1. ノスタルジア
大昔しょぼい14インチのテレビで見た時に、今度は絶対映画館で見たいと思いました。未だその望みはかないませんが、VRゴーグル+映画館をシミュレーションするアプリで近い体験が出来ました。顔に少し違和感を覚える以外、目の前に広がる圧倒的な大画面での鑑賞です。 大画面だと、タルコフスキーの製作意図なんか考える暇もなく自分が映画の中に入っている感じです。主人公と同じ視点では決して無く、主人公の後ろに立って見ている感覚です。2次元の画面を遠く離れた所から見ているのではなく、登場人物やモノがとてもリアルに感じられます。景色は、ゲーテを鬱から回復させた眩しいほどのイタリアの色彩とは全く異なり、とてもイタリアとは思えません。 退屈というレッテルがよく貼られるこの映画なのに、あっという間に時間が過ぎていきました。形而上学的な会話を登場人物たちが延々と続けるインテリ風と異なり、小さなストーリーが次々と流れていきます。ふっと笑えるシーンや女性の裸すら出てきます。 ロシアの母なる大地とタルコフスキーの母への想いがシンクロしてできたこの映画、最近なにかと話題になる「ロシア的」とは何かを知りたいと思ったのが観た目的でした。イタリアではなくウクライナで戦争をしているロシア兵はロシアへのノスタルジアを覚えるのでしょうか。それともプーチンが主張するように同じロシアだと感じているのでしょうか。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-09-24 09:07:27) |
2. ブレードランナー
もし主人公が超人的な活躍でカッコ良く振舞う映画が見たいなら、同じハリソンフォード主演のスピルバーグを見ればいいでしょう。 この映画、もう10回くらい見てます。毎回思うのは、人間が作ったレプリカントの方がはるかに能力が高く、彼らの前ではデッカードは殆ど無力に近い存在です。弱さは人間の象徴なのか? 特に好きなのは、まず街のシーン。そして、ロイの最期のシーン。アドリブだったあの台詞は本当に感動的です。更に、ラブシーン。弱々しいデッカードが女性(レプリカントですが)には強気です。「Say "I love you"」「Say "I want you"」と強い口調でレイチェルに言い、言われたとおりに口にした後、最後にput your hands on meと言います。この時のショーンヤングが最高に可愛くて大好きです。ただ、ショーンヤングはこのシーンの暴力的な感じがイヤだったそうです。 それらを含め、見終わる度に何か感慨深い思いに打たれますが、それもすべて消えていきます、雨の中の涙のように。 [インターネット(字幕)] 9点(2022-09-18 18:51:14) |
3. トップガン
1時間半ほどの時間で、アクションあり、恋愛あり、友人の死もあり。しかも、詰め込み過ぎず程よく退屈なシーンも入れて緩急を付け。言わば少年ジャンプ+恋愛もの+MTV。クオリティー保証付きの典型的なハリウッド映画で、「つまらない映画を観て損したくない」という人には最高です。「心を動かされる」映画を探している人には、全く刺さらないでしょうね [3D(字幕)] 7点(2022-09-04 21:32:18) |
4. ゆきゆきて、神軍
この映画は、主人公、奥崎 謙三をヒーロー扱いする目的ではありません。 ニューギニアで起きた当時の不当な処刑を道徳的に告発するものでも当然ありません。 もしドキュメンタリーが正確な記録だけが目的なら、 知らせずに隠し撮りすべきです。 カメラが入ると場に影響を与えます。それは主人公が一番良く知っていて利用しています 黒沢監督の「羅生門」では、真実は藪の中でしたが、 ここではカメラと型破りな奥崎謙三のパワーが、 藪の中状態から多少なりとも関係者が真実を口をします 人類が消してしまいたい原爆の放射能汚染をゴジラが思い出させるように、 日本人が消そうとする戦争の真実を奥崎謙三が思い出させます この映画はそんな日本人の「日本人的」反応を記録した映画です [インターネット(邦画)] 9点(2021-03-14 11:54:30) |
5. 丑三つの村
田中美佐子や五月みどり、池波志乃と好きな女優が出ていてヌードまで見れる。 しかも、子供の頃のアイドルだったコメットさんまで出ている。 3人とも期待を裏切らないイメージどおりの役柄だったが、主人公は金持ちで共感できない。 人間的に成長するチャンスだったかもしれないのに、なまじ金があったばかりに銃など買い込んでこんな結末になってしまった。 「金持ちが天国に入るのは駱駝が針の穴を通るより難しい」とイエスも言っている。 [DVD(邦画)] 6点(2013-01-27 19:12:57) |
6. 風の歌を聴け
《ネタバレ》 村上春樹の有名な小説をわざわざ映画にする監督の目的は?「イメージが違う」と絶対に言われるに違いないのに。私もその一人だが、鼠を小説家でなく映画監督にした所は、何となく面白かった。 [DVD(邦画)] 5点(2011-09-24 07:48:05) |
7. 火宅の人
自由奔放な行動の主人公に振り回される、周囲の人達(特に女性)。 皆それぞれが地獄を背負いながらも人間としてしっかりした土台の上で前向きに生きているのが、「誰でも良かった」殺人が溢れる現代から見るとうらやましくも思える。 [インターネット(字幕)] 6点(2009-01-20 21:25:47) |
8. 2010年
チャンドラ博士と人工知能HALとの別れの場面が白眉です。 皆を助けるために自身を破壊する命令を受けた時どうするか? 生き延びたいと嘆願するか、あるいは錯乱するか、不公平だと抗議するか、 腹癒せに反撃するか。 HALは使命を全うするために自己犠牲も厭わず理性的に対応しました。 一方人間(チャンドラ博士)は、自分たちだけ生き延びようとする事に欺瞞を感じ、 HALへの憐憫の気持ちから後先考えず「僕も残ろうか」とつい 言ってしまう。HALにはこの人間的な気持ちが理解できたのかな? 7点(2004-09-12 22:14:03) |
9. 居酒屋兆治
健さんはいつもの寡黙なキャラで 登場人物達もけっこう悲惨な人が多くシリアスなはずなのですが、 どこか現実感が無く御伽噺のような感じです。 大原麗子は昔のウィスキーのCMしか知らなかったので、 ウィスキーの飲みすぎで死ぬのが少し面白かった。 でもとても綺麗で驚きました。 7点(2004-06-19 00:16:29) |
10. 駅 STATION
ロス五輪の開会式で、北朝鮮バリの整然とした一糸乱れぬ 行進で日本は入場してきました。ところが最後のアメリカは まったくバラバラ、笑顔で観客に手を振ったり、手持ちのカメラで 記念撮影したり。次のソウルの開会式から日本もアメリカを真似するように なってきましたが、まさに このころから日本人が変わってきたように思います。 この映画では、紅白や円谷選手の遺書、熱燗など 日本人がどこか郷愁を覚える「かつては絶対的に日本人的と思われていたもの」が 効果的に使われています。良い映画だと思います。 良くも悪くも日本人的感性を刺激されてしまいます。 8点(2004-06-19 00:08:07)(良:1票) |
11. 異人たちとの夏
あまり期待せずに見たため、おもわず涙が出てしまった。 「暖かくて驚いたよ」と両親に言う主人公、 40過ぎて人生を振り返ると、無償の愛を与えてくれたのは 両親だけだった、家族や周りに対して自分は何も与えていないと 自己嫌悪に陥る主人公に対しても消える前にやさしい言葉をかけてくれます。 このシーンは本当に感動です。 8点(2004-04-04 00:21:03) |
12. 遥かなる山の呼び声
《ネタバレ》 映画の冒頭、嵐の夜に母子二人だけで食事、 そこへ戸を叩く健さん、 普通なら絶対に泊めないけどやっぱりあの声で頼まれたらなあ。 人を殺して逃走中にしては暗い影が無いような気もするけど 健さんのカッコ良さがイッパイの映画です。 8点(2004-03-17 21:46:38) |