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自己紹介 じっくりと作品世界に浸れる映画が好み。

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1.  レオン/完全版 《ネタバレ》 
エンターテインメントな劇映画としてはリュック・ベッソンの唯一にして最高の傑作。 あまりにも奇妙な殺し屋レオン(ジャン・レノ)と、天涯孤独の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)、 このふたりの間に生まれる濃密な愛情だけにフォーカスを定め、余計な要素を極力排除した構成と演出が見事に成功しています。 レオンもマチルダも、社会との関わりはギリギリ最小限しか描かれず、人間としてのバックボーンは希薄。なのに(だからこそか)切羽詰まったアウトサイダー同士の不思議な交流に、ものすごい真実味と説得力を感じます。  それにしても、この映画のN・ポートマンのフォトジェニックな存在感は凄まじい。この映画に撮られる為に存在したのかと感じる程。 この瞬間のN・ポートマンでなければ、マチルダはただ大人びた妖しい少女、というキャラクターで終わっていたでしょう。  ひとつ残念なのは、レオンの前でマチルダが歌いながら次々に物真似を披露するシーン。 ストーリーの流れの中では微笑ましいシーンではありますが、ここだけ悪い意味で演出が漫画的で、ふたりのやり取りを微笑ましいと思う前に、なんだかサービスシーンみたい。 完全版で観ると尚更、ここの脳天気なノリがひどく浮いて見え、醒めてしまうのが残念です。
[DVD(字幕)] 7点(2013-11-08 05:37:22)
2.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 
ごく平凡に見えるアメリカ中流階級の人々が徐々に虚飾を剥がされ、崩壊していく様。 言ってしまえば目新しいテーマではありませんが、それを真正面から、特定の時代のせいにすることもなく、しかも軽快なテンポで描いてみせた傑作だと思います。 死んだような思いで毎日を送っていた主人公が娘の友人に恋し(恋したと錯覚し)、殆ど自暴自棄で意気揚々と仕事を辞め、冷えた人間関係を痛烈に罵倒する。 束の間、彼は(やがて訪れるであろう)破滅と引き替えに、生まれ変わったように見えますが、結局「甘美な破滅」なんてものはやってきません。 暴走する手を止め、我に帰り、隣人をなだめ、幸せだった家族の写真に見入った直後に死が訪れる。 ドラマチックさも甘美さもない、幾つかのくだらない虚飾と誤解が絡み合っただけの呆気なく虚しい最期。 それだけに、主人公が抱いていたささやかな希望、愛情と夢がヒシヒシと胸に迫ります。 冒頭とラストに死後の主人公のナレーションが入る構成。ビデオカメラ越しに世界を見る青年の視点。 常に客観的で醒めた視点が逆に哀しく、印象的でした。
[DVD(字幕)] 8点(2012-04-14 01:52:51)(良:1票)
3.  エイリアン3 《ネタバレ》 
明らかに混乱した脚本の、歪な作品ではあるけれど、デヴィッド・フィンチャー監督独特のタッチが随所に感じられて、ファン(自分)にとってはゾクゾクする作品でした。前作で生き残った人々が冒頭であっさり死んでいる事を、感傷の入り込む余地のないモニター画面で見せる等々、容赦なく冷え切った恐怖感の演出はシリーズ随一。後年、テクニックで撮った「パニックルーム」よりもフィンチャー監督の個性が強く出ているように感じます。
[DVD(字幕)] 6点(2005-12-10 02:31:06)(良:1票)
4.  ワンダフルライフ 《ネタバレ》 
ドキュメンタリー的な部分と、ドラマ部分(どうしても、劇映画としてまとめるために取ってつけた印象…)が噛みあわない気がするのは、これ以降の是枝監督作品と同様。けれど、この映画では「生前で一番の思い出を選んで下さい」と言うモチーフ、問いかけが、ドキュメンタリーのインタビュー形式とぴったり合っていて、自然に引き込まれました。是枝監督の作品では未だに一番好きな映画です。他者の思い出を再現する為にアレコレと工夫し、議論する「現場」の描写は、映画の撮影現場の暗喩を越えて「働く」ことや「暮らすこと」そのものにも思えます。「俺たち何の為にこんなこと~」ボヤく寺島進をはじめ、それぞれ内心で自問自答を繰り返す登場人物達が、みんな印象的でした。「胎児の頃の記憶が残っているケースもある」と言う雑談を聞いたあと、無愛想な小田エリカが風呂に潜る一連のシーンが好きです。選べなかった(見つからなかった?)大事な記憶を探そうとする姿に、つい感情移入…。ARATAの役職を引き継いだ、ラストでの小さな変化が、希望を感じさせます。(記憶、定かでないものを捉まえようとするモチーフには何故か弱いようで…)正直、クセが強い映画ですが、一度入り込めば、観るたびに映画の中の小ネタや自分の印象の変化を発見出来る面白さがあると思います。ARATAはじめ、役者陣も力みがなくて良かった。ざらついた建物の質感、空気が張りつめた冬の情景がキレイでした。静かで、不思議に明るい音楽もヨカッタです。
8点(2004-09-18 02:29:50)(良:1票)
5.  ホーホケキョ となりの山田くん 《ネタバレ》 
説教臭はあるし、人間像も老若男女問わず見事に類型的だけど、予想以上に好きになれる映画だった。個人的には宮崎駿監督作より数段新鮮で、外向きな姿勢を感じて好ましい。ラストの「ケ・セラ・セラ」の音楽にのって空を舞うシーンが好き(ふっと舞い上がるイマジネーションと力技…、テリー・ギリアムを連想したのは私だけか…)。こんな豊かなシーンをもっとたくさん観たかった。矢野顕子の音楽もいい。但し、全編にわたって生真面目に考え過ぎた感は否めず、素直に楽しませてくれなかったのが残念。深く考えて作るのは素晴らしいけれど、それが前面に見え過ぎるのは戴けない(これはジブリ映画の常だが)。せっかくの「みんなで軽やかに生きよう(…かな?)」といういい主題がストレートに伝わってこないで、リラックスする大切さを熱心に説明されているような、ヘンなジレンマがあった。なにより、こういうスタイルの映画が、バブル並みに過剰なジブリ・フィーバー真っ只中で制作・公開されたのが最大の不幸だったのでは。最後に、結婚式のスピーチでの、ミヤコ蝶々の投げ遣りな喋りはなんとかして欲しかった…。 
[DVD(邦画)] 8点(2004-08-15 09:39:20)(良:1票)
6.  海がきこえる<TVM> 《ネタバレ》 
二度目の投稿です。通して再見。絵柄は爽やかでのちのジブリよりも好きですが、そこだけ。あとはハッキリと駄作。何を見せたいのか、最後まで中途半端。何もかも「多感な頃の曖昧さ」に逃げているように見えます。主人公の心理は、親友、ヒロイン、どちらに対するものも全く共感出来ず。ワガママなヒロインより、よっぽど何を考えているのか解らない、受け身一辺倒な主人公に嫌悪感を覚え、最後のモノローグで「ああ、やっぱり好きだったんだ」と自己完結されてエンディング…。バブル末期のトレンディドラマ並みの人間観に辟易し、疲れました。これに比べれば、近年の日本の青春映画って結構頑張ってるんだな、とさえ思いました。
[DVD(邦画)] 3点(2004-07-12 03:39:35)
7.  がんばっていきまっしょい(1998) 《ネタバレ》 
ノスタルジックな田舎町の風景、次第に部活にのめり込んでいく女の子たちの姿、年齢の割には子供っぽい?と思うほどの、淡い恋…。等々、素朴な題材を、素朴なまま(濃ゆいキャラを出して強引に盛り上げるでもなく)淡々と変化球抜きで描かれた佳作だと思います。試合シーンの映像(水を掻くオールの動き、波のきらめき)は美しく、クライマックスの展開と相まって息を呑む瞬間がありました。途中から現れた、やる気のないコーチの存在が未消化だったり、引っ掛かる点もあるけど…、好きです。爽やかで切ない余韻の残る青春映画。
7点(2004-07-12 02:42:28)(良:1票)
8.  スモーク(1995) 《ネタバレ》 
ハーヴェイ・カイテル演ずる、煙草屋の親爺、オーギー・レンのキャラクターが大好きです。胡散臭いけど、有り得ないくらいピュア。ラストの、「どこまで本当か解らない」オーギー・レンの打ち明け話のように、映画全体が、苦いけれど優しいおとぎ話のよう。大切なのは「全部事実かどうか」なんて事じゃない。クリスマスの話のあと、どこまで事実かなど二の次で、嬉しそうに笑い出す男ふたりの笑顔。文字通り、心地よい煙に包まれているような、不思議な余韻が残る映画です。
[DVD(字幕)] 7点(2004-06-20 08:45:25)(良:3票)
9.  セント・オブ・ウーマン/夢の香り 《ネタバレ》 
「選択を誤って生きてきた」失意の退役軍人を演じるアル・パチーノが素晴らしい。悪態をついて他人を不快にさせたあとの、虚ろな眼が印象的。 世代も立場も越えた人間同士の、ダイナミックな心の通い合い。アル・パチーノとクリス・オドネルが、互いに影響されながら変化していく様を丁寧に、生真面目に描いている。 マーティン・ブレスト監督は、デ・ニーロ主演の「ミッドナイト・ラン」同様、微妙な関係にある男同士の友情を活写する演出が本当に上手い。 再見すると長さも感じるが、これがブレスト監督の生真面目さでもあり、人間を丁寧に描く演出姿勢と、アル・パチーノ、クリス・オドネルの演技がうまくマッチした傑作だと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2004-06-19 02:59:09)
10.  交渉人(1998) 《ネタバレ》 
あ~勿体ない~、のひとこと。 配役と設定が非常に魅力的なだけに、K.スペイシーとS.L.ジャクソンの頭脳戦、駆け引きが観れると思っていたら、普通の(没個性な)アクション映画ノリで終わるなんて勿体なさ過ぎます。指名されたK.スペイシーが、現場に着いて仕切り始める辺りは緊張感があった、でも…そこまで。「凄腕の交渉人同士」という、せっかくの設定を活かした見せ場は殆ど無く、爆発、銃撃戦と、勢い任せのアクションで決着してしまうとは残念。この題材とキャスティングを使って作り直して欲しい気分。
4点(2004-06-14 04:26:54)(良:1票)
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