1. ローマの休日
《ネタバレ》 何度見てもいい映画ですよね、私は落ち込んだ時とかに見ると励まされます。色々な良さがありますが、私が一番印象に残っているのは、アン王女の成長です。最初の場面で靴を履けなくなって困っていた王女が、終わりでは凛として威厳に満ちた王女に変身しますね、まるで蛹が蝶になったような感じです。アン王女はあのままブラッドリーと逃げてしまっても良かったのに、自分の周りの人々のこと、自分の立場を考えて戻って来ますね、周囲の人のことを考えられるようになった時、人は大人になるのではないでしょうか。成長映画(私が勝手にそう呼んでいるだけですが)は色々ありますが、この映画では主人公が成長し、その影響を受けて周囲の人(ブラッドリー)も大きく成長するという感じです。恋は人を成長させ、そしてそれをあきらめる時、人は更に成長するんですね。若い世間知らずの人が恋をして、大人になっていく、そんな誰にでもある経験を解り易く描いているので、この映画はいまだに多くの人々に愛されているのではないでしょうか。 [地上波(字幕)] 10点(2010-07-21 17:54:49)(良:2票) |
2. ワイルド・スピード/MEGA MAX
《ネタバレ》 いやー、面白かった。観たあと、すっきりした、久々に痛快さが突き抜けた映画だった。「走りはこうでなきゃ、男はこうでなきゃ、人生はこうでなきゃ、おいお前も分かるだろう」という、ドム(だったっけ)の笑い声が聞こえてきそう、そんな男達をいつも優しい顔で肯定する女性達も良かった。生きるうえで本当に大事なことってシンプルなのかも。 [映画館(字幕)] 9点(2011-10-02 08:43:55) |
3. 真昼の決闘
《ネタバレ》 主人公は仲間からは裏切られ、愛する人からは暴力行使を拒否され、一旦は逃げようかと迷う、でもそれでは駄目だと思い、敢然と悪人に一人立ち向かっていく、格好いいですね。 何か観終えて、この映画から勇気をもらったような気がします。どんな困難があってもやはり乗り越えていかなきゃいけない時もあるんだと。 もちろん実際の人生ではそんなに話は簡単では無いんだけど、だって勇気を持って悪人に立ち向かっても殺されたらお終いですからね。 それは映画の世界だからということでいいと思います、映画の良さはそこなんじゃないでしょうか。非現実な世界で夢を見させてもらって、元気をもらってまた現実の人生に立ち向かっていくという。 [DVD(字幕)] 9点(2011-03-18 16:49:22) |
4. 道(1954)
《ネタバレ》 道というこの映画は正にロードムービーの原点なのではないでしょうか。人生は長い道を旅するようなものというそんな気にさせられます。それぞれの人がそれぞれの道を歩いていくのでしょう、ジェルソミーナとザンパノもそんな一人なわけで。色々考えさせられる映画です、生きることの大変さ(母親が娘を売ってしまう)とか、愛のかたちとか(ジェルソミーナとザンパノのような愛のかたちもあってもいいのでしょう)、老いとか(老いたザンパノはもう芸も出来ず野垂れ死ぬんでしょうね)。色んな人生のかたちがあって、作者はそれでいいと言っているような気がします。ハンディキャップを持った人、愛情を表せない人、貧しい人、生きるために非人道的なことをしてしまう人とかを、作者は愛情を持った目で慈しんで見ているように思います。そして僕らに対しても、それでいいんだよと言ってくれているような気がします。 [ビデオ(字幕)] 9点(2010-08-06 18:05:41) |
5. 七人の侍
《ネタバレ》 いい映画ですよね、侍と百姓を描いていて、その橋渡しに菊千代がいるという感じ。僕らサラリーマンは江戸時代なら百姓、どんな暴政にあっても黙々と仕事をこなしている、一生働いても年金さえもらえない、侍はさしずめ、青年実業家や若手政治家といった感じでしょうか。菊千代の侍になりたいという気持ちは痛いほど良くわかります。でも最後で死んでしまう、何かのために命をかけて戦い、死んでいく、彼はその意味で本当に侍になったんでしょうね。菊千代になりたいと言って、脱サラして渡米した知人のことを想い出します。彼は侍になれたのかな、きっと菊千代のように討ち死にして、侍になったんじゃないかと思います。 [ビデオ(邦画)] 9点(2010-07-21 18:24:23) |
6. レ・ミゼラブル(2012)
《ネタバレ》 映像のパワー、音楽のパワー、物語のパワーに圧倒された。そしてこれら映像、音楽、物語、それぞれのパワーがうねり合い、からみ合い、重なり合い、激しい力となって、押し寄せてくるようであった。まさに総合芸術としての映画の力の凄さを示す映画と言えよう。 題名のレ・ミゼラブルは悲惨な人々、哀れな人々とでも訳したらいいのであろうか。工場労働者、売春婦、反政府運動家など悲惨な人々が沢山出てくる。ジャン・バルジャンは正義に、警部は法に縛られてある意味、悲惨な生き方であったようにも思う。悪人の夫婦は貪欲さに、学生は社会正義に縛られていたと言えなくもない。コゼットの夫もその意味では愛に縛られているのかも知れない(恐らく彼は今後反政府運動に命をかけることもなくコゼットとの愛に生きるのであろう)。そんな意味では、この登場人物達、というか人間は皆何かに縛られた哀れな生き物、レ・ミゼラブルであるのかもしれない、うがち過ぎた解釈ではあるが。 最後に、自分が信じたもののために死んだ人を先頭に民衆が立ち上がるというシーンは、自分の信じたもののために進めという作者のメッセージ(たとえそれに縛られていようと、哀れであっても)のような気がする。 [映画館(字幕)] 8点(2013-01-08 14:31:07)(良:1票) |
7. アーティスト
《ネタバレ》 アーティスト、つまり芸術家って自分の芸術感から妥協出来ず大変な職業だなあ、でもそれを貫いていって成功できるということは素晴らしい職業だなあと感じました。でもこれはアーティストに限らず、あのペピィや執事だって、みんなそうなんですよね、自分の信じることに従ってやっていくことが大事なんですよね、そうすればきっとうまく行くと。 思うに、多くのアメリカ映画は基本この考えをを底流にテーマとして持っているんじゃないかとも思います、例えば「真昼の決闘」にしても「ロッキー」にしても「ターミネーター」にしても「ギルバートブレイク」にしても(ただアンチテーゼとして例えば「ファーゴ」とか「パルプフィクション」とかもありますが)。そんな意味でこの映画はフランス映画界からハリウッドに捧げられたオマージュなのかなって、そんな事も考えました。もちろんとても好意的なオマージュですが、ちょっとは揶揄の気持ちもあるのかなって。 [映画館(字幕)] 8点(2012-04-30 23:09:34) |
8. ウエスト・サイド物語(1961)
《ネタバレ》 何かともかく分からないけど凄い映画だと思いました。画面の中から製作に関わった人のエネルギーというか、勢いというかがあふれ出してくるようで圧倒されました。これは良く知られているように、「ロミオとジュリエット」の現代バージョンですが、ある意味、アメリカのミュージカル関係者、映画関係者のヨーロッパや旧文明に対する勝利宣言のような気がしました。俺たちアメリカの芸術はこんなに凄いんだぞと。その勝利宣言をするにあたって、ヨーロッパ及び古い文化の最高の芸術作品であるシェークスピアの舞台劇を、アメリカ発祥のミュージカル映画という新しい芸術形態に仕立て直して、原作を超える芸術作品を作り出してしまったという感じです。でもこの頃の映画関係者、って本当にエネルギーがあったんですね、圧倒されます。 [地上波(字幕)] 7点(2010-06-09 18:02:53) |
9. アリス・イン・ワンダーランド
《ネタバレ》 全般に良かったと思います。ワンダーランドというのはアリスの心の中なんでしょうね。子供の時はシンプルなおとぎの世界だったのが、青年期になったアリスが入ったワンダーランド、つまり自分の心の中には、赤の女王(欲望とか我儘とか感情の象徴?)と白の女王(理性の象徴?)が戦っていて、それを第3者の視点で見ているという、僕らの生活の中でも良くあるシーンのような気がします。アリスは求婚されたという現実から逃げ出してやはり大きな迷いがあったのではないでしょうか、ワンダーランドでもアリスもどうしていいのか分からず、でも最後は強力な欲望の象徴である、あの怪鳥をやっつけて一つの答えを出したのではないでしょうか、そして現実の世界に戻ってきて、貴族の奥さんとしての安楽な生活を選ばず、リスクの伴う事業家として自信の理性や能力を信じて生きていくことに決める、といったストーリィかなと思います。ちょっとうがち過ぎですが。 [映画館(邦画)] 7点(2010-06-09 17:48:07) |