1481. ハイ・シエラ
《ネタバレ》 ハンフリー・ボガートがハイシエラに立て籠もるシーンに「死の谷」が浮かびました。鑑賞後、本作をラオール・ウォルシュ監督がセルフリメイクしたのが「死の谷」なのを知る事に。出世作となったボガートの魅力は感じたものの、起承転結は元旦早々から涙したリメイク作には遠く及ばない。崖から転げ落ちる最期のスタントマンの仕事ぶり(あれで生きてられるのが凄い!)に+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2019-06-12 01:30:21) |
1482. 決断の3時10分
終始物静かなベンは西部劇悪漢キャラらしからぬ存在。ダンの心を見透かすように金で釣ろうとするネチネチぶりに血圧が上がる。甲斐性なしを突かれて金に転びそうになるダンを応援し続けて血圧が上がる「踏ん張れ!」 グレン・フォード、ヴァン・ヘフリンのキャスティングが絶妙 力が入りっ放しの展開を経た結末に釈然としないものを感じていたものがラストショットに消し飛んでしまった。乾いた心にまで沁み入ってくる雨模様が絶品。 異色であり上質の西部劇を堪能しました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-06-10 22:04:53) |
1483. 孤独な天使たち
自分で稼いだ金ならまだしも、親の金で好き勝手する14歳の弟とヤク中アバズレ感満載の異母姉の交流に嫌悪感のみ募る。ラストショットに「だから? 何?」としか思えない。 [DVD(字幕)] 3点(2019-06-09 15:57:37) |
1484. ゆすり(1929)
《ネタバレ》 冒頭からサイレント映画の様相だったのが、8分過ぎからいきなり喋りだしたのにはビックリ。鑑賞後に分かった事情に歴史的価値ある作品である事を知りました。アリスが殺人を犯す迄は退屈でしたが以降の展開は手に汗握るもの。腕の描写を始めとした監督ならではの映像演出にアシストされてのアリスの心情を表すアニー・オンドラの演技が素晴らしい。なので、尻切れトンボの結末の歯痒さに身悶えしました。これは製作者の意向で変更させられたそうで、巨匠も当時は悔しさで身悶えしたのではと想像します。私でも直ぐに分かった結構な長さのカメオ出演シーンはクスッとさせられた出来栄えです。 [DVD(字幕)] 7点(2019-06-09 00:26:13) |
1485. 密告(1943)
カラスは誰なのか? 全員が胡散臭くて最後まで分かりませんでした。二重三重のどんでん返しを経て「誰が」は分かったものの動機が釈然とせずモヤモヤが残ります。お目当てピエール・フレネーの色気に欠ける一本調子な演技にも惹き込まれず。ただ、ナチス占領下のContinental Filmsにて製作された本作は、親ナチスと見せかけた密告奨励の反ナチス作品である点に感じた監督のしたたかさに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2019-06-06 16:47:42) |
1486. ルーキー・ハウス・ガール
ブルック・シールズは50年代・60年代生まれ女優で、キャロル・ブーケ、ジェーン・シーモア、ナスターシャ・キンスキーと共に「この世にこんな美しい人が居てるのか」心底見惚れた記憶があります。お目当ての彼女は「絶世の美女」から「絶世」は取れているもののスターのオーラは健在。肩の凝らない青春スポーツラブコメを楽しめましたが、決勝戦の演出を始めとしてテンプレ感満載の印象薄い作品。 余談ながら、通りかかった娘が「イヤ~ン、エドやないの、何でお母さんが観てるのよ」一時停止して事情聴取。「ゴシップガール」にはまっていてエド・ウェストウィックにゾッコンなのだとか。続きをこの男が娘の好みなのかと思いながら観ておりました。 [DVD(字幕)] 5点(2019-06-03 14:32:16) |
1487. 激怒(1936)
《ネタバレ》 拘置所前の群衆に集団心理の恐ろしさに息を呑むものの、その先の暴挙は現実離れにも程があるものでかえって白けてしまい、あそこから生還できたというのも無理筋で興に乗れません。犯人が特定されないと高をくくっていたゲス共の顔が防犯カメラ以上に鮮明に映っているのに胸のすく思いに。この演出は見事。この先建設的に生きようとする決断は納得させられるが、監督らしからぬものを感じモヤモヤが残る事に。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-31 23:58:25) |
1488. ララミーから来た男
キャストは豪華なのだけど、何の為に出てきたのか分からないキャシー・オドネルを始めとして、お目当てフィリップ・ヨーダンらしからぬ深みの無い脚本で、退屈さだけ味わった残念な作品。 [DVD(字幕)] 4点(2019-05-28 16:37:27) |
1489. 死の銀嶺
「氷壁の女」の元ネタのような山岳映画。安っぽいメロドラマ無しの登山・遭難・救助が描かれています。当時を考えると困難が想像される迫力ある映像ですが、テンポが悪くて重厚な音楽(後年につけられたよう)も相俟って眠い事この上なし。珈琲飲みまくりの鑑賞になりました。90分程にまとめてもらいたかったです。クラフトの安らかな顔が余韻を残します。 [DVD(字幕)] 5点(2019-05-27 01:28:33) |
1490. 巴里の空の下セーヌは流れる
夜明けから翌朝までの一日の物語。多くの人の喜怒哀楽が絡まり合う脚本が実にお見事。最も印象深いシーンは少女に対する彫刻家の優しさで、人の心の奥底は分からない事を示してくれます。聞き覚えがあると思ったらフランソワ・ペリエだったナレーションが過剰なのが玉に瑕。 [DVD(字幕)] 8点(2019-05-25 01:46:56) |
1491. 復讐鬼(1950)
《ネタバレ》 1950年にこのような作品をよくもまあ世に送り出せたものです。見下げ果てた悪党を演じさせたら右に出る者無しであるリチャード・ウィドマーク持ち味全開であるところに加えてのレイシストっぷりは「演じ切る」役者魂を感じました。エキストラの女性がブルックス医師(シドニー・ポワチエ 22歳)に「黒い手で触らないで」と唾を吐きかけるワンシーンにウィドマークの罵詈雑言を上回る当時の世相を見ました。製作者は「黒人だろうが白人だろうが医師として優秀な者を求めている」というウォートン医師の存在を黒人白人皆に観てもらいたかったのだろうと思います。凄い作品を観ました。 [DVD(字幕)] 9点(2019-05-25 01:18:47) |
1492. 魔術の恋
《ネタバレ》 今でもアメリカではマジシャンと言えば第一人者と呼ばれるハリー・フーディーニの伝記ドラマ。存在を初めて知りました。ベスとのなれ初めから成功を収めて亡くなるまで、脚色が加えられているようですが、実に丹念に描かれて見応え十二分。流石にフィリップ・ヨーダンの脚本は見事です。ベス同様にもう余生は穏やかに過ごせばいいのにと思うのですが、命を懸けて観客を喜ばせたい「脱出王」の性が何とも悲しい。実生活でも夫婦の二人の華やかさも、これぞ映画スターの華やかさで見惚れました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-05-23 01:41:30) |
1493. 聖山
レニ・リーフェンシュタールと男二人の三角関係が描かれた山岳ドラマ。当初に謳ってあるように登山シーン、スキージャンプシーン、クロスカントリーシーンの実写の迫力はなかなかのもの。だけど、ドラマパートは3人とも幼すぎて目もあてられない。レニ・リーフェンシュタールのダンスシーンは見せ場なのだろうけど、ダラダラと見せつけられてウンザリ。「もうエエって! 何時までやってんのよ!」 [DVD(字幕)] 3点(2019-05-23 01:26:33) |
1494. ピンクパンサー2(2009)
2006年版未見。時おりいい人になるスティーヴ・マーチンはピーター・セラーズほどのアクが無いものの、豪華キャストに引き立てられてのドタバタコメディが楽しい。「このまま終わるわけないやん」と言わんばかりのラストに爆笑。僅かな出番でも超カッコよかったジェレミー・アイアンズに+1点。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-21 18:34:47) |
1495. 孤狼の血
知人の御親族がエキストラ出演という事が鑑賞理由。なかなか良いシーンのご登場が羨ましい! 反目するヤクザ2組と剛腕刑事三つ巴の闘いは、けたたましさとグロシーンのオンパレードで欠伸連発。頭痛・胃痛に難儀する。これは知人に何と申し上げるべきかの思案が原因か? 自分に正直には申し上げられない。ア痛タタタ。 [DVD(邦画)] 3点(2019-05-20 23:35:00) |
1496. ロープ 戦場の生命線
《ネタバレ》 ユーゴ紛争停戦時におけるNGO団体活動が描かれた秀作。虐殺はおろか一発の銃弾も飛ぶ事が無いにもかかわらず、牛の地雷・十数人の捕虜達・街並みの廃墟・首吊遺体・ぼったくり水販売といったシーンに無残さと人の卑しき心を見せつける脚本が見事。また、ボールの件でNGOと現地人の正義感の乖離は考えさせられる印象深さ。武器を持たず、天下無敵の突破力を見せる事もなく、徒労に終わっても、次の現場に立ち向かう皆様に頭が下がります。作品に華を添えている豪華キャストは彼等に敬意を込めての出演だったのでしょうか。神の思し召しのようなラストショットに救われます。もたつきを感じた展開が何とも惜しいところ。 [DVD(字幕)] 8点(2019-05-20 18:32:36) |
1497. 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。
結婚して子供二人を授かり、家→保育園→パート勤め→保育園→家。気がついたら28年経過している身にとっては何ともホノボノとした オハナシでした。 [DVD(邦画)] 4点(2019-05-20 10:59:53) |
1498. ライアンの娘
《ネタバレ》 初見。テレビの旅番組でも見た事のない絶景は鑑賞史上ナンバーワンであり特筆もの。浅はかな不倫話に観るの止めようかとしたものの、ロージーをその不貞も含めて愛しているチャールズ並びにロージーを只々慕う弱者マイケル並びに村人全員の教師たる神父の存在があって一気に完走できました。ロージーが初めて他人の痛みがわかる事となった身も心もズタズタにされるリンチシーンに於ける村人どもの下劣さは凄まじい。イギリス人監督の視線なのだろうか。神父はハサミを持ってるあの女にこそ鉄拳を食らわして欲しかった。それとあの父親にも天罰が下らん事を願って止みません。続いて行くそれぞれの人生を思わせるラストシーンに深い余韻が。 [DVD(字幕)] 8点(2019-05-19 17:38:56) |
1499. ダンケルク(2017)
《ネタバレ》 監督十八番の映像表現によるダンケルクの戦いを描いた本作。立っているだけのケネス・プラナーを始めとして33万人救出の感動が何一つとして湧き上がらなかった。凝った絵柄(+1点)のニュース映像であって映画としての面白味が皆無の作品。 [DVD(字幕)] 3点(2019-05-16 16:15:26) |
1500. アブノーマル・ウォッチャー
《ネタバレ》 大家のオッチャン。変態だけど見た目は上品・善良・普通の人間、ではなく、見た目そのものがこれ以上ない程気色悪い変態。やる事もこれまた気色悪さマックスの変態。ハズレ作品かと思ったけれど、変態が暴走するだけ、ではなく、出産間近の若夫婦の不倫ドラマが上手く絡まり合ってなかなかの見応え。旦那の浮気現場(そもそも自宅に引っ張り込むのはアカンでしょ)を覗き見するオッチャンの表情が何とも言えない気色悪さ。怒っているのかそそられているのか。迷宮入りしてしまうっぽい展開に無理筋を感じた矢先のラストショット。オッチャンの満面の笑みに驚愕。この結末も無理筋そのものだけど記憶に留まりそう。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-15 20:35:04) |