1. 頭上の敵機
《ネタバレ》 僕は戦争映画は苦手なジャンルですが、これはどちらかというと空軍内での人間ドラマに重きを置いた作品だったので楽しめました。 まず、軍服姿のグレゴリー・ペックが実に颯爽としてカッコいい。つい数年前の「白い恐怖」の時期と比べても、体格的にも演技的にも一本の太い芯が生え、主役として風格と落ち着きが出て来た感じ。ノイローゼ演技も格段に進歩。彼とヘンリー・キング監督とのコンビ作って、実に計六作品もあったんですね。初作であるこの映画の成功によるものかと思いますが、甘物メロドラマの巨匠イメージだったこの監督に、こんな硬派な作品があったとは驚き。我がニッポン国の戦争映画で描かれた軍隊とは全然異なる、あくまで個人優先の、意外とヌルい軍内部規律構造も興味深かった。少々頭髪が淋しい一見冴えない事務方参謀役、オスカー助演賞受賞ディーン・ジャガー氏は儲け役。皆さんの↓「企業中間管理職啓蒙映画」とは言い得て妙。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-30 08:23:46)《新規》 |
2. 空気の無くなる日
《ネタバレ》 名で客を呼べるような有名スターが出ているわけでもなく、公民館や学校の講堂とかで上映されてもおかしくない「教育映画」みたいな、ひたすら地味な映画。商売上手な監督さんなら、クライマックスとか、もっと見せ場があるような演出をしたと思う。いや、逆にそれが妙なリアリティーをもたらした摩訶不思議なニッポン製SF?映画。製作されたのが、戦後四年目1949年という事を考慮に入れたら、平和な村に「空気がなくなる日」が来たら、さあ一体どうなる?って思いつき只その一点のみで、たいして製作費もかけずに作品をこしらえた、その心意気を自分は買います。着眼点と発想の勝利とでもいえばいいか。登場人物の中では、窓際の机の前に腰かけ、本のページをゆっくり手繰りながらじっと「その瞬間」を待つ、おんな先生の心境に一番共感しました。↓ナルホド、これは児童文学の映画化だったんですね~、観ただけでは理解出来なかったトリビア情報ありがとうございました。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-09-17 22:31:08) |
3. 美しき小さな浜辺
《ネタバレ》 フランス人って、雨が降っても滅多に傘を差さない国民っていうのは知ってました。降っても霧雨で、濡れてもすぐ乾くから?というのが理由とかなんとか。さてさてこの映画は、全編を通じて霧雨どころか土砂降りに近いような雨模様。それでも主人公たるJ・フィリップ氏は傘を一切差さない。意地?でも全身濡れそぼりながら、小さな浜辺や納屋やらホテルの周辺をひたすら歩き回る。「傘を差す」という行為は男子たる沽券か美学に係わると思っての事なのか、どうなのか。我がニッポン国でも「男の日傘」がこの夏からぐっとポピュラーになった現在、おフランスの傘事情にも、この時代から多少変化はあったんでしょうか?鑑賞中、映画の胆である主人公の過去についての謎ミステリー要素そっちのけで、「フランス人と雨傘」に関することばかり考えておりました。レビュー数1500本弱にして、ジェラール・フィリップ主演映画、初めての鑑賞。思ってたよりもずっと痩身繊細な役者さんでした。「女を抱く」より「女に抱かれる」方がキャラクター的に似合う印象。そういう意味では、同時期にアメリカで活躍したモンゴメリー・クリフトにも通じるような。 [DVD(字幕)] 7点(2024-07-28 21:44:37) |
4. 私を野球につれてって
製作年度から言えば、この作品は「踊る海賊」(1948)と「踊る大紐育」(1950)の狭間にあたる時期。「海賊」とこれを観れば、より洗練させ、よりダイナミックにヴァージョンアップさせたのが「踊る大紐育」(8点)って事が非常にわかりやすく理解できる、と思う。自分はF・アステアより断然ジーン・ケリー派なので、太平楽且つノーテンキ極まりないこの映画も愉しめました。来たる1950年代にキャリア黄金期を迎えるジーン・ケリー物語の、ある意味前奏曲映画ともいえる。ちゃんとお召し物を羽織って台詞を言う「水着の女王」エスター・ウィリアムズ嬢も私は初見参、お綺麗です。 [DVD(字幕)] 7点(2024-05-04 08:15:54) |
5. チャンピオン(1949)
《ネタバレ》 成り上がる欲望に取り憑かれた、ギラギラしたミッジというアンチヒーローを演じた若き日のカーク・ダグラスにとにかく圧倒されました。初主演作にして最高の適役に出逢ってしまったせいで、結局アカデミー賞主演男優賞を取れず仕舞いだったのはホント惜しまれる。80年代にマイケルがのしてきた時期も、カークのイミテーションが出てきたようにしか見えなかった(笑)改めてモノクロ映画の深みあるカッティングショットにも随所で唸らされましたね。足が不自由なお兄さん役のアーサー・ケネディ、放っておかれる妻役、ヒッチコックの「見知らぬ乗客」ではてんで冴えなかったルース・ローマンもここではそれぞれ適役適演。 [DVD(字幕)] 8点(2024-05-03 08:21:21) |
6. 深夜の告白(1944)
《ネタバレ》 この上もなく美しい悪女に手玉に取られ、骨抜きにされてみたい隠れM男の願望を、見事映像化して下さったビリー・ワイルダー監督の傑作。ウディ・アレンがこの作品を、史上最高の映画と高く評価しているのは有名な話ですが、彼がこしらえた幾つかのサスペンス作品のヒロイン像がこの映画のバーバラ・スタンウィックと、どこか重なる部分があるのもその話を聞けば納得できます。この両名監督のフィルモグラフィーを見るにつけ、やっぱりコメディとサスペンスっていうのは表裏一体なんだなあと。アカデミー主演女優賞に延べ計4回ノミネートされ惜敗したスタンウィック女史ですが、受賞するならこの作品しかなかったと思います。でも当時の社会通念だと、こういう役での受賞はやっぱり厳しかったんかなあ・・・。 [DVD(字幕)] 9点(2023-08-05 07:47:21)(良:1票) |
7. 逃走迷路
《ネタバレ》 エピソード的に面白い部分もあるんだけど、それが太い線となってメインのストーリーに巧く絡んでいかないというか、転がっていかないというか。観ていて何となくもどかしい気分にさせられる作品なんですよね、これ。んで、クライマックスの、自由の女神のシーンのド迫力にひたすら圧倒されてるうちにジ・エンドという。イギリス時代の『三十九夜』アメリカ渡米後の『海外特派員』、そして本作と、ヒッチコックが試作と清書を常に繰り返しながら、集大成的作品『北北西に進路をとれ』に発展させ繋げていった軌跡がこれを観るとよくわかります。でも単体だと、この点数止まりかなぁ。主人公のロバート・カミングスはまあ及第点として、ヒロインがちと弱い。 [DVD(字幕)] 6点(2022-08-08 21:19:18) |
8. 夜の人々(1948)
《ネタバレ》 瑞々しい青春映画。後年の『理由なき反抗』(8点)でも若い世代の扱いが巧かったニコラス・レイ監督、なんとこれが処女作なんですね。デビュー作にしては腰が据わった演出っぷり。最初、多少発育不全気味?に見えたヒロインが、主人公と行動を共にするにつれ、とびきりの美人とまではいかないけれどフツ―にチャーミングに見えてくる、これも映画のマジック。二人とも共倒れになる結末ではなく、彼女と胎内に宿った小さな命だけは死守しようとしたボウイ君の男気に、自分はキモチ揺すぶられました。キャストもオハナシも地味だけれど見応えありの佳作です。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-26 21:28:34) |
9. 三つ数えろ
《ネタバレ》 苦手ジャンルの映画を今さら克服してみよう!シリーズ第二弾ハードボイルド編。「マルタの鷹」(5点)と、たいして面白さ自体は変わりませんが、こっちのが、出てる女優陣が豪華で華やかな点を鑑みて点数上乗せ。しかしこの映画も本筋のストーリーから脇道に逸れる逸れる。ハードボイルド小説や映画が好きな方って回り回って元の位置に無事着地するスリルが好きなんかなあ・・・。などど邪推してみたりする。 [DVD(字幕)] 6点(2022-07-05 22:23:53) |
10. マルタの鷹(1941)
《ネタバレ》 苦手ジャンルを克服してみようシリーズ第一弾。小説にしろ映画にしろ、自分は昔っから「ハードボイルド」っていうジャンルが大の苦手です。あ、懐かし土曜ドラマ「Gメン75」は大好きでしたが。この歳になって、食わず嫌いはいかんと思い、最近何作か名作といわれる作品を鑑賞しましたが。。。。やっぱりダメでした。監督が職人ヒューストンであろうが、ボガートがいくらハマリ役であろうが、やはりダメなものはダメ。どうして本筋を真っ直ぐに追わず、隙あらば横道に逸れていく展開になるだろう・・・?不思議。ハードボイルド映画っていうジャンルは、そもそも本筋ストーリーを追わないのが王道なんでしょうか。私は台詞を聞きながらついていくのが精一杯でした。綺麗な女優さんでも出してくれればまだしも、この女優さんじゃてんで共感も湧かないし同情も出来ません。ミスキャストも甚だしい。 [DVD(字幕)] 5点(2022-07-05 22:11:47) |
11. 霧の夜の戦慄(1947)
《ネタバレ》 若き日のジェームズ・メイソン氏には、ホントなんとも表現し難い男の色気がありますね~。どんなに悪い役どころを演じてても、ふとした時に見せる、例の迷い犬のような、情けを乞うような、彼にしか表現することが出来ない表情をしてみせると、たちどころに演じてるキャラクターに観客を無条件に共感させてしまう、そんな役者ってなかなかいるもんじゃないですよ。この地味な作品も彼の演技力と魅力が映画本来の出来を数段押し上げてるってイメージ。邦題に偽りはないけれど「戦慄」とはちょっと違うような。 [DVD(字幕)] 7点(2022-06-29 21:19:10)(良:1票) |
12. 犯人は21番に住む
《ネタバレ》 真犯人が単独犯ではなく複数犯だったっていうオチの意外性はあるものの、運びがいまひとつルーズで映画に乗り切れませんでした。いや、わかるんですよ、ヒッチコック作品を例に出すまでもなく、優れたサスペンス映画にはスリルと背中合わせのユーモアがあった方がより効果的だっていう事は。でも、それにしてもこの作品はユーモアの方がサスペンスに比べてより勝りすぎているような気がしました。前知識なくクルーゾー監督作品という事で、もっとグルーミーなフレンチノワール作品を期待してしまった自分がいけないんだと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2022-06-29 20:58:09) |
13. 幸福の設計
《ネタバレ》 後年サスペンス映画に手腕を発揮するJ・ベッケル監督作品。この作品はサスペンスでもないごくフツ―な内容のオハナシなのに、時折妙にドキドキさせられる場面も幾つかあったりして面白かったです。屋根に上ってラジオの回線を繋ぐシーンとか。地下鉄の駅のシーンや、パリ市内の何気ない生き生きとした市井描写が、他のフランス映画ではなかなかお目にかかれない独特の捉え方をしていると思います。宝くじかあ・・・私は年末ジャンボは数年前購入を止め、WIN5を時々買ってはいますが、まあ、当たらない事当たらない事。作品の性格的にもハッピーエンドなラストで良かった。邦題の「幸福の設計」っていうタイトルも地味だけどいいよね。 [DVD(字幕)] 8点(2022-06-28 09:52:19)(良:1票) |
14. 邪魔者は殺せ
《ネタバレ》 若き日の、端正なマスクのジェームズ・メイソン氏が全編にわたり、まるで見捨てられた子犬のように苦痛と晦渋の表情を浮かべ、潜伏逃亡する姿、その一挙一動が痛ましくも美しく、そして愛らしい。いささか脇道に逸れ、寄り道しすぎかとも思われる、一夜の逃亡劇から目が離せなかったのは、彼のこの名演技があったからこそ。時に非情に振る舞わなければならない組織の幹部クラスの人間が、愛らしく見えてしまうというのは、いささかどうかとも思いますが。撃たれた後、潜伏しながらも、なんだかんだで介抱を受けたり、通報されるのをラストまで免れたのはひとえに手にかけた死者に対して許しを乞うような、彼のこのパセティックな表情に感情を動かされた人物が多かったからかと。陰影深いモノクロームのカメラや厚みがあるセットも、キャロル・リード監督作らしく圧巻でした。 [DVD(字幕)] 8点(2021-04-26 22:03:52) |
15. キー・ラーゴ
《ネタバレ》 ジョン・ヒューストン監督は同年に「黄金」(7点)も監督、アカデミー監督賞を獲得されてますが、この作品で示した力量も加味されての受賞だったんではないかと推測されます。自分はたまたま今回、この二作品を連続して鑑賞しましたが、映画史的には高評価の「黄金」よりもこちらの方が数等面白かった。なんといってもボガートとバコールの見栄えがするツーショットがまず最高。自分、ボガートという俳優さん、それほど好きではないのですが、仏頂面した彼が冴え冴えとしたクールな美貌のバコールの傍に寄り添うだけで、一幅の画になることこの上ない。ストーリー的にまだ何も起きてなくても「何かがこれから起こりそうな」危険で不穏な雰囲気が画面上からムンムンと立ちこめてきます。このお二人が、当時「ハードボイルドカップル」と形容されていた事もむべなるかな。車椅子のホテル主人、戦死した息子の未亡人、友人の退役軍人、ギャングの親分、手下たち、その情婦と、人物配置も舞台の映画化だけあって的確。ただ、終盤の海上に出てからの銃撃戦が割とありきたりなのが惜しい。ホテル内だけでラストまで解決させれば、より纏まりが良かったと思われ、そこが気になった為減点。実はチキンなギャングの親分役、エドワード・G・ロビンソンって誰かに似てるって思いながら観てたら、今期の朝ドラに出てる元芸人の「ほっしゃん」さんにお顔の造作が似てるんだな、ああ、ようやく思い出せてスッキリ。ジョン・ヒューストン監督の自伝「王になろうとした男」を読むと、製作当時ワーナーとの契約等の難事にぶつかりつつも、心身共に意気揚々として真摯に映画製作に向き合っていた様子が伝わってきます。クラシック映画ファンの方なら是非ご一読を!(追記)日本語副題の「殺人ホテル」っていうのは、テレビ放映された時かリバイバル公開された時のものでしょうか?一体、どっからこんなしょーもないタイトルを。ま、粗筋だけ読めば間違いではないけど・・・。せめてハッタリでも効かせて「キー・ラーゴ~ハリケーンに閉じ込められた恐怖の一夜!立ち上がれ、漢・ボギー!~」とか←更にしょーもない [DVD(字幕)] 8点(2021-03-15 09:22:32) |
16. 黄金(1948)
これは大画面のスクリーンでこそ観たかった映画。DVDでの鑑賞だと、メキシコシェラマドレの地面やゴツゴツした岩肌から立ち昇るギラギラした熱気や臭気、それによって引き起こされる主要人物三人のジリジリジリジリした焦燥感や葛藤がストレートに伝わってこない。もちろんヒューストンの演出が巧みなので伝わってはくるんですが、それは約二割ほど割引された状態で稀薄になってしまってるような。「カサブランカ」以前のボガートは、悪役が多かったって事ですが、その頃の様子が大体どんなだったかはこの映画で確認できます。よって、これは鑑賞状態がDVDだったが故の採点です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-14 08:21:52) |
17. 海外特派員
《ネタバレ》 ヒッチコックアメリカ渡米後の第二作目。西部劇の主演が多いJ・マクリ―が演じた主人公は、当初ゲイリー・クーパーにオファーしたけれど断られたとのこと。後にクーパーはオファーを受けておけば良かったと悔しがったというエピソードが。でも、この作品に限って言えば、逆に断られて良かったのではないかな、と。クーパーがこの役を引き受けていたら、いかにもヒーロー然として構えて、次から次へ起こるつるべ落ちの危機にも割と冷静に対処し、作品全体の緊迫感が薄まったんじゃないかと思われます。のちの「北北西に進路を取れ」(9点)に連なる、場所から場所への移動サスペンス。流石にラストの航空機海中墜落シークエンスは、屋根の上に更に軒を連ねたような憾みが無きにもあらず。しかしこの時期のヒッチコックの、「観客をハラハラさせるためにとにかく何でもやってみよう」的ショーマンシップサービス精神には、ほとほと感心させられます。 [DVD(字幕)] 7点(2021-02-25 10:16:44) |
18. 上海から来た女
《ネタバレ》 悪女が男を破滅させる「ファム・ファタール」ものジャンルでは、B・ワイルダー監督作「深夜の告白」が一番の傑作と自分は思っています。そのレベルには及ばないものの、この作品も、ちょいとつつけば穴だらけのストーリーの脆弱さを除けばかなりの出来だと思います。当時リタ・ヘイワースの旦那だったウェルズ氏が、いかに彼女をキレイに画面に映えるように魅せるか、シーンごとに変わる衣装、カメラワーク含め涙ぐましい結晶の跡が伺えます。ホント、この時期のリタは全身パン粉ではたいたような美しさ(←誉めてます)まるでTPOをわきまえない、時には場違いとも思えるおキレイな衣装の数々は一見の価値あり。評価を上げたのは、やはり映画史的にも有名な、クライマックスの「クレイジーハウス」での銃撃場面が良かったから。この映画の結末同様、完成後このお二人離別してしまったようですが、何となくラストのウェルズ氏の表情が「(実生活も含めて)もうお前に振り回される人生は御免だ!!」って言いたげに見えたのは自分の穿ちすぎでしょうか? [DVD(字幕)] 8点(2018-10-30 23:21:47) |
19. 踊る海賊
《ネタバレ》 ジーン・ケリーとジュディ・ガーランドご両人の大ファンとしては、数少ない共演作の中では最もポピュラーな大作という事で、ずっと昔っから観たかった映画です。DVD化してくれたジュネス企画さんに感謝!正直『ザッツ・エンターテイメント』シリーズで、ほとんどこの映画のナンバーは収録されてなかった事から、それほどミュージカル映画としての評価は良くないんじゃないのか・・・と不安に思ってはいたんですが・・・。まあまあ、それなりでした(笑)佳作と呼ぶには今一歩。でもお二人のファンの方なら十分楽しめるはず。この映画が製作された40年代後半あたり、まだMGMとしても色々試行錯誤の時期だったんじゃないのかなあ・・・という箇所があちらこちらに。勢いだけはとにかくすごいけれど、どこか雑で隙のあるこの作品あたりから、50年代の洗練されたアーサー・フリード氏製作一連の秀作作品群「雨に唄えば」「バンド・ワゴン」「巴里のアメリカ人」へと昇華到達していったんだなあ・・・と、改めてミュージカル映画史の後付け学習した気分。ジーン・ケリーは、チョビ髭も海賊衣装メイクもそれほど似合わない。逆に、ジュディのコメディ演技のセンスが最も巧く発揮されたのはこの映画なのでは?「雨に唄えば」でも大好きなナンバーだった「道化師になろう!」が、このお二人のデュエットで鑑賞できたのが一番の収穫! [DVD(字幕)] 7点(2018-10-15 21:37:13)(良:2票) |
20. 青い戦慄
《ネタバレ》 ジュネス企画さんが出してるDVDは、大手の会社とは異なり、クラシック映画ファンが昔っから噂には聞いているけれど、実物をなかなか鑑賞する機会がない的な作品群を数多くリリースしてくださっているので非常に重宝しています。この映画に対する鑑賞前の興味の焦点は、かのレイモンド・チャンドラー氏が脚本に携わってるっていう点のみ。残念ながら期待を下回る出来。スリラーとしても、ハードボイルドとしても、ラヴサスペンスとしても全てが中途半端。演出も、ただのんべんだらりんと撮ってるだけで切れ味不足。見どころはブロンドヒロイン、ヴェロニカ・レイク嬢がシーンごとにとっかえひっかえ着替えて登場する、イーデス・ヘッド女史デザインによる凝った衣装の数々。「シェーン」以外で、アラン・ラッド氏を映画で観るのはこの作品が初めてだけど、端正なマスクはともかく、なで肩で線が細いヒトなんですよね~。んで、やっぱりハリウッド男優にしては極端に背が低い。この人が腕っぷしが強そうにはまず見えないし、かといって悪人連中にも大した魅力がないのがこの手のサスペンスとしては大幅なマイナス。往年のパラマウント調都会的タッチが幾分味わえるのが救いか。 [DVD(字幕)] 6点(2018-10-09 22:55:48) |