1. 君がいた夏
今さらながら初見。タイトルはすごくいい感じ。ノスタルジック感満載の青春映画かなと期待したのですが、少々期待はずれでした。皆様ご推奨のジョディ・フォスターが、私にはやたら元気ではすっぱなアメリカン姉ちゃんにしか見えない。もっと主人公の印象に残るような、濃厚なドラマがあってもよかったんじゃないかと。デビッド・フォスターのいかにもな音楽で盛り上げてはいましたが、どうにも薄味な気が。まあ青春時代の思い出なんてこんなもの、と言ってしまえばそれまでですが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2025-01-30 02:04:37)★《新規》★ |
2. クイズ・ショウ
テレビ業界の信用が地に落ちている昨今、なかなかタイムリーなお話でした。スポンサーのご意向に翻弄される姿がなんともリアル。しかし昔は、番組に「やらせ」があってはいけないという明確なルールがあったんですね。わざわざ政府機関が調査に乗り出すというのが驚きです。今なら人員がいくらいても足りないでしょう。 逆に言えば、我々は多くの番組を「どうせやらせだろう」と思って見ているわけで、別に最初から期待していないというか、話半分に見ているというか。それを視聴者の目が肥えたためと見るか、テレビ業界の慢心と見るかは微妙なところです。 ただしこの作品でも、小賢しい人間は巧妙に生き残りました。このあたりは昔も今も変わらないようで。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2025-01-26 03:39:36)《新規》 |
3. 虹をつかむ男(1996)
主人公の(というか山田監督の)映画愛に満ち満ちた映画。ですが、性根の悪い私だけかもしれませんが、人が自分の好きなものについて熱っぽく語っているのを聞かされると、逆にだんだん冷めてきません? そんな作品です。 特に冷めたのは、小学校の文化祭で「禁じられた遊び」を出張上演する場面。あれは拷問もしくは虐待に近いと思う。たった1人の生徒が、いかにも硬そうな椅子に座らされ、しかも周囲を大勢の大人たちに囲まれ、別に本人が「見たい」と希望したわけでもない映画を強制的に見させられる。映画愛に満ち満ちた大人たちはよかれと思ってやっているのでしょうが、自己満足でしかありません。もう子どもが気の毒で気の毒で。もう田舎暮らしは嫌だ、早く都会に出たいと固く決意したことでしょう。 なんとなく、「時計じかけのオレンジ」の有名なあのシーンを思い出しました。そんな作品です。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2025-01-08 17:49:39) |
4. ブルークリスマス
《ネタバレ》 宇宙から飛来者が表れたら、人類が一致団結して戦おう、もしくは使命感に燃える絶対的ヒーローの活躍に期待しようというのが一般的なハリウッド流だと思います。それに対してこの作品は、飛来者を追い払うどころか各国の為政者が便乗して陰謀を巡らし、権力基盤の強化に動くらしい。かなりの変化球ですが、それにしてもすごく無理があるように思います。 ホロコーストに象徴される民族浄化の動きを暗に批判しているようですが、いわゆる民族と、知らないうちに勝手に血の色を赤から青に変えられた一群とでは根本的に違います。いわばコロナ感染者を片っ端から抹殺するようなもので、そんな為政者が支持を集めるはずがありません。 それに何より、得体の知れない飛来者に対して何ら策を講じないところがすごい。打つ手なし、という設定なんでしょうか。それならいくら青い血を抹殺してもキリがないわけで、そのうち人数が逆転するか、または殺し合って人類全体が滅亡するかのいずれかでしょう。世の為政者もそこまでバカではないと思いたいところです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2024-12-29 01:48:51) |
5. ザ・メニュー
《ネタバレ》 個人的に胡散臭い顔No.1のジョン・レグイザモに期待して鑑賞。やはり期待どおり、胡散臭い役どころでした。 お話としては、ある種の密室ホラーというか、計画的な復讐劇というか。しかしどれほど恨み骨髄とはいえ、あそこまでする必要はなかろうと。弟子たちまで一心同体というのが、洗脳と解釈すればいいのかもしれませんが、ナンセンス感も否めません。アニヤ・テイラー=ジョイの存在が〝味変〟のエッセンスになっていましたが、結局行き着くところまで行って気の利いたオチもなく、おしまい。要するに怖がらせてナンボの作品ということで。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-12-27 21:01:33) |
6. PLAN 75
かなり昔に見た「ソイレント・グリーン」の日本版・SFじゃない版という感じ。身につまされるというか、明日は我が身というか、まるでドキュメンタリーのようにリアルに現代を切り取っているんじゃないかと。むしろ、これ以外の解決方法があるなら教えてほしいと思うぐらい。 それは個人の尊厳とか、倫理観とか、政治家が悪いといった問題ではなく、ひとえに財政の問題だから。周知のとおり、日本政府には1000兆円を超える借金があり、さらに毎年増え続けています。その主な要因は、少子高齢化やバラマキ政策で社会保障費が増大しているから。借金には金利がつきものです。従来は日銀が国債を片っ端から買うことで金利を抑えてきましたが、これからインフレが進行すれば、金利上昇は避けられません。「1000兆円」が意識され、日本の財政そのものの信認も低下すれば(こいつアタマ大丈夫か、と疑念を持たれれば)、金利はより上がります。その分、国家予算の歳出に占める国債元利払い(現在は3分の1弱)は増えるので、代わりにどこかの歳出を減らさなければ財政が回りません。そのターゲットは、国家予算の3分の1強を占める社会保障費以外にないでしょう。 今は所得を増やすとか減税とか喧しいですが、政府が本来取り組むべき財政問題の本丸は社会保障費改革です。しかしそれはどの政党もできそうもないので、結局ギリギリまで先送りされ、切羽詰まって「特攻作戦」もとい「プラン75」みたいな制度に頼らざるを得なくなるんじゃないかなと。しかしどなたが考えたか知りませんが、この制度、フィクションとしてもけっこううまく設計されているように思います。 ただし映画としては、ストーリーも画面もひたすら暗いばかりで、面白みはありません。まあ日本と自分の行く末を考える一助にすればいいんじゃないでしょうか。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-12-23 04:54:09) |
7. ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
還暦を過ぎてなお、あれだけ全力疾走できるトム・クルーズはすごい。しかし今さら身もフタもないことを言えば、別に「ミッション・インポッシブル」じゃなくても、主演がトム・クルーズじゃなくてもいいじゃんという感じ。昨今よくある派手さとハイテク機器だけが取り柄の凡百のアクション映画の域を出ていないように思います。 個人的に好きなのは、往年のテレビ版「スパイ大作戦」。いくつもの奇跡を当たり前のように起こすという点では同じですが、何らかの役になりすまして敵陣の中枢に潜入し、チームプレーで大掛かりな小芝居を打って最後に悪玉を唖然とさせる、という頭脳戦が魅力でした。映画版では、残念ながらこれらの要素がほぼ欠落しています。 密かに期待しているのは、そろそろ走れなくなったトム・クルーズが、フェルプス君のような落ち着きと頭脳を獲得し、単独ではなくチームを率いて悪玉と観客を唖然とさせてくれるような新作が登場すること。まあ無理かな。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-12-22 02:30:23) |
8. 博士と彼女のセオリー
《ネタバレ》 夫婦の愛情物語をこってり見せつけられるのかと思っていたら、終盤に意外な展開。ずいぶん美しく描いていましたが、「そっち?」という感じ。要するに奥さんは疲れ果てたんでしょうねぇ。気持ちはわかります。いくら愛情や尊敬が深くても、生活となると話は別ですから。 ムシのいいことを言わせてもらえば、せっかくホーキングの生涯を描くなら、ブラックホール理論の何が斬新ですごいのか、多少なりともかみ砕いて教えてほしかったかなと。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-17 02:17:03) |
9. ザ・キラー
主人公の生い立ちとか、人間関係とか、裏で動いているドラマとか、一般的な映画ならふつうに描かれそうな要素をギリギリまで削ぎ落とし、ひたすら「キラー」の生態に焦点を当てましたという感じ。だから全編にわたって主人公が出ずっぱり。こういう作品は案外珍しいんじゃないかと思います。 おかげで緊張感は持続します。やたら饒舌な一人語りで完璧な仕事ぶりを強調しながら、それが〝前フリ〟として機能したり、人間味がふと表れたりすることもあってけこう楽しめます。 しかし全体の印象としては薄い感じ。主人公のみ、しかもその断片しか描かれないので、物語に奥行きがないというか。もしかしたら世の中にはこういう人もいるかもね、というだけのお話です。 [インターネット(字幕)] 5点(2024-12-14 02:51:20) |
10. 13時間 ベンガジの秘密の兵士
個々のキャラクターとか人間関係とか曖昧な部分もありますが、まあ全編にわたって緊張状態を描ければそれで十分という感じ。 しかしアメリカさん、相変わらず世界各地で嫌われているようで。どマイナーな単館映画が宗教を揶揄したぐらいで、「よし領事館を襲撃しよう」って発想にはならないと思うんですが。これは単なるきっかけで、要するに隙あらば襲ってやろうという気満々だったのでしょう。 こうなるともう交渉の余地はなく、武力には武力で、急襲には籠城で対抗するしかない感じ。映画は2時間ほどで終了しますが、問題は、現実として何一つ解決されていないこと。これからも各地で緊張状態が継続し、映画の素材をいくつも提供してくれそうですね。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-12-12 02:25:58) |
11. 戦うパンチョ・ビラ
髪の毛のあるユル・ブリンナーをたぶん初めて見ました。最初は誰だかわからなかったほどの違和感。やはりこの方は、ツルッパゲのほうが似合っているし、かっこいいですね。あくまでも個人の感想ですが。 それはともかく、いかにも昔の映画らしい大味なところがいい。パンチョ・ビラ一派もけっして単純な義賊ではなく、むしろ強烈に残虐だったりするわけで。それを冷静に、時には批判的に見つめつつ大局観から協力するアメリカ人という構図が、いかにもアメリカ映画という感じです。さすが、アメリカ人は優秀ですねぇ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-12-09 01:30:20) |
12. 魚影の群れ
個人的に「舐めたらいかんぜよ」か深窓の令嬢かというイメージの夏目雅子が、まったく埒外のド田舎の市井の娘を見事に演じていたように思います。wikiによれば超多忙なスケジュールで、なおかつ体調が優れない中での撮影だったそうですが、そういう様子を微塵も感じません。さすがプロというか、生粋の女優さんだったんですね。 で、無骨で単純な物語もいい感じ。緒形拳は土着の漁師にしか見えないし、佐藤浩市もこんな時代があったんだなあと思わせてくれます。ただ、十朱幸代のシーンだけは冗長でやや退屈。佐藤浩市が現場復帰するまでの幕間つなぎ、といったところでしょうか。 しかし古い映画の宿命ですが、もう出演者の大半が鬼籍に入っているわけで、一抹の寂しさが残ります。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2024-12-01 21:15:05) |
13. ラスベガスをぶっつぶせ
《ネタバレ》 ケヴィン・スペイシーがいかにもケヴィン・スペイシー的な役どころで、もうそれだけで満足度高し。 しかし彼らが優秀な頭脳を駆使して何をしたのか、仲間内で送る数字のサインにはどういう意味があったのか、「カウンティング」という手法はどういうものか、今ひとつよくわからず。ここがもう少し丁寧に説明されていたら、もっと満足度は高かったと思います。 で、ラストも甘すぎませんかね。1人を除いて全員がめでたしめでたしで収まってしまいました。実際にはどうなったか知りませんが。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-11-24 20:35:00) |
14. 植村直己物語
西田敏行は、よくぞこんな過酷な役を引き受けたものです。どこでどうやって撮影したかは知りませんが、とにかく寒そうで辛そうで。 近年はいろいろな病気を併発されていたそうですが、この撮影が遠因ではないことを願うばかりです。 それはともかく、「物語」としてよくまとまっていたと思います。淡々と進行しますが、ある種のドキュメンタリーのような感覚で見ることができました。植村直己の人となりもわかったし、倍賞千恵子との関係もリアルでいい感じ。 しかし過酷な冒険をせずにはいられない人生というのは、選ばれた人に与えられた特権なのでしょう。私はただ、そういう人の「物語」を傍観して自らの卑小さを実感するばかりです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-11-22 01:55:22) |
15. 金田一耕助の冒険
カネと会社の勢いにモノを言わせ、有名どころをかき集めてとことん内輪でふざけまくって作りましたという感じ。制作の現場は盛り上がったかもしれませんが、見ているこっちはドン引きするばかり。大林監督の作品をすべて見ているわけではありませんが、若かりしころとはいえ、この作品はかなり汚点の部類に入るではないかという気がします。 [CS・衛星(邦画)] 1点(2024-11-17 23:04:27) |
16. 陽のあたる教室
《ネタバレ》 私の心が汚れているせいか、泣かせてナンボの「無理やり感動系」の作品にしか見えません。とにかく個々の生徒との関わりが薄いというか浅いというか。この程度の個人指導なら、どんな先生でも多少はやるんじゃやないかという気がします。授業の描き方も断片的で、何が生徒を惹きつけているのかよくわかりません。ベトナム戦争とかジョン・レノンとかの史実を絡めるのも、それだけ月日が経っていることを示すばかりで、その間の生徒はどうなったのという疑問が残ります。 そのくせ自意識と周囲の評価だけは妙に高く、「生徒のことが何より大事」と語らせてみたり、校長に「あなたが一番好き」と言わせたり、きわめつけはラストでサプライズ歓送会が開かれたり。見せられている映像とセリフのギャップが激しすぎて、とうとう最後まで馴染めませんでした。そこまでされるほどの先生か、というのが正直な感想です。まあ私の心が汚れているせいでしょう。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2024-11-16 02:00:26) |
17. 天城越え(1983)
連行される場面とラストに映し出されるイメージショットのような田中裕子が、とてつもなく美しく見えます。ここが唯一最大の見せ場かなと。 しかし全体としては、見ていて辛くなるばかり。誰一人として悪意はないのに、誰一人として浮かばれません。そういう物語を作った松本清張が見事なのでしょうが、ジメジメした雰囲気とも相まって、見終わった後もどんよりした気分にさせられます。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-11-11 02:33:35) |
18. ラウンド・ミッドナイト
デクスター・ゴードンの役者ぶりに驚き。何の違和感もありません。当代一流のミュージシャンによる演奏も聴き応えがあります。肝心の「ラウンド・ミッドナイト」については、中盤に冒頭部分の練習風景がサラッと流される場面がありましたが、それだけでもゾゾッと来ました。 お話としてはひたすら地味で、音楽で救われた男がその音楽を生み出した男を献身的に救う物語、といったところでしょうか。まあ音楽さえよければすべてよし、とうことで。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-11-06 20:33:09) |
19. 続・網走番外地
タイトルやテーマ曲の極寒のイメージからはほど遠い、完全なるコメディですね。 寅さんまがいの健さんをはじめ、いろいろ笑わせてくれるシーンが満載でしたが、とりわけ身を起こして見入ってしまったのが終盤の「火祭り」。お互いに松明を持って踊りながら戦うという、わけのわからない設定でした。しかもここ、笑わせようとしているのか、マジメに盛り上げようとしているのかも不明。なかなかカルトな体験をさせていただきました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-10-26 15:10:08) |
20. 望み
失踪した息子ははたして加害者か被害者か。そういう両極端な舞台を設定したところが面白い。しかしそれだけで最後まで突っ走ってしまったというか、物語の展開としては特になしというか。結末を知りたくて見続けましたが、終わってみれば中身はあまりなかったような気もします。どう転んでも悲劇にしかならないし。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-10-20 01:15:50) |