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《ネタバレ》 とってもいい映画でしたね。ストーリーの組み立てが、いわゆる「映画的」ではなく、どこにでもいる人たちの人生をリアルに丹念に描いているから、見ているこちらも自然と共感出来る。「あぁ、こういう人いるよなぁ」とか「自分にもこういうところあるなぁ」とか。学生時代に、年上の女性と付き合うも裏切られ、アルコール依存症になってしまい、社会人となってもそのせいでうまくいかず、周りからは白い目で見られ、友人からも愛想付かされ、新しい恋人を不幸にし、家族に大変な迷惑をかけてしまう。そしてかつて自分を裏切った女性と再び出会い、互いの心の傷を慰めあい、依存症から克服するという話。鑑賞していると、凄くもどかしい辛さを体感するけれども、でもこの作品に出てくる人たちは、主人公も吉竹も、宗教にはまった女の子も学校の先生の恋人も、お店の人やもちろん家族も、誰一人悪くないんですよ。みんないい人たち。彼らがこうも苦しい思いをした理由は、人間の罪や悪さじゃなく、弱さと優しさなんですよね。私はこの事実に、大いなる希望を見いだすことが出来るんです。例えば人間は本質的に善だとする「性善説」と、本質的に悪だとする「性悪説」があるけれど、人が人を傷つけたり、悲しませたりするのって、悪さや罪の心というより、弱さや優しさからきてる場合のほうがほとんどなんですよね。それは皮肉な話なんだけど、逆に言えばその事実を認識すると、人は人をもっと労る事が出来る。いろんな人がいるけれど、みんな本当は弱くて、心の中では優しいんだって。ラストの、キラキラと輝く清らかな川の映像は、そんな人間への暖かいまなざしを表現しているようでとても美しかった。隠れた名作といっても過言ではありません。
【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-01-31 00:05:33)
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