1. 他人の顔
《ネタバレ》 安部公房と勅使河原監督のタッグ、いいよなぁ。 この世界を自分なりにのみこんで、その後に、世界に実験または装置をしかけて、 そこから人間、とくに現代人の孤独を浮き彫りにしていくという、世界へのアプローチがいい。 「砂の女」では砂地獄に作られた家であり、本作でいえば顔を変えることができるという技術であったり・・ 自分の顔にコンプレックスを抱いてる男が、顔を手に入れた後、 やってみたかったこととは? そこに何とも言えぬ現代の哀しさが出てる。 もう一組、顔に傷のある女性も出てくるが、 こちらはテーマのために作られた設定のようで、未消化だった。 面白い!良作! 豆情報・・診察室のデザインは、建築家の巨匠磯崎新によるものらしい。 [映画館(邦画)] 8点(2024-12-19 22:27:53) |
2. 砂の女
《ネタバレ》 面白い! 最初は、男と女の寓話かと思ってた。 確かにそうなのだが、人生ってこんなもんじゃね?みたいなラストがいい。 岸田今日子が、実にはまり役。 なんというか、あんなひどい環境で、女として生きてる感が出てて、巧い。 ただ、今までの死んでいった男たちとは、子ども出来なかったのかな? 今までの男たちの末路が知りたい。 [映画館(邦画)] 10点(2024-12-11 20:29:24) |
3. ハタリ!
《ネタバレ》 こんな映画を撮っちゃうアメリカ映画の凄さに驚く。 とにかく映画のためなら、ここまでやるという意気込みがすごい。 動物園に連れていくために、サバンナで動物を捕獲する男たち。 現代では、動物愛護団体が黙っていないだろうけど・・ 子どもの時、「野生のエルザ」ってドラマをテレビで見たが、その感じがサバンナ一帯に展開する。 仔象と女性のエピソードがほのぼの。 男と女は別れられるが、動物の愛は一途なのだ。 それがラストの大騒ぎとなり、ラストはさてさて? スピルバーグは「ジュラシックパーク」で、恐竜版「ハタリ!」を創りたかったんじゃないかな? デジャブ感あるなと思ったら、「ジュラシックパーク」だった。 しかし、本作は、CGなんかじゃなくて、本物ですからね!凄いデス。 [DVD(字幕)] 7点(2024-12-09 21:41:58) |
4. レマゲン鉄橋
《ネタバレ》 戦争映画にも、史実ものと作り物の2タイプがありますが、 これは戦時中、実際あった攻防みたいですね。 最初は、ロバートボーンが主役で、前線の橋を爆破前に、味方のドイツ軍を 橋を渡らせようとする話かと思いました。 ところが、目線は連合国側に行き、橋を敵が爆破するのを阻止するとか、いきなり 上司の命令で方針が変わったりして、現場が混乱する様子が描かれます。 この部分が、実話ベースなので、かなり説得力というか迫力ある場面です。 さて、橋はどうなるのか?ってな話であります。 考えさせられたのは、戦争という破壊活動の中で、 高価な人形が壊れたことを気にする役人が出てきたり、 装飾された西洋建築が、ボコボコ破壊される場面がでてきて、 戦争ってそういうもんだよなぁと改めて思ってしまいます。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-09 22:07:49) |
5. 風林火山
《ネタバレ》 日本映画の戦国合戦場面で、一番愛されてるのが川中島。 衣笠の「川中島合戦」(未見)、「戦国自衛隊」そして、この後の長篠では「影武者」。 映画に愛されてる信玄と上杉。 しかし、稲垣監督は主人公を山本勘助にした! この人物、講談の作り上げた人物かと思いきや、 実在してる信玄の書状に「山本菅助」なる名前が・・! 実際に信玄の身近に仕えて、使番(つかいばん)を務める人物であったことが分かってる。 もうね第四次川中島と言えば、山本勘助がやられる合戦。 その前の勝頼とのエピソード、板垣の父と思ってましたの言葉。 もう涙なしでは見られない。 案の定、戦況は不利に・・(涙) この作品を観て、黒澤さん負けず嫌いに火がついたんじゃないかなぁ・・ [DVD(邦画)] 8点(2024-10-06 23:50:12) |
6. 影の軍隊(1969)
《ネタバレ》 レジスタンスの映画。 見どころは、女性しかも母親が戦士になっている点。 むちゃくちゃ優秀なのだが、捕まって子どもを人質に取られると、かくも簡単に落ちてしまう。 この点において、やはり戦いに女性は使えないということかもしれない。 その女性、マチルダの練る作戦は、ものすごく優秀。 リノヴァンチュラが捕まった時に見せた作戦は、凄かった。 そのリノが、前半の主役である。 独特の風貌に似あう戦士ぶり。 しかし、映画は、アクションものではない。 レジスタンスの静かな戦いを描いている。 メルヴィルの作品。再評価の必要性があると思う。 どうでもいいが、手塚治虫のキャラクターにランプという人がいるが、リノヴァンチュラだと思う。 もう一つ、影の軍隊と言えば、我々昭和っ子には、漫画「男組」を思い出させる。 当時のワイルド7はじめ、こういう映画の影響が、漫画に強く出てたと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-06 01:08:53) |
7. モラン神父
《ネタバレ》 持っているものがアレっぽち! ここで生活していく気持ちのない人に説教されても、 そりゃ胸には響きませんよね。 神さまに捧げているから、何もいらないってことでしょうか。 カトリックって厳しいんですね。 モラン神父が女性に興味を持たれてるとこから、どんなドラマが展開するか? そこがポイントでした。 神と女性、これを描いた映画は、古い映画ですが、「雨」という名作があります。 しかし、この映画は、ひたすらまじめな神父でした。 ただ、若さの価値を、あまり考えてない発言が多いですね、この人。 彼女の涙は、神父のけなげな気持ちが神さまにのみ独占されてるからでしょうか・・ 「来世」を重んじる思想は、今を大事にしないのでは? 次の赴任地へ旅立つ神父さんは、神の世である世界全部が、ひとつの生活地点となるのでしょうか? 土着に生きる女性には、理解できないズレが面白かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2024-10-02 00:35:56) |
8. セックス・チェック 第二の性
《ネタバレ》 総理大臣すら女性になりかねない、この時代、この作品がお叱りを受けずに済むだろうか? セックスチェックで両性具有の人間が、セックスしまくって、晴れて完璧な女性になる、とか こんな話、海外の変態作家の作品でもお目にかかったことない展開。 やっぱり、海外メディアが言うように、日本の女性は軽視されているのか? 結構、皆さま、大きな顔をされてますが・・ まあね、これが封切りされた頃は、今とかなり違うんだと納得してしまおう。 [DVD(邦画)] 7点(2024-09-27 23:18:31) |
9. 新源氏物語
《ネタバレ》 ご贔屓の川口松太郎の原作というので鑑賞。 すっきり分かりやすい。 源氏物語の最初のほうを整理してくれてる。 千年以上、日本人に愛された文学。 小生、軽々しいことは言えないが、高校の教科書でおなじみの小林秀雄は、 源氏物語を「もののあわれ」と言っていたのを思い出した。 [DVD(邦画)] 7点(2024-09-03 12:40:22) |
10. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 全編、セリフが歌。 ミュージカルは数あれど、ここまで、歌に徹してる映画は稀。 でも、これが飽きさせない。 キレのいい音楽も混ぜ、何となく「ラ・ラ・ランド」の演出のヒントにも なったのではないか?と思った。 それにしても、カトリーヌドヌーブ、お美しいですね~ 我々の世代では、おばちゃんのドヌーブしか知らないから、 実世界での周りのおばちゃんたちも、若い頃は相当きれいだったんだろうなっと。 オゾンの「しあわせの雨傘」と比べて観ると、面白いデス [ビデオ(字幕)] 7点(2024-08-22 15:42:40) |
11. 馬鹿が戦車(タンク)でやって来る
《ネタバレ》 いや~、馬鹿にされたとき、こんな風に戦車で暴れたら 気持ちいいだろうなぁって話。 まぁありえないけど・・ 山田監督がとんがってた頃の作品。 [ビデオ(邦画)] 7点(2024-08-06 11:22:32) |
12. キューポラのある街
《ネタバレ》 なるほど、吉永小百合が早稲田の二文(夜間)に 進学したのは、この映画のためだったかと思える。 いい映画です。 苦難に屈せず、希望に充ち溢れている。 好感度抜群!小百合ちゃん♪ [DVD(邦画)] 7点(2024-07-31 13:10:19) |
13. 36時間(1965)
《ネタバレ》 騙し、騙され、の二転三転が面白い! ドイツの医学者が、人間味あるとこがポイント。 こういう展開の映画は、地味ではあるけど、いつの時代にも創られている。 映画が楽しいとは、こういう映画の事なのだなぁと思う。 しかし、時間がタイトルの映画って、12の倍数が多いよね。 「48時間」「72時間」「96時間」・・ [DVD(字幕)] 7点(2024-05-22 01:21:30) |
14. 素晴らしき戦争
《ネタバレ》 不謹慎なタイトル。 戦争のミュージカルという異色ものだ。 この不謹慎さは、製作された時代と関係ありそうだ。 同じ年、日本で公開した「MASH」は、戦争コメディである。 その前年にニューシネマの産声をあげた「俺たちに明日はない」が上映されてる。 ニューシネマに呼応したかのように製作されたか、 やはり「やってらんねぇ」っていう声が文化人から上がりつつある時代の空気だろう。 [DVD(字幕)] 7点(2024-05-20 00:41:08) |
15. あの愛をふたたび
《ネタバレ》 なんという男!? これがまたベルモントのはまり役! まぁ嘘つきラブストーリーに、フランシスレイの音楽があっているのか、 いや、嘘つきだから、こんな曲が合うのか、 女遊びをしてるとはいえない自分には分かりましぇ~ん(笑) クロードルルーシュは、「男と女」の別バージョンに挑戦した。 それだけでも、一見の価値があるとは言えないか? (しかし「男と女Ⅱ」は観てないので、何とも言えないか・・汗) [DVD(字幕)] 7点(2024-05-13 01:39:38) |
16. スイート・チャリティ
《ネタバレ》 シャーリーマクレーンの傷ついても傷ついても、愛を求める女が よかった。 ハスキーボイスがカワイイ。 何よりボブフォッシーの振り付けが、カッコイイ。 ダンスと言えば、今の若者にはオリンピック競技のブレイキンだろうけど、 昭和生まれの自分には、こんな振り付けがセンスの出発点。 非常に今観ても、映像的に刺さる。 ダンスの一瞬一瞬が、絵にしたくてしょうがないくらい、痺れるのだ。 [DVD(字幕)] 7点(2024-04-27 21:24:34) |
17. 冬のライオン
《ネタバレ》 見応えある歴史劇! 王の新しい妻が結婚が決まりそうになると、 今まで可憐な一輪の花みたいだった女性が 「それでは、前妻の子供を殺してください」と言う場面なんか、鳥肌ものです。 その時、今までの妻は?子どもたちは?王は? どんな罵り合いがあり、どんな展開になるのか? こういう映画を観ると、創造力とは、想像力だなと思う。 昔の人たちはどんなケンカや罵り合いをしていたのか? そういうのを想像するのは、AIにはできない。 この先、AIがどんなに映画まで創り始めても、 しょせんは「組み合わせ」にすぎない。 もうクリエイティブの名前の気持ちよさにすがらないで、 人間とは?とかつきつめて、物語を創ってほしいなぁ、と思う。 [DVD(字幕)] 9点(2024-03-30 20:32:45) |
18. 御存じ いれずみ判官
《ネタバレ》 遠山の金さんですね。 時代は、天保の改革の頃。(幕末前の江戸後期) 普段は遊び人の金さんが、何気に正義のために動く。 この映画には銭屋五兵衛まで出てくる。 講談ではおなじみのキャラらしい。 古本屋に、この人だけのテーマの本があったから、有名なんだろうな。 ラスト、狂言を演じつつ、真相をお上に訴えるとこが何とも粋ですね。 1950年後半から1960年くらいのカラー時代劇は面白い! [DVD(邦画)] 7点(2024-03-26 02:55:07) |
19. ローズマリーの赤ちゃん
《ネタバレ》 有名な映画である。 「ワンスアポンアタイム・イン・ハリウッド」でも描かれた、アノ事件の始まりでもある。 (詳しく知りたい方はネットで) さて、この映画が有名なのには、理由がある。 ニューシネマの傑作なのだが、旦那が信用できない妻というものが描かれ始めた頃である。 それ以前にも、ヒッチコックの「断崖」などあったが、 世の中にポルノがあふれ、男女関係に不安が生じ、それが社会不安にまで発展していく頃の映画だからだ。 もっと言えば、1957年のアメリカの連邦最高裁のロス・アルバート事件で 「エロいから悪いって法はないだろ」と判決が下され、そこからポルノ文化が発展していくのである。 実は、それまではアメリカは、世界でも有数のおカタイ国だった。 ここから、一気に崩れていくのである。 ※立花隆「アメリカ性革命報告」より 男女関係の乱れ、つまり、それがこの映画の「悪魔」なのかもしれない。言い過ぎか・・(笑) ポランスキー自体が、その悩ましい不安定な内面の中から作品を創り出していたのだ。 アノ事件は気の毒と言うしかない。 ローズマリーの赤ちゃんとは、自分のことだったのかもしれない。 [DVD(字幕)] 8点(2024-03-24 22:40:46) |
20. バファロー大隊
《ネタバレ》 これは、異色西部劇。 騎兵隊の軍法会議の法廷ものである。 劇中、ジェロニモはもういないとか言ってたから、 時代的には1890年前後の西部劇。 巧いよね、ジョンフォード。 黒人差別をテーマに、話を見応えあるものにしている。 西部の町に、あのような裁判をする集会所があることも新鮮。 [DVD(字幕)] 8点(2024-01-31 01:33:01) |