1. ゆれる
《ネタバレ》 はっきり書かせてもらいますが、この映画のタケルに対しては、ただの調子乗ってる成り上がり者みたいなかんじで最初から全く感情移入できませんでした。正直、クソ野郎のヤリチンだと思います。この映画の「ゆれる」というタイトルには色んな意味があると思うんですが、タケルの気持ちが「ゆれてる」視点に立つと、はっきり言って「何をゆれてるの?」ってかんじですよ、お前ゆれてる場合じゃねーだろ、ただ謙虚に真実を言えと。序盤が全てで、この映画で描かれていることは、タケルの調子乗った行動が全ての原因です。職場の空気も読まず、気取りの調子こきで、ただの性欲処理で女と寝て、それが原因で起こった一連の問題でいっちょまえに「ゆれてる」アホさ加減に反吐が出ました。傲慢ですよ。どこまで自己中な野郎だと。そしてよく考えると、この映画はそんな自己中野郎の「ゆれてる」自己陶酔を見せることで引っ張ってる、それで私は腹立ってきました。ほんと傲慢。せめてもう少し理由がいると思います。なんか最後までタケルをクールに描いている描き方にも非常に疑問を感じました、こういうのは下手なミスリードを招くと思います。この映画の善悪のなんともいえない曖昧さは、ただの逃げだし、誤解を招くと思いますね。観客に結論を委ねるような映画は、扱っている問題上答えが出せない、出すべきではなくて委ねるしかないという場合以外は逃げですし、監督としてお気楽すぎです。映画の題材自体は面白いと思うし、だから見たわけですが、猛に稔・智恵子と比べて対等な動機がないので全く映画として揺れませんでした。演技だけ見れば確かに素晴らしかったと思うので、1点は全て俳優さんへの点数です。 [映画館(邦画)] 1点(2006-11-01 00:45:30)(良:2票) |
2. ゲド戦記
《ネタバレ》 宮崎駿作品はとても好きで、結局全て見てきた。レビューされていた方もいたが、宮崎駿作品は「カリオストロの城」での銭形や「ラピュタ」のばあさんドーラ、「紅の豚」のアメリカ野郎しかり、悪役であってもみんな良い人の部分を持っていて、そんな柔らかさがジブリの大衆人気を支えたと思うし、悪役にもファンができたりしたと思う。この映画の悪役は心底嫌な奴ばかりで、暴力描写はやけにリアルだし、何の感情移入もできない。びっくりしたのは途中に出てくる近所のおばはん二人組みである。このババア二人組は死ねばいいのにと思うぐらいむかついた。微塵の愛嬌もクソもない、ただ単に心底むかつくババア。アレンは親父殺すならこいつらも殺せ。パンフレット見ると愛嬌ある奴として描いたつもりみたいで、もう「・・・」ですよ。悪役の兵士がヒロインを襲っている場面も、そんな凝視してなかったからどうか分からないけど「奴隷としてじゃなくて個人的に可愛がってやるよ」みたいなこと言って服に手かけてたように見えてレイプかよと思って気持ち悪かった。ジブリで見たくねえ場面でした。食べ物がまずそうなのは色が汚いからですよ。宮崎駿は食べ物はリアルな色じゃなくて原色で描かないと美味しそうに見えないんだって言っていました。例えばトマトだってリアルに描こうと赤に白とか黒を付け足してだした赤色より、原色の赤色だけで真っ赤にした方が美味しそうに見えるもんらしいです。よく考えると着色料つかって食い物に色付けるのも美味しそうに見せるためで、色って大事ですよね。こういうのって経験がないと絶対分からないことで、宮崎駿は自分で全て作画も背景もチェックして、そういうのも手直ししていたからクオリティが保てたと思います。また「もののけ姫」でも「こういうの見逃さないファンもいる」って言って最後の場面に急遽忘れられていたヤックルを加えたり、ファンを意識して作ってるプロだと思いました。息子監督はそんな精神あったんでしょうか?少なくともジブリファンの僕は途中で自分の命を粗末にしてやろうかと思いました。大体父殺しの動機を曖昧にしている次点でこのおっさんは命を舐めてます。監督ではなく、アニメ工場ジブリの手腕で持った作品。 [映画館(邦画)] 0点(2006-09-04 05:49:24)(良:12票) |
3. グッバイ、レーニン!
これを含めてダニエル・ブリュールの出ているドイツ映画は個人的に素晴らしい。ベルリンの壁という、東西を分割していた「とてつもないもの」がつい15年前まで存在した国だからこそ作れるんじゃないかと思ってしまうほどに、非常に政治的なものをうまく組み込んでいるものが多いと思う。この映画の主人公や家族はある意味すごいリアルだと思う。壁の崩壊を開放という風に私を含め、西側の民主主義国は捉えてきたわけであるけど、東側にとってみれば開放と同時に色んな破壊もあったのだということを、この映画はディテールでしっかり伝えてくれる。家族愛や母の国家に対する愛、そんな一家族の動向など無視して突き動き、知らん振りの世界情勢。そんな状態の中、必死に家族と社会とが融合しようともがく姿。見方によってはコミカルではあるが、その健気さに私はめちゃくちゃ感動した。 [DVD(字幕)] 10点(2006-08-13 10:55:24) |
4. ラストデイズ(2005)
めちゃくちゃ退屈だった。個人的にその退屈さは「死霊の盆踊り」と同等レベル。つまりかなり本気の退屈レベルということだ。退屈とはいえ「死霊の盆踊り」は実はノリ的に笑えて結構好きだが、なんかこれはオシャレ映画的なノリでいる分数倍タチが悪い。ほんと勝手にやってろと思った。「裸の十字架を持つ男」以来の見たの後悔した映画。カート・コバーンについてこの映画を見る前より見た後で、格段に興味がなくなった。どうでもいい。そういうのを理解できないとか云々より「映画として」つまらない。この映画作った人らにも全く興味なし。今後この人らの同じような作品をうっかり見ないようにだけ気をつけようと思う。個人的に評価は甘い傾向にあるが、これは本気の0点。 [映画館(字幕)] 0点(2006-07-13 05:23:40) |
5. RENT/レント
《ネタバレ》 NYのブロードウェイで見て圧倒されえらく感動し、それからサントラも買ってこれまで何度も日常的に聞いている者ですが、この映画版は原作に忠実でなかなか良い出来だと思った。まず10年経って、若者役をやるにはそれなりに年を重ねたオリジナルキャストをあえて再結成させた心意気がいい。私がNYで見た舞台は既にキャストが入れ替わっているわけであるが、原作者のジョナサン・ラーソンの公開前日の死という衝撃がこのミュージカルを伝説にしたのであって、やはりその衝撃をリアルに味わって舞台に立ったオリジナルキャストはこの作品への思い入れも格別のはず。その人達が映画に出てくれたのはとても感激だし、集めたスタッフのこのミュージカルへの思い入れも感じるわけです。映画ならではの良さはやはり実際のNYで撮影することで妙に雰囲気やリアリティが出てたことで、これは終始同じ背景の舞台では出せない味だったと思う。細かいことを言うと、ロジャーが屋上で「ONE SONG GLORY」と唄う場面は普通に「たった一曲でいい 栄光を」の字幕で良かったと思う。この歌が36歳まで皿洗いバイトの貧しい生活を続けながらレントを書き続け、栄光を目前に死去したJ.ラーソンへの想いとリンクする場面で、「たった一曲でいいんだ」という渇望の思いを出してほしかった。また「GOODBYE LOVE」の場面がはしょられてた気がするが、個人的に好きなんで見たかった。でも映画でも歌はさすがだったし、「THERE IS NO FUTURE,THERE IS NO PAST」の若者達と熱い想いというのはこの映画版でもよく伝わった。J.ラーソンもイーストビレッジで家賃を滞納していたのだろうか。またNY行きたくなった。 [映画館(字幕)] 10点(2006-05-06 05:00:22) |
6. 東京ゴッドファーザーズ
この物語は幻想的な物語だと思う。クリスマスの夜に起こった夢のような話である。だから、夢のようにご都合主義的に人と出会い、ハッピーエンドに向けて話が展開していく。ただ中途半端にリアリティーを追求するのではなく、ファンタジーに徹して、ハートウォーミングな話を作り上げた製作側の意図と成果は素晴らしいと思う。アニメーションは、元来、アニメーションでしか表現できない幻想的なものを作るのが理想だと思う。この物語は、「東京の町並」という超現実的空間の中で、本質で、非常に幻想的で温かいアニメ的感動を与える稀有な作品だと思う。 8点(2004-07-23 20:57:17) |
7. レディ・キラーズ
試写会で見た。まだレビューがないけど、個人的には非常に面白かった。めちゃくちゃ笑えた。もう一回お金払って見てもいいかも。元コメディ俳優のトム・ハンクスとコーエン兄弟監督ってことで、確かに力量を感じてしまった。トム・ハンクスはほんと範疇の広い人だと思った。 9点(2004-05-13 01:40:02) |
8. 悪い男
《ネタバレ》 一言も言葉を発してなかった主人公が、終盤に初めて話す。その声がヤクザとは思えぬ裏声。その奇異な光景。その後、部下のヤクザに刺される場面では、血まみれの中、仲間の落としていったナイフを砂の中に隠してやる。その兄貴としての優しさ。その瞬間、この主人公が好きになった。彼は寡黙なのではない、黙祷を捧げて生きているんだと思う。それが彼の人生なのだ。見終わった後、「凶暴な純愛」という、「レオン」のキャッチコピーを思い出した。売春婦、ヤクザ、セックス、その末に描かれているのは、凶暴に荒れ狂う純愛だと思う。ちょっと大げさな場面や暴力シーンが多すぎたので-2点。 8点(2004-04-12 17:47:26) |
9. アイリス(米英合作映画)
この映画は見てて痛かった。人間の老いたる姿、不変の愛、そんな中を若かりし快活な頃の映像を随所に入れて見せてくるからその対比が悲痛で痛かった。痛すぎた。私はまだ若いが、見終わると前の席の老夫婦が大泣きしてた。たしかに老いた身で見るとさらに悲痛の痛みを感じると思う。ケイト・ウィンスレットがよかった。見終わってすがすがしくはなれないが、重い意味でいい映画だと思う。 10点(2004-03-12 06:25:15) |