らが栄養失調からマラリアにかかる。その時、岸田・淡路は清潔なワンピースを羽織って登場、B-29の残骸から食料・衣料を調達していた。不満の溜まっていた従軍婦らは、岸田今日子に乗せられてクーデターを起こす。民主的な生活を営むことになった。各自、食料調達部、栄養部等々割当てがあるのだが、ちゃっかり森繁が端っこで「宴会部長」となっているのには笑えた。  もう三橋達也の土人なんて笑うしかない。本土に帰ってから以降のシーンについては、なにか「社長シリーズ」に落ち着いた感じがした感じで蛇足気味。また、皇族批判等のメッセージについてもちょっと意識し過ぎた感じがした。  島で女性陣が笑いながら踊り回るシーンが印象的で、淡路恵子・浪花千栄子・春川ますみはまあ解るんですが(笑)、八千草薫・岸田今日子までもが、あの輪で楽しく踊っているというのは奇跡としか言いようがない。豪華メンバーの中でも彼女達の演技を堪能できるだけでも楽しい。そう、要は、あまり皇族批判とか、原水爆への抗議といった政治的メッセージを忘れて、豪華メンバーの演技を楽しめば良いのかもしれない。
[映画館(邦画)] 7点(2007-08-02 12:17:14)
105.  有りがたうさん 《ネタバレ》 
舗装もされていない道を運転し、人とすれ違う旅に「ありがとう」と声を掛けるため、「有りがたうさん」と呼ばれている。安全運転がモットーで二枚目の伊豆の名物運転手。その運転手役には若かれし上原謙。彼が実際にバスを運転して撮ったオールロケの作品です。  音楽も作品の雰囲気を充分汲んでいて、独特のほのぼの感を上手く出してますね。 「台詞の棒読み」がはじめビデオで観た時は気になったが、スクリーンで観た時はバスのスピードを含めて全て計算なんだろうなと感じる。そして、これがむしろ心地よくなる。翌年の「花形選手」の行軍なんかもそうですね。  製作時の伊豆の山と海岸線の風景、バスの後ろに乗っかるために笑顔で追いかける学生など、窓から見える風景に文句のつけ様がないし、一方、車中でも水商売の女・桑野通子がゆったりとした口調でたまに毒を吐いたりするのが面白い。東京へ行く娘の母がみなに羊羹を差し入れるが、桑野には勧めない。桑野は「甘いのは駄目」とウイスキーを取り出して、男達に勧めるシーンなんかは特に好きですね。  ほのぼのとしたロードムービーとしても充分に面白いのですが、その中で、街道・トンネル工事に転々とし、父を失った朝鮮人(日本併合)の娘の言葉であったり、車内は東京へ売られていく娘を軸に展開したり、当時の社会模様をしっかりと反映させている。大きくないバスが伊豆の山中をひたすら進むというシンプルな話なんですが、観るものを魅了させます。傑作!
[映画館(邦画)] 9点(2007-08-02 12:08:08)(良:1票)
106.  初春狸御殿
市川雷蔵が、姫御殿で幾人もの姫様と連続して(多分7人までは数えた、若尾のシーンを入れて9人かな)踊り戯れるシーンは、大映名物の特大スタジオを奥行と横をフル活用した豪華絢爛のシーンですね。凄くお金がかかっているんじゃないかと思いました。  若尾文子と市川雷蔵のドアップに流石にうっとり。中村雁治郎の狸姿には笑いつつ、唖然、脚の長い水谷良重。若さがとにかく目立った中村玉緒、勝新太郎。あと、河童ギャルのアレには、昨年の紅白歌合戦の物議を呼んだウェアを想い出しましたよ。とまぁ、新春のかくし芸大会みたいなお祭りモノで、当時は年始に映画館でこういうのを観て楽しんだんですね。  力を抜いて楽しむ映画です。(1月、NFC「ミュージカル映画特集」) 
[映画館(邦画)] 5点(2007-08-01 13:32:33)
107.  銀座二十四帖
ここまで、銀座の街を徹底的に撮るとは・・・ もう物語云々よりも「銀座を撮る」という方を優先しているようにもみえる。森繁さんのナレーションも銀座の歴史・広さなどの統計や全国の「○○銀座」まで様々な角度から調べ、紹介しているし、ヘリで銀座の全景を撮ったりしている。 ジョッキーとして森繁久弥を起用したのは成功だと思う。  その分、物語については面白味は感じなかったが、街を舞台としているので川島さん得意の演出(狭い所で動かす)は発揮しずらい環境もあったかと思う。 その中で、北原三枝は素晴らしい。美しい容姿にときにはコミカルで溌剌とした動きが凄く好感が持てる。彼女がズッコケル、三越のモデルショーのシーンなんかは最高でした。 銀座をここまで撮った作品は他には無いという意味で価値はあるし、楽しめる一品でもある。(NFC「川島雄三特集」)
[映画館(邦画)] 7点(2007-08-01 12:44:26)(良:1票)
108.  愛のお荷物 《ネタバレ》 
川島先生日活第1作。 蛙とその鳴き声から物語が始まり、日本の人口増加問題の深刻化について加藤武のナレーションが入るのですが、途中、どんどんテンション上がっていく。もう川島独特の切り口が堪らない。  序盤の国会(厚生委員会)シーンでの山村聡(厚生大臣)と菅井きん(野党議員)の質疑の応酬、秘書官(小沢昭一)が答弁書を大臣にサッと入れたりする場面などは、本物さながらリアルです。ヤジとそれに反応して爆笑する場面まで演出されていて面白い。  風刺喜劇と言っても、トーンは若干落ち着き加減。その分、洒落ていて川島監督独特の癖・ドタバタも所々に出ている。とにかく人を動かしてテンポを出す演出方法には恐れ入ります。  豪華なキャストも魅力で、小沢昭一やフランキー堺、三橋達也に山田五十鈴も出演。その中でも、東野英治郎の仮病を使うシーンなんかは好きですね。山村聡を仮病を使って丸めこむのですが、娘が「まるで東野英治郎のようだわ」ってウケました。  北原三枝のナイスプロポーションにうっとり。才色兼備の大臣秘書役はピッタリ。 ラスト、みんなが倒れてドタバタする川島らしい終り方が○。
[映画館(邦画)] 8点(2007-08-01 12:31:39)
109.  東京マダムと大阪夫人
あひるがギャーギャー鳴くシーンと共にナレーターが入る。「川島劇場」のはじまりです。これは、もう口喧しい主婦達をモジっていて、主婦の集団が歩くたびに「ギャ、ギャ、ギャ」と鳴き声を入んですが、もうこんな事するのは川島さんだけでしょうね(笑)  隣同士のバトルが、いつの間にか夫婦喧嘩になったり、かたやぶっきらぼう豪快な性格の高橋貞二の恋模様や。課長の妻の如何にも【噂・製造機】的なキャラが絡んだりと、情報量が多いんですけど、庶民的な雰囲気を持ったうえでテンポの良い演出。要は、松竹調に収まりつつ、その上に川島さんの個性が出ているんですね。  作品的には大きな意義はないんですが、プログラムピクチャーの目的を大いに果たしていると思う。こういう小品的な作品って少ないのですが好みです。  芦川いづみは本作でデビュー。北原三枝、月丘夢路に三橋達也と川島さんの常連が登場してきます。このメンバーだけみるとなんか松竹っぽくないんですが・・・、要は、みんな川島さんを慕って日活に移ったんですかね。  ラピュタ阿佐ヶ谷「月丘夢路特集」及びNFC「川島雄三特集」にて鑑賞
[映画館(邦画)] 8点(2007-07-30 16:14:52)
110.  天使も夢を見る
これはまさに松竹得意のメロドラマ調。ちょっとあり得ない展開が続くのだが、しかし、川島節・ユーモアが散りばめられており、ただのメロドラマにしていない。  特に、鶴田浩二・佐田啓二がそれぞれ社長とやり合う場面においてはテンポの良さとユーモアが込められており痛快。30数席の狭い会場が爆笑!メロドラマに喜劇的な要素が融合し、実に気持ち良い作品であった。 個人的には川島雄三はこの辺りから、悪癖が抜けてウケの良い作品を作り始めたかなと思っている。  フィルムがボロボロで途切れる場面が多かったが、逆にこういう作品を上映してくれた事にも感謝しないといけませんね。 (ラピュタ阿佐ヶ谷 津島恵子特集にて)  
[映画館(邦画)] 6点(2007-07-30 16:04:05)
111.  鶴八鶴次郎(1938) 《ネタバレ》 
山田五十鈴、長谷川一夫の共演。鶴八鶴次郎って、はじめ一人の名前なのかと思っていたが、三味線の鶴八と太夫の鶴次郎の男女コンビだったんですね(恥ずかしい・・・)。  驚いたのは演技力です。山田五十鈴、長谷川一夫という名前関係なく、とにかく上手いと思った。「在りきたりの台詞」をいうにも今の役者さんだと、何か不自然さを感じてしまうのだが、この二人の立ち振る舞いは自然です。  特に、山田五十鈴は21歳だと思うが、30近くの長谷川一夫に対して啖呵を切る振る舞いは、一人の大人の女性としても堂々としている。他の女優と比べても才能と経験値が抜けていたということなんでしょうか。出演が多い50年代の作品になると、円熟味を増し成熟した演技が観れるのですが、若い20代の作品を観る機会が少ない(戦争前後)のは残念です。演技力には当然「芸」も入ります。いやーお二人の三味線ユニットは素人目からも相当上手くみえる。  二人の恋と芸の物語であり、ラストは泣けます。こういう余韻を残す終わり方は大好きですね。でも、その後の長谷川さんがお酒飲んで説明する所はいらないかな。後期の成瀬監督であれば絶対省いたと思います。
[ビデオ(邦画)] 9点(2007-07-30 15:56:05)
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