3. 宇宙人東京に現わる
《ネタバレ》 まずパイラ人たち同士の会話が楽しい。なお声は出さずテレパシーで語りあうので字幕である。 上司「視察の報告を聞こう。我々パイラ人の訪問の意図を傳えたか」 部下A「傳えるどころか、地球人は私どもを一回見るなり、激しい恐怖を示すのです。それはまるで醜悪極まりないものを見た様な目です」 上司「何? 彼らは我々パイラ人を醜いと云うのか。それ程、彼等は美しいのか?」 部下A「とんでもない ご覧ください。彼らの理想の美人と謂うのはこれです」 そこへアイドル(美女)のブロマイドが飛んできて壁に貼りつく。 上司「これが!? これが美人か? 顏の真ん中にこんな出っ張りがあるではないか? こんな醜悪な顔を持っているとはかわい想な種族だ しかし、このま〃地球の危機を見捨て〃は、宇宙道徳に背くというものだ」 部下B「一案があります 誰か醜いものになる事を我慢するのです つまり地球人の姿に変身して地球にもぐり込むんです」 上司「かと云って他に方法は考えられん 地球に入れば地球に随えと云う諺もある 誰がその嫌な役目を勤めるかが問題だ」 部下B「誰かと云うより 云い出した私が」 上司「君の犠牲的精神はパイラの歴史に残るだろう では変身機の準備をしたまえ」 こうしてパイラ人の部下Bは地球のアイドルそっくりに変身する(変身機でパイラ人が地球の美女に変身していくのは『メトロポリス』のマリアのオマージュか?)。 これだけの会話でパイラ人の道徳観、上司、部下A、部下Bの考え方、性格などが見えてくる。 でも部下Bはなぜ自分の姿を犠牲にしてまで地球を救おうとするのか? ひょっとしてじつはゲテモノ趣味で、パイラ人たちが醜いと言う地球人の姿が好きなのか? それはともかく、カメラワーク、照明、美術など大映、いや映画産業全盛期の美しさがあり、観ていて気持ちいい。 さすがに1956年のSF映画なので脚本は雑だが、一見の価値はある。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-10 22:43:17) |