1. シャルロット・フォー・エヴァー
シャルロッフォ~エ~ヴァ~♪の冒頭のテーマ曲に、しょっぱなから致命傷を負わされた。その上最後までこの曲は、「た…頼むから止血させて下さい…」と言いたくなる位多用され、聞く度筆舌に尽くし難い虚脱感に見舞われた。これは予想を超えた大びっくり大会です。シャルロットに無意味で奇っ怪な尻振りダンスをさせたり、巨漢の娼婦を登場させたり、便所でリアルにゲロったり、タンクローリーを爆破させれば良いというもんじゃないですよ。これはもうアートだとかデカダンスだとかいう以前の問題。もう言葉が追い付かず、自分の語彙力を呪いたくなる位凄い。果てしなく痛いプライベートフィルム。最後まで傷開きっ放し。いやもうコレ凄いわ。凄いです。 [DVD(字幕)] 3点(2005-12-22 22:37:14) |
2. ミート・ザ・フィーブルズ/怒りのヒポポタマス
うわわわわわわわグロいよグロいよグロいよ。「ピンク・フラミンゴ」を“無邪気で微笑ましい映画”、「ネクロマンティック」を“勇敢で誠実な主張”と思った頭のネジ飛び子が、この作品を観た後は流石にご飯が全く美味しくなかったです。いやもちろん完食しましたけどね。個人的に今まで観た映画の中で1番グロいと感じた作品です。何と言うかやっぱりね、カバは怒ると怖いんです。あいつらのらりくらりと日がな1日水に浸かっているくせに、流す汗は血の色をしているというアバンギャルドぶりだし、スイカも皮ごと食べるというアグレッシブさだし、実は本気を出したら40キロのスピードで走れたりするんです。それはそれは恐ろしい奴らです。あの勇敢なマサイ族ですらカバには近寄らない位ですから。あれ?何か言ってることがおかしいですね。映画の内容はショービジネスの裏側を描いたもののはずなんですけどね。でもまあ観た方は分かると思います。ともあれ個性の強い映画が好きで、かつ、ある程度エログロに耐性があるという方にのみお薦め致します。 7点(2004-12-11 22:41:45)(笑:1票) |
3. フローラ
観ている時間よりも、それが意図するものを考えている時間の方が遥かに長いという、罪作りにも程がある作品。呆気に取られてしまうほどの超短編。ただ縛り付けられた野菜人間が腐って行くだけの作品で、おそらく大抵の人の思考は、「人生の無情や無常を表現した作品だ」というような見解に帰結するだろうと思うし、私もそれ以外もっともらしい見解が浮かばない。実際の所はよく分かりません。爺のやり逃げです。罪作りな作品です。 7点(2004-10-23 13:38:55) |
4. この子の七つのお祝いに
意識的に赤みを強めた画面から感じるのは、即物的な意味での「血」のみではなく、「血」が連想させる「生」や「死」や、それらが渾然一体になった、纏わり付くような業や因果の臭い。血がとても印象的に使われている。凄く怖いのに、凄く陰気なのに、凄く美しいと思った。ぞっとする位に。この日本の陰湿な美を表現した空気感、出色の出来ではないかと思う。岸田今日子の演技なんか、子供が観たら泣きます。事実、TV放送の際に母親に凄く怖い映画だと教えられて観てみた小学生以来ずっと、私のトラウマムービーでした。 7点(2004-10-07 22:46:35)(良:2票) |
5. ソサエティー
ぐちょぐちょのどろどろのでろでろ特殊メイクは良かった。そもそもそれが見たかったので。でもテンポ悪ぅ。グロパーティーまでが長い。ヒエラルキーの不条理を描きたかったその意は汲める。でもそれを流れの上で観客に伝えることに自信が持てなかったのか、「金持ちは貧乏人を食うのよ」みたいに実も蓋もない露骨な台詞を入れるところが何だか切ない。狙いは嫌いじゃないし、人体裏返しも良かったよ。でもやっぱりどう転んでも駄作。 3点(2004-09-22 19:53:26) |
6. ホテル・ニューハンプシャー
窓には、存在学的に互換性がある。窓は家の中に光を招き、同時に家から人を去らせる。これは現代神話だと思った。最初に父親は窓を開けた。窓からは時には祝福された光が差し込んだ。だけれど強い光は、それを浴びた者の後ろに強い影を作った。そして気付くと、入って来た以上に、何かが出て行っていた。失っていた。赤字と磨耗は止まらなかった。惨禍の中を行進する家族。馬鹿げた位に悲惨。待ち受ける未来にも保証も確証もない。なのに馬鹿げた位に悲壮感がない。続く行進。それはどこか、崇高ささえ感じさせた。この家族は、何かを飛び越えた所にいるのだと思った。それは達観かも知れないし、諦観かも知れない。きっと、私の知らない何かなのだと思う。哀しい形で絶対的に結束したその姿は神話的だった。神話は往々にして、自らに滑稽な悲劇を課すから。開いた窓がないと、人は生きて行けない。でも同時に、それは時に人を生かさない。この世界に生きることは、開いた窓の羅列する廊下を歩くことだ。窓には、存在学的に互換性がある。そのバランスの中を、人は生きて行かなければならない。 9点(2004-09-18 00:20:03)(良:1票) |
7. 英国式庭園殺人事件
つまらないよ。ほんとつまらない。意味も相変わらず全然分からない。だからお勧めはしない。グリーナウェイ作品は正直、毎回頭に来る位訳が分からない。でも同時に、その訳の分からなさに上手く懐柔されている自分もいる。ただひたすら感じるのは、圧倒的な様式美と、腐りかけた臓物を無理矢理食わされるような不快感。そしてそれを行う相手はあくまで無感情。何でもないシーンの羅列、有り触れた日課、それでもそこに流れる空気全てに腐敗の臭いがする。何がどうというシーンもないのに、全体的に凄く気持ち悪い。多分、上流社会の腐敗を凄く的確に描いてるのではないかと思う。罪悪感のない悪意や、煌びやかな腐敗。綺麗なのに、胸が焼ける位に醜い。何だろうな~、恐ろしく退屈なくせに心中を穏やかにさせない罪作りな作品だった。私はこういう観客不在で進行する作品を観ると、器用に無視することも出来ずに、真面目に勝手な解釈を始めちゃう痛くて不器用な人間なので、こういう映画ほど、何かを考えてしまう。多分ずいぶんあさってなことを。グリーナウェイ作品は毎回対応に困る。何というか、ほんと、イヤな監督。 8点(2004-09-06 20:50:26) |
8. エル・ニド
冒頭、煙った大気の中を立つ馬。神話的で、まるで何かを暗示するよう。“子悪魔的な少女と彼女に翻弄される初老の男の物語”という陳腐で安っぽい話ながら、全編が一貫して不思議な保護膜に包まれて守られていて、何とも神話的なその雰囲気、空気感には魅了された。「シベールの日曜日」のパクリっぽいことは否めないけれど、私はこっちの方が好き。 9点(2004-09-06 00:09:06) |
9. ミシシッピー・バーニング
この映画がアメリカでどう物議を醸したのかは知らないけれど、“人間が閉鎖的な環境とそこから形成される凝り固まった価値観の下でいかに残虐になり得るか”ということを描いたということでは、的確な作品だとは思いますよ。悪意や負を2時間やそこらに無理に凝縮しているからアレっちゃアレなんですけど、おそらく扇情はあっても欺瞞はないと思う。人間はあんなもんだと思いますもん。ミシシッピーという土地には、時には曲解されつつも、多面的な真実が沢山あるんだと思う。そして良くも悪くも、それを語るに、あの土地は説得力を持っている。色々な業が土の奥深くにまで染み渡っていて、それを全くの部外者にさえ感じさせることが出来る。何とも因果を背負っている土地です。 7点(2004-09-04 18:50:26) |
10. パリ、テキサス
昔、15分だけ観て、ああ、これはとんでもない作品だな、と、何だか怖くなって観るのをやめてしまった。数年越しで最後まで観切った時、あの時の予感は当たっていたのだと分かった。ネガティブで逆説的に言うならば、人間は生まれた時から緩慢に死に向かっている。あえて下手な希望や欺瞞などなしに言えば、人間はある意味においては、磨耗し、亡失しながら生きているんだと思う。色々な場所に、触れた所に、触れた人に、触れる度に、自分の欠片をちょっとずつ置いて来ながら生きているんだと思う。天文学的な程の数の微小な欠片をちょっとずつ失いながら。磨耗しながら。亡失しながら。大人になり生きて行くということは、ある意味においてはそういうことなのだ。そしてきっとある分水嶺を超えてしまったら、人間はもうどこにも戻れなくなるんだと思う。亡失と、磨耗と、夢の残滓と、まだ見ない対象への希望の転嫁。“ここではないどこか”=“パリ、テキサス”。求めた地に着いてなお、その地を知らず。そんな物語だと思った。身勝手で汚く、どうしようもなく不毛な物語。でもだからこそ、悔しいくらいに綺麗だ。 10点(2004-08-30 22:47:22)(良:5票) |
11. パペット・マスター(1989)
かわゆい。ドリルの子がかわゆい。ドリルの子が。 5点(2004-08-22 16:24:14) |
12. 山の焚火
この上なく内省的な作品だけれど、その実は多弁。青白い炎のような映画。寂然とした青い炎は実のところ、雄弁な赤い炎よりも遥かに温度が高い。消え入りそうな青い炎は、死んだようでありながら、奥底では苛烈に生きている。人の生き汚さや原罪を、真正面から受け止めた作品だと思う。万人には向かないけれど、良い映画だった。 9点(2004-08-14 14:06:57) |
13. なまいきシャルロット
可愛過ぎるよ、シャルロット。でも手足の長さは可愛くない。全然可愛くない。いやもう、長過ぎるだろ、その手足!知ってはいたけれど、びっくりです。ともあれとても可愛い映画です。好きだなあ、この雰囲気。そしてなまいきじゃないよ、シャルロット。女の子はみんなそんなもんさ。そんなもんなのさ。 8点(2004-08-14 14:04:24)(笑:1票) (良:1票) |
14. さよなら子供たち
涙が、零れそうで、零れない。そんな、最後の瞬間の、少年の目。 5点(2004-08-14 14:02:01) |
15. フランケンウィニー(1984)
犬ちゃんが何てかわゆい。いやほんとかわゆいな~あのツギハギ感。うちの犬も生き返らせて欲しいよ。生き返っても骨だけど。近隣の住民はアホばっかですね。特にあのおっさん、子供がいるのに火ィ点けたぞ。どうにかしてるよ。警察に突き出しなさいって。 6点(2004-08-03 20:49:06) |
16. 肉片の恋
どこぞの浸りきった男女が人目を憚らずいちゃいちゃしていても、周りの人間の視線は物凄く冷ややかなもんです。2人が作り上げた独自世界と、その2人以外の全ての覚醒している人々が属している世界との温度差。何やらそんなものを感じてしまいました。恋人たちよ、世界は常に無情で冷徹なのさ。あるカップルの束の間の愛の耽溺タイムでした。 7点(2004-08-03 20:33:11)(良:1票) |
17. ドールズ(1986)
こんなクソしょぼいB級ホラーに8点あげちゃう自分の感性が大好き。昔から人形がちょいとおかしな位好きだった。旅行で津和野に行った時、アンティークドールの美術館があって、何かもう、そこに住みたいとすら思ったもん。いつまで経ってもガラスにべったり張り付いて離れようとしない私に、友人たち、確実にげんなりしてた。ごめんよ、みんな。とにかくそれ位に人形好きの私。だからあの家に迷い込んでも絶対殺されない自信がある(笑)。てゆうか、迷い込みたい。それにしても主人公の女の子の継母役の人、タランティーノとユマ・サーマンを足して2で割ったような顔をしてませんでしたか。 8点(2004-07-31 22:30:37) |
18. シド・アンド・ナンシー
ここまで恥も外聞もなく、醜く汚く剥き出しの心で誰かと向き合うなんて、逆に清々しい。羨ましい。何だか妙に清澄な余韻。キレイなものを見たような気にすらなった。不思議に。 7点(2004-07-20 21:14:13)(良:1票) |
19. ビョークの「ネズの木」~グリム童話より
普通に映画を楽しみたい、という方には全く向かない作品。だからお勧めはしない。私のように「寂寥感」に積極的に浸りたいと思うような人間は少数派だと思うので。私の場合、グリム童話的な残酷さやアイルランドの荒涼とした原風景、それらが醸し出す何とも言えない寂寥感に触れたい、という構えで観たので、期待通りの作品だった。ここまで「寂寥感」だけで出来た映画もない。寒々しく、暗く、寂然として、残酷で、排他的な、閉じた世界。 7点(2004-07-05 18:24:38) |
20. 愛と哀しみの果て
何が駄目だったのか…。多分、そのメロドラマ感とメリル・ストリープを拒否ってしまったんだと思う。最初、せっかく1時間位観たのにギブアップしてしまった。それがあんまり悔しかったので、1カ月位経ってもう1回観てみた。やっぱり何回も止めた。長い…長いよ…そして迎えるオチも真性メロドラマ…。こういうの、きっとそもそもおいら的に苦手なジャンルなんだろうと思う。メリル・ストリープも個人的に苦手な女優。 3点(2004-06-21 14:17:38) |