1. アメリカン・ヒストリーX
《ネタバレ》 内容については既に様々書かれているので割愛。 偽善的な映画を避けようとした結果、単なる道徳の教材になってしまっている。面白くないし、学ぶことが何一つない。しかも、悪いことには、ここから差別とはどうこう、などと真面目に考える人が発生してしまいそうで、なおのことタチが悪い。「差別は良くない」と街角に張られたポスターは誰も見向きもしない点で無害なので、そういう意味でこの映画は本当にタチが悪い。 [DVD(字幕)] 0点(2008-02-16 23:53:34)(良:1票) |
2. バッファロー'66
ギャロの趣味と美意識のみで撮られていて、だからギャロの独壇場、やりたい放題なのだけども、不思議と鼻につくところがなくて、褪せた色調が美しくて、音楽が素晴らしくて、雰囲気が微笑ましくて、うっかり自分には似合わない赤いブーツが欲しくなったりして、ああ、これは見事です。 [DVD(字幕)] 9点(2007-01-10 18:07:18) |
3. ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世紀
ゾンビ好きなので、作中のゾンビが走らず、喋らず、考えなければ、もうそれだけでかなり満足してしまう部分はあるのだけど、そういった部分を除いても、突っ込みを入れずに最後まで鑑賞できる数少ないゾンビ映画だと思う。オリジナルより良い部分もある。ゾンビの食事シーンやゾンビ狩りをするシーン、そしてホラー映画で女性が取り乱す場面が嫌いな自分にとって、強い女主人公という設定が何よりも良い。 [ビデオ(字幕)] 9点(2007-01-01 22:30:38) |
4. ソナチネ(1993)
小学生だった頃、怖かった。ちっとも暑そうに見えない夏。入ることを拒むような海。のっぺりとした青空。平坦な風景。生気の感じられない登場人物。マイナーコードの旋律。作品自体が墓標であるかのように思えて怖かった。 十年以上経った今、むしろ落ち着いて鑑賞することができるのは、たぶん様々なことを諦め、自らの墓標の形もおおよそ分かってきたからであって、それはたぶん悲しいことなのだろう。 [ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-29 00:00:58) |
5. PiCNiC(1994)
「リリイ・シュシュのすべて」もそうだけど、画面に散りばめられた断片が素晴らしい。コントラストの高すぎる空。風に揺れるシーツ。夕焼けの突堤。塀の上を延々と歩く姿。どこかで見たことがあるような、どこにもないような光景。ノスタルジーに浸るための映像。その手段としての映画。 [ビデオ(邦画)] 9点(2006-12-26 12:58:13)(良:1票) |
6. HANA-BI
《ネタバレ》 花火は刹那に散る。けれど人が散るのは簡単ではない。生きている限り、しがらみとか世間とか、そういったものが厭でも周りを取り囲む。そういうモノゴトから少しずつ離れていく主人公の姿が、悲しくて、うらやましかった。 最後の銃声は、あれは花火を打ち上げた音だったのかもしれない。 [ビデオ(邦画)] 10点(2006-12-26 12:54:10)(良:2票) |
7. あの夏、いちばん静かな海。
《ネタバレ》 北野監督本人も言ってるように、人は本来ほとんど喋らない。映画だからといってやたらと饒舌になる必要は全くないわけで、静かな映画、という感想はやはり的外れになるんだろう。 エンドロールが終わっても響いている波の音に聞き惚れ、二人が歩く姿にただただ見とれた。 [ビデオ(邦画)] 10点(2006-12-22 20:59:06) |
8. シベリア超特急
これも才能なんだろうなあ。 [DVD(字幕)] 0点(2006-12-21 18:48:21)(笑:2票) |
9. CUBE
映画を観る人は登場人物に自分を重ね合わせる。自分ならどうするか。何を考えるか。何を信じるか。自分の現在、過去、未来と照らし合わせ、鑑賞する。そもそも映画とは、そのためにあるのかもしれない。 この映画が他の映画と一線を画するのは、その点。イマジネーションを喚起する無限大の閉塞。そのために創造された状況。 [ビデオ(字幕)] 10点(2006-12-21 18:46:46) |
10. Kids Return キッズ・リターン
《ネタバレ》 ラストシーンのセリフを前向きと取るか後ろ向きと取るか、そういうことがよく書かれているけれど、それは観た人が自分の人生をこれからどうするのか、どうしたいのか、どうあるべきなのか、それによって決まるのであって、映画の中に答えがあるわけではないのだ。 弱々しくて、脆くて、それでも、どうしようもなく気持ちが高揚する。傑作。 [ビデオ(邦画)] 10点(2006-12-21 18:40:33)(良:3票) |
11. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 二人が言葉を交わさなくて良かった。余計なセリフを一言でも入れていたら台無しだった。青い、夢見るように美しい太平洋で再会した二人。数十年という年月の重みが溶ける瞬間、最初に口をついて出る言葉。こんなにも静かなのに雄弁に語りかけてくるラストシーンを他に観たことがない。 [ビデオ(邦画)] 10点(2006-12-21 18:38:19) |