1. ロシュフォールの恋人たち
《ネタバレ》 明るく楽しく、ひたすらご陽気なラブコメミュージカル。お祭りの時機の物語ですが、この映画そのものもが一種のお祭りといったところでしょう。殺人事件がどう関係しているのかがよくわからないのですが、「全員収まるべきところに収まった」ということでしょうか。この映画が作られたのは、『ウエスト・サイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』のように、ミュージカルでもシリアスな題材を扱い始めた頃なのですが、そんなこととはまったく無縁に楽しく歌い踊っています。その一方で、歌う場面はおおむね屋外か、室内でも窓越しに外の様子が見てとれる。そして室外では人々が普通に歩いたり会話したりしていて、シチュエーションとしては舞台(スタジオ)を飛び出した「リアル志向」となっています。そういう現実と非現実の組み合わせが、なかなか面白いと思いました。それはともかく、あまり難しく考えず気楽に楽しめる良作でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-11-30 16:04:42) |
2. 男と女(1966)
《ネタバレ》 フランシス・レイ追悼作品として鑑賞。音楽が有名なので期待したのですが、それほどでもなかった。それぞれ夫と妻を亡くした男女が出会う話で、パートナーを亡くした心の傷を乗り越えるという展開かと思ったのですが、そのあたりはそれほどでもありませんでした。現代の作品ならそこを重要視してもう少し重い話になると思うのですが、そうならないのは時代性でしょうか。映像がカラーだったりモノクロだったりしますが、それがどういう意味なのか、どういう基準で使い分けているのかというのが不明。なのであまり印象に残らず、効果的とも思えませんでした。「ダバダバダ~」というテーマ音楽は最後の30分ほどから流れますが、そこへの持って行き方はよかったと思います。それ以前の音楽もいい使い方で、とりあえずフランシス・レイの音楽は楽しめました。しかしその他が伴っていません。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-11-13 20:34:29) |
3. けんかえれじい
《ネタバレ》 硬派を気取るけど硬派になりきれない青春がいい。そのあたりは戦前らしくて、なにやらノスタルジーをもって見てしまいます(私は戦後生まれですが)。岡山編ではバカばかりやっていてなかなかおかしいのですが、舞台が会津になると、何でもかんでも会津○○と名付けたりするあたり、風刺が効いてきます。ちょっと社会的な視点が入ってきて、最後に2.26事件。それで東京に行くとなると、むしろこれからというところで終わってしまいました。いずれにせよ、道子役浅野順子さんの純情可憐ぶりはとても魅力的です。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2018-11-08 21:15:16) |
4. 東京流れ者
《ネタバレ》 いろんな意味で面白い。お話自体は川内康範が好きそうな義理と人情の物語なのですが、鈴木清順の演出が凝っていて見ものです。前半はつながりの変なところもあるのですが、ヌーベルバーグの影響でしょうか。後半、二谷英明が登場すると、なぜか笑えてくる。なにしろ登場シーンからして、渡哲也の身代わりとなるために歌っているんですから。二谷英明が歌! もう笑うしかないでしょ。佐世保での大乱闘なんて、店を壊したりしてほとんど「全員集合」のノリ。ここのところは西部劇を模倣したのでしょうが、シナリオではどうなっているのか、ちょっと気になります。しかし決めるところはちゃんと決めているし、全体的にスタイリッシュな映像が、泥臭い「義理と人情」と案外うまくマッチして、独特の雰囲気をかもし出しています。松原智恵子の歌が吹き替えだったことが残念。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-11-01 20:12:04) |
5. バルタザールどこへ行く
バルタザールではなく、この映画はどこへ行くんだ? と思うような内容。とりあえず人間関係も不明瞭で、たいした説明もないためか、根本的に理解できませんでした。「芸術ぶりっこ映画」という感じ? [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-09-30 16:08:32) |
6. 男性の好きなスポーツ
《ネタバレ》 基本的に面白いんだけど、肝心のアビーがあまり魅力的に思えない。気の強さとか厚かましさが裏目に出ているような気がします。イージーの方がステキに思えるのはちょっと皮肉です。コメディとしてはなかなか冴えていて、マンガ的というか、ドリフのコントのようなドタバタが楽しい。バイクを運転する熊とか、偶然魚を釣っちゃうとか、ありえないことを強引に画にしてしまうところが○。「見せて笑わせる」ことに重点を置いています。だから見ていて笑えるんだけど、ロマンスになると見るだけではなく、セリフでちょっと理屈っぽくなるところが残念でした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-07-20 19:52:59) |
7. ダンディー少佐
《ネタバレ》 「誰と戦ってる(もしくは戦いたい)のか?」と思うようなお話。実際、アパッチとのドンパチは夜のシーンだけでよく見えず、むしろフランス軍との対戦がメインのようです。しかし本来戦うべき相手ではないし、不毛な争いをやっているという感じ。この作品にはこうした不毛感が全編に漂っていて、そのあたりがチグハグや行き当たりばったりな展開の原因でしょうか。元北軍と南軍の呉越同舟は面白くなりそうな気がしましたが、どうにも空回り。ちなみに、上映時間は3種類あるようですが、私が見たのは真ん中の136分バージョンでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-01-01 17:13:49) |
8. 奇跡の丘
有名なエピソードの連続で、キリスト伝入門としてはなかなかよいのではないでしょうか。「超人」としてのイエスと、平凡な人間である両親や弟子たち・民衆との対比がよく表れており、こうした表し方もうまいと思います。全般的にリアルな演出で、この映画においては聖書の内容が真実かどうかは、争う余地がないようです。音楽はバッハのようなクラシックだけでなく、ゴスペルなども使われていて面白い。特に最初と最後の"Gloria"が印象的でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-12 20:54:03) |
9. 大冒険
007あたりの路線を狙ったんでしょうけど、どうにも野暮ったい。追って追われてもあまりメリハリがなく、飽きてきます。どう考えても脚本家がこういうのに向いていない人たちなので、無理しすぎという感じ。神戸に行ったはずなのにどう見ても神戸でなかったり、話がどんどん大きくなるあたりもギャグなんでしょうけど、さして面白くない。越路吹雪をあんな役で使うというのが、一番面白かったりしますからねぇ。これも「製作当時見ていた人が喜んでいればいい」たぐいの映画でしょうか。クレージー映画も、もういいなぁ。円谷英二が参加しているので、点数はおまけ。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-11-07 07:49:56) |
10. クレージーの無責任清水港
クレージーの時代劇ですが、こちらは無責任男をそのまま時代劇にしたという感じ。こういった作品はどこが面白くないのか考えてみたのですが、おそらく主人公が苦労もなくスイスイと成功するのがつまらないのではないかと。主人公が何らかの壁を乗り越えて成功する方が面白くなると思うのですが、無責任男はそういうこともなく、ご都合主義丸出しで成功しまくる。そこがこの手の話のつまらないところではないかと思います。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-10-28 18:07:22) |
11. 花のお江戸の無責任
《ネタバレ》 原案が戸板康二、監督・脚本が山本嘉次郎ということで、しっかり時代劇しています。助六・権八・播隋院長兵衛といった、歌舞伎のキャラクターを登場させているところも、それらしい。お話がちゃんと作られているので、安心して楽しめます。助六の調子の良さや、やることなすことうまく行くあたりも、時代劇の「お約束」的なご都合主義があるので、不自然にならずにすんでいます。善玉悪玉がはっきりしているというのも、プラスに働いているようです。無責任シリーズとしては異色作かもしれませんが、私のようにこのシリーズを特に好んでいない人間にとっては、むしろとっつきやすいかもしれません。ということで、意外と一般向けかもしれません。一番の不満は、ヒロイン役の団令子が時代劇に向いているとは思えないこと。藤山陽子サンの方がよかったかも……。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-10-24 18:25:45) |
12. 日本一のホラ吹き男
《ネタバレ》 こういうものが人気があった時代もあったんですねぇ、という程度の代物。まあ好きな人は好きなんでしょうけど、正直好き嫌い以前に「どうでもいい」という気がします。結局ノリだけの映画ですから、それに乗れるかどうかが分かれ目でしょう。あと、なぜかハナ肇が出ておらず、他のクレージーの面々もおおむねちょい役というあたりも、大きなマイナス。 会社に寝泊まりして睡眠3時間で仕事をしまくるとか、家族を過労死で亡くした人が見たらどう思うんでしょうね。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-10-11 08:30:06) |
13. 大魔神逆襲
《ネタバレ》 前2作に比べていまいちに感じる理由を考えた結果、悪役があまり活躍しないためではないかと思いつきました。基本的に子供の冒険話になっているため、そこにインサートするとかなり調子が変わってしまってうまく流れていません。テンポが悪く感じたのは、そのあたりに原因があるのかもしれません。手下3人組が子供たちを見つけて追いかけるわけですが、橋を落とされたり飯を取られたりして、いいところを持って行かれるのもむしろマイナスでしょう。また、これまでは侍同士の争いでチャンバラがあったため、アクションを取り入れられたのですが、今回は木こりの村人を強制労働に使うということでそうした点も期待できず、せいぜい硫黄の沼に落とすと脅かすぐらいになっています。金太と庄八が命を落とすという展開ですから厳しい面もありますが、逆に言うと「その程度」にしか感じられません。雪の中で遭難してもあまり緊迫感がないのは、子役を使った弊害かもしれません。 大魔神の方はこれまでに負けない、いや、ある意味3作中もっとも見ごたえのある活躍でした。鶴吉をつかんで雪の中から現れる場面がすばらしい。工場や屋敷を破壊するところは、派手な爆発もあってこれまでとの差別化をはかっているようです。今回はバンバンこわしまくっていますが、逆に悪役の反撃が今ひとつ。逃げ回っているだけという印象が強く、やはり本作では悪の活躍が不足しているようです。せっかく安部徹をキャスティングしたのにもったいない。最後に魔神が消える場面はわりとじっくりと見せてくれて、伊福部昭の音楽とも相まって非常に荘厳に感じられました。やはりお話としていまいちだったのが惜しいです。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-08-18 20:40:10) |
14. 大魔神怒る
《ネタバレ》 前作との差別化を図るためか、今回は他国からの侵略、しかも同盟している2つの国を手に入れるというすごさ。おまけに武神像をこわしてしまうのですから、御子柴はやりたい放題。今回は十郎と早百合姫が別々に逃げ回っているのですが、それにしては話がややこしくならず、うまくさばかれていたと思います。捕まるのもけっこう後の方ですし、わりと段取りを踏んでいるので前作のような不満も起こりませんでした。 大魔神の暴れ方がおとなしいのですが、ひょっとして千草か名越の領内(どっちだったのかあまりよくわからない)だったから、あまり暴れなかったとか? 今回は、自分から積極的に建物を破壊しようという動きが見られず、大魔神を止めようとして周囲の建物が崩壊する、というパターンだったように見えます。他にも超常的な現象を起こしたりと、前作とはやや異なった性格のように思われますが、場所が違うのですから同じ魔神である必要はなく、それほど気になりませんでした。 さて、本作では「神も仏もないのか」という台詞が出てきたり、鐘が重要なアイテムとなっていたりして、少々仏教的な部分もあるのかと思われますが、基本的にはやはり「ちょっと洋風な戦国時代」という、不思議な世界となっているようです。女性をはりつけで火あぶりにするというのはジャンヌ・ダルクを連想させますし、湖の底で鐘が鳴り響くというのは、どちらかというとヨーロッパのイメージでしょう。このように、時代劇に洋風の要素をうまく加えたところにも、面白味があると思います。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-08-17 20:34:09)(良:1票) |
15. 大魔神
《ネタバレ》 ガメラに比べて大魔神はあまり見ておらず、これも以前いつ見たか思い出せないくらい。しかしドラマ部分はしっかりしていて、見ごたえがありました。ただ、小源太と忠文があっさり捕まりすぎて間抜けに思えてしまいます。まあ捕まらないと話にならないので、仕方がないわけなのですが。安田監督の演出は、信夫が斬られるところでスローモーションを使うところが印象的。また、竹坊が隠れ家にやってきたときにすうっと現れる小笹が幻想的で、おおっと思わされます。特撮部分は、やはりていねいに作ったミニチュアが見ものでしょう。小さな家屋を本当に建てたそうで、倒れるときの現実感などさすがと思わせます。 今回気になったのは、作中では魔神に対する信仰がほとんど唯一のように描かれていたこと。もちろん神道の神とも違うし、仏教的なものをうかがわせるところもありません(そこまで描写する必要もないわけですが)。元ネタがゴーレムということもあってか、現実の日本の戦国時代とは少し異なる、独特の世界観であるように思われます。十字架にはりつけにするというのもキリスト教を連想させますし、そのあたりにヨーロッパ作品からの影響もうかがえます。そうしたことが、リアルな時代劇の描写と思いのほか溶け合っていて、不思議な雰囲気をかもし出していました。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-08-16 16:08:58)(良:1票) |
16. リバティ・バランスを射った男
《ネタバレ》 序盤では、若い弁護士が法律を武器に西部の無法者と渡り合う……と思いきや、あっさり銃の練習に乗り換えて肩すかし。結局そうなるわけですか。とはいえ、教室を開くなど秩序を取り入れようというところが見られて安心しました。バランスが撃たれた事件の顛末は予想通りでしたが、これって考えると『カサブランカ』のリックと同じ立場ですね。惚れた女のために、彼女が愛した男を助ける。本作ではそこで終わらず、図らずも英雄になってしまった男の悲哀も取り入れていて、さらに一歩踏み込んだ感じです。社会性にロマンス・男の友情物語をからめ、さらにジョン・フォードらしく適度にユーモアを交えてうまくまとめあげた、洗練された作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-08-10 15:58:52) |
17. 草原の輝き(1961)
《ネタバレ》 よくも悪くも昔の映画。当時は宗教の影響もあったのでしょうが、もはや今では過去の遺物といった感じ。「親の抑圧」という点では、現代も通じるものがあると思いますが、必ずしもそこが中心ではないようなので、そこにポイントを置くと肩すかしをくらうかも。とりあえず現代の日本では、あの年代で抑圧する前に子供を殺してしまう親も少なくないようです。話としてはつまらないわけではない。題名にも取られているワーズワースの詩の使い方がうまく、これによって「青年期を脱して大人になる」というテーマが浮かび上がり、かろうじて普遍性を獲得しています。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-07-12 09:18:28) |
18. 黒い十人の女
《ネタバレ》 十人といっても、中心になるのは半数の五人程度ですが。ブラック・ユーモアというよりは、シニカルなところがあってなかなかよかった。映像的にもモノクロを縦横に駆使した美しさに堪能させられました。男女関係よりも、「人と人との関係が希薄になった時代」というものがテーマのようで、それでいて風が多くの人と関わる仕事をさせてくれと懇願するあたり、皮肉が利いています。おそらく、当時よりも人間関係がさらに希薄になった現代ですが、それでも鑑賞に耐える作品になっていると思います。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-05-08 10:11:18) |
19. 長篇怪獣映画ウルトラマン
もともとオリジナルの劇場版を作る予定が、結局実現せず「テレビの再編集」となったようです。ビデオソフトが簡単に手に入る現在では、あまり価値のないものなのですが、カラーテレビの普及率もそれほどではなかった当時は、この映画で初めて「カラーで動くウルトラマン」を見たという人も少なくなかったようです。まだまだ映画の存在感も大きかったわけで、劇場の大画面で見られるというのも大きかったのでしょう。音楽にテレビとは違うものが使われていたりするのは、興味深いです。 テレビの16㎜を劇場用の35㎜にしているためか、ちょっと画像が粗いように感じます。しかしフィルム自体があまり使用されていないのか、なかなかきれいな映像でした。デジタル・リマスターはされていないのか、細かい傷もあったりするのですが、逆にフィルムを見ているというのがよくわかって、かえって楽しめたりします。 [地上波(邦画)] 4点(2017-05-02 07:53:06)(良:1票) |
20. 特攻大作戦
《ネタバレ》 演習まではまずまず面白い。囚人たちがチームとしてまとまっていく展開、特にライズマン少佐との関係はユーモアもあって楽しめました。相手の裏をかく演習もいい。ただ、相手がドイツ軍だとドイツ語を話せる人間がもっといないと無理なので、あくまで演習用ということですが。本番の攻撃も序盤は緊張感がありますが、ドンパチが始まってしまうと大味になってしまい残念です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-04 20:32:10) |