1. 春の雪
三島由紀夫はかなり好きだ。 春の雪はスゴい作品だ。 月並みな言い方だが、いつも彼の描写力には圧倒されてしまう。 圧倒されながら、心地よく酔うのだ。 「午後の曳航」の最後の一行など、息を呑む。 高校生の時にの時に衝撃を受けた。 幼少からじわじわ作り上げられた主人公の複雑な内面。 相手が誰であれ、彼の真意が言葉や表情で語られるという事は少ない。 駆け引き、とも違う、あの微妙な距離感。 それを映像に表現する。 よほどの芸達者であっても、まあ無理というものだ。 できたとしたら、美しい奇跡である。 そしてここには、その奇跡は、無い。 テレビスポットの段階で、ある程度想像はついており、 その上で鑑賞。 この穿った態度を覆すものもまた、ここには、無い。 メリットはある。 原作が以前よりも読まれるでしょう。 四冊買う人も多いかも。 そこで酔って下さい。 是非。 [映画館(字幕)] 2点(2005-11-11 14:12:11) |
2. パール・ハーバー
やっぱり見る前から感じた通り、こういうやつはつまらんのだよなあ、こんな時間あったら他の観よう。という自分の「勘」具合を、時々、一応、再確認するためだけの作品のうちの一つ。 こういう作品とか、近年のドラマとかCM(!)の映画化モノとか、にですね、たとえ評価するためとはいえ、レンタルであろうと自分の金を払えるのがスゴいと思う。僕はとてもとても。金あまり? 爆。 新しいラーメン屋を試してみる、みたいな感覚か?化学調味料の店を旨い旨いと喜んで、デートに使うみたいなもんか? こういうのに使うレンタル代の数百円は文庫本に使って、入場料の1800円はまだ観た事ない「評価高いんだけど、手エ出しづらい作品」レンタルするとかすれば、ちょっとは勘も備わって、眼が肥えて、作品の質も上がると思うんですけど。だって映画ってた~ッくさん作品があって、一生かかっても全部なんて観れないのに。 マニアじゃない人こそ、吟味した方がいいと思います。大きなお世話ですねはいはい。 こういうやつはテレビでしか観ません。手にも取らない。放映されるまで待ち遠しくもないし。で、よかったら儲けモノ、くらいなもんで。一応「食わず嫌い」しないようにしてますけどね。この手のいちいち手出せないなあ。話題作とかって、知人の家にあったりして、結構目にするけど、似たり寄ったりで、全部はチェックしませんけど。 まあ、8点以上の方が多いのにも「!!!????」ですが。 というか、世界で一番ヒットしたのが日本なんですか? オオマイ菩薩... 小室哲哉はその昔、「Get Wild」作った時に、「さすがにまずいかなあ」と思ったところ、それがヒットして「なんだ、これでいいんだ」と悟り、あのような「事態」を招いたんですが。小室哲哉をブラッカイマーに置き換えると、私の申し上げる意味がわかるのではないかと思います。 「なんだチョロいな」と思わせちゃイカンですよ。 [地上波(吹替)] 0点(2005-11-02 14:05:45) |
3. 血と骨
この、じっくりと腰を据えないだらけの時代に、敢えてよく作ったとは思います。 田畑智子ら俳優陣が素晴らしい演技を見せる中、 鈴木京香だけが圧倒的にダメダメでしたが(特に老けてから)、 あれで主演女優賞を取ってしまうあたり、日本アカデミー賞とやらの救いようのない浅さが.... 彼女のスケジュールを待ったという話も聴きますが、アリなんですか?監督。 [映画館(字幕)] 6点(2005-11-01 11:59:32)(良:1票) |
4. きょうのできごと a day on the planet
当時の彼女に付き合って観ました。 最初の十五分で早くも浅さのみが目につきます。 方言を喋らせる必要性は? しかも不自然だし。というか、下手。 特に田中さん。 ちなみに私、テクニック至上主義ではありません。 音楽でもうまい「だけ」でつまらん音楽は(特に日本のフュージョンに)沢山存在しますし、 下手でも何か伝わるものがあれば充分です。 ふっと気付かされるものがあれば充分です。 そうしたものが無くても「何か」が残ればよいのです。 驚きがなくても構わない。 ストーリーが無くても構わない。 大根役者でも構わない。 事件が起きなくてもいい。 もっと言うと、映画にはメッセージやテーマがなくてもいいんですけど。 大体の名監督は仰ってますよ「テーマって言われてもねえ、説明ッたって映画で言ってるから」と それを踏まえても.... この映画からは何も伝わりませんね。監督からも役者からも。 ここには見事に何もない。 彼ら、友人同士ですか?恋人同士ですか?仲間ですか? これが共感を得るのであれば、なるほど浅い世の中だ、 と思います。 そりゃディズニーランドに客も入るわ(宮崎駿曰く、「あれは入り口と出口が一緒だから、だめ」という意味で。宮崎氏に同意!!)。 こんなんで、三島由起夫「春の雪」の主人公の内面を撮れるんでしょうか? [DVD(字幕)] 2点(2005-11-01 07:12:00) |
5. 犬猫
派手さは全くありません しかし、いやそれ故に 数十年の鑑賞に耐えうるであろう 数少ない日本の映画のひとつ [試写会(字幕)] 7点(2005-11-01 04:49:11) |
6. ラスト サムライ
飛行機の中で観ました。 感想。眠くはならないです。それ以上のものはございません。 映画には、いくら「突っ込みどころ」があってもいいと思います。 それをもってあまりある魅力があれば。 又,製作陣が最初に提示した「約束の線」を自ら超えなければ。 しかし... 例えば、黒澤明、宮崎駿、武満徹,小沢征爾等のインタビュー/対談、スタッフの話、等をお読み下さい。 作る側の心構え,最低ラインというもののご参考になるでしょう。 「突っ込みどころ満載だが、魅力溢れる作品」の代表格として、「太陽を盗んだ男」を挙げたい。 特典DVDもご覧になれば更に「なるほど」と思われるでしょう。 勿論私にとって、そうした資料は「後付け」のもので、 彼らの作品はそんなことを知らなくても楽しめる、とてつもないパワーを持った作品です。 その源泉を知りたくて、その一部に触れて、「成る程!」というわけです。 この作品からはそうしたパワーが感じられない。 何に対してであれ,感動できる心は素晴らしい。 しかし、客が育たねば,映画の質はますます衰退します。 同時に、提供する側の心構えや「ここでOK」というラインが下がれば,作られるものの質も下がる。 そうした作品が全体に占める割合が上がれば、全体が薄まる。 客はその中で相対的な判断を行う。 そしてその中の作品や監督を「目標」にしてプロになる者。 そして彼らの「目標」は「目標」で「最低基準」でないために、さらに質が低下したりする。 料理同様,芸術にも「口に合う,合わない」という要素は存在する。 例えばベジタリアンであっても、近江牛というものは良質のものなのだ、と認める心は持ち合わせておきたい。 この映画がここまで絶賛されてしまうのは、私たち客側にも問題あるのでしょう。 トム・クルーズは現代の大スターであり、ハリウッドの中で最もパワフルな人物の一人です。 彼に「ここでOK」と思わせてはいけない。もう一押し,ふた押しさせるのは、観客の眼です。 「ここで大丈夫と思ったら、もう一押し。それが映画だよ」 と その昔、黒澤明は言われたそうです。 このような現象は、音楽界、マンガ界においても非常に顕著なものですが。 [ビデオ(字幕)] 2点(2005-11-01 01:30:12)(良:3票) |