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ミスター・グレイさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 565
性別 男性
自己紹介 三度の飯より映画好きです。どうぞよろしく。
※匿名性ゆえの傲慢さに気を付けながらも、思った事、感じた事を率直に書いていますので、レビューによって矛盾が生じていたり、無知による残念な勘違いや独善的で訳分らん事を書いているかもしれませんが、大きな心でお許し下され。
※管理人様、お世話になっております。
※レビュワーの皆様、楽しく読ませて頂いております。

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161.  天使と悪魔 《ネタバレ》 
本作といい「ダ・ヴィンチ・コード」といい説明すべき事柄が多過ぎる為、こんな事を言っては元も子もないのですが、ダン・ブラウンの小説は映画化には不向きなのだと思います。…という原作の細部と比較するのはやめにしても、サスペンス映画として頂けません。謎解きのための彫刻を何の工夫もなしに義務的に映し出し、ほとんどの場面でけたたましいBGMによる緊張感の水増しをしています。それから私にはヴィットリアを演じた女優さんの魅力の無さはちょっと酷過ぎやしないかと思えてしまいますし(おそらく個人の趣味の問題を越えている)、監督の魅力的に見せようという配慮も欠けており、例えば貴重な文献を躊躇なしにビリっと破いてしまう快活さをもっと活かせなかったのかなと。 そんな中で良かったのはユアン・マクレガーですね。もはや危険な優男が当然になってしまったエドワード・ノートンよりも、純粋な少年ぽさを感じさせるマクレガーの方がより危うく面白いです。彼が初登場する時は、しっかり暗い影がさし、この聡明なカメルレンゴはただの善良な人物ではないことを暗示させています。
[映画館(字幕)] 5点(2009-05-27 18:24:36)(良:2票)
162.  レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ 《ネタバレ》 
まるでサイレント作品のように僅かな字幕で状況を説明し、台詞など無くとも通用してしまいそうな所は凄いですし、ひもじい思いをしてもこの巡業に参加したくなってしまうほど魅力的なロードムービーなのですが、鉄格子から突き出た髪とか、棺桶から突き出たトンガリとか、追っかけて来る妙な奴とかの一連のギャグは、映画としては少々動きに乏しい感じがします。ただそれでも、レニングラード・カウボーイズが演奏する曲と歌は、どこの観客にも白けられるのが意外や意外なくらい強烈な印象を残すものであり、個人的には最初に売り込みに失敗したロシアの歌?がお気に入りで、見終わった後もしばらく勝手に頭の中でガンガン演奏されるのでした。
[ビデオ(字幕)] 8点(2009-05-22 18:40:08)
163.  ビッグ・トレイル(1930) 《ネタバレ》 
とにもかくにも群集が大移動して行く感じと、その困難さが良く出ています。崖から馬車を降ろすであるとか、川を渡るであるとか、砂漠や雨や雪のシーンもしっかり用意されていて盛沢山な内容です。そんな中でも最大の見所はやはりシャイアン族の襲撃シーンでしょう。数多くの馬車でグルっと円陣の防御壁を作り、その周りをシャイアン族が駆け回る。俯瞰でその様子をとらえているのですが砂煙が舞い上がり壮大な迫力のあるシーンになっています。  また、個人個人の銃撃戦もそれぞれ抜かりなくちゃんと見せてくれますし、初主演のジョン・ウェインも根っからのスターであり、若い時分から既に魅力的です。それから忘れてはならないシーンがもう一つ…それはヒーローとヒロインの最初の出会いのシーンです。ジョン・ウェインが人違いでキスをしてしまうということが観客にはあらかじめ察しが付くのですが(キスの仕方も良い)、これは二人が運命的に結ばれることを予見させるシーンでもあり、この後いくら喧嘩がはじまっても二人の愛が成就することを確信させてくれるもので、あれこそロマンティックというのだと思います。ウォルシュ監督は他の作品でも度々、いがみ合いながら距離を縮めていく男女を描いており、監督にとっては喧嘩とは仲良くなる為にするものなのかもしれません。 
[DVD(字幕)] 9点(2009-05-19 18:05:09)(良:1票)
164.  ガルシアの首 《ネタバレ》 
グリンゴ(アメリカ人)の殺し屋コンビが、廃車と見紛うオンボロの車に乗って追って来るガルシアの家族たちを一掃してしまうシーンの過激さはどうでしょう。ガルシア一家とは対照的にピシッと上品そうに決めていながら、コートの下から突然マシンガンをぶっ放すあの野蛮さが強烈に頭に焼き付きます。 もちろん、でっかいサングラスをかけたウォーレン・オーツがとことん格好よいですし、女が泣く姿もまるで聖女のように美しいですし、時折まざるスローモーションもことごとくバッチリ決まっています。…個人的にはスローモーションというのは、ほとんどの場合において滑稽に見えてしまい間の抜けた印象しか受けないのですが、ペキンパーが使うと凄く良いものに見えてしまうのですから不思議です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-15 18:32:58)
165.  大列車強盗(1903) 《ネタバレ》 
はじめに“train robbery”という題名が出るので、列車を襲うんだと事前に分かるのですが、題名が出ずとも最初の室内のシーンで窓から列車が走ってくる様子をしっかり見せているので、なるほど、これからあれを襲撃するわけだと納得させてくれるところが素晴らしいです。 初期映画で列車と言えば、リュミエールの「列車の到着」を思い起こしますが、あの映画のように観客の方へ向かってくる列車も映していれば、もっと迫力が出て躍動感にも満ちていたかもしれません。しかし、画面の向こう側へと走って行く列車は逃走をイメージさせるものでもあります。また、同じく「列車の到着」は観客が危険を感じて逃げたという伝説がありますが、本作の観客に向けて発砲するラストも当然そういった効果を期待して撮ったようであり、監督の茶目っけが感じられるシーンです。 
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-05-12 18:09:32)(良:1票)
166.  ダージリン急行
しょうもない兄弟のしょうもない親睦会を見せられている感じなのですが、それがなかなかどうして可笑しい。予定表がありながらも行き当たりばったりで、移動している感じがするのもいかにもロードムービーであり、三人兄弟と一緒に旅をしたくなってしまいます。そして全編を通して脱力気味であるにもかかわらず、随所で意外なまでに躍動感に満ちていますし、何度か使われるスローモーションも面白く、久しぶりに良いスローモーションを見たという感じです。・・・ただ残念?なのは、これの一番面白い所は冒頭に登場する本編とは何の関係もないビル・マーレーのシーンだったりするところです。…何の関係もないついでにもう一つ、三人兄弟のなかで最も男前なオーウェン・ウィルソンは包帯グルグル巻きで顔を隠していますが、彼は現在、プロ野球の巨人に在籍しているグライシンガーにソックリですね。いやぁただ誰かに伝えたかっただけなんです。ごめんなさい。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-08 18:34:41)(笑:1票)
167.  デッドエンド(1937) 《ネタバレ》 
これはほぼ街の一角だけで物語ってしまっているのが面白いところです。大都市ニューヨークの高層ビル群が高みから映り、そのままカメラが下に降りていくと貧民街となり、いかにも貧しい悪ガキたちがたむろしている。そしてそこから見上げれば金持ちたちがパーティをしている…。ドア一枚を挟んで別世界が展開される社会を見事に表現しています。 本作はギャングだヒーローだというよりも住む世界そのものを描いていて、格好良い人物というのは不在です。例えば、正義漢のようなジョエル・マクリーも育ちの良い女に目移りし浮気していますし、ボギーにしても悪としてのクールさなどとは無縁で、帰郷を母親にすら歓迎されず、昔馴染みの女のエピソードも酷なもので、ラストには高い所へ登って行き当然の如く落下し貧民街の地べたで息絶えてしまう物悲しさです(この時の銃撃戦も素晴らしい)。ただ、強いて言えばヒロインは存在していて、常に弟の見方をするシルヴィア・シドニーの優しさはこの世界の唯一の救いであり、あどけなさの残る表情が美しくとても魅力的です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-05-01 18:46:13)(良:1票)
168.  転々 《ネタバレ》 
主役二人をはじめドラ息子の石原良純さんまでキャスティングが良いですし、思わず吹いてしまう台詞が随所に散りばめられているのも面白いですし、カレーと雑に束ねられた一万円も別れの伏線として効いていますが…散歩の映画であるのに移動があまり感じられないのは問題だとおもいます(スーパーの三人組の方がよっぽど移動している)。その原因はおそらく時間の流れと擬似家族描写にあって、スタートした初日は日が暮れていったし常に歩いていたのに途中からすぐに夜になってしまいますし、ロード・ムービーではなくホームドラマに切り替わってしまうのです。そうすると奇妙な可笑しさは失せてしまい、例えばジェットコースターで昔に遡った映像を挿むところなど、やり過ぎていて面白くないなぁと思ってしまいます。 ただ、あまり本編とは関係ありませんが、岸部一徳さんの弁当シーンや、麻生久美子さんとハイテンションな吉高由里子さんが振り向く瞬間はとても魅力的だと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2009-04-27 18:14:20)(良:1票)
169.  遠い太鼓 《ネタバレ》 
フロリダの大自然の美しさをカラーでしっかり収めるというのも、一つのテーマだったのだと思いますが…どうもあまり上手くいっていないシーンの方が多い気がします。特に最初の方はウォルシュ監督はどうかしてしまったのか?と思ってしまうほど頂けないです。良いのは、同監督同年製作の「艦長ホレーショ」と同じくロマンスのシーンだったりします。二人が惹かれ合う展開というのがいささか乱暴であり、憶測で物を言えば未開の地で生活する日照り状態のところへグラマラスなブロンド女が登場すれば、空腹感を満たす為に近寄ったんじゃないかと思えてしまうのですが、そんな強引な成り行きも至極当然に見せてしまう余裕っぷりには恐れ入ります。そんな意味でもこれは王道を行く娯楽作品であり、唯一ドキドキさせてくれるクーパーの息子の消息ですら、少なくとも中尉の剣が手渡されるまでは死ぬはずがないと、どこかしら安心感を与えてくれるのです。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-21 18:07:40)
170.  バグダッドの盗賊(1924)
豪華絢爛な美術が凄いのですが、特に宮殿をはじめとする世界の広大さを感じさせるところが圧巻です。それは一つに恐ろしく高い天井が鍵になっていて、例えば怪物の口のようなデカイ門であるとか、外に見える月が画面の中央あたりに位置している宮殿の部屋であるとか、その他にも行く先々で縦を使って空間を見せることによって、どこまでも上に突き抜けて行く際限の無い解放感を生み出し、この世界を壮大なものにしています。近年のスペクタクル映画ではこのような構図があまり見られないのですが、スケールを大きくしたいのならば本作をもっと手本にすべきとすら思います。  それから主人公を演じるフェアバンクスの軽快な身のこなしが素晴らしく、画面に映えています。機敏だからこそ王女に惚れた後の体の重さまでもが際立っていて、恋の苦しみが痛いほど伝わってきます。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-14 18:09:47)(良:1票)
171.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 
Part1と比べて明かにつまらなくなってしまったと感じたのですが、それは海上戦闘シーンの表情の乏しさや、キーとなる風の演出や火のスペクタクルの面白味の無さ(1ではあんなに巧く軍旗を使っていたのに)、1でほとんど出し切ってしまったのか個々の人物たちの魅力が発揮されなくなってしまったところによるものだと思います。 良かったのは小喬と曹操で、特に小喬を演じるリン・チーリンが今回も素晴らしく、例えば曹操に茶を立てようとするシーンの妖艶さや、勝機が見え始めた戦場を見て泣く姿がとことん美しいです。曹操に関してはジョン・ウー監督は撮っているうちに曹操が一番楽しくなってしまったのではないかと思えるほどで、1では周瑜が特別な存在として描かれていたのに、その対象が曹操へと移行し、例えば裏切り者を罰するため霧の中に姿を現すシーンであるとか、ラストの幽霊のような神出鬼没ぶりはもはやこの世の者ではない印象を与えるのです。 ・・・それから「三国志」好きの観点から一つ、逃げ帰ってしまう劉備の人物像についてはあれで良かったと思います。周囲が〝義理だ〟〝誇りだ〟〝命は惜しまぬ〟だのとアツーイ漢どもなので、撤退する劉備は情けなく裏切り者のように見えるかもしれませんが、尚香の友人で作中随一の好漢である蹴鞠の一般兵が死んでしまう姿が悲しく映し出されるのを見れば分かるように、最後には戦争の惨さを物語っているのです。格好良いこと言っている裏では犠牲者が大勢でているのだぞと。つまり劉備は常に真の弱者の味方だという事なのだと思います。将たる者は〝義〟や〝名誉〟等の男の甘美なロマンなどに陶酔してばかりいてはならんのです。
[映画館(字幕)] 6点(2009-04-13 18:17:56)
172.  花様年華
あらゆる画面がほぼ完璧に近く、男と女の機微も非常によく捕えられていて、バカみたいに肌を露出させたりしなくとも男と女に驚くほど色気があり艶っぽいです。何気ない日常が断片的に切り取られているようでありながらも、現実と小説の世界が見事に交錯し幻想的にもなっています。もはや言わずもがなですが、トニー・レオンもマギー・チャンもとことんセクシーで惚れ惚れしてしまいます。・・・ただ気になってしまうのは、これは少々計算が立ち過ぎていて〝これ見よがし〟な印象も受けることです。  《追記》再見したのですが、やはり芸術を意識したような感じが鼻に付くところがあります。例えば、ラストのカンボジアの風景のカットをいくつか挿入し過剰なBGMをかけているところなどは、やり過ぎているように思えます。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-06 18:21:58)(良:1票)
173.  艦長ホレーショ 《ネタバレ》 
海洋、軍人ものなので男くさ~い内容をイメージしていましたが、長期間、大海原をかけ戦闘を繰り返す活劇としては面白味に欠けていますし、常に澄み切った空は美しいのですが、せっかくの海なので嵐も見せてほしいと思います。・・・しかし本作の主体は冒険活劇ではなく、グレゴリー・ペックとヴァージニア・メイヨの恋模様を描いた完全なるロマンスの映画なのです。それも女と話すのが苦手そうに咳き払いをするペックと、芯の通ったお嬢様のコテコテの恋愛模様かと思いきや、そうではなく互いに別の決まった相手がいるという高い障壁のある禁断の恋…。惹かれ合いながらも愛し合うことができない二人の微妙な距離感が絶妙ですし、個人的にヴァージニア・メイヨは趣味じゃないのですが、とっても綺麗に撮られています。特に病に伏せ熱に浮かされる姿などはとても艶っぽく、ペックがイチコロになるのも当然です。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-01 18:12:27)
174.  ワルキューレ 《ネタバレ》 
この題材を英語劇でやってしまったこと、サスペンスなのにオチが周知の事実であることは、本作の着想段階からすでに問題だったとは思いますが、そんな欠点を物ともせずに撥ね除けてしまっているのが大スター、トム・クルーズの凄いところです。隻眼になっても、いや隻眼だからこそなのか、いつにもまして眼光するどく圧倒的なオーラを放ち、成功するはずのない作戦の成功を祈らざるをえない状況へと観客を誘導し、物語に説得力を持たせてしまうのは、ひとえにトムのスター性によるものです。不自由な手だからこそ行われる机の端で拳銃の弾を装填する仕草など何気ないシーンがかっこいい。それともう一人、僅かな登場ながら毒薬を口に仕込むゲッペルスの鬼気迫った感じが異彩を放っていて印象的です。…それから映画にはいまいち活きていませんが皆が精神安定剤のようにスパスパ吸うタバコがうまそうです。・・・と、もう一つ、トムの奥さん役がなんとあの「ブラックブック」のカリス・ファン・ハウテンだったなんて!…気付きませんでした。
[映画館(字幕)] 8点(2009-03-30 18:12:31)
175.  密告(1943) 《ネタバレ》 
現在でも十分に通用するような入り組んだ物語はサスペンスとして一級ですが、そういうのに限って活字媒体での方が断然面白いという事が往々にしてあります。しかし本作は、全編にわたって流れている怪しい雰囲気であるとか、主人公の疲れ切った様であるとか、クセのある登場人物たちであるとか、犯人をミスリードするような演出であるとかが実に巧みです。  (完全ネタバレなので注意)犯人が分かった後、振り返って見てみれば、あの剃刀が初登場した時の印象深いショットがちゃんと伏線になっていたのですね。私などはお金をせびってきた小さな眼鏡の女の子まで疑ってしまう始末でした。何せああいう状況でのあのボール遊びなどは神経を逆なでし、とても不穏な心持ちにさせるものです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-27 18:14:37)
176.  ロミオ&ジュリエット
シェイクスピアのような古典を、目まぐるしくカットが変わる現代的なスピードと、うんざりしてしまうほどのアップの連続で撮りあげてしまっていることに、何の良さも感じられませんし、アカデミー美術賞にノミネートされている美術とやらも全く記憶に残らなかったぐらい見づらかったです。 ロミオとジュリエットの、つまりはレオとクレアのアップは見たいと思いますので別にかまわないのですが、どうでもいいキャラクターまで息が詰まるほどアップアップでこられては、見ているこっちがあっぷあっぷです。 ピース・ポスルスウェイトの神父やジョン・レグイザモのティボルトなど面白くさせそうな人物たちを巧く使い切れていないのも残念です。 ただ、レオには最近やるような小難しい役ではなく、こういう役を演じてほしいです。せっかくの美男なんですから。
[ビデオ(字幕)] 3点(2009-03-24 18:14:00)
177.  荒野の決闘 《ネタバレ》 
末弟が殺されている雨のシーンから保安官を引き受け、クラントン一家に宣戦布告し去って行くシーンまでが圧倒的なのに対して、その後の弟のペンダントが見つかるまでの緩い時間が流れるのに違和感があります。そこはシェイクスピアをそらんずるドク・ホリデイの人物的面白さや、クレメンタインとの恋模様でカバーしているわけですが、どうも盛りあがりに欠けています。また最後の決闘シーンは、馬車が走ってきてケムるであるとか、ドク・ホリデイの白いハンケチ?だとかはとても印象的なのですが、互いの位置関係や距離感はあまり巧い事いっていません。ただ、アープとクレメンタインやドクとの日常的シーンの描写は優れていますし、ヘンリー・フォンダが椅子に座る姿は最高にカッコいいと思います。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-03-17 18:24:05)
178.  都会の叫び 《ネタバレ》 
旧知の間柄の犯人と刑事という設定はいかにも男のドラマですが、登場する女たちが、ことごとく良いのです。リチャード・コンテ演じるロームを愛する女は、夢の世界から抜け出てきたようにポツンと現われる登場シーンからして神秘的で、ロームに近づけば十字架の形が影となって表われていますし、最後に彼女と落ち合うのは教会であり、その存在はまるで聖女のように見えます。これに対して女の悪役は悪魔的で凄い。遠くからいくつも電気をつけて登場するシーンからして象徴的なのですが、なぜにマッサージ師なのかという疑問も不気味な形ですぐに解消されます。朝飯を食わないロームに対してモリモリ食べているところなんかも豪胆な感じが出ていて圧倒的です。さらにロームの母親の造型も素晴らしいですし(刑事とのやり取りが特に良い)、登場シーンは僅かながらロームを手助けする情婦と看護婦(彼女の母親もまた強烈)の存在も光ります。  もちろん男のドラマだってありまして、旧知の二人が教会から出た後からラストシーンまでも良いです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-13 18:16:35)
179.  世界の全ての記憶
おそらくナレーションだけを聞いていても理解できるでしょうが、映像だけでも十分に理解できるような作りになっています。 整理し保管する過程で見せる螺旋階段や棚の反復が、人類の積み重ねてきた叡智の膨大さを物語っています。図書館は脳内のようであり小宇宙のようであり、それぞれの資料が存在を示すために閲覧者が現れる日を今か今かと待っている…図書館とはまさにこんな場所です。広大にして閉ざされた狭い空間で人類は知識を支配しつつも支配されているというような皮肉もきいています。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-11 18:29:58)
180.  晩春 《ネタバレ》 
この娘の父に対する強烈すぎる気持ちを理解しかねる私が言っても説得力に欠けますが、父と娘を題材とした映画の中で本作は最高傑作の一つだと思います。能を見物するシーンであるとか、旅館での娘の告白シーンであるとか、父親が再婚すると一世一代の嘘をついたと告白するシーンから寂しげなラストカットであるとか…父と娘の別れの寂寥が胸にジーンと響きます。 〝そうかね、そうかね〟等々、確認するかのように繰り返し繰り返し言う台詞が何とも奇妙でもあるのですが、そのリズムがどこか心地良く、さらに登場人物の簡単な説明さえしておけばサイレントでも十分に伝わってしまうであろうほど一場面一場面も完璧です。  しかし何と言っても圧巻なのは原節子さんの表情から笑顔が消える瞬間であり、それはそれは震えるほどに素晴らしいです。 
[ビデオ(邦画)] 10点(2009-03-09 18:30:19)
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