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元ネタのミュージカルが完成度の高い作品なので、映画化もよっぽどの失敗をしない限り駄作になるはずはないと思っていました。元がいいところに製作費をたくさんつぎこめば、駄作で終わる危険はありません。ただ製作費をかけたぶん創造性と完成度が増しているかというと、そうは全く思えませんでした。舞台の持っているシニカルでアダルトな毒々しい雰囲気は、一般向けにずいぶん柔らかくなって、お子様向けになった感じ。本来マスコミや芸能界のバカバカしさを痛烈に皮肉った作品なのに、その影はあまり見られません。また役者も歌も踊りも上手いとは余り思えませんでした。比較的よかったのはやはりキャサリン・ゼタ・ジョーンズでしょうか。結論としては、映画化の意図が全くもって不明。舞台を映画化する長所(ベストのキャスティングで最高の演技を保存できる、舞台でできない演出ができる等々)を生かしていないように思えます。要するに素晴らしい脚本、莫大な資本、凡庸な演出、不適当な役者の結果、そこそこに終わった映画ではないでしょうか。個人的にはアカデミー作品賞の価値があるようには思えません。間違いなく舞台の方が内容を深く掘り下げているし、見ごたえもあります。舞台やミュージカルを余り見ない人には目新しい作品だろうとは思いますが、舞台と比べてしまうと余りに印象の薄い映画でした。
【なな】さん 7点(2003-05-24 01:02:41)
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