161. 昼顔(1967)
《ネタバレ》 <「欲望」のネタバレ有ります!>もう冒頭から変態ムードがムンムンしていて笑ってしまったのですが、売春業界の裏側というか、その様相が今から見れば果たして古いのか新しいのかよく分からないところが面白いです。で、ここからが本題。まるでアントニオーニの「欲望」のようにシュールで、尚且つサイケデリックな常識を逸脱した世界観に思わず興奮してしまいました。ラストも今までの出来事がまるで全てセヴリーヌの夢だったかのような…、そんな最後のオチまで「欲望」と似ています(面白いことに製作年はほぼ一緒!)。と言うか「昼顔」というタイトルからしてそのまんまじゃん!という感じがしますが、この系統の作品は見つかるはずのない答えを求めて何回も観返したくなるようなタイプの不思議な味わいがあります。アジアやハリウッド映画では決して真似することのできない、ヨーロッパ独特の雰囲気を醸し出していて僕は好きです。こういうの。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-05 13:55:35) |
162. シベリア超特急
確かに戦争がこの映画を作らせたのだとしたら、それは悲劇ですね。 [地上波(字幕)] 3点(2005-08-03 20:39:27)(笑:4票) (良:1票) |
163. 最後の人
《ネタバレ》 う~ん、まさに服装が人を作るとはこのことでしょうか…。制服を着ている時の主人公は威厳のある大男だったけど、それを脱ぎ捨てた瞬間あたかも化けの皮が剥がされたかのように酷く醜い存在に思えてきました。「サイレント映画は一つの形式としてほぼ完成形を極めていた」という先達たちの言葉通り、スポークンタイトル一つ表示されないこの映画は映像と役者の動きだけで実に巧みに物語を展開していきます。制服を盗んだことから罪の意識に苛まれホテルが倒れてくる幻覚を見るところや、白昼の夢のシーンなど、フリッツ・ラングと言い昔のドイツの監督たちはイマジネーションの止まるところを知らなかったのでしょうか。どんなに凄い人間でも肩書きを破ればただの人ということを教えてくれる、全ての映画の基本サイレントから学ぶべきことはまだまだ多いです。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-07-29 19:09:02)(良:1票) |
164. ノーマ・レイ
《ネタバレ》 オープニングとエンディングに流れる歌が感動的。労働問題という重たいテーマを扱っていながらもそれほどお堅い内容ではなく観易かったのですが、正直言って個人的にはそれほど面白いとは思えませんでした。結局のところノーマ・レイ以外の人たちはほとんど何もしていないと思えてしまうからでしょうか?しかし"UNION"(組合)と書かれた札を掲げるシーンではハッと目が覚めました。「団結するって素晴らしい!」と。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-27 18:34:21) |
165. 月の輝く夜に
《ネタバレ》 これは出てくる登場人物に一人も悪人がいなく、とても愛せる映画だと思います。特に家の階段から大量の犬が一斉に駆け下りてくるシーンでは、僕はこの場面を見てこの映画が好きになるだろうと確信しました。その他序盤のおっちょこちょいなプロポーズのシーンから、ついさっきまで険悪なムードで喧嘩していた店先の主人と妻がたった一言の言葉で仲直りしたりと、そこかしこに優しさが詰まっています。「飛行機に呪いをかける」と言っていたお婆さんでさえも滑稽です。物語には独特のリズムが有りテンポは最高とは言えませんが、タイトルにもなっている月の効果的な使われ方、度々出てくる食卓のシーンでは家族の温かみを感じさせます。そして何よりもオペラを観て涙を流すシェールの顔の美しいこと!余談:本作において主演のはずのニコラス・ケイジの存在感が個人的に希薄に思えたのは、本編開始30分後に画面に初登場するからか、もしくはまだこの頃は髪の毛がフサフサ過ぎて逆に違和感を感じてしまうのでしょうか? [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-27 18:20:25) |
166. ボイス・オブ・ムーン
これは何とも素敵な遺作だと思います、ひたすらフェリーニの世界に酔う。たとえ監視されているとしても、それが月になら一向に構わない。花火シーンの驚異的な美しさには感動!今夜からは夜空を見る目も変わるでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-27 18:02:50) |
167. ドクトル・マブゼ
これはあらゆる犯罪映画の原点とお見受けしました。おそらく黒澤明や清さんもご覧になっているのではないでしょうか。まさか催眠術(と言うかほとんど超能力)までもが話に出てくるとは思いませんでしたが、その催眠シーンがひたすらに凄い!スポークンタイトルまでもが極端に変形してしまうほどの迫力。金持ちの御曹司やスリルを求める伯爵夫人など、様々な人間模様が複雑に絡み合う人間ドラマも面白い。サイレント期のとんでもない傑作に出会えて大満足です。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-23 20:59:08)(良:1票) |
168. 少林寺三十六房
こ、これは凄い!ここまで面白いカンフー映画は初めて観ました。て言うか「筋肉番付」とかって思いっきりこれのパクリですやん。カンフー映画にありがちな安っぽいラブストーリーも無く、全く潔くて良い。欲を言えば三十五房端折らずに全部見たかったかな、三時間ノーカット完全版とかでも良いので(やめとけ)。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-22 16:49:15) |
169. 少林寺
《ネタバレ》 初めは間違って少林寺案内の番組でも観ているのかと思ったけど、いざ映画が始まってみるとこれが兎に角凄い!人間の肉体の動きを極限にまで駆使した少林寺の技は、もはや芸術の域にまで達していると言っても過言ではないんじゃないでしょうか?中国人が自らを誇りとしている自国の拳法に対する敬意も感じさせます。ただ最後のバトルが「もういい加減にしろ!」というくらいしつこかったのと、僧侶たちが余りにも簡単に戒律を破りすぎていて「本当にそれで良いんかい」と思ってしまったので-1点。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-22 16:43:55) |
170. 裸で御免なさい
「ブリジット・バルドーは悪い子だなぁ」というイメージの一本。しかし悪い子で何が悪い!と意味不明な開き直りをしたくなるほど愉快な映画です。こういう軽妙なフレンチ・コメディは観た後に元気が湧いてきますね。後半は目の保養にもなるし、もはや何語か分からないハチャメチャな日本語にも寛容な気分になれます。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-20 16:06:19)(良:1票) |
171. キッチン・ストーリー
《ネタバレ》 「es」ほのぼの版という感じ。初めはあまり面白くないんじゃないか?と思ったけど、徐々に二人が友情を育んでいくところはしみじみとしていて良かったです。何よりもあの小さなキッチンの中で、男二人が対峙している間が何とも言えず好き。イザックの誕生日を二人で祝うシーンなど、監督の視点の温かさを感じさせます。キッチン・ストーリー、それはちょっぴり素敵なお話。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-20 15:57:08) |
172. トータル・バラライカ・ショー
ドキュメンタリーとか言いつつも果たして意図しているのかどうか分からないけど、冒頭から何やら面白い映像が流れてきます。メンバー全員が同じ衣装を身に纏った総勢167名の赤軍退役軍人バンド、レッド・アーミー・アンサンブルとフィンランドの面白バンド、レニングラード・カウボーイズが組み合わさった構図は正に圧巻の一言!普段はライブドキュメンタリーなんて全然興味のない自分ですが、これはなかなか良かったです。演奏中にピョコピョコと飛び回るレニグラ・メンバーのパフォーマンスや、アンサンブルバンドによる大合唱シーンは感動ものです。今でも「悲しき天使」のメロディを口ずさんでしまう、それくらいノリノリな一本でした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-07-17 12:47:51) |
173. ルビー&カンタン
《ネタバレ》 オープニングから「ゆ、諭吉!?」なんて驚きましたが…。いやはや、全くフランシス・ヴェベールは馬鹿を描かせたら世界一ですね。両者とも必死なはずなのに、全然必死に見えないところが良い。確かに最後は駆け足の印象が拭えないけど、コメディとしては充分に満足できる内容だと思います。特に一番笑ったところ→「再脱走しました」のシーン。それにしても"親友同士"って素敵なネーミングですね、ドパルデュー。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-07-15 16:12:13)(良:1票) |
174. チャーリー(1992)
《ネタバレ》 チャップリンの自伝を読んだ上で観ました、まずチャップリン自身があまり似ていないような。いくら時間内に収めなくてはならないとは言え、幼少期の頃のエピソードは端折りすぎでしょう。辛く悲しくも家族三人一緒で幸せだった子供時代だったからこそ、後の成功が生きてくるのに…。また人間関係についてもダグラス・フェアバンクスならともかく、メアリー・ピックフォードに至ってはあの程度の扱い、グリフィスについては触れてもいないとは。と、散々貶しておきながらもやはりチャーリーの放浪紳士のイメージが完成するシーンでは感動してしまったし、コソコソした「キッド」の編集シーン等はコミカルで面白かったです。どちらかと言うとこれはチャップリンを知らない人の為に作られた映画なのでしょうか?ラストのスマイルには号泣。仕事の方面では成功してもプライベート、特に女性関係では散々苦しめられたチャップリン。彼の偉大な功績はいつまでも民衆の心の中に残り続けることでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-15 15:40:32) |
175. 白い花びら
《ネタバレ》 これは20世紀最後のサイレントどころか、世界中で最も美しいサイレント映画。いや、「街の灯」があったか。しかもカティ・オウティネンがめちゃくちゃ可愛い!何でって言うくらい、"白い花びら"とは彼女のことか。「マッチ工場の少女」とは雲泥の差。サカリ・クオスマネンも最後はしっかりとゴミ捨て場で死んでいるところがユニーク、自殺者は是非ともこれを見習って欲しい(不謹慎)。それにしても"ユハ"という名前はフィンランドではよくある名前なのでしょうか?とても美しい名前だと思いました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-13 18:29:29) |
176. 幸せになるためのイタリア語講座
《ネタバレ》 これだからデンマーク映画は嫌いなんだよォ…、幸せになれるどころかどんどん陰鬱な気分になっていく。でもイタリア語という一つの語学を通じて他の人たちと交友を深めていくというのは、同じく外国語を勉強している自分にとっては共感できるところもありました(独学だけど)。ラブストーリーの部分も全く嫌味臭さがなく、結ばれて素直に良かったねと思えるのは最近では稀なタイプです。ただ路上で事に及ぶな!というのと、とりあえず邪魔な親を殺しておけば良いというもんじゃないだろ、ということで減点対象。何だかんだ言って最後は幸せになれました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-07-13 18:12:53) |
177. バーバーショップ
《ネタバレ》 ストーリーは有りそうでほとんど無い。逃走したATMの窃盗犯、自分の店を高利貸しに売ってしまう主人公。それらのエピソードが絶妙に本編に絡んでくる。自分は黒人じゃないけどバーバーショップの一員になって、「閉店する」と言われた時にはあたかもこの店の常連であったかのように悲しむ、そんな温かさのある映画です。ちょっぴり素敵。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-12 14:40:00)(良:1票) |
178. ダーク・スター
《ネタバレ》 いや~ショボいショボいとか言いつつも、これがなかなかどうして結構よく出来ている。まさか人間と爆弾が現象論についてディスカッションする映画なんて世界中で探してもこれ一つでしょう。ビーチボールもしくはゴムボールにしか見えないエイリアンにおちょくられて、マジ切れしている乗組員の姿も笑える。最後はサーファー姿のあまりのカッコ良さに泣けてくる(うぅ…)。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-10 13:15:36)(笑:1票) |
179. 悪魔のシスター
《ネタバレ》 良いですねえ~、このオドロオドロしげな雰囲気に音楽。デ・パルマの初期サスペンスはヒッチコックのごった煮パロディ!?前半はなかなかサスペンスチックで良かったのですが(警察と言い争っている間に犯人が殺人の痕跡を消していく画面分割りがユニーク)、後半は完全にあっちの世界に突入してしまいちょっと残念でした。とは言え様々な技法に凝った、ブライアン・デ・パルマという監督を知る上では非常に重要な一本であることには間違いありません。ラストは未だに死体を追い続けているという探偵の異常さを感じさせます。ところで主人公の女が極端に警察嫌いという設定も、ヒッチコックからの影響でしょうか?(笑) [ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-10 13:01:48) |
180. ブエノスアイレス
駄目です、もう最初の30分でダウン…(とは言えちゃんと最後まで観ましたよ)。完全に理解できず。別に同性愛がどうとか言っている訳じゃなくて、この監督の映像世界に付いていけない。もうちょっと修行が必要です。それにしても海外の俳優さんたちはこういう演技を何の惜し気もなくやってのけてしまい凄いですね、日本ではまず考えられません。そこが世界の壁でしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-07-06 17:13:12) |