1. 男の顔は履歴書
《ネタバレ》 とにかく泥臭い。けれども、主人公の弟と在日の少女が撃たれるシーンは素晴らしかった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-01-22 21:53:08) |
2. 狼の時刻
ベルイマンの作品では、俳優の演技はもちろん、彼らを取り巻く物も重要な要素として扱われていると思う。強すぎる風や壁の染みが不穏な空気を醸成していて、何かとんでもないことが起ころうとしているのではないかと思えてくる。アバンギャルドというか、かなり抽象的な内容なのだけど、しっかりと恐怖を演出できているところはやっぱりすごい。デヴィッド・リンチが本作を賞賛するのも分かる気がする。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-22 21:22:47) |
3. 薔薇の葬列
《ネタバレ》 ゴダールやアントニオーニ等、同時代の映画作家の二番煎じという感じではあるが、それはそれで結構楽しめた。政治的な内容でありながらも随所で遊んでいる感覚がよかったんだと思う。パゾリーニの『アポロンの地獄』のポスターも単なる記号ってわけじゃなく、ちゃんとした伏線になっていたんだな。 [ビデオ(邦画)] 8点(2008-06-04 21:06:23) |
4. リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960)
B級映画としては申し分ない出来だと思う。まともな登場人物が一人もいない。そのあたりはデヴィッド・リンチの映画を観ているようだった。実際、リンチも影響を受けているのかもしれない。ロジャー・コーマンはこの映画を2日で撮ってしまったらしい。そこを評価の対象にするのはどうかと思うが、すごいことであることに変わりはないだろう。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-25 14:38:55) |
5. 豚と軍艦
それぞれの出来事のつながりが把握しづらかったが、映像は圧倒的だった。主人公たちの存在を拡散するかのように画面のあちこちで動き回る人々が、街中に溢れかえった豚の姿に変わったとき、この映画が伝えようとしていることの全てはここに集約されてしまうのではないかと思った。皆が生き残ろうと必死になっているが、そこには何らの秩序もなく、そのことに疑問を感じ立ち止まる者などひとりもいない。人間がとても活き活きと描かれていながらも、どこか皮肉を感じてしまう。 [DVD(邦画)] 8点(2007-08-21 23:11:49) |
6. にっぽん昆虫記
《ネタバレ》 冒頭のマイマイカブリがラストで山を登って行くとめの姿だとすれば、随分と身も蓋もない映画だなと見終わった後すぐに思った。志を持って生きようとしながらも、欲望に取り込まれ、最終的には生きていればそれでいいというような境地にまで堕ちて行くこと自体は肯定的に捉えていない。しかし、最後のとめの描写には確かにどこか突き抜けた感があり、力強さを感じてしまう。生きるということに対して得体の知れない感情を喚起させる、不思議な映画だった。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-08-08 01:24:28) |