1261. チルファクター
《ネタバレ》 緊張感あり、笑いあり、これぞ安心して見られる定番のエンターテイメントムービー。 その中でも今作は、ストーリーが非常にわかりやすいうえに、テンポが抜群に良いので、かなり完成度は高いと言えます。 序盤の『エルヴィス(新型枯葉剤)』の実験の惨劇の迫力はすさまじく、このシークエンスがあることによって、エルヴィス争奪戦の緊迫感に拍車がかかります。 また、ブリナー大佐が道を踏み外した経緯を考えれば、重く暗くシビアになりそうなストーリーなのに、アルロ(キューバ・グッティングJr)の存在が良い意味でカンフル剤となって効いています。アルロとメイソンのかけあいが本当に面白くて、全体の雰囲気を壊さない程度に、エンタメ指数を2割増しくらいにしています。 次々襲い掛かるピンチを、二人が次々と絶妙なコンビネーションで切り抜けていくので、小さなカタルシスをずっと感じることができる心地良さがあります。これが娯楽B級映画の最大の長所ですね。 ブリナー大佐はほとんど被害者でもあるうえに、軍は結局何の犠牲も払っていないのでどうかと思いますが、そんな難しいことは考えずに気楽にアルロとメイソンを応援して楽しむ作品でしょう。 秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2016-01-11 04:26:09) |
1262. リディック
《ネタバレ》 前作『ピッチブラック』にしろ、『リディック』にしろ、奇想天外な宇宙や惑星の構築はなかなか魅力的。 今作では『昼は700℃、夜はマイナス300℃』という惑星クリマトリアが登場。『昼』に追いつかれると一瞬で焼き尽くされるという舞台設定はかなりスリリングで迫力があります。 更にはこの状況に『看守』VS『リディック+囚人’S』VS『ネクロモンガー』を放り込んでバトルを繰り広げた展開がアツイ。 そして映像。700℃の惑星に人が焼き尽くされるシーン、ロード・マーシャルやエアリオンの移動映像、体毛の色が攻撃的になると赤色になる獣など、映像の面白さだけでかなり楽しめる作品です。 ですがどんなに凄い映像であってもいつかは目が慣れてしまいます。 やはり大事なのは外見(映像)ではなく中身(ストーリー)だと思います。 ひとつひとつのシーンに使われる映像、アイデアは目を見張るほど素晴らしい出来であるにも関わらず、そのどれもが使い捨て状態でつながりが希薄です。『こんなこと思いついたのでやってみました。』という発表会を見ているようで、ストーリーは二の次にされている印象を受けます。ストーリー重視で映画を楽しむタイプの人はまずのめりこめないでしょう。 もちろん、ストーリーを活かすのはやはり映像だとも思います。 この映像技術、世界観であれば、脚本次第で類を見ない傑作になっていたと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2016-01-11 00:14:26)(良:1票) |
1263. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
《ネタバレ》 エピソードⅠ~Ⅲの中では一番良かったように思います。 雰囲気やストーリーが好きなのは個人的にⅠなんですが、ⅡやⅢが本来のスターウォーズの姿なのでしょう。 特に、ヘイデン・クリステンセンの演技・殺陣が前作より格段に良くなったことで、彼の葛藤、悩みが痛いほどに伝わってくるのが良いですね。 そして今作は、ジェダイの騎士が何故いなくなってしまうのか、その過程が衝撃とともに描かれる、この悲しいエピソードが最大の見所かもしれません。 旧三部作を知らないにも関わらず、ジェダイの騎士たちが次々と裏切りによって倒されていくのは胸が苦しくなります。 コマンダー・コーディーが、ケノービに落としたライト・セーバーを渡して、『これが無いと困るでしょう。』と爽やかな笑顔とともに渡すシーン。その直後、パルパティーンから連絡を受けて、即ケノービを撃ち殺す命令を下すコーディ。この絶望への切り返し。この即裏切り行動をとる切り返しが最も端的にクローン兵士の恐ろしさを感じさせて素晴らしい。これからジェダイの騎士たちに何が起こるのか、その惨劇を予感させる見事な演出と言えます。 ラストで、レイアとルークがそれぞれの育ての親に預けられたとき、一刻も早く続きが見たくなりました。 このシーンがあることによって、悲劇から生まれた一筋の希望を感じられて救われます。 それにしてもアナキンは、パドメを救いたいがためにすべてを犠牲にしたと言っても過言ではないのに、パドメ亡き今どうやってモチベーションを持続させるのか疑問です。ただエピソードⅡで帝国制の構想をパドメといちゃいちゃしながら語るシーンがあったので、それなりに自分の理想に近いかたちの平和構想を実現できた、とも考えられますね。 まあ何にせよジェダイの騎士がライトセーバーをぽろぽろよく落とすことを除けば本当によくできているのではないでしょうか。 ヨーダもまず初めに、『ライトセーバーを落としそうになったら、フォースを使ってすぐ回収!フォースをいつ使うの?今でしょ!』ってことを、まず最初に教えるべきだと思いますね。 [DVD(字幕)] 7点(2016-01-08 13:10:34) |
1264. スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
《ネタバレ》 エピソード1から引き続き鑑賞。前作から約10年後のお話。 前作同様素晴らしいグラフィックに息を呑むバトルシーン。 今作では終盤に、『ドロイドの大軍』VS『ジェダイ騎士全軍』という熱いバトルが繰り広げられます。 それでも圧倒的な物量で責めるドロイドの大軍に、ジェダイ騎士たちは大ピンチに! そこへ颯爽と現れるのが、ヨーダ率いる『クローン軍団』。旧三部作を見たことがない自分にとって、これがかの有名な『ストーム・トルーパー』かと感動ものです。 この『ストーム・トルーパー』はガンダムでいうところの『ザク』のような存在感で、ダサかっこいいとはまさにこのことです。戦艦同士の戦争に、初めてザクが投入されるような興奮を味わえるわけです。 そして古代、現代、未来のごった煮の世界観は相変わらずで、まるでファイナルファンタジーやファンタシースターといった有名ゲームのよう。ゲーム好きにはたまりません。 ただ、ストーリーに関しては全く興味をひかれません。 正直このストーリーって面白いのでしょうか。 これだけキャラクターが出ていて、魅力あるキャラクターってどれくらいいます? 少なくとも主演の3人、オビ=ワン・ケノービ、アナキン、パドメは、もっとヒーロー性とヒロイン性が必要でしょう。 ドゥークー伯爵もラスボスとして『華』が無さすぎ。ジャンゴはまるでゲームキャラのよう。 主要キャラクターたちを含め、登場人物の誰もが、まるでストーリーをなぞっているだけのように感じるので、決められたシナリオの中で打ち合わせどおりに動くコマにしか見えません。 ラブストーリーはしつこくて退屈。 ヘイデン・クリステンセンは大根もいいとこ。 映画は必ずしもメッセージ性や哲学が無くても良いと思っています。見ていて面白い、楽しい、ワクワクするという時間を過ごすことができれば、それだけで見る価値があります。 この作品はストーリーに関しては、全く面白みも新鮮味も足りません。ハラハラドキドキすることも無いし、爽快感も足りません。ですが、『シリーズものの第二作目なので絶対に避けては通れない』という立ち位置にいます。悪く言えば、その立ち位置に甘んじているという見方もできるわけです。本当にファンを大切にするのであれば、みんなが避けては通れない第二作目こそ傑作にする意気込みが大切だと思うんですけどね。 ストーリーあっての映像、映像あってのストーリー。これだけ迫力ある映像、ヴィジュアルでも、それだけでは物足りないものなんですね。 [DVD(字幕)] 6点(2016-01-03 12:41:57) |
1265. ダブルタップ
《ネタバレ》 予想以上に骨太で完成度の高いアクション。一般的な娯楽アクションとは一線を画す強烈な人間ドラマ。 血の匂いが、痛みが、こちらにも伝わってきそうなほど臨場感を感じる演出。 初めのうちはぬるい射撃スポーツのストーリーだったのに、その中でも不穏な空気を作り出す伏線はちゃんと張ってあったのですね。 決して楽しんで見られるような作品ではないのに、リックが射撃場で警官を次々と撃ちぬいていくシークエンスは、不謹慎ながらも熱くなるものを感じてしまいます。少なくとも、人を撃ってしまう事で、リックのようになってしまう人は少なからずいるでしょう。そう考えると、日本は銃社会でなくて本当に良かったと感じさせてくれる1本です。 警察のほうにも、多少の非があるだけで、なんとなくリックの行為に正当性を感じてしまう、この気持ちが恐ろしいものですね。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2016-01-02 15:44:04) |
1266. ウォーク・トゥ・リメンバー
《ネタバレ》 ずるい映画。そりゃあ白血病をもってくれば、感動するし、泣くに決まっています。 たいていのお約束は笑ってスルーできる自分ですが、『私白血病なの』だけはなんか許せんなー。 青春もの、学園ラブストーリーとしては王道をいくまともすぎるほどまともな作品。 おとなしめの女子が、不良っぽいけど実は良いやつとくっつくお話。あるある探検隊も真っ青なよくある設定。 正直ここまで優等生な作品だと、安心して見られますし、俳優陣の演技も悪くない。 そう、一言でこの映画を評するならば、『そんなに悪くない作品』なんですよね。 まあ、それでも『泣いた映画は7点以上』の自分ルールにしたがって、今作も7点です。 え?結局泣いたのかって? そりゃあ誰が見たって泣くに決まってますよ、こんなもん。 だって白血病ですよ、白血病。泣かせ系ドラマの禁じ手ですよ。『どうすれば神を恨まずにすむの』ですよ。気丈な彼女が本音をもらしちゃうんですよ。ヒ・キョ・ウです。 [DVD(字幕)] 7点(2016-01-01 23:49:39) |
1267. スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス
《ネタバレ》 ちょっと恥ずかしい勘違いをしていたので修正。現在公開中の新作は『エピソード7』にあたるらしいので、やはりエピソード『4、5、6、1、2、3』で見るべきでした。ミスったな。 それにしてもこの作品は、映画単体として見た場合、説明が多く若干間延びする感があります。特に政治的なお話ってもう少しわかりやすくならなかったのかと思います。 それに、共和国に必死の思いでたどり着いたのに、結局共和国は何の力にもなれず、結果自分達の力だけで通商船団を壊滅させちゃうわけだから、序盤のナブー脱出の経緯が全くの無駄なんですよね。つまり、メインストーリーがあまり面白くない。 ただ、ヴィジュアル・アイデア・発想という面においてはさすがのスターウォーズであり、ジョージ・ルーカスであります。他のSF作品の追随を許さない圧倒的な独創性と世界観の構築。世界中の映画ファンの多くがこのシリーズに魅了される気持ちが少しだけわかりました。 個人的には、原始的な生物や原住民が、シールドやエナジーボールといった超近代的な兵器を当たり前のように使う、このアナログとデジタルの融合がたまりません。関係ないんですけど、漫画の『ワンピース』は、絶対このシリーズの影響を受けていると思います。 また、シリーズものとして、いかにも『続きますよっ!』って感じではなく、これはこれで一つのストーリーを完結させたという点は大きく評価したいと思います。これぞ映画でしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-31 14:43:38) |
1268. 光の旅人 K-PAX
《ネタバレ》 ケヴィン・スペイシーも良かったのですが、ジェフ・ブリッジスがかなり良いですね。 今作の主役はどちらかと言えばジェフ・ブリッジス。 さて、今作のように、結末・真相に白黒はっきりつけないタイプは、相変わらず自分とは相性が悪いようです。 とは言え、まだ学会で発表されていない、それどころか解明もされていない謎まで解き明かしちゃっているわけですから、これはもう『プロート=K-PAX星人』と認めざるをえません。 また、『紫外線が見える』『犬の言葉がわかる』というのもK-PAX星人であるという有力な証拠でしょう。 ですので本作で彼が何者なのかをはっきりさせなくても、彼をK-PAX星人として見ることはできます。 問題はそれを周囲が完全に認めないまま、催眠療法という曖昧で安易な方法を用いて真相に迫る展開がどうにも好きになれません。そして映画も、この辺りから急にダラダラしたものになるんですよね。 それに、患者たちが何故それほどK-PAXに行きたがるのか、その説明も不十分で説得力に欠けます。 更に言うなら、みんな精神病に収容されるほど精神に異常をきたしているようには見えません。 この作品自体が、音楽と雰囲気で何となく良い映画っぽくごまかしている印象があります。 それでも中盤までの、特に天文学者たちとのエピソードまでの流れるようなストーリー展開は素晴らしいの一言。 これは二つとない傑作の予感を感じたものですが、それ以降ラストまではひたすら失速。 惜しいです。 [DVD(字幕)] 6点(2015-12-31 02:45:16)(良:2票) |
1269. ピッチブラック
《ネタバレ》 SFチックでホラーテイストでアーティスティックな作品。それでいて、古さと懐かしさも感じる味わいがあります。 リディックのような典型的なダークヒーローが好きなので、彼を見ているだけでも楽しい。 手堅く地味な作りなので、期待していたほどにはリディックは暴れません。超人的でもありません。物足りなさを感じますが、シリーズものの1作目ということなので、これくらいのほうが次回作への期待は高まります。 ストーリーがかの有名な『エイリアン』に似ているため、あちらのファンの方にこきおろされちゃうのは仕方がないと思いますが、個人的にはこの小粒感がなんとも言えずB級ぽくてクセになります。 それに、一人一人の説明を極力端折っているにも関わらず、これだけ脇役一人とっても個性がはっきりしているのは素晴らしい。行動やファッション、セリフだけで個性を確立させているわけですから、人物描写が上手なのかもしれません。 そして昼間の惑星と宇宙の、これぞSFとうなされる映像センス。このヴィジュアルはたまらないですね。 ストーリーとルール設定上仕方が無いこととはいえ、日蝕が始まってからはもう真っ暗で、緊迫感やホラーテイストの要素は強くなりますが、それでも面白さ2割減といったところでしょうか。 ふりかえってみれば、オープニングから惑星不時着までがこの作品のクライマックスであり、惑星についてからはよくあるモンスターSFになっちゃってますね。でもまるでゲームに出てきそうなこの世界観だけでも十分に楽しめる良作でしょう。 リディックがラスト直前に、本気で一人だけ逃げようとしていたのはちょっと残念でしたね。それじゃあ凶悪犯というよりただのせこい奴じゃないですか。あそこでキャラがぶれてしまって、大きく減点。それ以外はかなり良いと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-30 13:44:47)(良:1票) |
1270. ベッカムに恋して
《ネタバレ》 友情あり、恋愛あり、家族ドラマありと、思っていたよりドラマ性のある飽きさせないストーリー。 個人的にはもっとサッカー主体のサクセスストーリーを期待していたんですけどね。 家族との確執、恋愛エピソードはもう少し控えめに、味付け程度に。そんでサッカーでライバルがいたり、挫折があったりして、それを乗り越えていくまっすぐなサクセスストーリー。まあ見る前から勝手な想像をするのは自分の悪い癖だとしても、サッカーやトレーニングの描写が思っていたより遥かに少ないのは物足りないです。 ただ、これはこれで楽しい作品。あくまでエンタメ作品の様相を保ちながら、これだけ異文化の障害が非常にわかりやすく描かれているのはポイントが高いです。 正直インドって、『何でもOK!』みたいな朗らかでおおらかな国民性をイメージしていたんですが、これを見る限りでは全然違いますね。むしろ閉鎖的で伝統、格式、世間体を重んじる、昭和の日本みたいです。 その昔ながらの文化、伝統が、まさに異文化交流を通して少しずつ変わっていくその様子が自然な形で見てとれます。グローバル化ってこういうことなんでしょうか。 主人公の父親のキャラがぶれているのが気になるのと、コーチとの恋愛が不自然すぎるのを除けば、全体通して爽やかな青春異文化ストーリー。 なかなか良いんじゃないでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-28 12:49:22)(良:1票) |
1271. ロミオ・マスト・ダイ
《ネタバレ》 思ったより話が複雑。表向きは黒人グループと中国人グループの縄張り争い。裏では黒人グループのNO.2がボスの失脚を狙って、中国人グループのボスと手を組んでいる。中国人グループのほうは、ボスが自分の息子をNO.2に暗殺させる。でも息子は二人いて、そのうちの一人は刑務所にいる。それがジェット・リー。脱獄して、弟を殺した犯人を捜す。調べているうちに、黒人グループのボスの娘と仲良くなっちゃう。二人で協力する。黒人グループのボスの息子が暗殺される。 これだけでも結構複雑なのに、ここに中国グループと、黒人グループの取引相手である第3勢力のロスってやつが絡んでくる。ようは大きなプロジェクトのための地上げなんでしょうが、実はこのロスと、二つのグループの取引内容が一回見ただけじゃよくわからないのです。 タイプ的には、気楽に見たいエンタメ作品なのに、気楽に観ていてちょっとわからない部分が出てきたのです。 この物語のわかりにくさが足をひっぱって、ラストのアクション、そしてその決着によるカタルシスを削いでいる気がするんですよねー。 ジェット・リーのアクションと、モーリスって脇役のキャラは凄い良かったんですけどね。 でもストーリーを理解するためにもう一回見るかと問われれば、「モーイイッス。」 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2015-12-27 22:24:16) |
1272. ドラキュリアIII 鮮血の十字架
《ネタバレ》 雰囲気やヴィジュアル、舞台設定は好きなんですが、この内容だったら前2作のほうが面白いです。 まずドラキュリアがただのジジイになってしまった。魅力も威厳もほとんど無くなっちゃって、悪のカリスマのごとき面影はもはや皆無。これが一番イタイです。 次に、フィールドが広すぎます。状況説明が大雑把すぎます。ここまで雑だと、どんなストーリーであれ全然物語に気持ちが入っていきません。 ちなみに、思わせぶりな伏線の7割くらいは全部ほったらかしです。このあたりは『Ⅱ』のほうがかなり丁寧です。B級ホラーだからって、ストーリーや人物描写、編集をおざなりにするとこうなっちゃうんですね。やはり最低限の丁寧さや前後のつながりってのは大事にしてほしいものです。 ミイラ取りがミイラになるオチは良いけど、『前準備が適当だと、オチだけいくら頑張っても上手いことオチない。』ということがよくわかります。 好きなジャンルなので、さんざん文句言っときながら、普通に最後まで見れちゃったんですが、ほとんどの人は途中で寝るか、途中下車すること間違いないですね。映画だけなら2~3点くらいでしょう。好きなジャンルだからこの点数です。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-22 13:56:38) |
1273. ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
《ネタバレ》 技術の進歩は素晴らしい。ただただその映像美と迫力に酔いしれます。最高です。 正直、ストーリー、脚本だけでいくと7点くらいなんですが、映像技術の素晴らしさに+1点です。 個人的には、今作もⅠには及ばない、というより、テイストが違うので個人的な好みからいくとⅠのほうがやや好きかも、というほうが正確かもしれません。 ただ『チームプレイ』という意味においては、今作はシリーズ中最高に面白いのではないでしょうか。 ラストプレイで、それぞれの戦いが同時に決着した瞬間、核ミサイルが起爆せずにぶつかっただけで海に沈んでいくときのカタルシスは鳥肌ものです。 ついでに言うと、シリーズ中もっとも笑いのレベルが高かったのも本作かもしれません。それもシリアスなストーリー展開の中に、ごく自然に、おちゃめで天然なやりとりが入ってくるのだからたまりません。 走る列車。ATMのように機械音声で冷静に『網膜スキャンします』。この時点でもう腹筋やばいです。 ドバイで。『コンピューター室に外から入るしかない。』『何階だ?』『130階』『130階?』『換気ダクト。』『センサーが』『ムリだ。』『エレベーターシャフト』『センサーが』『ムリだ。』このやりとりで腹筋が崩壊しました。更に手袋の説明で、『ブルー(青)はグルー(くっつく』『じゃ、レッド(赤)は?』『デッド(死)』でダメ押し。 シリアスなシーンとコメディパートの緩急のつけ方が良いんですよね。 1シーン1シーン、スパイグッズ1つ1つが新アイデア満載で面白い。ただあまりに見所がありすぎるがために、一本の映画としてのまとまりに欠けているような気もします。 悪役に華が無いのも辛いところか。ヴィジュアル的にも魅力満載で異彩を放っていたサビーヌ・モロー役のレア・セドゥーは、惜しくも途中退場。ただ彼女もオープニングでは悪のカリスマごとき立ち居振る舞いだったのに、ドバイでは普通の人でしたね。なんかキャラ設定が惜しい。できればラストまで天才暗殺者のような立ち回りでイーサン達の前に立ちはだかってほしかったです。 このシリーズはどれもテイストが違うのに、それぞれがそのテイストにふさわしい完成度をほこっているのが何気に凄いです。 特に撮影技術は素晴らしく、その中でも本作は最高峰。 ローグ・ネイションが今から楽しみです。どちらも映画館で見たかった~。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-12-21 03:27:18)(良:3票) |
1274. オーロラの彼方へ
《ネタバレ》 タイトルから純粋なヒューマンドラマを勝手にイメージしていのですが、実際はサスペンス色の強い娯楽ムービーでした。 後半に進むにつれて、サスペンス色はどんどん強くなり、『交信』はもはや犯人を出し抜く裏技を使うためのギミックと化してしまいます。ただそれによってエンターテイメント性の高い作品へと昇華されたのはまぎれもない事実。どちらかといえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に近い、B級エンタテイメントのノリかもしれません。 こういうアイデアは『パラレルワールド』になるという考え方が一般的になってしまっているので、過去の行動が変わることによって現在に突然影響が出始める演出は、気にしないようにしてても、どーしても違和感を禁じえません。 『父親が死ぬ』⇒『母親が仕事を休んでかけつける』⇒『医療ミスにより殺人鬼死亡』という本来の道筋が、『父親が生きている』⇒『母親は通常通り出勤』⇒『医療ミスを防ぐ』⇒『殺人鬼が殺人を継続』⇒『母親死亡』という道筋に、未来が書き換えられてしまうという、わかりやすく面白いプロット。つまり決してつまらない作品ではないのですが、題材が自分には合わなかったみたいです。 『記憶の設定』に一貫性がないところも気になって仕方がない。本作では『記憶』に関する部分が、本来最もデリケートで難しいはずなのに、そこんとこのルール設定が非常にあいまいなのは辛いところ。 万人受けするのもわかりますし、見ていて飽きないのですが、気になる点が多すぎて物語に集中しきれませんでした。 ってゆーか邦題により変な先入観持たされたのが一番まずかったかもしれませんね。 ついでに言うなら、父親が助かった代わりに、死ぬはずではない運命だったナイチンゲールが一人だけ殺されたままです。もしその人の子供や家族が30年後の未来にいたとすれば、その人たちの存在や未来は大きく塗り替えられてしまったわけです。 そういった事実があるかもしれない一方で、自分達だけハッピーエンドっていうのはいかがなものでしょうかね。 [DVD(字幕)] 6点(2015-12-18 05:11:40)(良:1票) |
1275. エンジェル・アイズ
《ネタバレ》 久しぶりに『心にくる』映画でしたね。 事故ですべてを失った人の悲しみと再生を、共感、応援、後押し、愛情といった感情表現でストレートに表現した感動作。 こういったプロットってバランスが難しくって、場合によっては現在の彼女が可哀想に見えることもあるでしょうし、その逆に亡くなった奥さんと子供が可哀想だと映ることもあるかもしれません。 ところがこの作品にはそのどちらもない。 なぜならキャッチ(=スティーブ)が、奥さんと息子をいかに愛していたか、ということが痛いほどに伝わってくるからです。そして事故を起こしてしまったことを、いかに悔いて、嘆き悲しんでいるかということが、これでもかっていうくらいに伝わってくるからでしょうね。だからシャロンとキャッチの二人の再生を素直な気持ちで応援することができます。 これはもうドラマ好きにはたまらない作品でしょう。 希望と人間愛に満ちた類まれなる傑作。 そして、ジェニファー・ロペス、ジム・カヴィーゼルをはじめとて、出演者のみなさんが素晴らしい。特にキャッチの義母とシャロンの相棒が、それぞれキャッチとシャロンの精神的な支えとして大変重要な役割を果たしています。 客観的な眼差しで、それでいて暖かくシャロンとキャッチを見守る『二人の目』がなければ、この作品の評価はまた全然違ったものになったかもしれません。 今作で唯一難癖をつけるとしたら、やはりシャロン側の家族でしょうか。特に父親の器の小ささもそうだが、呼ぶだけ呼んどいて、勇気を出してやってきたシャロンをだれも気遣ってあげない態度は許せん。 [DVD(字幕)] 9点(2015-12-16 06:46:01) |
1276. バトルフィールド・アース
《ネタバレ》 ラジー賞を総なめにして、ここのサイトでぼろくそに言われちゃって、僕くらい何か良いとこ見つけてあげよーかなーって思って見ていたんですけど、・・ないなー。全然見当たらないなー。まあ強いて言うなら、荒廃した地球の映像と、惑星サイクロのビジュアルはかなり好きです。雰囲気あります。 あとはもう・・・悪くはないんですけど、単純なんだか複雑なんだか、わかりやすいんだかわかりにくいんだか、大人向けなのか子供向けなのか、本気なんだか冗談なんだか、よくわからないんですよね。 登場人物の掘り下げがないまま、ストーリーだけがどんどん進行していく。一つ一つのエピソードが超つまんないうえに、関連性が弱く、つぎはぎのような印象を受ける。なんと言ってもこーゆー映画は、反撃のカタルシスに酔いしれる瞬間が最高なのに、そのカタルシスも弱い。 なぜかって言うと、準備段階から、いったい何をしようとしているのかがいまいちわかりにくいのですよ。それは敵も味方もなんですけど。よっぽど『見せかた』がまずいんでしょうね。そんな難しい映画じゃないはずなのに・・。 ただ惑星サイクロが爆発するシーン、あそこだけ異様に気持ち良いんですよね。 そしてそのシーンを見たときに、この映画を以前見たことがあることに気付いて、ちょっとびっくり。 残りの人生であと何回かこれとおんなじことを繰り返すのかもしれない。 貴重な人生なのに。なんか無駄にしている気が・・・。恐ろしい作品だ。 [DVD(字幕)] 6点(2015-12-14 04:04:15)(笑:1票) |
1277. ドラキュリアII 鮮血の狩人
《ネタバレ》 個人的には前作より面白いです。 ヴァンパイアに限らず、登場人物の誰もが狂気をはらんだ雰囲気をまとっているのが面白い。恐怖演出も前作より現実味があってパワーアップしている感じがします。 口の中を調べていたら、突然キバが伸びて指を切ったり、そこから少しずつ侵食されていったり、なかなかファンタスティックな演出。 ストーリーの面でも、教授が人間サイドの黒幕として存在し、最後にサプライズをお届けするっていう発想も凝っていて良いですね。 私利私欲にまみれた教授とその友人の卑小な悪役ぶりを見せ付けられると、ヴァンパイアの純粋悪が際立って、もはやダークヒーローの威厳さえ感じます。 前作とのつながりもちゃんとあり、『実はキリストもヴァンパイアだったんだぜ』ってなことを匂わせてからの背後からズドン。ヒロインとユダが手を取りあってエンドクレジットって、なかなか良いんじゃないでしょうか。 ユダを怒らせて顔を食いちぎられた人が、結局吸血鬼として蘇ったときのヴィジュアルがエキサイティングで最高。 本当は8点くらいつけたいのですが、途中若干ダラダラしたので7.5点くらい。とりあえず7点で。 タイトルは原題『ASCENSION(キリストの昇天)』のほうがかっこいいと思うけど、ネタバレになっちゃいますかね。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-13 17:36:51) |
1278. 助太刀屋助六
《ネタバレ》 痛快なコメディ時代劇かと思いきや、意外とブラックで殺伐としたストーリー。 よく考えたら『仇討ちの助太刀』だったら無理もないです。ただプロローグではなんか楽しそうに助太刀をしているシークエンスを見せてくれたので、そのノリでいくんかなと思ったわけです。 要は、『助太刀屋』なんだから、助太刀で最後までいってほしかったんですよね。 父親を殺されて、その仇討ちを自分でやるのであれば、それはもう助太刀ではありませんから。 『位牌に頼まれて助太刀を引き受けた。』とかわけのわからん屁理屈を言ってはいましたが、そーゆーことじゃないんですよね。 それから歴史に疎い私には、今作で使われている言葉がよくわからないことが多かったです。 ですので、仲代達矢が追われる原因になった事件の真相や、風間トオルがいきなり殺されちゃう理由(真相に気付いたから?)なんかがよくわからないまま、エンディングを迎えてしまったのは残念。もう少しアホな自分にもわかるような説明が欲しいです。 ラストのバトルはなかなか面白い。石をぶつけたり、あっちこっちに隠れたり、死体のフリしたり、助六ならではの戦い方が粋ですね。 見所はその辺と、ラストのオチくらいです。 ラストのオチも予想通りでなかなか良かったです。 [DVD(邦画)] 5点(2015-12-11 12:07:41)(良:1票) |
1279. レッド・プラネット
《ネタバレ》 映像が美しい。画に迫力がある。キャストも良い。ただ如何せんストーリーがつまらないですね。 ストーリーがつまらないというよりかは、ストーリーが生かされていないといったほうが良いでしょうか。 太陽のフレアなんたらに母船がやられたり、そのせいで予定とは全然違う場所に落ちちゃったり、ハブ(基地)が昆虫に壊されていたり、エイミーとかいうロボットが暴走したり、嵐がきたり、仲間が崖から突き落とされたり、トラブルやアクシデントには事欠かないのに、なぜか中だるみしてしまうときがあります。きっと登場人物たちの心の変化、人間ドラマの描写が足りないからでしょうね。 そのために、まるでニュース番組のような関連性のないエピソードをただ並べられただけの内容に、脳が退屈しちゃったのかもしれません。 あとは、機械関係で何をやっているのか、何をしようとしているのかの説明が全くありません。母船がやられたときもそうだし、火星から脱出するときもそうですけど、何をしようとしているのかがわかりづらいと、そもそも興味が引かれないです。 キャストの中ではヴァル・キルマー、トム・サイズモアの二人が凄い良いです。特にトム・サイズモア。かれの自爆シーンは壮絶。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-12-10 14:34:04) |
1280. リーマン・ジョー!
《ネタバレ》 しがないサラリーマンが奮起して、仕事で成功していくような物語を勝手にイメージしていたのですが、ちょっと違いますね。 奥さんが他に男をつくって離婚。仕事は評価されず、出世させてもらえない。そんな折、駐車場のトラブルをめぐって娘の前で後輩の同僚から張り倒されてしまうという何とも悲惨なスタート。それからリベンジマッチへ向けて特訓が始まるわけですが、駐車場のトラブルはきっかけにすぎませんね。 同僚を張り倒すことを目標に掲げたのは、現実逃避のひとつの形です。本当の願いは『自分という人間を認めて欲しい』というところでしょうか。 奇しくも、その願いはすぐに叶います。嫌われ者の同僚にリベンジマッチを要求したことで、一躍社内の人気者に。皆から声をかけてもらえるようになり、友人・知人が増えていきます。 ところがこれに警鐘を鳴らすのが、ヒロインのメアリーに、娘のナタリーに、意外なところで道場の師匠。 元映画俳優である道場の師匠は言います。『映画で売れたとき、人が自分の周りに集まってきたが、落ち目になると皆離れていった。』 あるあるネタですが、この映画でこの台詞が使われるタイミングが絶妙で、胸にジーンとくるものがあります。この台詞こそが、本作のテーマ。 結局はメグや娘のナタリーといった、ありのままの自分を受け入れて、大切に思ってくれて、頼りにしてくれる人間は初めからちゃんといたんだよ、ということですね。 本作の欠点は、『状況説明』の不足。とくに序盤~前半。鑑賞者が状況や人物相関図を理解しないまま、次々とストーリーが展開していくので、前半くらいまではかなり置き去りにされてしまうのが大きくマイナス。 そこに目をつむればなかなかの良作と思われますが、個人的な好みとはややずれがある作品でした。 [DVD(字幕)] 6点(2015-12-10 01:50:03) |