1. 靴に恋して
《ネタバレ》 勤めている店の商品を盗み続けて首になった女性、淋しさから万引をする高級官僚の妻、知的障害の娘を育てながら娼舘を切り盛りする母、結婚した夫がすぐに死んで夫の連れ子を育てる女性。他にも問題だらけの淋しい女性たちがたくさん出てきます。自分勝手に自己憐憫におちいっている登場人物の出てくる映画は、見ていてむかつくだけなのですが、他の人のことも思いやりながらも孤独を抱えて人生を切り開いている人たちばかりなので、気がつくと優しい気持ちになっています。アルトマンの映画からコミカルさ省いた群像劇です。マドリッドの街の風景、ラストのリスボンの風景も魅力的でスペインへ旅行したくなってきました。ラストのモノローグは鳥肌がたつくらい好きです。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2006-01-02 18:33:25) |
2. ハリーとトント
老人と猫のロードムービーなんですが、もうめちゃくちゃ好きです。虐げられたお年寄り、呆けてしまった過去の恋人。別にかわいく映そうとしていないトントがかわいすぎです。サントラにはいっている「ニャー」の鳴き声も最高です。アート・カーニー、エレン・バーンスタインもいい味出しています。 10点(2003-06-17 02:52:38) |
3. フォロー・ミー
やるせなくやさしい映画で見終わった後に、この映画のテーマソングのようにふわふわワウワウしてしまいました。この映画を見た後はゆでたまごの割り方が変わってしまいました。あまり人に教えたくないタイプの好きな映画です。2008年になって数十年ぶりにBSで再度見ました。この映画のキーワードが「孤独」だと気がつきました。ますます好きになりました。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2003-06-17 02:48:34) |
4. メリー・ポピンズ
昔好きだった映画を再度見るとがっかりくることが多いのですが、この映画は見返すたびに自分の中で評価が上がってきます。最初に見たときはメリーポピンズのクールさに冷たさを感じた部分もありましたが、今見ると、そのクールさに優しい温かさを感じます。寒い冬の日に温かい布団にもぐったときに枕だけ冷えてるみたいな心地よさです。英国の描写が良い味で色づかいも独得の雰囲気を醸し出しています。全体の音楽もそれぞれの曲もかなり優れていると思います。ディズニー映画の中で1、2を争う傑作だと思います。 [映画館(字幕)] 10点(2003-06-03 11:23:06) |
5. ミツバチのささやき
沈黙の音楽とひとつひとつのシーンが時の止まった絵画の様な独特の世界。この映画に出会えて幸せでした。何も言葉にしたくないです。 10点(2003-06-03 03:05:04) |
6. ミスター・ロンリー
映画紹介のそっくりさんというところで場末の演芸場のようなイメージを感じて敬遠していましたが予想以上にはまってしまいました。 最初の方は温かい優しい人が多くてほんわかした雰囲気で入っていきますが、途中から毒がのぞき始めて、尼さんが飛行機から落ちるあたりで、この映画はどちらに向かって行こうとしてるんだろうと思いはじめ、そうしたら目が離せなくなりました。 いくつもの印象的な死が出てきます。人生なんて思う通りになんかいかない、それでも生きて行こうと思う。それも力強くではなく、なるように流されてみよう、そんな風に思える映画でした。 [インターネット(吹替)] 9点(2017-07-02 12:38:17) |
7. 永遠のこどもたち
楳図かずおのマンガ「漂流教室」を思い出しました。 空想壁のある子供は見えない友だちと遊んでいます。あるとき友だちの部屋に行くと言って失踪してしまいます。 母親が、いなくなってしまった子供を探して見えないものを見て信じられないことを信じようと、まわりからは狂気とさえ思えるようになっていきます。 一歩間違えばうそっぽい気の狂った母親にあきれてしまうようなストーリーになってしまうのを、ぎりぎりの線で現実とのバランスをたもっているところリアリティがあります。 ラスト泣けました。 [インターネット(字幕)] 9点(2016-12-19 18:07:20) |
8. ミラクル7号
予告編を見たときは期待していなかったのですが、笑わせてくれて、気がつくと泣かせてくれる映画でした。とんでもなく貧乏な暮しで、見栄をはってまで私立に通わせる必要があるのかとか、思いながら見はじめましたが、そんなことどうでもよくなってしまいました。出てくる人も、本当はみんないい人なのではと思わせるような優しい映画です。試写会を見た後にぼんやり月を眺めてしまいました。最初はチープなCGだと思っていたナナちゃんですが、最後は愛しくなってしまいました。エンドロールが終わっても、また出てきてくれないかなと期待してしまった映画です。 [試写会(字幕)] 9点(2008-06-16 21:10:26)(良:1票) |
9. 青春怪談(市川崑監督作品)
《ネタバレ》 なにごとも時代とマッチするかしないかは大切だけれど、この映画が50年も前だというのにビックリ。当時の人はとまどったのではないでしょうか。そのくらい今見ても新鮮で楽しい映画でした。轟夕起子ってこういう役もするのかと嬉しくなり、自分の娘が実は男だったんじゃないかと疑う山村聡も、同じく自分と結婚するのがもしかしたら男かもと疑問に思う三橋達也も押さえたコミカルさが最高です。その、もしかしたら男かもという役をしている北原三枝が、さばさばしているのにどこかコケティッシュで本当にかわいかったです。昔の日本映画を見直しました。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-06-03 09:58:45) |
10. アメリカン・スプレンダー
《ネタバレ》 オタクや一風変わった人たちばかり出てくる映画ですがコミックがうまくブレンドされていて洒落ています。音楽もコルトレーンやガレスピー、ふたりがあっさり結ばれたあとはルパルト・ホルムス、とてもかっこよく決まっています。変人ばかりにかこまれて、本人もいつもしかめっ面の変人ハービー・ピーカーが、少し羨ましかったです。ハービーの友人で迷い無くマイペースの男性を見て音夢たんのお兄さんを思い出しました。おかしな人たちのおかしな映画好きです。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-05-25 00:55:30) |
11. ストレイト・ストーリー
《ネタバレ》 リンチの中でも「マルホランドドライブ」と同じくらい好きな映画です。年をとった男が言います。「年をとって辛いのは昔を憶えているから」・・・さて、その昔とは幸せだった過去なのか、不幸せだった過去なのか?どちらにしろ年をとったのが辛いというのは悲しいことだなあと思いました。なのにやさしく、年をとるのもいいなあと思わせてくれる映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-05-04 08:08:12) |
12. クンドゥン
《ネタバレ》 80年代以降のスコセッシで一番好きな作品です。全編を流れるフィリップグラスのミニマル音楽、幻想的な夢と象徴的な曼陀羅の砂絵をところどころに挿入して淡々と流れていくストーリー、僧衣の赤と空と水の青、行きの白、人民服の暗色で描かれる世界観。どれも見事な映像美で酔ってしまいます。随所で語られるダライラマの印象的な言葉に考えさせられながら中国の横暴なチベット侵攻に怒りを感じてしまいます。「敵はやがて無になり、友もやがて無になり、自分も無になる」映画の力を感じました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-02-25 02:57:58) |
13. 野いちご
《ネタバレ》 10代の頃に映画館で見て、数十年過ぎてCSで再び見ました。年をとり地位も名声も資産も得たのに頑固さゆえに孤独な老人の気持ち、地位も名声も資産もないまま年をとっただけの自分でさえも共感しました。医師イサクは他人に対して寛容に対処してきたのに、結局それは人と関わらずにいたということでした。イサクと結婚するはずだったサーラが「彼は優しくて良い人、でも彼といると自分がとるに足らない人に思えてくる」という言葉は考えさせられます。美しいモノクロの映像が郷愁をさそいます。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-01-10 17:37:19)(良:1票) |
14. 麦秋(1951)
《ネタバレ》 何度も小津の映画を見ては見返していますが、これが一番好きです。いつも耐えている風情でほほえんでいる原節子も魅力的ですが、幸せそうにほほえんでいる原節子って少しだけいじわるそうな笑顔に見えて魅力がさらに増している気がします。杉村春子も本当にかわいくて見ていて口の片端が上がってしまいました。中でも一番好きなのは結婚に行き遅れた原節子と淡島千景のほほえましいやりとり、テーブルをはさんで「やったなー」「やったわよ」の応酬。よく友人と真似をして遊んでいました。大好きなシーンです。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-06-18 03:13:20) |
15. X-MEN:ファイナル ディシジョン
《ネタバレ》 監督がブライアン・シンガーじゃなくなったので少し心配していましたが、オープニングからラストまで、すごく良かったです。バトルのシーンはどれも面白かったけど、シャドウキャットとジャガーノートの戦いで床に引っ張り込むシーンが好きです。ミスティークが早々と能力を無くしたり、Xmenやミュータントたちが、あまりにも潔く死んでしまうので、もったいないなあと思いましたが、だからこそ面白かったのかもしれないです。ジーンが超能力を発揮するシーンでデパルマの「キャリー」を思い出しました。悲しさを内に秘めたパワー、なんともすごいです。エンドロールの終わりに会場から「わー」という声が上がっていました。ラストまで席を立つ人が少なかったです。 [試写会(字幕)] 9点(2006-08-29 21:40:03) |
16. サイモン・バーチ
ジョン・アーヴィングの色がうまく表現されていました。イアン・マイケル・スミスもジョセフ・マッゼロも抑えめなジム・キャリーも、とても良かったです。アシュレー・ジャッドの明るくさらりとしたエリオット・アーウィットの写真に出てきそうな笑顔も魅力的です。彼女の顔を見て、どこかで見ている顔だなあと思っていたのですが、C&Wのジャッズが母と姉だったんですね。良い表情をするわけです。納得。 世の中には異質なものを見て興味を持つ人と、近寄るのをためらう人とに分かれます。異質なものにシンクロしてしまう人、愛しく思える人にはおすすめです。映像もセリフもストーリーも大好きです。人を思う優しさに泣けました。大切にしたい映画でした。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-03-21 18:17:27) |
17. コーリャ 愛のプラハ
泣かせの映画だと思っていたので、ひねくれやの自分としては斜に構えてみていました。お金で偽装結婚をして、相手に亡命されて残された子供を嫌々面倒見ながら、気がつくと情が移っているなんて、ありがちだと思いながら、気がついたらボロボロ泣かされていました。カラスが置いたらしい安いアクセサリーのシーン。地下鉄での犬と子供のシーン。そんなところに思いきりはまってしまいました。「セントラル・ステーション」とか、この映画とかの、おせっかいを焼くのが嫌いなのに、いつのまにか・・というシチュエーションにめちゃくちゃ弱いです。ちょっと甘めですが9点。しあわせは悲しいときに、気がつくとその中に隠れているあるのかもしれないなあと思ってしまいました。 9点(2005-02-22 08:17:12) |
18. ファストフード・ファストウーマン
何度も見てます。サントラCDもパンフも買いました。大好きな映画です。おじいさん達の会話「新しい人生にあこがれないか」「腰も痛いし、体も良くない。いま生きているだけで幸運だ」。どもりの娼婦と主人公の会話「ありがとうべべべべべ・・・ラ」「その呼び方好きよ」。「60歳のレディーを相手にベッドに直行というのはなあ」「年配の女性にも性欲はあるは、しかも老い先短いのよ」などなど・・・。ちょっと間違えると、すごい差別だらけの話ですが、それがやさしく感じてしまいます。毎回、見たあとに少し幸せになっている自分をみつけます。映画のラストにくる幸運はどっちでもいいけど、その幸運を呼ぶきっかけになった出来事に嬉しくなってしまいます。 [DVD(字幕)] 9点(2005-02-20 08:18:21) |
19. ウエディング
《ネタバレ》 アルトマン監督が亡くなってから再度見ました。30年近く前に見たときにも、とても面白かったけど、人数が多すぎたせいでわかりにくい部分もあったのと、自分が人生において色々と経験不足だったせいか、理解できなかった部分もあったことに気がつきました。ずっと記憶の中で結婚前に妊娠したのが花嫁だったと勘違いしていました。見直して良かったです。何人か亡くなり、問題をかかえたり病気持ちの人が大勢出てきますが、フェリーニの映画のように祭りのあとの清涼感に惹かれてしまいました。見終ったあとに、また見たいと思う映画は「マルホランド・ドライブ」以来です。最初に見たときよりも、この映画を楽しめるような年の重ね方をして生きてこられたことをうれしく感じました。愛さずにはいられない映画でした。 [映画館(字幕)] 9点(2004-11-03 06:28:24) |
20. ナッシュビル
日本でカントリーが不人気のピーク時に上映された映画です。この映画からアルトマンにはまりました。アルトマン得意の群像劇ですがカントリー音楽の裏側と政治の裏側をうまくタペストリーにしています。片っ端から女に手を出すキース・キャラダインもあきれながらかっこいいし(なんたって「I'm Easy」歌われた日には大方の女性は落ちるしかないでしょう)、実力がいまいちなのにカントリーの女王になっているカレン・ブラック、障害を持つ子供の母親リリー・トムリン、ほかにも魅力的な登場人物がいっぱいです。裸になれば舞台に立たせてやるといわれて泣きながら服を脱ぎ出す蓮っ葉役のグエン・ウエルズが特に印象的。いまの日本のアイドルなら喜んで脱ぐのにねぇ。 9点(2004-09-25 07:01:12) |