1. カッコーの巣の上で
己の貧弱な感受性だけを頼りに観た中学生のときの自分には、この映画にはただただ「主人公がかわいそう」という印象しかなかった。 あれから20年後、医療者となった自分がどういう感じ方をするか楽しみな思いを胸に再び観た。当時の貧弱な精神医療界、あの治療が最善だと信じられていた時代、患者を管理する立場の婦長もある意味犠牲者だったのだという思いを強くした。 マクマーフィに促され人間的活動を思い出した患者達も、所詮自分の意志だけでは生きてゆけない。マクマーフィから見れば死んだも同然。しかしいつの時代においてもそんな人間を管理する立場の者がなくてはならず、またその事実があるからこそこの映画が現代においても普遍的な意味を持つ。今はあの時代とは少しは変わった。そう、少しは…。 [DVD(字幕)] 9点(2008-01-13 22:51:00) |