| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 冒頭、いきなり姿を見せる万景峰号(!)、そして子供たちが無邪気に叫ぶ「マンセー(!!)」・・・間違いない。森崎東監督は、喧嘩を売ってる。何に?硬直化した社会に、世の中に、僕や貴方や彼らに。思わず「上等!」と叫びたくなる。この作品には差別や偏見、警察とヤクザの癒着から検察の汚職から戦争の傷跡から天皇制までがはちきれんばかりにテンコ盛りで、ツッコみ好きな観客なら様々な物語上の綻びや矛盾点を見つけることはたやすいだろう。しかしそんな事はどうでも良い。登場人物たちが生き生きと笑い、怒り、泣き、或いは走る、転ぶ、怒鳴る、飯を食らう、糞をする、そして愛し合う、、そのエネルギッシュな姿自体が物語であり、メッセージであり、テーマである。森崎監督の作品が「怒喜劇」「重喜劇」と言われる訳が、やっと分かった気がする。観念的な、ポーズとしての反体制ではなく、人間の肉体という具体を伴ったいわば血肉化した反骨精神。ラスト近く、汚職を隠蔽せんとするヤクザたちに全てを壊されようとする時、後方の海から聞こえてくるのは、、そう、「ワッショイ!ワッショイ!」だっ!!生きてるうちが、花なんだぜっ!ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ!
【ぐるぐる】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-07-02 19:46:19)(良:1票)
ぐるぐる さんの 最近のクチコミ・感想
|