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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1645
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12345678
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1.  アバター(2009) 《ネタバレ》 
実は、今作を公開当時に3Dで観なかった…てのは結構(映画)人生最大の悔恨であったのですが、いずれリバイバルはあるだろーな…と思ってたところ続編公開に併せて3Dリマスターが公開されましたので、勇んで参上してきました。いや~確かに、間違い無く絶対に3Dで観るべき映画でしたよね(カメラワークとかがもう立体感を前提にしてますもんね)。初見時と同じく、お話の内容自体はだいぶシンプルな作品だ…という認識は今回も決して変わらなかったのですが、コレもシンプルにアクション映画としてもやはり史上屈指のクオリティ(盛上り・爽快感・没入感)だな~と思いましたし、何より今リマスターによって作品の擁する第一のクオリティ⇒すなわち今作が我々にもたらすのは「世界観」を越えたもはや新たな「世界」そのものだ…とゆーのはより鮮烈かつ明白になったかな、と思いましたです。なので、従来の評価より一点加点してこの評価とさせて頂きます。傑作。  いちおう、今回の3Dリマスターの変更点は、まず2K/SDR⇒4K/HDRのアップスケーリングをはじめとする映像の精度向上がメインとのコトです(+音響もハイグレードになったらしい)。作品自体は現時点そもそも、オリジナル版(162分)に加えてより長尺の特別編やエクステンデッド・エディションが在るとゆーコトのよーですが、今作のベースはあくまでオリジナル版で、ただし今冬公開の続編に関わる新規映像が挿入されておりそれ故に尺は若干延びている(5分程度)という感じかと。機会があれば是非。
[3D(字幕)] 10点(2022-10-02 00:09:23)
2.  オテサーネク 妄想の子供 《ネタバレ》 
監督の故国チェコの民話が題材で、お話の内容は確かに「御伽噺」と言うべきものです。だから、当然の如くにファンタジー的な質感に仕上げられても居て、その部分を表現するコトの一環として(監督が得意とするトコロの)ストップモーション・アニメの技法によるシーンもふんだんに織り込まれ、そしてソレがまた実に優れた効果を上げている…とゆーのも確かだとは思うのです。しかし、だからこの話はやはり「寓話」なのだ…という意見には、個人的にあまり賛同できないのですね。私自身は、今作は実に好く・そして徹底的に「人間・人間性そのモノ」を描き出した(抉り出した)映画だ、と思うのですよね。  確実に意図的に、醜いモノや、また本来はソコまで醜くないモノ、をよりグロテスクに・必要以上に醜悪に描いてゆく…一方で、だからこそ、その醜さを越えたからこそソコに、本当に根源的な善きモノのカタチが(ようやく)垣間見えて来るのだ…とでも言いますかね。今作の登場人物達は、須くが必ずナニかを「間違えている」(=何なら、一部はほぼほぼ「全て」を間違えている)とも思われます、が重ねて、その間違えているコトを「乗り越えた」からこそ、更にナニか真なるモノに辿り着ける…とゆーのを私も遂に「実感」できた…と言いますか。アプローチという意味で、これ程にユニークで、かつ本質的に「正しく」思われる手法(+そして一見は「そうは思われない」という手法)も、他にあまり見当が付かないな…てのが私の結論です(そしてこれは、ある部分で「手法」と言うよりは、確実に多分「哲学」に近い方のモノだ、とも感じるのです)。凄い監督・凄い作品だ、と思いますね。
[インターネット(字幕)] 9点(2023-05-01 00:32:56)
3.  ダークナイト(2008) 《ネタバレ》 
まあ、この三部作に関してはキャスティング、およびその役者さんたちの実際の演技のクオリティに関しては(三部作通しても)ほぼほぼナンの文句の欠片も無いというトコロではあるのですが、やはりこの二作目のジョーカーとゆーのは中でも思いっ切り際立ってますよね。ココまで純粋なる恐るべき悪役とゆーのは、あまり他に比肩するモノを(映画のジャンルでは)思いつかない…とゆーのが正直なトコロでして、個人的にはその辺のホラーなんかよりも余程怖くて恐ろしくてそして不快なキャラクターだとも感じています。この部分も、原作におけるゴッサム・シティという特殊な状況設定が大いに効果を発揮してのコトだとは思うのですが、ソレでもこの二作目でコレほど強力なそーいう「悪」を描くその為にこそ、本シリーズはその娯楽映画としての属性を敢えて手放したのだ…とすら思えたと言いましょーか、まずはとにかくその面からも実に非常に優れた見応えを得るコトが出来た…とは思っているのですよね。  そしてそれ以上に私が今作で感じ入った・共感できたのが、モチロンこの「ダークナイト」としてのヒーローの描き方そのものなのですね。本当に本当の強大極まる「悪」と戦うためには、ヒーローは唯ひたすらに「正義」であるダケでは不十分なのであって、そういった悪と戦う為に自分もまた悪と為らざるを得ないコトに如何に耐え抜くか(=ソコに耐えうるダケのメンタリティこそが、極めて重要で本質的なヒーローの素養なのだ)という今作のテーマは、ヒーローだとかって創作の存在に限らず実は結構「普遍的なコト」だとも思えるのですよね。一本の映画としても、また三部作としても、非常に高度に精密にまた完璧につくり込まれた映画だと思っています。ヒーローものとしては間違い無く現時点の最高峰かなと。
[インターネット(字幕)] 9点(2022-09-01 23:28:35)
4.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
「なぜジーンを産んだ」「(病気が)遺伝することは分かっていたのに」  この問いに対するセルマの「赤ちゃんをこの腕に抱きたかったの」という答え。コレとゆーのは、本当に人間のいちばん奥底にあるモノだ、とゆーか、人間からその人間性(善きにせよ悪しきにせよ)を根こそぎ奪い取ったとして、その最後に残っているのがコレだ、という様にも(私には)感じられたのですね。コレこそがヒトのヒトたりし最も美しい部分だ、と言っても好いものか、と(私としては)。私が今まで観た映画のどのシーンよりも美しいシーンだった、とも思います。本当に大好きですね。  今般、4Kデジタルリマスター版が公開されるってその予告編でドンピシャこのシーンが流れて、ついまた観に行ってしまいました。まあ、この肝心なシーンを予告編で流しちゃって好いのか?と思うトコロではありますケド。
[映画館(字幕)] 9点(2022-01-08 19:33:04)(良:1票)
5.  キサラギ 《ネタバレ》 
これも、日本でしか撮れない映画だと思う。『十二人の怒れる男』に代表される密室推理劇が、日本のアイドル文化との奇想天外な融合によって、ごくシリアスなサスペンス要素をそのままに、若干のコミカルさとそして独特な世界観を加味した非常にユニークな方向に飛躍的進化を遂げたものである。サスペンス部分の展開運び、特にドンデン返しが目まぐるしく連続する部分の出来は率直に極めてよく出来ており、まず本作は推理劇として十二分に観る価値のある仕上りなのは言うを待たない。  その上に、中盤以降、異常なまでのテンションの高さで激高し、泣き喚き、取っ組み合いを繰り広げる様には、『十二人の怒れる男』には無かった独特のコミカルさ+また別の次元のシリアスさが生まれているが、これは、推しの為なら命を捨てることも厭わない日本のドルオタが集まった為ればこそリアリティを以て成立する演出なのであり、ここにまずオリジナリティを多分に感じ取れるのである(と言って、実はほぼ全員アイドル本人の身内なんだけれども)。  そして彼らが辿り着いた誰をも傷つける事の無い結論、特に小栗旬との「繋がり」の部分には、至誠為ればファンの想いはきっとアイドルに届く、という全日本人男子の「夢」が描き込まれている(本当に、ファンを命よりも大切にするアイドル、というのも、やはり我等の見果てぬ夢なのであろう)。正直私、ここにはちょっとホロリとしてしまった。  確かに、ラスト12、3分は丸ごとオミットしても構わない位だが、それを差し引いてもよく出来ている。必見。
[DVD(邦画)] 9点(2020-06-13 00:17:23)
6.  秒速5センチメートル
中学生までに恋をしない人など、存在しないだろう。だがその年頃で、芽生えた感情の行き着く涯てと、其処に辿り着く術を悟っている(否、その齢で何か一つでも世界の理を悟っている)などと云う人は、決して多くは無い筈だ。その純粋な感情は、世界に触れた後ではもう取り戻すことは出来ない。どうすれば好いのか解らなかった想いは、其れ故に無限の可能性を以て誰の人生の中にも永く残り続ける、唯そういう事なのだろう、と。  本作は物語と言うよりも、詩であり、音であり、歌であり、画であるかと思う。特に画に関しては、何処の細部までも緻密に、あらゆる一枚までも慎重に考え抜かれ、作者の魂が注ぎ込まれた様な、どこか厳かな仕上りを為している。そして、それらの諸々は総て一つの歌の下に統合されるべく組立てられている(本作は、63分の只の一つの歌なのだ)。画の卓越した美しさによって見開いた感性で、歌に連れて流れ込む「感傷と郷愁」の感情を感じ取る。その意味では、その齎す感覚は少し独特だと言える作品に思う。
[DVD(邦画)] 9点(2020-04-15 23:26:35)
7.  ピアニスト 《ネタバレ》 
少し珍しい、女性の変態性欲者を描いたエロティックな一作。とは言え、この物語の本質の部分は、とある理由から精神面に歪みを生じた一人の女性の悲劇的な顛末を描いた作品という点であり、その歪みが主に性的な方面に現れているというだけで、決して性的倒錯を直接的に描くことが主題の作品ではないと思う。  しかし、上品なフランスマダムそのものなイザベル・ユペールの佇まいと彩り豊かなクラシックが奏でる瀟洒な雰囲気の中に、突如として割り込んでくる倒錯的な性描写の衝撃度は、一瞬ふと「意味が分からない」レベルに極めて高く、本作に特大の「凄み」を与えることに十二分に成功している。また、このような性描写の生々しさを(倫理コード的に)可能な限り引き出しつつも、もう一方の側面である文芸映画としての知的な雰囲気をギリギリ損なわない非常に高度なバランスが保たれている点には、監督の繊細なセンスと流石と言うべき演出の腕前を大いに感じ取れる。  そして同時に、この繊細かつ鮮烈な演出を見事に成立させているイザベル・ユペールの鬼気迫る演技(と前述の素晴らしく品格の有るオーラ)は、私が知る中でも最高の仕事の一つと言ってよい。文芸映画らしい雰囲気を残しながらも比較的分り易い仕上りに加え、奇妙で複雑な一人の人間を描いた非常に劇的なドラマ映画としても十分に興味深く観ることが出来る。決して万人向けでは無いが、人を選んで是非お勧めしたい一品。
[DVD(字幕)] 9点(2019-11-15 23:21:35)
8.  リトル・ダンサー 《ネタバレ》 
比較的「よくある」話だとは思いますが、諸々含めて非常に上質な作品だと思いました。小学生・中学生には是非観て(観せて)貰えたら、というヤツですね。  自分の夢に目覚めた少年と、無理解な親…というテンプレート的ながら、より上質に仕上がっていると思われるのは親(父親)の方のキャラづくりですね。まず何より、見た目があまりにも怖すぎです…が、ソコからして非常に厄介な障壁となってゆくのかと思いきや、一番最初にブチ切れる時も(如何にも言いそうな)差別的な罵詈雑言を叫びたてるという訳でもなく、意外と抑制的な反応だったのが逆にちょっと印象的でした。要は、彼は本質的には分別ある大人なのであって、最終的には息子の強力な味方になってくれる、そのコト自体の爽やかさに加えて、その流れがウマいコト繋がってゆく部分がまず質が高かったなあ、と。  もう一つは、彼ら家族を取巻く街の状況の荒んだ感じですかね。80年代のイギリスの炭鉱町、かつ先の見えないストライキの真っ只中…とゆーことで、非常な高度でリアルな閉塞感が作品全体に漂っています。が、それが尚更に主人公が辿り着くゴールをまた爽やかで価値あるモノに見せていると思いますし、なんとゆーか「夢を持つことの意義は全ての人にとって平等だ(それだけが)」という様なメッセージにも感じられました。その意味でも、テーマの部分がより際立って価値あるモノに見えてくる(優れた)作品だったかと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2022-02-22 18:47:04)(良:1票)
9.  ラブ・アクチュアリー 《ネタバレ》 
クリスマスにピッタリのチョコレートの詰合せ、かの様な。総じてポップでオシャレで軽い口当たりながら味は様々で、それこそ甘いのもあればちょっとホロ苦いのもある。なので、苦手な人でも多分どっかしらには引っ掛かるだろうし、終盤は畳みかけるハッピーエンドの連続が中々にゴージャスでもあったりして。  でも、やっぱりチャンとした食事にするならも少しガッツリ食べられる一品料理の方が好いかも知れないし、とても気に入った味のがあったとしても一口分しか食べられないのは口惜しいと思うコトもあるだろう。要は「食べ」方、確かにそれこそクリスマス・イヴにデートムービーとして使うなら、これ以上の映画も中々見当たらない気もしますね。特に今作、やや大人向けの「インビな」スパイスの効いたヤツも多いですからね。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-25 22:21:14)(良:1票)
10.  北辰斜にさすところ 《ネタバレ》 
私は「いちおう」昭和の生まれ、位の年代なのですが、通ってた高校つーのがですね…まあクソ田舎の公立で、無駄に「伝統」に思い入れ(思い込み)があるという鼻持ちならないナンチャッテ進?学校だったのですケド、また変なトコロが古臭い(それこそ「伝統」的)つーか、そこら辺の大学張りにカッチリした援団(応援団)つーのが今だに組織されてたのですね。彼らは冬でも素足に下駄で生活してるという様な連中でして、コレがいわゆる「バンカラ」というヤツですな(もはや死語かも知れません)。そんな高校で素直に育った私は、またそこの教師の口車に乗せられて大学もいわゆるソッチ系のトコ(旧制第○高等学校みたいなヤツ)に行ったもんで、入学してみたら正に高校ン時と同じよーな援団ちゅうのがソコにもチャンと待ち構えて居りましたのですよ(頭のイカレ具合は流石に大学の連中の方が格段にレベルが上でしたケドも)。  でも、私はそーいうのがワリと結構嫌いじゃなかったのですね。そもそもお分かりかとも思いますが(どちらかと言えば)確実に「守旧派」という様な性向の方に与する人間でありますのでね。それに加えて昔は古い小説とかも好んで読んでましたし、ついでに『魁!!男塾』とかも散々読んでましたし、大学でも所謂「体育会」系の運動部にも属してましたし(援団から見りゃお仲間な)、ソコじゃあ今でもOBが集まりゃそれこそホントに「寮歌」なんてのを全員で酔っ払って高歌放吟してたりするのですよ。あのですね、いわゆる寮歌つーのは歌詞からして時代錯誤もいいトコロの相っ当にアレな!というヤツだったりするのですから、よく考えるとそーいうのって結構異様な光景だとも(今は)思います。本作でも終盤、記念試合の前夜祭が正にそんな光景でありまして、ソコは逆にある意味非常に懐かしく思いましたですね。    『北辰斜に』とゆーのは旧制第七高等学校造士館(現・鹿児島大学)の寮歌だそうで、私のトコのソレもそーですが基本的にはコレも七高健児のいわゆる「気概」を唄ったものですな。それは今やもう完全に消えてなくなった様なある種のエリート意識とゆーか、(今作が描かんとする青春の時代であれば完全に)自ら「国家」の礎たらんとする様な共同体に於ける目的意識を唄い込んでいるものかと思います。別に今作はそこまでそーいった価値観を見せつけてor押し付けてくる様な作品では決してなくて、あくまで戦中に青春を過ごした方々(そしてその幾ばくかは国家に殉じて散っていった方々)の青春映画、ではあるのですが、ただそーは言ってもどーしたって非常な懐古主義(それも前述どおりのある種のエリート意識を多分に含まざるを得ない様な)に支配された作品なのも確かであり、やはり「今どき誰が観るんだよ!」という類いの作品なのも間違いないとも思います。それに私自身(ですら)、コレも今どきこういった「寮歌」に唄われる様な「気概」とゆーのをキョウビの若者が持ち得る(或いは持ち得るべき)とは、もはや全く考えていません(つーかそんなモン無理に決まってんじゃねーですか)。そしてそれこそソレとゆーのは人によっては若干眉を顰めるよーな類いの価値観であるのも、全くもってそーなのだろうとも重々承知・納得しているのですし。  でも、そーであっても尚、私自身は今作で何故にこんなに泣けるんだろうというホドの感動と、そして実に爽やかなノスタルジックを感じ取ることが出来ました。正直、それが何故なのかは自分でも好く分かりませんですね。重ねて、私自身が(自分で考えているよりも一層)「古い」人間なのだ、というコトだとも思うのです。ただ同時に、私はこの映画自体にもそれでも何某かの普遍的価値、それこそ「気概」とでも言うべきモノが描き込まれていたのだと信じたい。そしてそーいうモノをこのような作品として形に残していただけたことには、僭越ながら深い感謝を捧げたい、とも思うのですね。
[DVD(邦画)] 8点(2021-09-05 00:52:22)
11.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
確かに、ともすればアレなオチだと思います。ただ、一生彼女を背負い続けることが出来るのか、という現実に直面したときに、誰しもが十分に強くなれるという訳ではないのも事実でしょう(少なくとも私自身は、同じ状況でその決断は出来ないと思います)。その意味では私はこのラスト、自分の無力さに涙する主人公にはその面からは大いに共感できましたし、それを許容したジョゼの優しさ・強さにも深く感じ入りました。人間というものの描き方として、私はここはかなり好きですね。そしてこの恋愛は、決してふたりにとって無意味なものであった訳ではないのです。その直後にジョゼの変化・成長を感じさせるシーンを持ってきてそれでジ・エンド、という流れも巧みであり、また適切だったと思います。そこは、アレなオチを演出・演技のテクニックで巧く乗り切った、という感じだといつ観ても思いますね。  色々と変わりダネな映画だと思いますが、この映画で一番変わっているのはやはりヒロインでしょうか。見た目や喋り方、性格も含めて、パッと見はどーにも魅力的には見えないのですが、じーっと観ていると次第に魅力が滲み出てくるというか、そこら辺の表現も奥ゆかしく、また巧みだったと思います。その大部分を担っていた池脇千鶴は、やはり凄い女優だと思いますね。
[DVD(邦画)] 8点(2020-12-29 17:44:46)(良:1票)
12.  運命じゃない人 《ネタバレ》 
監督の作品は『鍵泥棒のメソッド』『アフタースクール』から先に観ていましたが、個人的には本作がダントツで一番面白かったです。ストーリー上のギミック自体の面白さ・テクニックを超えるもの(テーマ性だとか)がある映画では確かにないのですけど、その種類の面白さ、という面では最高レベルではないでしょーか。最初、宮田の話はさほど面白くはありませんが、次の神田の話でガクッと面白さが跳ね上がり、そして素晴らしいのが、最後の組長の話でも同じぐらいガクッとまた面白さが跳ね上がる「尻上り」な作品である点かと思います(このレベルで優れたアイデアが二度も楽しめる、というのは、非常にゴージャスに感じますね)。  あと意外とよく出来ていると思ったのが、それでも酷い目に会うのはどこかアクドイ奴から順番に、という少しだけ勧善懲悪な点でしょうか。神田もしれっと100万円なぞせしめようとするから少し怖い目に会う羽目になったのだし、それにイラっとして逆襲してやろうとしたが故にあゆみも組長に捕まる羽目になりました。神田の事務所に自分の調査資料があることは分かっていたのですから、そこに組長を誘導したのは(組長が宮田の家に行ったのは確かにほぼ偶然に近いとは言え)やや迂闊だったと言えるでしょう。一方で、全く悪いコトをしていない宮田には被害が皆無、というのも中々鮮やかだったと思います。色々とお見事な作品でした。
[DVD(邦画)] 8点(2020-12-15 23:32:21)
13.  マーターズ(2007) 《ネタバレ》 
かなりハイレベルにグログロな映画で、拷問でズタボロになった少女らの「見た目」の悍ましさも然ることながら、特に話の内容の方が欧米映画にしては珍しく際立って悍ましい、という作品である(正直、頭がどうかしちゃってる、というレベル)。ただ、最大のポイントである「死後の世界を見るために『殉教者』をつくり出す」というアイディアは、あくまで個人的には説得力というか映画のコンセプトとしての質の高さを大いに感じるし、話の内容の方にここまで嫌悪感を感じられるというホラー、としても、だいぶん希少価値が高いとも感じられる。  その他の点にしても総じて色々と良く出来ているというか、巧みだと思う。特に、序盤からの訳の分からなさを意図的に残しつつ、パワフルにテンポ良く展開して段々と話が見えてゆく前半の展開運びなんかはホラー的に実に秀逸だと思うし、後半も単純にお話として相当に面白い。恐怖描写も、前半のキレの有る力技も、後半の陰湿な拷問の場面も、どちらも迫力や痛さ・エゲツ無さの点で出色である。全くの救いの無さも含めてネガティブ全開な作品ではあるが、ホラーとしては純粋に一流かと。もし今作が無かったら、2000年代のフレンチ・ホラー・ムーブメントの歴史的評価は、全く異なったものになっていたであろう。
[DVD(字幕)] 8点(2020-09-05 23:43:18)
14.  まぼろし 《ネタバレ》 
「あなた軽いのよ」スゴく好きな台詞ですね。何とも艶かしいですし、含蓄が深いというか。軽いヴァンサンに対して、重いのは、躰そのものであり、それこそ愛でもあり、共に過ごした人生でもあり。今や「まぼろし」となった彼の存在を軽いヴァンサンを抱くことで逆に実感した喜びも含めて、二度のこの台詞には様々な感情を垣間見ることが出来ます。映画全体としても、マリーが実際、何をどのように考えて(捉えて)いるのかが少し判然としない(まぼろしを見る程に夫を今だ愛していながら、ヴァンサンと情事に耽ることも含めて)ことも、比較的単純な話に奥行きを与えている様に思われます。その意味では、本作のランプリングで一番良いなあと思ったのは、名状しがたい「有無を言わさない」感、だったかと思います(何とゆーか、細身なんですけど実に「凄み」のある系統の美人ですよね)。  ラストも、これ私大好きなヤツですね。ジャンにも見える人影を過ぎ越してゆく彼女には、我々とは違うものが見えているのでしょう。彼女は、もう戻らない。そう感じます。
[DVD(字幕)] 8点(2020-08-19 19:09:03)
15.  永遠のこどもたち 《ネタバレ》 
ジャンルとしてはかなりミステリーに寄せたホラーという所で、その含む「謎」が本作の怖さの源泉である。特に、屋敷に潜むことが中盤から明白なこどもたちの霊が、一体どういう存在なのか(味方なのか敵なのか)が分からない、という点に怖さが在る(敵なら敵で警戒すればいいので、どっちか分からないとゆーよりは怖くない。それが際立っていたのが、件の「だるまさんが転んだ」のシーンかと思う)。  そして実際、この哀しいお話の出発点は、そのこどもたちのどうしようもない無垢な「残忍さ」にあった、とも言える。一度狂った運命の歯車は永遠に元には戻らないかの如く、ストーリーは再び悲劇的な結末を迎えてゆく。しかし、一方でこどもたちには何らの邪心も無かったことが明らかになるラストは、悲劇であると同時に、我々にとってもラウラにとっても、そしてこどもたちにとっても、一種の救いなのだと思う。ミステリーとして真相を解明することのカタルシスを、痛い程に哀しくありながらも心洗われる美しく幻想的なラストシーンに昇華させた本作は、私からすると単なるホラーorミステリーと言うよりは、それらをどこか超えた類いの作品であった様に思われる。だから実はジャンルは何だとも言えないが、個人的にはまあ傑作かと。
[DVD(字幕)] 8点(2020-05-19 23:50:15)
16.  ブラックブック 《ネタバレ》 
最初の方はシリアス全開のヴァーホーヴェンとしては際立ってマジメな内容で、これはこれで全く全然悪くないと思った。それが、終盤は一転してサスペンス方面の面白さ・意外性を重視した極めてスピーディかつ濃密な目まぐるしい展開で、少ーしリアリティを欠くものの、個人的にはこっちも超面白かった(が、ここは完全に娯楽映画なんですよねえ…)。非常に穿った見方をすれば、序盤・中盤と終盤で雰囲気がだいぶ変わっている点に疑問を差し挿むことも出来ようが(マジメに撮るんだったら最後まで貫けよ、という)、個人的にはそこまで深刻に気になっている訳でもない(とは言え、全く引っかからないという訳でもない)。  監督の個性であるエロやら汚物やらも非常に効果的に使用されており、映画としても見応えが高まっているし、ファンならニンマリ出来るだろう。しかし、いくらゲテモノ好きの私でも、件の糞尿ぶちまけのシーンは流石に少しやり過ぎにも感じた(前述の、リアリティを損なっている、という意味でも)。ただ、そこも含めて脱ぎまくりの汚されまくりな主人公を演じ切ったファン・ハウテンの演技には、最大級の賛辞を贈りたい(こういう気が強すぎる女性って正直ニガテなんだけど、「ムンツェに惚れたな?」「そうよ、悪い?」のシーンの凛とした目付きにはビリビリ痺れました)。地味に、ヴァーホーヴェンでは一番素直に他人にオススメできるかも知れませんね。
[DVD(字幕)] 8点(2020-05-17 01:58:05)
17.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 《ネタバレ》 
家庭的な雰囲気の中に突如割り込んで来る暴力シーンの切れ味が、本作の最大の見どころであろう。その出来は率直にどれも素晴らしく、監督は流石の手腕だと思う。  より優れていると思うのは、この暴力の持つ二面性の表現というか。基本的には正義な(とまでは言わなくとも、正当防衛な)主人公の暴力は、本来人間が備える攻撃性(男なら分かる筈)を満たすという意味での痛快さと同時に、主人公の暗い過去を具現化するところの重苦しさを湛えている(更に同時に、本来人間が持つべき「暴力を嫌悪する感情」と複合しての悲痛さを含めて)。  その意味で良く出来ていたのは、息子がフォガティを射殺するシーン。ある意味「適切な」暴力を果断に行える息子には、人間としての成長・成熟を感じることと同時に、父親が最も忌むべき自身の残虐性が受け継がれているという悲劇もが描き込まれている。そんな息子から銃を取り上げ、暫く思案げにじっと見つめた末、そっと抱きしめる主人公。  本作は、家族の愛の物語なのだなあ、と。暴力と、過去からただ逃げる主人公への嫌悪を越えて、それを強く感じられたラストの余韻も素晴らしい。ヴァイオレンス映画の佳作。
[DVD(字幕)] 8点(2020-04-25 11:39:43)(良:1票)
18.  エスター 《ネタバレ》 
単純なホラーとしては、2000年代以降では屈指と言える出来かと思っている。  一見は可憐な少女だが、その実は凶悪な怪物を家に招き込んでしまうという部分はままよくある展開ではあるが、複雑な過去を持つ夫婦の設定、子供を手玉に取る描写の巧みさ等、展開面での細かい工夫はどれも秀逸で飽きずに観てゆける。エスターの目的が父親の誘惑で、要は性的に歪んだ異常者(実を言えば普通なんじゃねーのという気もするが)だという点も、ある種良く出来たキャラ設定に思う(この手の異常殺人というのは、大抵満たされない性的欲求が動機の根底にあることが多いように思う)。  しかし、あんな絵を部屋中に描いてその中で夜を過ごしていたというのは、それだけで正に狂気を体現するこれも優れた演出に思う。中盤以降は比較的スピーディにその狂気が加速・過激化してゆき、終盤は相当に派手な展開になるのも個人的にはかなり好み。子役&ファーミガの熱演も素晴らしい。時代最高のホラー。
[DVD(字幕)] 8点(2020-03-01 12:40:35)(良:1票)
19.  ウルフハウンド ~天空の門と魔法の鍵〜 《ネタバレ》 
ロシア製のかなり重厚なファンタジー。貫徹された寒々しく薄汚れた質感は、生存の厳しい古代の世界観と登場人物の野卑な力強さをいやが上にも高めている。この手の大作としてはやや短尺なようにも思うが、適度にシンプルで分り易いシナリオと、要所を押さえた巧みな展開運びで、重厚さを損なうことなくテンポ良くコンパクトに楽しく観れる。アクションは非常に力強い上にかなり分量が多く、大きな見所になっている。あくまで「人間」の物語としてファンタジックな超越的要素はかなり控えめに(ただ適度にファンタジックな雰囲気は醸す程度に)使って進行するが、最終盤は「神」対「神」の取っておきのド派手な展開で見応えもド派手。やや画質が古臭く2000年代より前の映画に見えなくもないが、面白さは不変。掘り出し物な良作。  なんか話が『ドラクエⅤ』に少し似てるようにも思うのだが、15分オーバーとは言え2時間の映画でこんだけ面白いファンタジーはつくれるのである。例の凡作の製作陣は、この映画をまず観てほしい。
[DVD(字幕)] 8点(2020-01-14 23:33:45)
20.  プラネット・テラー in グラインドハウス 《ネタバレ》 
B級を装った完全なA級(ブルース・ウィリスとか出てるし)。グロ描写(ゾンビの造形・血飛沫・特撮等)はどれもかなりクオリティが高く、かつ大盤振る舞いでこれだけでも非常に爽快。随所に挿入されるお下劣ギャグもとても笑える。加えてアクションも爆発過多な上にまずまず出来が良い。ローズ・マッゴーワンは常に誘ってるかのような目付きで全編通して色気全開。B級映画の良さをA級に実現したある種の傑作。
[DVD(字幕)] 8点(2020-01-03 10:51:25)
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