Menu
 > レビュワー
 > あにやん‍🌈 さんの口コミ一覧
あにやん‍🌈さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2517
性別
ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  お熱いのがお好き 《ネタバレ》 
昔、テレビで見た時の印象に比べると、もう少しバイオレンス色が強くて(こんなに人が殺される映画だったのかぁ)、トニー・カーティスが身勝手な男に見えて(ジャック・レモンをダシに使いまくるのね)、物語がそんなには整理されてなくて(バンド話を放り出し、マフィア話も中途半端なまま終了)、そしてマリリン・モンローがとってもステキ。欠点は些細なモノで、本当に魅力に溢れた映画、スクリーンに向かう事に幸せを感じ続けておりました。トニー・カーティスとジャック・レモンのかけあいそのものは女装後よりも男同士の時の方が面白いと思いましたが、様々な人が絡んでくる中盤以降はおかしな群像劇として楽しませて貰って。ジャック・レモンが段々と本当に女っぽくなってゆく過程も楽しく。モンローの歌に心ときめかせ(有名なあの曲はこの映画の中で歌われたんだ)、トニー・カーティスって、そう言えば高校生の頃にホンモノを見たなぁ、なんて事も思い出し(『がんばれ!ベアーズ大旋風』の川崎球場ロケを見に行って。トニー、監督とケンカしてましたが)、映画をたっぷり堪能した2時間でした。それにしてもモンローがスクリーンに映るたびに「うはぁ」ってタメイキ出ちゃったワケですが、考えてみれば、そういう、女優がただ映ってるだけで魅了しちゃうようなのって80年代以降ないなぁ。あ、戦うヒロインに「ウハー!」ってのとは別で。最近はCGキャラに「うはぁ」ってなってたりしますが、これも時代、ってコトですかねい?
[映画館(字幕)] 9点(2011-09-04 16:24:35)
2.  汚れなき悪戯 《ネタバレ》 
昔、テレビで何度か見ていて(『水曜ロードショー』がよく放映してたんじゃないかな)、大筋は知っていたつもりでしたが、改めて劇場で腰を据えて見て、あまりに記憶に欠落箇所が沢山あった事にびっくり。回想形式の映画だという事をまるで覚えておりませんでした。その回想のきっかけとなる冒頭の少女のエピソードを見て、これは幼い子供を亡くした人々に対する救済の映画なんじゃないかと思いました。パンとワインのマルセリーノ(という字幕よりもテレビ版の「マルセリーノ・パンとブドウ酒」の方がピンと来ますが)は、信仰心の厚い良い子という訳ではありません。いたずらっ子で言う事を聞かなくて。もしかすると、暴力を爆発させようとしてサソリに刺されたあの瞬間に、彼の命は失われる事が予め約束されていたのかもしれません。でも、そんな子供であっても、その心は神によって救済されるものなんですよ、っていう。幼くして散った命に対して、私達はどうしようもない無常感を抱きますが、信仰がどうであれ、その子供達の魂が救われたと信じる事ができるならば、それは残された者への救済へと繋がる、そんな映画なのかなと。広い広い空の下に立つ人の姿を捉える映像は自然という大きな時を刻む世界の中に生きる、束の間の時を刻む人間を表すようで、白黒・スタンダードながら印象的に映えていました。
[映画館(字幕)] 8点(2011-08-07 15:29:46)(良:2票)
3.  鉄道員(1956) 《ネタバレ》 
また私事から始まりますが、2ヶ月ちょっと前に父を亡くし、9日前に愛猫を亡くし、家に一人ぼっちになりました。思えば母を亡くした29年前、それよりもう少し前から家族はどんどんと変容し、壊れ、そして今に至ってとうとうここまで来てしまったんだなぁ、って。そんな私の目に、この映画は大変ツラいです。時の流れの中に入り込んだ様々な要素が家族を翻弄し、形骸化されたものすらも維持できなくなってしまう。それらは、本当は家族一人一人が少し互いを気にかけていれば済む事だけれど、それができない、同じ空間で顔を突き合わせながら距離を置き、隔たってゆく、それが実体験にシンクロして大変リアルに響いてきました。この映画の父親には最後に救済が与えられた上で終わりがやってきます。だけど、この家族にはもう決してそれまでと同じ日常が幸せに続いてはゆきはしないと。この時代のイタリア映画には何か言い様のない芸術の血が流れているみたいで、その淀みない語り口はガッチリと心を捉えて離しません。映画に教えられる事、取り戻す事はできないけれど気付かされる事。時としてそれは思った以上に大切なものなのかもしれません。
[映画館(字幕)] 9点(2010-04-19 13:17:41)(良:1票)
4.  昼下りの情事 《ネタバレ》 
エロジジィですわ。オードリーが繊細な演技を見せるワケですよ、自分が書いた手紙を燃やすシーンとか、冷蔵庫の中でしおれた花を椅子の上にそっと置くシーンとか。でも、その繊細さがエロジジィに向けられていると思うとねぇ、どうもねぇ。つーか、エロジジィもせめて若いイイ男だったらまだいいんですが、下手したらお爺ちゃんと孫くらいの差に見えるワケで、ただの金持ちゆえにモテてるエロジジィにしか映らんワケです。映画は後半、物語がいきなりオードリーからエロジジィ側にシフトして、エロジジィ、妙に純なところを見せたりしますが、つーかお前ずっとエロジジィだったじゃん、ってツッコミ入れたくなるばかりで。オードリーはステキだし、お父さんやバンドの4人、寝取られ男のキャラもいいですが、それらの背後に常にエロジジィ。もうこれぞ名画!って感じのステキなラストシーンも行き着く先はエロジジィ。あの名曲も実はエロジジィが女を落とすための曲。あの曲のタイトルは私の中で今後「エロジジィ」に固定されますな。くるくると服装と髪型が変わってゆくオードリーがとってもステキな、だけど結局はエロジジィの映画でしたな。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-15 13:19:23)(笑:1票)
5.  ショウほど素敵な商売はない 《ネタバレ》 
『これがシネマスコープだ!』みたいな、前年に世にお披露目となったシネマスコープのサンプルみたいな映画。見事なまでに全編がシネマスコープのフレームのための画面構成になっていて、「ちょっとポーズとか人物配置とか無理してない?」みたいな微笑ましい状態も散見されます。最近のとりあえずシネスコサイズなだけって映画を作ってる人達は、こういう、きっちりフレームを使った映画を見てもう少し勉強して欲しいところ(最近は上下に映像があってもおかしくないシネスコが多いのよね)。さて、耳馴染みの深い曲達に彩られたミュージカル、モンローが主役かと思ったら違うんですね。一家族の歴史を描いた物語に、むしろジャマな存在? 女優的にはむしろミッチー・ゲイナーの方が魅力的でしたし(中学時代に母と映画館で見た『南太平洋』の彼女だって、見終わってから気付きました)。絆が断ち切られて壊れてゆく家族の姿から一転、ありえないような怒涛のハッピーエンドですが、素直に感動しました。ショウビジネスの世界の華やかさを通して、その中に生き続けた家族を魅力的に描いた一編でした。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-30 00:01:54)
6.  シンデレラ(1950)
シンデレラのキャラクターデザインがいかにもこの時代の美人の基準って感じだったり、王子様のキャラが全く見えないので、本当にそれが幸せな選択なのか疑問だったり、ネズミのガスがアメリカンなお笑い系キャラでひたすらウザかったりしましたが、主題歌とドレスの変身シーンだけでもう十分、ウットリ満足。ディズニーというブランドのアイディンティティみたいな映画なワケで、それを大前提として見れば、見事なバランスの上に立った映画というところ。子供が、そして子供に戻った大人が楽しめてこそのディズニーワールド。ひとときの夢の世界。ただ、デジタルで大々的に修復された映像はペカペカにデジタライズされ過ぎちゃって、本来持っていたであろうハンドメイドな質感を激しくスポイルしちゃっているので、その点は今のディズニーも、もう少し考えて欲しいですね。あれじゃ、今のデジタル撮りテレビアニメと同じフィールドに存在する映像だわ・・・。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-29 00:40:42)
7.  ぼくの伯父さん 《ネタバレ》 
デザインばっかりで使いづらかったり、人間性を無視したりして、エスプリを大切にしない文化をシニカルに笑う映画。近代化によってフランスから失われてゆくものに対する愛とそれを惜しむ気持ちが、伯父さんの周囲とお父さんの周囲との対比によって描かれてゆきます。だけどその批判精神は判っちゃいるんですが、どうしたってこの映画を支配してるモダンアートのオシャレさ加減はたまりません。シュミの悪さの象徴として描かれてるハズの、あのグリーンとパープルとピンクのクルマのなんとオシャレなコトか!(笑) 50年という時の経過が、モダンアートにどっぷり漬かった生活をワクワクする世界に見せてしまっているのは、ちょっと皮肉な気もしますね。もちろん、一方で、大人に同調できず子供が大好きな伯父さんの、独自のパルスの中で生きてる状態はとても魅力的で(バリバリな共感もあり・・・)、最後は淋しい気分にさせられますが。フランスの個性が色濃く出た楽しい映画でした。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-20 23:43:21)
8.  赤い風船 《ネタバレ》 
ブルーグレーに統一された世界の中の赤い風船のイメージが絵画のように美しく、青い風船に出会うショットの鮮烈なイメージは感動的ですらあります。あの時代のヨーロッパだからこそ出せた色。とても可愛らしい映画なのですが、一方でその内側に秘めたテーマは結構重く。『白い馬』では悪意は大人の側にありましたが、この映画では同じ子供達の側に存在していて、同じ立場の人間同士が争い、破壊と暴力によって罪無き二人(いや、片っぽは人どころか生きものですらありませんが)が引き裂かれてゆくという展開。ラストは希望に満ちた夢のある終わり、と思う事はできませんでした。あれは、まさしく「天に昇る」姿なワケで。その愛らしさとは裏腹に、深い痛みを内在させた映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-18 00:03:33)(良:2票)
9.  白い馬(1952) 《ネタバレ》 
う・・・ウサちゃん、捕まり損の焼かれ損! せめて食べてあげてくれぇ。カワイソカワイソ・・・。さて、それはともかくこの白黒短編映画、物語は一応あるものの、馬の躍動感や疾走感、荒々しさ、雄々しさ、そして美しさこそが要になっていて、多少ツッコミどころがなくもない展開を気にする意味もないほどに、後半はただその動きに見入っておりました。スピード感溢れる疾走を捉えるカメラが見事です。その映像の高揚感ゆえに、支配から逃れられる場所はこの世界にはないという最後は切ないものでした。時代や世代を越えて広くそれぞれの視点で見られる映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-17 23:44:39)(良:1票)
10.  エデンの東(1955) 《ネタバレ》 
むう。延々とぐなぐなうらうら軟体動物みたいな動きでラリってんの?みたいなジミーはともかく(今あの動きに近いのはショーン・ペンか香川照之じゃない?)、人の内なる善と悪との葛藤ってのは判るんですよ。何を以って善とするか悪とするか。その価値観や表現の仕方の違いが生み出す摩擦。だけど聖書背負った映画なモンで、大前提に絶対的良識があって、内に悪魔が棲んでたり罰が与えられたりするように感じてしまうのが自分的に引っかかりました。始めにテーマありきで生まれてきたようなキャラクターばかりで、言動が神にコントロールされているみたい(レタス前とレタス中とでジミーの態度がコロリと変わるのもよー判らん)。あと、結局ジミーのキャラが表現しようとしていたモノは、あのヒロインが自分を語ったコトで全部済んじゃってるんじゃない?と。あのヒロインの物語にすればそれで完結してしまうんでないの?みたいな。やっぱりジミーのキャラにシンパシー感じないとキツいですかねぇ。映像的にはシネマスコープにキレイにハマった画がステキざんした。ついでに、有名なテーマ曲が一般的なイメージよりも実際はアップテンポなのね。いつの間にやらスローにしちゃったのは誰やの?
[DVD(字幕)] 5点(2009-04-16 01:28:34)
11.  カビリアの夜 《ネタバレ》 
冒頭から恋人にバッグを奪われ、どつかれ川に落とされ溺れて死にかける、って、そこからどんだけ不幸な物語が展開するのかと思いました。でも中味は笑いと楽しさに溢れた物語で、どんだけ不幸なの!とボヤきながらも、実のところ喜怒哀楽に満ちてパワフルなカビリアの人生って、それなりに充実してるんでないの?っていう感じがあって。そりゃ、いちいち男に酷いメに遭わされるカビリアだけれども、浮いた瞬間があるからこそ沈む瞬間もあって、浮き沈みがある分だけ、彼女は生っていうものに一生懸命であったりする訳で。だから、最後にとても悲惨なメに遭いながらも、冒頭に帰って水の中に落ちると終わりになっちゃうのだけど、道に戻る事でまだまだ彼女の人生は続くって未来に繋げるラストシーンは、カビリアの表情と共に意外なくらいの清々しさを残すのでした。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-12 00:20:21)
12.  真昼の決闘 《ネタバレ》 
やってくるのがどんだけ悪い奴等なのかちっとも判りゃしないですし、町には奴等の仲間がいたりもして、むしろちっとも協力者が現れない保安官の人望の方が微妙じゃん、みたいな。どうも逃げずに対峙する事を選んだ保安官の意地、いや、エゴみたいなのが気になってしまい。なんか意地張って残る、だけどアテにしてた協力者いなくて焦る、やっぱり逃げようとする、でも「逃げれ」と言われて意地になる、勝ってブチ切れて出てく。彼、もしかして元からコミュニティ向きな人間じゃなかったんじゃ? やたら自己完結型な人に見えてしまうワケですが。ほんの1時間20分ほどの出来事、リアルタイムで進行するかと思いきや、リアルタイムより更に早い進行で(でなきゃ駅と町とがぴったりくっついてなくちゃならない)サスペンスがどんどん高まってゆく感じは良かったです。ただ、町を捨ててゆく女の人が存在する意味、大してないような気がするんですけど。彼女出てくると間延びするし。
[DVD(字幕)] 6点(2009-04-09 00:34:03)
13.  紳士は金髪がお好き(1953) 《ネタバレ》 
ここに登場する男達が揃ってバカで魅力に欠けるので、逆にそれでいいんかい?とも思うのですが(もちろん、お金のあるなし関係なく総じて)、あくまで二人のイイ女の映画ですからね。マドンナの「マテリアルガール」みたいな(いや、こっちがオリジナルだ)超有名なミュージカルシーンでマリリンが歌います。“女が年をとれば 男は冷たくなるわ 年をとれば 女の魅力はなくなるわ でもダイヤモンドは決して形が変わらない”マリリンは既にかなり前にこの世の人ではなくなってしまいましたが、こうして当時のままの彼女の魅力が焼き付いてずっと変わらずに今も触れることができて、だから映画もまたダイヤモンドみたいな輝きと価値を持ったものなのですね。こういうステキなモノがずっと残ってゆくのって、いいな。
[DVD(字幕)] 8点(2009-04-07 23:11:15)
14.  ナイアガラ 《ネタバレ》 
モンローの映画として見ると、あら?あらら・・・ってカンジではあるんですけど(最初の方はいいんですけどねぇ)、ナイアガラを舞台にしたサスペンス映画として結構楽しませて貰いました。滝の雄大な風景を捉えつつサスペンスの要素としてちゃんと生かしていますし(滝の立てる轟音が緊迫した音楽の代わりですね)、一方で靴や歌も重要なアイテムとして機能していて。鐘楼の鐘を執拗に映すシーンは、その時起きていた悲劇をあのメロディが決して鳴らない事で象徴すると共に、「もしかしてここでメロディが奏でられる事によって事態が好転するのでは?」と見ている側が抱く期待を裏切ってみせる感じもして、上手いなぁ。印象的なセリフも多く、色彩も鮮やか。二転三転する物語も含めて今見ても色褪せていない面白さでした。
[DVD(字幕)] 7点(2009-04-05 00:43:44)
15.  道(1954) 《ネタバレ》 
ジェルソミーナの表情がとても豊かで魅力的で、それだけで映画に流れる感情のゆらぎ、人生という道程での喜怒哀楽が伝わってきて、だからこそラストの切なさが沁みてきます。ひととき同じ道を行くザンパノとジェルソミーナ。他の道を歩めなかった、だけどそこにも幸せを見つけていた筈のジェルソミーナの悲しさ、その都度その都度、無自覚に道を外れ、遂には何もかも失ってしまうザンパノの弱さ。海が世界に境界を作り、そして海は命が生まれ、帰る場所。海に始まり海で終わるこの映画は、ザンパノの終点を示唆しているようで、この物語に相応しくも胸を締め付けられるような幕。祭りの道行く人の列、たびたびジェルソミーナの周囲に散りばめられる子供達、サーカスのテント、人々の言葉。全編に渡って示唆に富んだ映画でした。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-02 17:08:30)
16.  原爆の子 《ネタバレ》 
原爆は日本人全体の奥深いところに傷を付けたのだと思います。この映画は原爆によって直接もたらされた悲劇ではなく、終戦後も続いてゆく悲劇を描いています。親を失った子供、後遺症によって命を奪われようとしている子供、生活の全てが破壊され、何もかも失い、僅かな希望だけを頼りに生きる老人。原爆によって破壊された広島の街は、現実にフィルムに焼付けられた廃墟と瓦礫と、そして復興の兆しを見せる世界。悲劇に対比するように、原爆とは無関係な世界を生きているような人々の姿も焼付けられてゆきます。しかし、目を背けてもその傷が消える事はありません。この映画が撮影された終戦7年後と違い、今は61年もの歳月が経過し、その傷は消え去ったようにも見えますが、実のところ永遠に消える事はないのだと思います。その悲劇の上に今の生活が成り立っているということ、それを忘れる事で悲劇は繰り返されることを、この映画は力強く示しています。飛行機の音に不安げに空を見上げるラストシーンは、その不安が的中しなかった訳ではなく、今もまだずっと続いているものなのですね。
[DVD(邦画)] 8点(2006-08-15 00:41:34)(良:2票)
17.  山の音 《ネタバレ》 
えええ?それで終わり?みたいな。しょーもない男をしょーもないままに放置して終わってしまう物語に、カタルシスなーし!ってそういう映画じゃないのは判ってはいるんですけど・・・。どうも物語全体がネチネチしていてトゲトゲしていて、見ていてイライラしてしまいます。エゴ剥き出しの世界の中で、じっと原節子だけが耐えている図、っていうのが昼メロを見ているような感じ。そう感じたのが実のところ術中にハマっているのかもしれませんが、こういう映画は苦手です。とーちゃんが息子をキチンと戒めるシーンさえあればなぁ・・・。
[DVD(邦画)] 5点(2006-08-10 01:09:20)
18.  めし 《ネタバレ》 
これまで小津作品ばっかり見てたので、カリカリしていて爆発しそうな原節子、っていうのにドキドキ。なんでもにこにことやり過ごしてしまうイメージがありましたからね。「めし」、つまりご飯を摂る事って、生きてる限り、毎日毎日、日常の中で必ず必要な作業なのですが、当たり前にそれが出てくるのを待っている立場と、それを用意することを日々の仕事としてこなしてゆかなければならない立場とでは、捉え方が全然違うんですよね。ただ出てくるのを待ってる方は、その作業が実は結構な重荷だなんて考えてもいない人が多いのかも。出てくるのが当然で、感謝しなければならない理由もない、なんて。誰からも感謝されず、世間に取り残され、日常の中に埋没するって状態が不安で、だけど、夫婦が夫婦としてひとつである事で、家と外との繋がりが生まれて、そこに幸せも生まれるんだよ・・・ってのはさすがに今の時代にはちょっと考え方が古くなってるワケで、今はもっと価値観は多様化してます。今となっては幸せのひとつのカタチ。でも、戦後6年のこの時代には、ゆき過ぎた自由思想に対する歯止めも必要だったのでしょうね。奔放な姪の存在が、それを表しています。なんだかんだ言っても夫婦って結局は他人同士だった二人がなんとか上手く一緒に暮らしてくモンなんだよ、ってくらいの受け止め方でいいのかな。それにしても画面にネコを出されてしまうと、こちらの意識が全部ネコに行っちゃうので困りものです。原節子と家を結びつける象徴的存在ではありましたが。
[DVD(邦画)] 7点(2006-08-08 00:48:45)
19.  早春(1956)
他の小津作品と違って、登場人物ひとりひとりの繋がりが希薄で、それぞれが個として孤立していて、お互いの摩擦の中で生きているような感じがしました。愛で繋がっている、というような夢物語はなくて、打算的なものの中から価値を見出してゆくような、結構厳しい物語。ちょいとした笑いもありますが、ひとつひとつが重たい映画でした。達観した世代、そこに近付きつつある、行く末が見え始めている世代、そしてこれからまだまだ未来が見えない世代、未来が閉ざされてしまった人。先人達や周囲から距離を置きながら学び、あくまで個として自分を見つめてゆく。それを描く視点は至極客観的で冷静。不倫はいけないと、みんなが金魚に人の道を糾そうとした事に対しても、それが嫉妬心から来る、褒められたものではない行為だとハッキリ言わせてますしね。正直なところ、見ていて息が詰まりそうな苦しい映画ではありました。そんな中、これまで見てきた小津作品の中にあって、トラックの荷台から捉えたショットのスピード感とコミカルさは、ちょっと意外でした。
[DVD(邦画)] 6点(2006-07-20 00:55:06)(良:2票)
20.  空の大怪獣ラドン 《ネタバレ》 
畳の似合うウゴウゴしたメガヌロンの愛らしいこと。昔は恐かったんですけどね。だけど、今見ると結構退屈。前半の殺人事件から炭坑内の探索、メガヌロン登場あたりまではワクワクするんですけど、メガヌロンを追うあたりからなんだか状況を描くばかりになってきて、物語を引っ張ってゆくキャラクターが不在の状態になっちゃう。ラドン登場以降はドラマが全くなくなって伏線放り投げっ放し。怪獣描写によってドラマが停滞するっていうのは怪獣映画の定番弱点ではありますが、それにしても炭坑の人々や警察から視点がラドンに移ってそのまま終わっちゃう、っていうのはなんだか釈然としません。ラドン、キャラ的に弱いですしね(その後はいっつも脇役)。だけど風によって破壊されてゆく街のミニチュアワークは本当に見事。ああいう、細部まで作りこまれたミニチュアは匠の世界ですね。それを見せるテクニックもいいですし。最近の日本の特撮映画は作り込みが弱いせいか、CGを使ってもマッチングが難しいせいか、地面をきっちり捉えてる映像が少なくて、地に足の着いてない、腰の据わってない特撮が多かったりしますが、地べたからきっちり捉えた特撮映像、ってのがやっぱり気持ちいいと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2006-07-17 22:03:23)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS