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1.  小野寺の弟・小野寺の姉 《ネタバレ》 
見るからにいい子(だけど腹黒そう)な絵本画家、人はいいけどお節介な眼鏡屋夫婦、人はいいけど単細胞の営業マン、裏表ある服屋の女、俳優志望の変人など、どこにでもいそうな人物たちばかりが出てくるが、中心にいる姉弟は、関係性といい性格といい、造形が妙にファンタジック。なのにその非現実的な姉弟だけが唯一、私にとっては魅力的なキャラクターであるという、非常に不思議な映画だった。特に小野寺の姉の人物像、これだけでもう満点。色んなエピソードが出てくるが、弟が可愛くて愛しくて仕方ないという思いが伝わる。とっても熱いお姉ちゃん!姉と弟がこれほど密な関係を築いていながら、薄気味悪さは微塵もなく、むしろ微笑ましさしかないのは、その姉を演じるのが片桐はいりだからの一言に尽きるだろう。マイナス点は、そのはいりさんがもっと報われる展開であってほしかったことと、ラストがどうも、投げっぱなしな感じがすること。でも、これまさか続編を作るためあえて明確なオチをつけなかったという手法か?じゃなきゃちょっとあんまりっす。どう考えてもモテそうな弟はともかく、姉には、(可愛い弟がずっと傍にいてくれるというような温い感じじゃなく)幸せになってほしい。
[DVD(邦画)] 7点(2015-08-23 13:35:06)(良:1票)
2.  ルームメイト(1992) 《ネタバレ》 
童顔で可愛らしい外見なのに中身は…!な女の話。何度かテレビで放送しているのか、主人公の恋人に夜這いかけるシーンは覚えがあった(余談だが主人公に対してサイコちゃんが「彼は私の中で○ったのよ」的な台詞を放つのだが、ああそういうことだったのか!と驚いた。未遂かと思っていた。だって、あまりに早い…。テレビ版の編集のせいだろうか…)。しかしなあ、終盤はさすがに主人公、負けるな!という気にはなるけれど、そこに至るまでに結構かかってしまった。すぐ裏切る主人公のほうが嫌な奴に思えて仕方なく、むしろサイコちゃんのほうが可哀想なくらいだったから。ルームメイトに対する感覚が、何でも契約契約というお堅い日本とはちょっと違うのかもしれないが。ところで、この手の主人公がやばい奴に追い回される話は、周りの関係ない人が大量に巻き込まれて死んで、原因となった主人公が生き残ってしまうのが黄金パターンなのが、本当にたまらない。私はいつも、自分は意味もなく殺されちゃう側の人間だろうと考えてしまって、そのあたりもぞっとするのだった。ただ、この映画に関してはガチで死ぬのがクズな一面のある方々なので、まだまだ良心的なほうなのかな…。と思ったが、犬を忘れるな、私。
[地上波(吹替)] 7点(2015-08-23 10:20:07)
3.  ある過去の行方
出てくる人間たちの関係性が会話などで徐々に明らかになり、彼らに何が起こったかも少しずつわかっていくという形式が、ジャンルが「ミステリー」となるゆえんだろうけど、大きな謎によって観客を引っ張るというタイプの作品ではない。とにかくキャラクターの言葉や行動にひきつけられる。とても丁寧で、真摯な作風だと思う。
[DVD(字幕)] 8点(2015-05-03 14:54:38)
4.  風立ちぬ(2013)
私は昔から何となく宮崎駿が好きじゃなく、自分でもその理由をうまく説明できなかったのだが、この映画のおかげでどこが嫌なのかわかった。私はたぶん、彼の女性観が気にいらないのだと思う。ネットなどでよく見かける処女崇拝を極めたような、ある種の男にとって理想的なヒロイン像を嬉々として作り出しているイメージで。この映画のヒロインはまさしく男にとって都合のいい女であり、なんら共感もできず、とても渇いた気持ちで観てしまった。宮崎駿はたとえば子どもの無邪気さ可愛さを描くことに関しては、本当にすばらしい作者だと思う。本作のように大人の男女が中心人物で色恋がからむような話は、そもそも合わないんじゃなかろうか。二郎も二郎でとらえどころがなかったしなあ…。
[映画館(邦画)] 5点(2015-05-03 14:33:10)
5.  おみおくりの作法 《ネタバレ》 
ジョン・メイ演じたエディ・マーサンのルックスが、この映画の全てだといってもいい。穏やかで、実直で、いかにも役場にいそうな男。40代の男とは思えない脂のなさ。ジョン・メイが弔う死者たち以上に、生きているジョン・メイにつきまとう孤独のほうが、ずっとせつない。それだけに、今までの彼の生き方が肯定されるかのような、静かだがにぎやかなラストは心を奮わせる。驚いたが、ある意味序盤でなんとなく期待した場面だったので、そのとおりになって嬉しかった。
[映画館(字幕)] 9点(2015-05-03 13:58:50)
6.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》 
中盤、空を飛ぶかつてのバードマン。でも実際はタクシーで夢を見ていただけだった(かのような描写がある)。全てを懸けた舞台の終わりに文字通り命を懸け、それでも生きなければいけないと知り、彼は、もう一度、飛ぶ。その姿は画面上には見えないけれど、彼は内なるバードマンに別れを告げ、バードマンの仮面のような湿布をはずし、何にもすがらずに、飛んだ。今度は本当に飛べたのだと思う。生き恥を晒しながら、笑われながら、ズタズタになっても、やめない。それが執念なのか、挑戦なのかわからないけど、とにかくしぶとくいることで人はもっと遠く、高いところまでいけるということだと私は解釈した。情けなくて馬鹿みたい、でも、すごくかっこいい、そんな映画だった。
[映画館(字幕)] 8点(2015-05-03 13:49:21)
7.  6才のボクが、大人になるまで。 《ネタバレ》 
この作品に対する高い評価は、意欲的な試みに対して向けられたものであるだろう。個人的な意見を言えば、母親の奔放さにより子供たちが振り回されるという要素が不快(しかもそのことが作品内で特に断罪されることもなく進んでいく)なので、そこでもう置いていかれていた。このような性質の作品、たとえば数年かけて続いた連続ドラマなどを考えてみても、キャラクターに対し愛情がもてるかどうかは重大な要素だ。見知らぬ家族の変化だの成長だのどうだっていいし、逆に言えば、好きな人間の日常は、終着点がなくてもずっと見ていたいと思うものだし。3時間足らずの尺を長いと感じるかまだまだ足りないと感じるか、人によってバラバラだろう。面白いと感じた人は続編も観たいかもしれない。私はもういいよという感じ。監督の娘さんの表情がよかったから、そこが見所だったかな。
[映画館(字幕)] 6点(2015-03-07 11:33:18)
8.  味園ユニバース 《ネタバレ》 
あまりとっかかりもなく、さらっと終わったなあという印象。ラストに至るまでの過程があまりに淡々としているせいか。主人公の晴れ舞台で終わる作品は王道と言えば王道で、そこに挑もうという心意気は好きだし、あとはポチ男姉の首にエレキバンという、些細なところに山下風味はあるのだけれど。なぜ脚本が向井康介じゃないのか、という疑問を抱かずにはいられない。
[映画館(邦画)] 5点(2015-03-07 11:12:56)
9.  ペコロスの母に会いに行く 《ネタバレ》 
認知症という状況自体は悲劇だと思うが、この映画は見事な人情喜劇に仕上がっている。森崎東監督の目線がとても温かいからだろう。たとえ惚けてしまっても、忘れたくないことや、大切なことが人にはたくさんある。生も死も老いもそこに美しくある。心に沁みる優しい映画だった。
[映画館(邦画)] 9点(2014-01-23 18:33:42)
10.  ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 
3Dで観た。ありふれた言い方をするならハラハラ、ドキドキがたくさん詰まった映画。しかしその楽しさは、映画的でない。よく言われているが、遊園地のジェットコースターのようなもの。とても珍しい体験だったと思うが、映画としてこれがどうだったのか、と問われると、正直評価はしづらい。状況は理解できても、キャラクターに接近できないからだろうか。登場人物の紹介はなされてはいるが、たとえばジョージ・クルーニーのあの勇敢さがどこからくるのか、私にはよくわからなかった。とはいえ、これだけのものを作り上げる技術は絶賛されて然るべきか。
[映画館(吹替)] 8点(2014-01-23 18:18:12)
11.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
竹取物語のストーリーはうろ覚えだがもちろん知っている。何をいまさらアニメにするのかと、半信半疑で観た。観終わって、私が知っている古典のほうは、こんなにも生きることと死ぬことに肉薄した内容だっただろうか、と驚いた。近年ない感動だった。風立ちぬ本編の前に流れたこの作品の予告編で不覚にもぼろぼろ泣いてしまったが、それがなければおそらく観に行かなかったかと思う。近くに座っていたうるさい子供も「かぐや姫の死」(と私は捉えた)にはさすがに黙った。すべての人の心に訴えかける、そういう映画なのだと思う。
[映画館(邦画)] 9点(2014-01-23 18:01:09)
12.  桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 
この映画において名前のついた登場人物は、全員主人公になれるような存在で、「それ以外」にスポットのあたる作品が観たかったというのが一番の感想。しかし、これはこれだ。一見仲よさそうな女子グループ内の微妙な関係性の嫌らしさとかよく描けていた。イケてる人は結局イケてる人としかくっつかないという夢も希望もない現実が提示されるも、でもそれすら部活という青春によって昇華するラストシーンのあまりの眩しさに、こんなの嘘だ!と毒づきつつも、ただただ圧倒された。高校時代、自分の立ち位置なりにもっと楽しめばよかった。
[映画館(邦画)] 8点(2012-09-27 11:22:22)(良:1票)
13.  17歳の肖像 《ネタバレ》 
なんか不快な映画。若い娘に手を出すおっさんも気持ち悪いが、それよりも、過去をどこか誇らしいものとして捉えているにちがいない原作者(成功者)の、愛も恋も裏切りも知らずに勉強一筋で生きてきた少年少女に対する、お門違いな優越感が透けてみえるところが嫌らしい。主演のキャリー・マリガンは素晴らしい女優だと思ったが、鼻持ちならない雰囲気は出ていても、少女らしい可憐さはまるで感じられない。相手の俳優もダンディー、不細工どっちつかず。悲劇でもなけりゃ喜劇でもない、感動もしない。どこに焦点をあわせ、何を見るべきか全くわからなかった。  
[DVD(字幕)] 5点(2011-08-31 12:44:52)
14.  ブラック・スワン 《ネタバレ》 
終始何かに怯えた表情のニナが、凛とした余裕の表情を浮かべるラストシーンで、ようやくナタリー・ポートマンの顔になったことが印象的。私は鑑賞前、ストーリーはおろか監督すら把握してなかった(後から知って納得した)。前評判から何となく想定していたのは、主人公が役を奪い取るために色々策をめぐらしていく、舞台裏での黒鳥への変貌を追ったという物語。おかげで良い意味で裏切られた。とはいえ、無垢な存在のニナが自分を黒く染めていったのは私が想定した部分と重なる。ただ、母を裏切ったり、悪い遊びを覚えたり、突き刺したり、対象はライバルではなく、全て自分。「自分との戦い」というのはありふれた言葉だが、真実そうなのだろう。だが、それは高いところに到達した人にしか噛み締められない言葉である。プレッシャーや孤独に耐え、自分のなかの弱い部分を削ぎ落とす過程はライバルを蹴落とすことより苦しいはずだ。自分はどこまでも自分に添うものだから。だからこそ、自分に打ち勝ち「perfect」を手に入れたとき、何物にも代えがたい恍惚感を得る。当たり前のことだが、あの美しい表情はニナの表情であり、それを演じた、成功者ナタリー・ポートマンの表情でもある。俳優陣の名演は言うまでもないが、客観的にみたらベタな成功者の物語を、主人公の内面に肉薄することで下手なホラーよりよほど恐ろしく、禍々しい演出で描き、観客の感情をわしづかみにする監督のセンスはさすが。近年稀にみる大傑作だと個人的に思う。
[映画館(字幕)] 10点(2011-06-13 12:48:21)(良:5票)
15.  マイ・バック・ページ 《ネタバレ》 
山下敦弘監督はどこまでいっても、どんな俳優と組もうと、変わらない。彼の撮るもの全て、山下映画。結局はそこに落ち着くのだ、ということを見事に証明した作品。勿論、描いているテーマ自体はこれまでとは段違いに深い。何しろ学生運動だ。人が死ぬし、政治的だし、重い。しかしそれらが収束するところは結局人間の情けなさや弱さである。主人公たちはとにかくしょぼくて、ダサい。人間くさい。最後の妻夫木聡の男泣きシーンを見て、なるほど、これが撮りたいがための二時間ちょっとだったのだと納得した。余談だが、取り調べで言い逃れる松山ケンイチが山本剛史の演じる尾崎充や船木テツヲにみえたことにはかなり驚かされた。嫌味といえばの山本剛史よ、もっともっとメジャーになってくれ(ファンの切なる願い)。  
[試写会(邦画)] 8点(2011-06-03 12:16:04)
16.  婚前特急 《ネタバレ》 
本作を鑑賞したのが映画開始前に舞台挨拶がある回だった。忘れもしない、我らが吉高嬢(超・天真爛漫)がこともあろうに結末を匂わす発言をしてしまったというあの状況を…。会場は騒然となり、微妙な空気で映画スタート。ところが実はこれがミスリードだった。通常の鑑賞だったら、絶対意外性がなかっただろう一つのオチに「やられた感」を与えてくれた。吉高由里子、とんでもないエンターテイナーだ。そんな分かりやすい結末で、前田監督の過去短編作を殆ど観ている身としては、全体的にも少々毒っ気が足りないような、安直な笑いに走りすぎたような惜しい気持ちはなきにしもあらずだが、ライトなだけに誰でも適度に楽しめるような娯楽作品に仕上がっていると思える。何といってもヒロインをはじめ、キャスティングが素晴らしい(これだけのキャストを揃えた時点で成功だと個人的には思う)。そんななか、かつてのインディーズ時代の盟友たち(宇野祥平をはじめ、鈴木なつみ、梅野渚などなど…但しクレジットで確認)も切り捨てず、見事に一つの世界に混在させた監督の男意気を買いたい。次回作にも期待。  
[映画館(邦画)] 7点(2011-04-28 12:45:30)
17.  冷たい熱帯魚 《ネタバレ》 
でんでんと黒沢あすか夫妻の壊れっぷりと、吹越満の小市民感(というか至極まっとうな人間感)、凄まじい殺戮の融合。なんだかもう、わけがわからんけど、とにかく園子温らしく、全体的に赤いイメージの、ショッキングながらもパワーがある映画だった。 個人的にはスプラッターやグロいのはあまり得意ではないけれど、シリアスではなくどこかポップでもある(たぶんこれが園作品の特徴なんだと思うが)から、二時間半の長い尺も楽しく観られた。吹越満による「生きるって痛い」という娘へのメッセージ、そして娘のリアクション。ひどいオチだが、だからこそこのメッセージも生きる。ところで、「アウトレイジ」もそうだったが、バイオレンス表現があまりにひどすぎると笑えるというのはどういうメカニズムなんだろう。ダチョウ倶楽部や出川哲郎のリアクション芸を見て笑うのと同じなのか。大量出血も肉片も見慣れてくる頃には観客の倫理観も完全に麻痺していて、現実的に考えれば法的にも心情的にも許されないようなシーンでも構わず爆笑が起こる。そんなサディスティックで不思議な空間にいたことも、体感として忘れられない。「この素晴らしき世界」はまさしく、映画館で体験するべき。  
[映画館(邦画)] 8点(2011-02-15 12:15:07)(良:1票)
18.  童貞。をプロデュース 《ネタバレ》 
二十歳をとっくに過ぎた童貞というのは私が今まで見聞きした範囲では、決して多くはないようだ。ある程度の年齢になれば大抵の人には普通に恋人ができ、自然にセックスを経験するからだ。所謂「ヤラハタ」の童貞くんは、その標準的なラインを大きく逸脱するだけの理由があるから童貞なのだ、ということがよくわかる本作。二部構成で二人の童貞の生態を探っている。ターゲットの二人は異なったタイプの童貞であるが、二人ともとにかく頑固で笑える。一作目も二作目も監督の編集センスが秀逸で、テンポよく入り込めるのだが、個人的に蛇足と感じたのは一作目エンディングで峯田和伸が童貞君作の名曲(?)「穴奴隷」を熱唱するシーン。童貞臭はあっても、れっきとしたバンドマンであり、女の子にもきゃーきゃー言われる彼が、ガチ童貞の無垢な世界に足を踏み入れてはいけないと思った。あと、映画館を出た時に、これまた童貞チックなお兄さん二人組が一作目について「童貞じゃなくなった過程を見せてくれなきゃ意味がない」と批判しているのを耳にした。私はそれには断固反対だ。童貞が童貞でなくなった瞬間、童貞はただの男になる。「童貞。をプロデュース」というタイトルどおり、いかに童貞(が童貞としての己の生き様に固執して生活している姿)が面白いか突きまくったのが本作なわけで、拘りを捨てた普通の男に用はない。実際、一作目のメガネ君の一年後の姿にはなぜか諦念のようなものが漂い、童貞だった頃の彼のある種の輝きは消失していた。なんとまあ童貞とは可笑しくていとおしい存在だろう。「童貞たちよ、恥じることはない、誇りを持て。君たちはビューティフル・ドリーマーなんだから」松江監督のそんな温かい眼差しを私は勝手に感じた。いやあ、私も童貞になりたいくらいだよ。二重の意味で無理だが。
[映画館(邦画)] 9点(2010-09-24 02:13:38)
19.  あんにょんキムチ
ナショナリズムの問題は根深く、迂闊なことを言えないイメージがあって、なんとなく敬遠してしまう。本作もテーマがテーマだけにそこまで観たい内容ではなかったのだが、松江監督の卒業制作、いわばスタートを飾る作品であるという点がどうにも気になり、四の五の言わずにと言い聞かせ、とりあえず鑑賞。感想としては、なかなか面白かった。まずこれが卒業制作だということが凄い。編集の技術や情報収集の行動力その他諸々、プロ顔負けの、舌を巻く出来だと思ったのは大袈裟だろうか。だが、少なくとも、お金を取れるクオリティであることは確かだ。内容が内容だけに説教っぽさに満ち満ちた仕上がりになりそうなものだが、このドキュメンタリーは松江監督本人のアイデンティティに対する漠然とした悩みが出発点とあって、全体論ではなく、「うちの家族は~」に終始しており、教科書的というよりは私小説的であるため重くない。同じ状況下にありながら、悩める兄と、飄々とした妹の対比は特に面白かった。自分はドキュメンタリー映画にはあまり期待していなかったが、松江監督の作品を観てからその底力を知った。「うちの家族はどこにでもキムチを持っていく」というまるで小学生の作文のような文言の背景に、ここまで壮大な家族の歴史物語があるなんて。切り口次第で、現実はたくさんのドラマを生み出すんだな、ホント。
[映画館(邦画)] 7点(2010-09-23 02:17:39)
20.  恋するポルノ・グラフィティ 《ネタバレ》 
ケヴィン・スミスという人は、根底にあるものが全く変わらない。ちょっと変わったラブコメ、オタク、エロ、多弁、下品。本作を象徴するキーワードは十年以上も前に制作した「チェイシング・エイミー」と同じある。監督としての世間的な彼の地位が、この十年~十五年くらいでどのように推移しているのか私は把握していないが、こんなに(勿論いい意味で!)成長しない人は、業界にあまりいないのではないか。盟友?ジェイソンも相変わらずの馬鹿キャラで堂々の登場。ファンとしては嬉しい限りだ。私の感覚では、ずっと居心地のいい関係(幼馴染以上恋人未満、とでもいおうか)だった男女が、事務的なセックスをきっかけに意識しあうようになるというストーリーは理解・共感できないのだが、全体的にグダグダでリアリティがないために完全に自分と切り離して楽しめた。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-23 01:34:03)
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