1. 銀嶺の果て
このキャストでおもしろくないはずはない。純粋無垢な日本人の生きる姿は、脚本を書いている黒澤監督の得意なテーマだ。外来の曲である「オールド・ケンタッキー・ホーム」が日本人の琴線に触れるというのも不思議な話だが…。 [DVD(邦画)] 7点(2008-08-01 00:30:35) |
2. お嬢さん乾杯
《ネタバレ》 はじめてであったときには下ばっかり見て、家に遊びに行けば、飲み物出して「どうぞ、どうぞ」攻撃。この時代の恋人が話すことって、現代の恋人たちの会話とずいぶん違うんだろうなぁと想像すると楽しい。佐野周ニの手にキスしたあと、あせって家の入り口でこけちゃう所とか、こういうボケが成立する映画の雰囲気に触れると、懐かしいというか、すてきというか、シンプルに心が癒される。足がしびれた佐野の演技もいいし。あれこれと考えることなく、すかっとたのしめる作品。原節子のアップが、今まで見た彼女の作品の中で一番神々しいように感じられた。 [DVD(邦画)] 8点(2007-07-16 20:40:01) |
3. 風の中の牝雞
《ネタバレ》 この映画が描いている倫理的な問題については意見が分かれそうである。僕個人はそういった倫理的な問題点を萱の外にしても、この映画は良く出来ていると言う評価が可能なように思う。それは、この映画が持っているサスペンスフルな緊張感が尋常でないからだ。妻の制止を振り切って外に出て行こうとした夫は、勢い余って妻を階段から突き落としてしまう。このシーンのカメラの静かさは、同情とか思い入れをまったく感じさせず、非情さささえ感じさせる。ゆっくりと起き上がる妻を、ただ見つめる。ラストでは、夫は妻を許し、抱きつく。両脇に垂れていた妻の両手が、夫の背中を這って出会う。このシーンの静かさも不気味なほどだ。これほどの緊張感がある以上、この映画は「映画的」に素晴らしいといわざるをえない。主人公達の選択の是非については、人それぞれで考えるか、あるいは結論にたどり着けそうもない倫理学の先生にでも任せればよい。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-09-21 17:01:17) |
4. 晩春
秀逸なのは、お見合い話を持ってきた父と一緒に歩くのがイヤで、友達の家に行くといって父から離れるシーン。広い道幅をいっぱいにつかい、まさに映画的な描写に成功している。蛇足だが、清水寺が今と全然変わらないのに、北鎌倉駅がかなり変わってるのにおどろいた。 [地上波(字幕)] 8点(2005-09-21 16:44:03) |
5. 父ありき
この時代、父が息子に伝えたのは、遺伝子よりも生き様・死に様であった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-05 23:00:59) |
6. 邪魔者は殺せ
もちろんこの映画には主人公がいるけれど、他の登場人物の描写もポイントが押さえられていて、群像劇としても観れる。一体、個々にみると暖かいものをもった人間同士が、なぜに争わねばならないのか。この映画はそんな悲しい問いかけをしている。この監督は何気ない緊張感を描くことに長けていて、瀕死の主人公を巡る人々の姿がとても緊迫した美しさの中で捉えられている。タイトルからサスペンスと想像できるが、僕はあくまでドラマとしてみたほうがこの映画に合っていると感じた。第3の男に比べて印象が薄い感はあるものの、切ないラストなどの味わいは捨て難い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-03 12:09:56)(良:2票) |
7. 飾窓の女
おそろしきフリッツ・ラング。サスペンスの盛り上げ方がとてもうまい。「フィルム・ノワール」という映画群を把握するにはまさにうってつけの作品。 9点(2004-12-11 15:23:21) |
8. 心の旅路
元祖めぐり逢い系の名作。運命的な愛って、感動的でもあるけど、運命に翻弄されて大変だなぁと思いました。メロドラマというと、日本の昼メロのようなドロドロコテコテと思われがちですが、この映画はそういうのではありません。ひたすらまっすぐに愛を貫く女性の話です。主人公の女性を演じるグロリア・ガースンがはまり役で、何度観ても涙です。 8点(2004-06-08 01:34:51)(良:1票) |