1. 田舎司祭の日記
《ネタバレ》 「へっ、今度の司祭、青二才じゃねえかよ」 「説教なんて聞いてらんねぇ」 赴任した田舎の教会で、冷たい視線の中、 この若い司祭は、可哀そうな夫人の魂の救済をやってのける。 それを目撃した若い女性からの、審判の対応がなされる。 やがて、そこにいられなくなった司祭は、のたれ死に・・・ ラストの言葉 「それがどうした。すべては神の思し召し。」 圧巻、巨匠ブレッソンの見事な落ち。 いつか、俗物の老司祭が、女性の魂の救済をやってのけ、 女性たちから審判の対応にさらされ、最後にどんな言葉を残すか?なんて 映画も観てみたい。 [DVD(字幕)] 10点(2024-10-13 15:52:48) |
2. 新・平家物語
《ネタバレ》 「新源氏物語」の川口松太郎が、企画に加わった本作。 やはり同様に最初の部分を丁寧に描いて、終わっている。 武士の時代の始まりが理解できる。 ストーリーは、平清盛の出生の謎を加え、彼の青春時代を、ドラマチックに描いてる。 寝殿造りの建物が、地味に現代的なつくりなんですね。勉強になります。 巨匠溝口健二だから、時代考証も手抜きなしでしょうね、きっと。 これを観て、山田尚子のアニメ「平家物語」を観ると、さらに勉強になりますね。 [DVD(邦画)] 7点(2024-09-28 21:15:30) |
3. 抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より
《ネタバレ》 とある囚人が脱獄をするため、 綿密に計画するが・・!という話。 ラストは言いません。 あの坂本龍一教授の本「坂本図書」の最初に取り上げられてる監督、 ロベールブレッソン先生の名作であるから! 皆さん、ネットを駆使して、観ましょう! 坂本教授がブレッソンを挙げたのには意味がある。 この映画を観れば、分かるのだが、極力、近代の映画演出を排して、 リュミエール兄弟の映画(自分もあまり分からないのだが・・汗)の原点に近づくことで、 映画表現の本質に戻ろうとしている。 坂本教授も、音楽表現の原点回帰に、この監督の姿勢に共感するとこが多かったのだ。 脱獄ものと言えば、イーストウッドの「アルカトラズ」から「ショーシャンク」まで 色々ありますが、それでも本作は面白い! 是非、ご鑑賞を! [ビデオ(字幕)] 8点(2024-08-07 00:12:45)(良:1票) |
4. 一心太助 天下の一大事
《ネタバレ》 時代劇というと、武士道は死ぬことと見つけたりというくらいだから、 悲壮感漂う内容が多いが、一心太助はいいねぇ・・ 江戸っ子の話だから、斬った張ったが、無い。 漫画ど根性ガエルの世界観に通じるものがある。 侍じゃないから、喧嘩に負けて、悔し涙でやけ酒飲むシーンもあり、 サラリーマン哀歌だよぉ、これ。 クライマックスは、祭りだ、喧嘩だ、の大騒ぎ。 さて、色ボケ役人から、純情カップルは守られるか?最大の見せ場。 興味ある人は、観てください(笑) [DVD(邦画)] 7点(2024-06-29 03:00:24) |
5. 決断の3時10分
《ネタバレ》 グレンフォードの何という存在感! 西部劇にロバートデニーロが出たら、こうなるって感じデス。 最後まで観ると、あれ?ホントにこの人、悪い人なの?って思う。 やっぱり、敵も人間がスゴイって感じを描いてくる。 だから西部劇は面白いって唸るんだよなぁ・・ 西部劇の懐の深さを思い知る一本! リメイクも観てみたい。 [DVD(字幕)] 7点(2024-05-17 00:58:59) |
6. 黒い罠
《ネタバレ》 オーソンウェルズは、スゴイ! ヒッチコックのやりたがらない、女性に手を出す展開も、やってのけてしまう。 多分、当時は、かなりショッキングなものだと思う。 やり手の悪徳警官に対する正義側が押され気味なところが怖い・・ 悪のキャラは今観ても斬新。 臆病なモーテルの管理人をはやしたてるチンピラの様子は、タランティーノが影響受けてるんじゃない? そもそもオーソンウェルズみたいな俳優、その後いないっしょ!? 白黒の構図が見事で、アメコミの漫画を見ているよう。 多分、アメリカの漫画家も、この映画を観て手本にしたのでは? 大友克洋の「アキラ」のジュークボックスは、ここからかな? [DVD(字幕)] 7点(2024-04-12 22:58:10) |
7. モンパルナスの灯
《ネタバレ》 モジリアニの話。 劇中、金持ちに絵を売り込みに行くとこが面白い。 ジェラールフィリップの絵に関する博識ぶりが披露される。 画商、怖すぎでしょう!! 絵の世界じゃ当たり前!?怖いよ~(泣) このドラマの後の、奥さんのその後を知ると、酒を飲まずにはいられない。 興味ある方は、ネットでお調べを・・ [DVD(字幕)] 7点(2024-03-12 22:35:14) |
8. リオ・ブラボー
《ネタバレ》 ジョンウェインもいいのだが、何といっても、本作ではサイドキャラが光る。 アル中から立ち直ろうとしている弟、 頭の切れる若者ガンマン、 片足が不自由なおじいちゃん保安官。 キャラが立っているというのは、こういうことだと勉強になる映画。 あれこれ人物が出てこないで、数人のメンバーをじっくり描いている。 ドラマ作りの教科書みたいな映画。 それにしても、敵が「皆殺しのマーチ」を演奏して、敵意満々なのに、 のんびりしてるジョンウェインは、図太い! [ビデオ(字幕)] 8点(2023-12-07 01:22:48) |
9. フレンチ・カンカン
《ネタバレ》 ルノアールだったんですね~、鑑賞後に気づいた! ロートレックのポスターでおなじみのダンス。 それが、ムーランルージュだったとは、知りませんでした。 ショーを大衆のものにしたのが、このキャバレーだったというのもビックリ! ラスト数十分は、圧倒されます!唸ります!! [DVD(字幕)] 8点(2023-12-04 21:33:40) |
10. ウンベルトD
《ネタバレ》 「自転車泥棒」デ・シーカ監督のネオリアリズム映画。 公務員勤め上げた老人の年金額の不足による、もの哀しい映画。 家賃滞納のなか、年金日までどうやって暮らすかという切なさが来る。 老人とペットといえば、アメリカの「ハリーとトント」を思い出す。 あちらは、元気にやっていたが、こちらは戦争前のイタリア。 ただでさえ、戦争に敗けたイタリアのモノぐるしい空気が手厳しい。 自分に身を置き換えて観てしまう。 現代に置き換えるなら、ケンローチの「ダニエル・ブレイク」だろうなぁ。 寒い。うぅ・・ [DVD(字幕)] 8点(2023-11-07 22:03:14) |
11. 神の道化師、フランチェスコ
《ネタバレ》 「無防備都市」の監督である。 実在の人物、聖フランチェスコと十数名の兄弟たちのエピソードが綴られる。 特にジネプロのエピソードがいずれも秀逸である。 自分的には、暗殺容疑で死刑寸前まで行き、謙虚さが指導者の胸をうち、放免された話が面白い。 1200年代のイタリアが舞台だ。日本の鎌倉時代に当たる。 着ている服が、その頃日本では麻の単衣だったが、西洋でも同じような素材のシャツを着ている。 ジネプロのエピソード中の指導者の鎧が興味深い。 マンガ「鋼の錬金術師」の弟みたいな、ごっつい鎧だ。 動き回れず、何のための鎧か、笑ってしまった。 どつかれてもどつかれても、飄々としている修道士の彼ら。 のどか、の一言に尽きる。 [DVD(字幕)] 7点(2023-10-22 20:55:41) |
12. ゴーストタウンの決斗
《ネタバレ》 ゴーストタウンというと、枯草の塊がコロコロ転がってる印象がありますが、 俯瞰で町を見ると、小さな集会所みたいな場所ですね。 スタージェス監督の初めの頃の西部劇。 視点が、妻を人質にした悪仲間たちから動かないので、 落ち着いた鑑賞ができる。 そして、ラストは、主役級の二人の決斗。 納得の安定感。 スタージェス西部劇、いいね♪ [DVD(字幕)] 7点(2023-09-29 22:54:31) |
13. 日本橋(1956)
《ネタバレ》 お孝と清葉と、若い学者先生と浮浪者の4人の恋愛模様。 泉鏡花らしいオカルトな要素は、最初の噂話にちらっと出てくるだけで、 あとは、恋愛話である。 若い先生がお孝との関係を、彼女はイロだ、と言ってしまった自分に悔しくて、 先生はお孝のもとを去り、彼女は病んでしまう。 そんな話であるが、戦後の色恋話では考えられぬ男の苦悩である。 時代は明治だろう。 そりゃ漱石みたいな人も出てくるわと、しみじみ・・ [DVD(邦画)] 7点(2023-09-02 22:17:11) |
14. ワーロック(1959)
《ネタバレ》 これは見応えがある! 町に無法者が来て、保安官を追い出してしまう。 そこで、物騒になった町の人は、流れ者を用心棒に雇う。 ところが、保安官になる有志が現れて、町に法律が生まれ、町が一つになり、 無法者を協力して、やっつける。 すると、流れ者とそれにつるんでいた人間が争いだし、町は騒然とする。 かくして保安官とかつての町の用心棒の流れ者との決闘になる。 さて結末は? まとめるとこんな話だが、映画はもっと複雑だ。 ポイントは2人の女性。 なんとも流れ者のヘンリーフォンダがかっこ良くて、男の厳しさを感じさせる。 個人的には「七人の侍」より、よく出来てると思った。 [DVD(字幕)] 8点(2023-08-29 00:22:55) |
15. ガンヒルの決斗
《ネタバレ》 「真昼の決闘」に似てる。←こちらのほうが製作年が早いので、あるいは真似たのかも・・ ワンマン経営の町の中で、誰も味方しないで、敵と闘うとこなんか・・ 日本なら村八分ものですね。 だからなのか、色々脚色を塗り重ねた感じです。 先住民の妻とか、もう一人のチンピラが最後になって関わってくるとこなんか・・ でも映画史上でも稀に見るダメな息子でした・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-08-16 00:17:38) |
16. 拳銃王
《ネタバレ》 面白い西部劇。 伝説のガンマンを撃って、自分の名をあげようとする話は 西部劇の中でちょくちょく出てくる。 大抵は、悪役なのだが、そのこと自体を映画にしたのが、 この映画もそうだが、ウォルターヒルの「ロングライダーズ」もそう。 こちらは、最後、伝説のガンマンを撃った後、皮肉な唄が流れるのが、ヒルらしい。 ジミーリンゴを不意打ちで撃ったガンマンは、嫌われるだろう。 西部劇では、汚いプレーをした者は、みんなに知られている。 アメリカ人の根底に流れる気持ちみたいのが分かる。 [DVD(字幕)] 7点(2023-08-09 20:37:29) |
17. ウィンチェスター銃'73(1950)
《ネタバレ》 文句なく面白い。 名銃をめぐる物語。 これを時代劇に置き換えると、名刀の奪い合いになり、 それがマキノ監督の「丹下左膳」なのかなぁ・・ 劇中、西部劇十大事件のうち、一つ、第七騎兵隊(カスター)の殲滅が 話に出てきて、ワイアットアープまで出てくる。 しかし、本作はOK牧場の決斗は描かれない、スピンオフ西部劇である。 西部劇に面白い映画のエッセンスが満載! この映画は観といて損ないぞ~! [DVD(字幕)] 9点(2023-08-02 01:01:31) |
18. 老人と海(1958)
《ネタバレ》 スペンサートレイシーが、見る角度によっては、 どこかロイシャイダー似である。 ロイシャイダーと言えば、あの「ジョーズ」である。 ニヤリとしてしまった。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-29 22:01:44) |
19. 眼には眼を
《ネタバレ》 大陸の人間は、発想のベースが違うよね。 昔、あまり有名じゃない映画なのだが、ロシアからインドまで歩いて渡った人間たちを 描いた映画を観たが、ありゃ嘘だな。 (※「ウェイバック~脱出6500キロ~」と言う映画です) この映画の方がリアルだよ~ 怖っ!人間も、地球も・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-04-29 23:28:13) |
20. 丹下左膳(1952)
《ネタバレ》 トーキーになって悪声で悩まされた俳優は数多かったらしいが、板妻の声は大好き♪ どんな無理な場面も板妻なら許せちゃう。 刀なしであんなに生き延びられるなんて、と思うが、板妻なら説得力があるね。 現代の時代劇はリアリズムに走り過ぎのきらいがあるね。 もっと伸び伸びやっていいんじゃないかなぁ・・ そして淡島千景さんがきれい。 レビュー読んでたら、「リボンの騎士」のモデルとな!? うんうん、うなづけます。美人だもの~(惚) 先に同じ松田監督の同素材のリメイク丹下左膳を観てたので、 ストーリーがすんなり入ってきました。 リメイクの方が、子役のこととか分かりやすかったし、壺の秘密が捻っていて、面白かった。 でも板妻だから、本作も好き♪ [DVD(邦画)] 8点(2023-03-01 00:05:48) |