141. マルサの女
《ネタバレ》 伊丹十三監督が自らの趣味の悪さをぐーっとおさえて、硬派なハードボイルド調に仕上げているところが成功につながったと思う。題材が興味を引くだけではなく、シナリオもシンプルでテンポよく、オープニングの観客をギョッとさせる掴み(そういえば、前作「タンポポ」では、ラストで赤ちゃんがオッパイを飲むシーンがあり、この映画ではおじいちゃんがオッパイを飲むシーンで始まる(笑))、ワクワクする本多俊之の音楽もあいまって、とてもスリリングな映画だった。色使いも原色ツートンにこだわっていてワンシーンワンシーンが印象的。人物の対比も見事で、宮本信子、津川雅彦、山崎努がソファーに座っている場面は、枯山水の庭石を見ているようだった。後半子供がグレてしまう描写にリアリティがなかったのがちょっと残念。 9点(2003-12-16 19:10:00) |