1. チャーリング・クロス街84番地
ロンドンの古書店員にイギリス男優アントニー・ホプキンズ(アンソニーに非ず)、ニューヨークのマイナーな女流劇作家にアメリカ女優アン・バンクロフトを配したキャスティングがまず見事。終戦直後から60年代後半あたりまでの風俗を巧みに織り込みながら、二人の心の交流を描く技法もうまい。最後に作家が古書店員の思い出に浸りながらイギリス文学を称えるシーンには、涙を抑えることができなかった。ただ、本好き、イギリス文学好きでない人には、どのように受けとめられるか? 9点(2002-11-04 00:25:24) |
2. 廃市
滅び行こうとしている町で主人公が過ごすひと夏の経験を描く映画を、秋に撮ってはいけません。真夏の風情が全然感じられない。手を抜いた大林監督の驕りが不愉快。それからことごとく外しているキャスティングにいたっては、いうべき言葉もない。ジェームズ三木の息子はいわずもがな、峰岸徹に繊細さと退廃の気を求めようとするのは土台無理というものである。尾美としのりも、ここでは学芸会レベルの演技を一歩も出ていない。 2点(2002-09-24 11:19:33) |
3. 2001年宇宙の旅
過大評価され続けてきた作品。冒頭のサルの安っぽさ、クラシック音楽の安易な使用(キューブリックの悪い癖だ)、ラストまで持続できない緊張感、等々。難解な(あるいは難解を装っている)ものを突きつけられて、恐れ入ってしまうのはもうやめよう。そろそろこの映画の呪縛から解き放たれてもいい頃だ。 5点(2002-08-23 10:57:25) |
4. ウェールズの山
ヒュー・グラントが居心地良さそうに演じている。彼のベストかもしれない。スケベ男のモーガンなど、脇役のキャラも魅力的。ただ邦題はこれでよかっただろうか。 8点(2002-08-16 21:10:44) |
5. ウエスト・サイド物語(1961)
ある作品が他の作品を土台としていることを「パクリ」というような御仁は、アウエルバッハの「ミメーシス」でも読んでみることだ。ただ、ジェローム・ロビンスの振り付けなら「ファンシー・フリー」の方が完成度が高い。それにナタリー・ウッドにはもう少し初々しさがほしかった。 7点(2002-08-16 21:05:05) |
6. 名探偵ポワロ スタイルズ荘の怪事件<TVM>
原作は過大評価されがちなクリスティの中でも特に出来の悪い方なので、これを映像化するのはいささか辛いものがある。そろそろクリスティなどという名前は忘れた方がいい。 3点(2002-08-16 13:52:13) |
7. リバイアサン(1989)
怪しげな薬を飲むと怪物になってしまうという、子供さえだませないような設定が好きだ。 5点(2002-07-09 19:21:07) |
8. ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
ヴェロキラプトルでの怖がらせ方、墜落しそうなトレーラー、どれをとっても、第一作から一歩も出ていない。いかにも「Mom!」と叫んでいるように聞こえる赤ん坊Tレックスの泣き声のあざとさには、吐き気がする。そして、すべてを飾るあのバカ女の存在。見ていてこれほど腹が立った映画も珍しい。 0点(2002-05-21 20:27:35) |
9. 真夜中のサバナ
監督としてのイーストウッドは、どうにも気の毒なくらい才能がない。 1点(2002-05-21 20:15:07) |
10. トイ・ストーリー2
まさかCGを見て泣けるなんて。それに音楽の質の高さといったら!ここまで完成度の高い作品は、そうざらにあるものじゃない。トイストーリー2は、素晴らしかった前作を軽々と乗り越えた! 10点(2002-05-21 20:11:22) |
11. 宮廷料理人ヴァテール
なんで17世紀フランスを舞台にしたコスチューム・プレイに、18世紀イギリス(生まれはドイツだけどね)のヘンデルの音楽を使うのか。これだけで、他のすべての時代考証も嘘っぽく見えてしまった。 3点(2002-05-21 00:38:26) |
12. 英国式庭園殺人事件
知性と教養に欠ける監督が知性と教養を装うとこうなる、という最悪の例。終わってから、付き合わせた女房に土下座して謝ったのはいうまでもない。 1点(2002-05-21 00:33:18) |
13. 氷の接吻
こんな無能な諜報員がいては、国が滅びる。ユアン・マクレガーが川平慈英にしか見えず、困った。 2点(2002-05-21 00:27:38) |
14. スフィンクス
ミイラが出てきて暴れたりしない、いたって真面目に作られた映画。しかし真面目なら真面目なりに、もっと楽しませてほしい。後半に行くほど作りが安っぽくなるのはどうしたわけか。 6点(2002-05-21 00:24:08) |
15. ハンニバル(2001)
あの大富豪をグロテスクに描きすぎたために、レクターが普通の人に見えて、最後には「レクター頑張れ!」となってしまうところに、この映画の致命的な過失がある。それに、フィレンツェに舞台を設定していながら、フィレンツェをブレードランナーの世界のようにしか描けないリドリー・スコットの、イマジネーションと知性の欠落。 3点(2002-05-21 00:19:34) |
16. 迷宮のレンブラント
これは思わぬ拾い物。ヒロインとの関係など、とってつけたような感もあるが、シナリオも良くできているし、ヨーロッパの雰囲気もいい。 8点(2002-05-21 00:11:00) |
17. トゥームレイダー
ハムナプトラとワイルドワイルドウェストとバットマンを足して3で割ったような作品。ほんとは短いのに、やたらに長く感じられた。こういうのを褒めても、少しも粋ではないぞ! 0点(2002-05-21 00:06:14) |
18. 田舎の日曜日
このシーンはルノワール、このシーンはドガ、このシーンはモネ・・・一つ一つの場面が印象派の絵画のように美しい。そしてフォーレ晩年の室内楽が、映画の主題を浮き彫りにする。完璧な作品。 10点(2002-05-18 22:31:48) |