1601. フラバー
《ネタバレ》 こーゆー夢のある作品は大好きです。何より、映像が楽しい。ディズニー映画は映像で楽しませてくれるものがとても多いと思います。 今作においても、フラバー、ウィーボ、ウィーバーという本来無機物である存在を有機的に表現し、その存在感を美しい映像で様々なアングルから見せてくれるから理屈抜きに楽しいんです。 また、フラバーを使ってバスケのシューズに応用したり、車のエンジンに搭載してみたり、このあたりの脚本と演出はかなり気に入っています。これを観ることで、子供たちは化学、ひいては学問というものが実生活において役に立つというものを実感してくれるかもしれません。知的好奇心、知的探究心を育む良い教材になりそうですよ。 まあ悪役の登場や、その懲らしめ方につきましては、あくまでファンタジーの範囲内ですから子供に悪影響を及ぼすほどのものではないでしょう。これと同じレベルの映像作品っていうのは、戦隊物にしろアニメにしろ広く出回っていますからね。 ちょっと横道にそれてしまいましたが、夢があり観ていて楽しいオススメの作品です。登場人物達がみんな、車が空を飛んでいることに驚いていましたが、それ以前に、人と同じ思考回路を搭載するロボットが、自由に空を飛んじゃっていますが(笑)そこはひたすらスルーなんですね。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-02 05:49:35) |
1602. ダウンタウン・シャドー
《ネタバレ》 いわゆる「スパイもの」の映画ですね。これが大変よく出来ていて面白かったです。確かにミッションインポッシブルを連想させますが、こういった作品の雰囲気が似てくるのはまあ仕方がないですね。それに、チームのメンバーがそれぞれの特技を活かし、時間制限の中、数々の難所を突破するっていうのは、たとえお約束であっても楽しいもんです。 本作は、前半がスパイ的な要素が強く、後半になるにつれアクションが増えてきます。個人的な一番の見所は、ジャッカル、キャッシュ、サム(本当は違うけど)、タイタン、フェニックスの5人が協力して、偽札の型番を奪還するまでのシークエンス。ここではスパイらしからぬアクションも結構見せてくれるのが嬉しいです。それに、楽しそうに作戦を遂行するフェニックスが可愛いのです。でも残念ながらフェニックスが登場するのはここまで。ラストまでフェニックスを活躍させてくれたなら、もっと高い評価になったと思います。 後半は、わりと普通のアクション映画と変わらなくなってしまいましたが、それでも十分に楽しめる内容でした。オススメの1本です。 [DVD(字幕)] 7点(2014-05-02 01:47:22) |
1603. コーカサスの虜
《ネタバレ》 娯楽性を一切排除した真面目一色の反戦映画です。そこにはドラマチックな展開もなければ、サスペンスもミステリーもない、事実の連続を淡々と切り取っては画面に映し出していくだけの作品です。 食器を洗うところや郵便事情、家の中の様子や子供たちの遊びなど、普通はそれほどクローズアップされない戦時下にある人々の様子を映し出しているところは大変に興味深かったです。ただ逆に言えばそういった真面目さが仇となり、映画を観ることへの満足感が得られにくかったのも事実です。 逃亡を企ててからラストまではストーリーが大きく動きますので、そこは良かったのです。ただそれまでがはっきり言ってしまえば工夫がなさすぎる展開と演出。それに、長い時間をかけた割には、言うほど捕虜の二人と村の人達に十分な心の交流がなされているように感じられなかったんです。だから、ラストで見逃してもらうのにも、どちらかというと若干の違和感を感じます。ヘリを見送るシーンでもこれから起こることの予想はつくものの、その不条理さがいまひとつ伝わりきれてこないんです。 よく出来ている作品ではありますが、物足りない作品でもあります。 [DVD(字幕)] 5点(2014-05-01 20:52:00)(良:1票) |
1604. バウンド(1996)
《ネタバレ》 久しぶりに本格的なサスペンスを鑑賞できて大満足です。ストーリー、脚本、カメラワーク、スローモーション、全てが効果的に働くとここまで緊張感あふれる作品ができるものかと感動です。そして何より各役者陣の目の演技、表情の演技が素晴らしいのです。まさに演技に見えない演技の世界。目と表情だけで、これだけの緊迫感を伝えられるのはもう見事としか言いようがありません。 あえてこの作品に難を述べるとしたら、最後にまさかのどんでん返しがないという、鑑賞者にとってのある意味どんでん返し。そのまま終わるんかいという、突然の軽いタッチに少々脱力。ハッピーエンドは好きなんですが、本作にいたってはこの終わり方がなんとももったいなく、味気なく感じてしまったのは私だけでしょうか。と思ったら、やはり同じように感じている方がいらっしゃるようで。ですよね。 個人的には絶対ヴァイオレット(ジェニファー・ティリー)が裏切ると予想していました。でもヴァイオレットは最後までコーキーを裏切ることはなかった。その代わり私の予想を大きく裏切ってくれました。・・・なんてね。全然うまくないね。 [DVD(字幕)] 8点(2014-05-01 06:20:42)(良:1票) |
1605. ロング・キス・グッドナイト
《ネタバレ》 設定・ストーリーは凄く好き。記憶を失った良き母親が、実は政府直属の凄腕のスパイであり殺し屋っていうのは、よくある話かもしれませんが、わくわくしちゃいますよね。事故で頭を打ったことで、少しだけ記憶が蘇ったのか、包丁さばきが突然すごいことになるのが最高です。 ですが、このシーン以降、思いの外このおいしい設定が活かされていない気がするんです。サマンサからチャーリーに入れ替わることでの戦闘能力にもう少し差をつけてほしいです。サマンサとチャーリーという二人の人格による心の葛藤がいまいち描ききれていません。せっかくの家族持ちという背景がほとんど効果的に働いていません。ドラマとアクションがうまく融合しているとは思えず、ひとつひとつのシーンの完成度に対して爽快感が薄いんです。 俯瞰して観れば、娯楽作品として充実した内容になっているのかもしれません。にも関わらず、なんか思ったより楽しめなかった本作。観る前の期待値や、ジーナ・デイビスに対する好みの問題をふまえても、意外にいまひとつな作品でした。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2014-05-01 00:38:14)(良:1票) |
1606. 真夏の出来事
《ネタバレ》 本格的なサスペンスかと思って構えて観ていたのですが、思いの外コメディ色が強く、良い意味で肩の力を抜いて鑑賞することができました。サスペンス+コメディというのは苦手なんですが、本作にいたってはシュールさを極力控え、見事なバランスで面白い作品に仕上げていると思います。もちろん、キャメロンディアスやハーヴェイ・カイテルといった役者さんの力も大きいと思います。 全編にわたってピタゴラ・スイッチのような作品でして、タイミングのずれや、不測の事態をうまく使って現状を打開させないストーリー運びは、結構楽しいんじゃないでしょうか。ラストなんてまんまピタゴラ・スイッチで、ちょっと感心します。 おそらくは殺人者なんて最初から一人もいなくて、間の悪い偶然が重ねることで、追い詰められたジョージ(ハーヴェイ・カイテル)が本当に殺人者になっていくっていうのが面白いんです。ジョージが作っといた、多量の精神安定剤入りドリンクをラストのオチにもっていく運びなんかかなり良い感じです。 平均点を見る限りでは、もしかすると観る人によって評価が割れやすい映画かもしれませんが、個人的にはオススメですね。 [DVD(字幕)] 7点(2014-04-30 20:16:26) |
1607. ロザンナのために
《ネタバレ》 予告編とのギャップにまず驚きます。感動のごり押しでくるのかと思いきや、意表をつくコメディタッチ。 心臓病で、余命いくばくもない妻のため、小さい頃に亡くなった娘の隣の墓を確保する。ある意味人生のラストをテーマにしているにも関わらず、映画そのものはドラマチックに、エネルギッシュに、未来への希望さえ感じさせるように展開していきます。このギャップと絶妙なバランスが非凡な面白さを生み出しているのでしょうか。 ただ、触れられている方もいらっしゃいますが、隠し身代金をめぐる一連のどたばたで人が死んじゃったり、マルチェロが死体遺棄及び隠蔽及び横領という犯罪に手を染めちゃうってのは、この作風には合ってなかったかもしれません。 コメディ要素はこの作品の場合大きくプラスに働いていますが、それは交通整理だったり、生命維持装置だったり、倫理的・道徳的に許せる範囲内に留めておいて欲しいものです。それくらい、この作品は楽しい雰囲気の中に、夫婦愛や家族愛といった美しいテーマを表現することに成功しているのです。中盤から後半直前までのブラック・ユーモアに、何か雰囲気壊されちゃって残念でした。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-30 09:19:40) |
1608. ジャングル・ジョージ
《ネタバレ》 ディズニー映画は好きなんですが、これはやりすぎ感が強すぎてついていけませんでした。また、ナレーションがちょっと多すぎるのも好きになれません。『この映画では人は死にません。』とか、ナレーション使っての小細工も1回くらいならいいんですが、何回も使われるとうっとうしい。ナレーションと喧嘩をするっていうアイデアは漫画チックで良かったんですけど、その1回くらいに留めて欲しかった。 あくまでファンタジー+コメディですから、気楽に観たつもりなんです。それでも、シリアスにしてほしいシーンであってもひたすら茶化されるとなんか残念です。婚約者のライルと密猟者の二人くらいは極悪にしてもらって、そこはびしっと子供が見ても楽しめるアクションでしめたほうが良かったんじゃないでしょーか。 真面目なストーリーの中だからこそ光るコメディだと思います。コメディばっっっっかりだと、楽しいというより適当に誤魔化されている感じがして逆に楽しめません。 [DVD(字幕)] 4点(2014-04-30 01:42:10) |
1609. スウィンガーズ
《ネタバレ》 コメディだからと思って我慢しながら見ていたんですが、30分くらいまでに何回か観るのやめようと思ったくらい、つまらなかったし、イライラしました。群像劇ではないですが、群像劇っぽい雰囲気になっているのがあまり好きじゃないです。ストーリーなんかあってないようなもんです。 ただ、しばらくするとこの雰囲気やキャラになれてきたのか、不快な気分がやや収まり、割と冷静に観られるようになりました。そうすると不思議なもんで、割と面白いシーンやトークが楽しめるようになってきます。とは言え、人に薦められるレベルではありませんが。 これって所謂「あるあるネタ」を楽しむよーな作品なのかもしれないです。それこそアメリカで生きている人には「わかるわかる」みたいな。だから観る人を選ぶ作品だとは思うんですよねー。 友人達がなんせ友だち思いなので、その辺りの押し付けがましくない友情は見ていて清々しいものがあります。ですがそれ以外には映画としてそんなに魅力は感じません。 マイクが情けない雰囲気を漂わせながらも、大事なところ(主にナンパ)は自分の力でしようとする姿勢は好きでしたけどね。 ラストの小ネタも爆笑です。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2014-04-30 01:17:44) |
1610. スティーヴン・キング/痩せゆく男
《ネタバレ》 ジプシーから呪いを受ける3名が、もともと社会的地位が強い立場であり、人として同情しづらい人間であることがまず致命的ですね。3名が極悪人であればまだ良いのですが、微妙な立ち位置なので、同情もできないし、かといって3人がやられちゃうことに対するカタルシスだって感じないわけです。 更にはジプシー側の人間性にも問題あり。 結局、どちらにも肩入れできないまま、成り行きだけを目で追っていくばかりでした。登場人物たちのキャラもいささか不愉快です。行動には一貫性がなく、方向性がはっきりしない部分も気になります。呪いをかけた本人には報復行動を起こさず、嫁と友人への報復を優先するラスト。全く理解できません。それがゆえの、あの救いがないくせに皮肉だけは残すようなオチ。途中からは映画の着地点だけが気になって観続けましたが、正直最後まで観る必要は無かったです。 ジプシー側も共倒れになるような、まさに「人を呪わば穴二つ」みたいな締めくくりにしてくれれば、ありきたりかもしれませんがもう少し評価も変わったかもしれません。 [DVD(字幕)] 4点(2014-04-30 00:26:49) |
1611. ザ・ロック
《ネタバレ》 ショーン・コネリー、ニコラス・ケイジ、エド・ハリスが共演しているだけで期待が膨らみ、観るのを凄く楽しみにしていたので、面白さより物足りなさのほうを強く感じてしまいました。 凄腕のスパイ、化学のエキスパート、軍隊の英雄と、それぞれが物語を鮮やかに彩りそうな肩書きを持つも、それがいまいちストーリーに活かしきれていないんです。結局はドンパチありき、アトラクションありきの、普通のアクションムービーの枠内におさまってしまっている気がします。 みんシネで、これだけたくさんの人がレビューしていて、平均7.89点の娯楽作品だったら絶対楽しいと思ったんです。そんで、普段映画を見ない奥さんに、「これ評価高くて面白そうだから。」と言っちゃったんです。一緒に見ちゃったんです。そんで、見終わって、一言、「いや、面白かったよ。大丈夫。」と言ってくれました。めっちゃ気ぃ遣ってくれてるやん。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-04-28 04:50:42)(笑:1票) (良:1票) |
1612. 恋愛小説家
《ネタバレ》 ありふれた日常生活の中にこそ、ドラマがあり、笑いがあり、ハラハラのサスペンスがあるということを再認識させてくれる素晴らしい作品です。序盤の食堂でのシークエンスひとつとっても、普通に起こりえそうなことにも関わらず、目が離せない面白さ。終始不思議な魅力で惹きつけられます。 特筆すべきはやはりメルヴィン・ユドール(ジャック・ニコルソン)という人物。彼の行動理論は実に単純明快です。『キャロルに食事を運んでほしい→キャロルの欠席理由のスペンサーの病気が良くなればいい→スペンサーの病気を治療する医師を派遣する→またキャロルに食事を運んでもらえるようになる。』彼は基本的に自分のことしか考えていません。ただ、自分のために、他の人に親切にしているだけなんです。これほど身勝手で、それでいて清々しい慈善活動があるでしょうか。 バーデル(犬)やサイモン(グレッグ・キニア)についてもそうです。彼は仕方なく頼まれるんです。そして情が移り、バーデルとサイモンに対して優しくなっていくんです。 他者を警戒するのは当たり前です。でも、知り合ってみれば、お互いの悪い面だけでなくそれ以上に良い面が見えてくるよってことをさりげなく語りかけてくれる優しい物語でした。 地味なのに地味さを感じさせない、退屈そうなのに全然退屈にならない、娯楽作品としてもすごく楽しい映画です。 黒人の前でだけ弱気になるメルヴィン、イケメン男性との情事を楽しもうとするキャロル、おとがめなしの強盗の若者たちなど、そこまで見せてくれなくていいよっていうシーンがあったため満点はつけられませんが、エンターテイメント性あふれる完成されたドラマだと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2014-04-27 18:33:20)(良:2票) |
1613. 悪魔の恋人
《ネタバレ》 盛り上がらないストーリー。メリハリのない展開。緊迫感に欠けるサスペンス。恐怖感の足りない演出。定まらない方向性。 序盤で、クラブから急に「逃げろ!」みたいな展開になるんですが、いったい何が起こったのか、何から逃げているのか、それすらもよくわからないのです。なのに、屋上の梯子を降りるシーンで、なんか「こーゆー展開がスリルあって楽しいだろー」みたいな演出をしちゃっているので、なんとなくこの作品大丈夫なんだろうかと不安になりました。 極めつけは終盤。悪漢たちに家を取り囲まれちゃうわけですが、そもそもお父さんが悪漢たちの家をあそこまで荒らせばそりゃー報復は受けますよ。もちろん、車を壊された代償と考えることもできますが、娘を守ることが大事であればそんな浅はかな行動はとるべきじゃありません。インテリなんですから、もっと理性的な常識人として行動してくれれば手放しで応援できたのに。父親にも非があるからなんか感情移入しきれないじゃないですか。 まあいろいろ悪く書きましたが、デビッド(マーク・ウォールバーグ)の偏執愛、パラノイアとでもいうのでしょうか、その雰囲気は徹底されています。でも、もう少しサイコっぷりを発揮してくれても良かったんですけどね。少し物足りないかも。 ネタバレしまくっている上に、超ださの邦題もマイナスですね。 [DVD(字幕)] 4点(2014-04-27 13:11:04) |
1614. スクリーム3
《ネタバレ》 「完結編」を意識しすぎてストーリーを凝っちゃったために、ホラーのレベルが下がっちゃいましたね。全体通して説明口調的な演出になってしまい、スピード感がなくなってテンポも悪くなった気がします。謎解き、答え合わせ、を意識しすぎなんじゃないでしょーか? 3作目ともなれば、観る側は当然スクリームシリーズに対して耐性がついているはずです。そこでテンポが悪くなり、ホラー要素が薄くなれば、益々物足りなく感じてしまうでしょう。 もちろん、シリーズ通して少しばかりそのままになっていたっぽい謎が気になる方にはおススメですが、はたしてどれくらいの人が1作目の母親の謎なんて気にしていたんでしょうか。私は正直そんなもん1作目観終わった時点でなんの興味もなかったので、今さらぶりかえされても「はあ・・・」って感じです。 好きなシリーズだっただけに、盛り上がり切れないまま終わってしまったのが残念です。最後の余韻は個人的に好きですけどね。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-04-27 00:17:48)(良:1票) |
1615. この森で、天使はバスを降りた
《ネタバレ》 静かなスタートの序盤、街とパーシーの再生を予感させる中盤、この辺りまでは良かったんです。やはり問題となるのは、賛否両論まっぷたつに分かれてしまう終盤でしょう。私は、はっきり言って誰かの犠牲の上に成り立つ幸せなんて認めるわけにはいきません。 パーシー自身が望んだことならともかく、教会でシェルビーにした過去の告白からわかるように、彼女も人生のやり直しを切望していたのです。パーシーが何故ギリアドの街を選んだのか、最初はわかりませんでしたが、森の丘で口ずさんだギリアドの歌を聴いて、その理由がわかった気がします。 私は正直パーシー自身の幸せを、他の誰の幸せよりも心から願っていたのです。誰から見ても彼女は大切なものを奪われ続けてきた人生なのです。暴力と理不尽が彼女から全てを奪い、それでも前を向いて人生をやり直そうとするなんて素晴らしいストーリーじゃないですか。それだけで十分ですよ。 そこから更に彼女に濡れ衣をきせた挙句に命を奪う必要があったのか、全くの疑問です。せめてシェルビーだけでなく、お金が無くなったときにハナもパーシーを信じてくれたらそれだけでも救いがあったのに。シェルビー、ハナ、ジョーの三人だけはパーシーに疑いを持たず、無償の愛を注ぐ存在でいてほしかったのです。シェルビーは確かにもの凄く頑張ってくれたのですが・・・。 イーライとハナの再会、甥の告白、服役者社会復帰の支援基金、そしてパーシーの身代わりとでもいうべき作文コンテストの優勝者の存在が悲劇を緩和するカンフル剤にはなっています。それでも最初の感想に戻りますが、誰かの犠牲の上に成り立つその多大勢の幸せなんてものは賛美されるべきではないと思います。 [DVD(字幕)] 5点(2014-04-25 12:57:57)(良:3票) |
1616. ブラック・マスク
《ネタバレ》 チョイ役のジェット・リーのアクションは、いつもながらの切れ味で、純粋にアクションだけでもかなり楽しめる本作。更には、相棒役のシェク刑事(ラウ・チンワン)も武術に精通しているのが嬉しい。 さて、ストーリーにつきましては、元最強兵士部隊の教官VS隊長+その他大勢という極めてわかりやすいストーリーなのが個人的には良かったです。そこに多少の人間ドラマが絡んではきますが、アクセントになっているかどうかもわからないくらいの付け足しなので、ドラマ性は薄いですね。むしろせっかくのスピード感やテンポの良さを損なっている可能性があるかもしれません。だから必要以上の女の子とのからみとかは要らなかったです。 その分アクション部門は完璧なくらいの品揃え。電撃、ガンアクション、爆弾、毒ガス、CD、レーザー、と、できることは全部やりましたくらいの勢いで、短時間でこれだけ畳み掛けてくれるとさすがに見応えがあるもんです。 ただ脚本及び各演出におけるデティールの粗さのせいか、ものすごく面白いかと問われると、いや~、それほどでもない・・・。かといってつまらない作品ではないですし。言ってしまえばまさにそこそこの娯楽映画という感じです。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-25 03:53:04) |
1617. フロム・ダスク・ティル・ドーン3
《ネタバレ》 このシリーズは娯楽に徹していて割と好きなので、今作もそれほど悪いとは思いませんでした。むしろ適度なホラーアクションとして面白かったです。 ただ、プロローグの西部劇のような一連のシークエンスがもの凄く出来が良かったので、後半になるにつれてやや失速気味になったのがもったいない気はしました。そんなとこまで「1」そっくりにしなくても良かったんですけどね。 「1」を見ていればオチがわかっちゃいますので、衝撃度は確かに減ります。ただ、たとえ「1」を知らなかったとしても、「1」と本作とには大きな違いがあるのがわかります。「1」の酒場となる舞台は、まさにただの寄り道的な酒場なんです。まさかそこがゴールだとは思わせないような低俗な雰囲気があのギャップを生み出すのに大きく貢献しているんです。それに対し「3」は、酒場がいかにもラストの舞台という雰囲気をはじめから漂わせちゃっているのです。それだとよくあるB級娯楽映画と変わらなくなっちゃうんですよね。 また今作では、冒頭から結構活躍した少女ガンマンや、面白い存在になりそうなお調子者の黒人を、後半はただの被害者として扱ったところに不満を感じます。せっかく期待感を煽る登場をしてくれたわけですから、もうちょっと活躍させてほしかったですね。 なんか不平不満を並べてしまいましたが、それもこの作品がそれなりに面白かったからこそですので、悪しからず。全然面白いですよ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-04-23 16:42:40) |
1618. 好きと言えなくて
《ネタバレ》 自分の容姿に自信がもてないアビー(ジャニーヌ・ギャロファロ)と、容姿は美しいが知性・教養にコンプレックスをもつノエル(ユマ・サーマン)の二人をブライアン(ベン・チャップリン)が間違えて認識するというストーリー。ありがちですが、かなり丁寧に作りこまれているうえに、動物たちのアクセントが入ることで、ラブコメとしての完成度は高いと思います。 ブライアンはアビーの知性・教養・性格・人柄に惹かれるわけですが、アビーがノエルを身代わりに仕立てちゃうのです。ノエルを見たとき、ブライアンはまるでノエルに一目ぼれしたかのように立ち尽くします(実際はアビーだと思っているわけですが)。こうなってくると、当然、外見or内面、大切なのはどっち?っていうテーマに発展していくんですよね。 まあ、好きなタイプの作品のはずなんですが、なにしろアビーがそこまで不細工にも見えない。最初アビーがラジオで相談に乗っているシーンなんかは、まだノエルが出てきていないこともあり、働く姿のアビーが純粋に格好良いし、魅力的に思えます。そうすると、アビーがノエルを身代わりに仕立てるシーンがなんか無理矢理状況をややこしくしようとしているように見えて、ちょっとイラっときます。その後もさっさと誤解を解けば良いのにと思っちゃいましたね。 また、ラストで結局ブライアンはアビーを許して、アビーと結ばれるわけですが、もしノエルもブライアンのことを好きだと知った場合にどちらを選ぶのか、それが知りたかった気もします。そこまで見せてくれれば、本作最大のテーマをきっちり消化することにもなったと思うんですけどね。なんか肝心なところはうやむやにされちゃった印象が残ります。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-23 15:00:20) |
1619. 上海グランド
《ネタバレ》 香港映画はディテールが粗く、テンポも速い作品が多いので途中で状況把握がしづらいものがありますが、今作もそのタイプでございました。一つ一つの状況や人物を把握しきれないまま、ストーリーが加速するうえ、現在と過去が行ったりきたりするのでやや大変です。 その一方で、物語はサクセスストーリーに友情、恋、サスペンス、悲劇をブレンドしているため、大変見応えがあります。前半のディン・リク(アンディ・ラウ)とファン・ティンティン(ニン・チン)のお気楽モードは、終盤のシリアスなドラマとのコントラストが効いていて、ストーリー構成は満点に近いかもしれません。 ラストは主役級の3名がそれぞれ悲劇に近い形で幕を閉じてしまいます。ですが、おそらくこの作品のメインテーマであるリクとホイ・マンキョン(レスリー・チャン)の友情という絆を最後に確認することができて本当に良かったです。3人の中ではリクが一番可哀想かもしれないですね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-23 00:53:42) |
1620. 白い嵐
《ネタバレ》 ノンフィクションが題材になっていますので、極力脚色を控えているのはわかります。ただ、あまりにエピソードを盛り込みすぎたために、若干間延びしてしまった感があるのが大変もったいないと思うので、そっちのほうは何とかしてほしかったです。女子学生の一団とのエピソードや、みんなで1ドルずつ出し合ってのシーンなんかは、もっと短くするか、まるまるカットしちゃっても差し支えなかった気がしますよ。 また、肝心のホワイトスコールに遭遇したラストシーンは、なんかすごくわかりにくいです。物語の中心人物っぽい4人の生徒のうち、フランクは戦線離脱していましたが、ギルはお兄さんの写真を取りに戻ったせいで船室から出られなくなってそのまま海底に、ちょい不良のディーンは救命艇を救出するも自身は縄がからまり海底に沈んだってことなんですか?で、確かシェフ担当の先生はどうなったかもわからないまま死んだことになったような・・できればこの一連のシークエンスにこそもっと力を注いでもらって、もう少しだけわかりやすい演出にしてほしかったです。 そうえいば、救出後、チャックが試着室の中に入った途端、まるで荒波の中にいるかのような錯覚に陥るシーンがもの凄く恐ろしかったです。そんで、この辺りからラストまで、個人的にはかなり良かったと思っています。裁判は確かに残された時間で無理やりまとめた感はありましたが、この作品の場合本質はそこではなさそうなので、特に問題はないかなと思いました。 チャックの船長を弁護する魂の演説は、お約束のようなフレーズが並んではいますが、やっぱり感動しちゃいますね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-22 03:15:43)(良:1票) |