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《ネタバレ》 D・クレイグに代わってから3作目。ボンド役もすっかり板について・・・と言いたいところだが、そうはならないところが辛いところ。彼を起用した理由の一つに、原作のイメージに最も近いらしいのだが、、それにしても、これほど“ボンドのテーマ”の似合わない男も珍しく、ワクワク感がまったく感じられない。「ロード・トゥ・パーディション」の監督S・メンデスだからと言うわけでもないが、とにかく画調が終始、暗く陰鬱なのは、おおよそ「007」らしくなく、クレイグのフィルモグラフィーを見ても、何故か鬱陶しい映画ばかりがズラリと並ぶ。彼の極端にこけた頬とおちょぼ口、薄い眉毛の容貌は、ちょっと不気味で、「ロシアより愛をこめて」がリメイクされたら、敵役でもある、グラントをこそ相応しいと思うのだが・・・。「007」の定義は、3年に一度の“お祭りムービー”であり、つまりはオリンピックのようなものでる。スケールも然ることながら、どこまでも荒唐無稽な夢物語であり、また、小粋でエレガントでエロティックで、なにより主人公のボンドに華がないと成り立たない映画なのである。長年に渡って製作者として携わってきた、アルバート・R・ブロッコリやハリー・サルツマンから世代交代してからは、趣や目指す方向性も変貌を遂げ、何とも無味乾燥なシリーズに変質してしまった感がある。だからと言って、リアリズムやハードボイルドに徹してるのかと言えば、そうでも無く、とりわけ、冒頭の列車上のアクションからタイトルを挟んでからの後のシーンへの流れなどは、ご都合主義に過ぎる。また、らしくないという意味では、秘密諜報員が町中を追い掛け廻るなんて図は、まるで刑事モノ。今まで時代をリードしてきたシリーズだが、優れたアクション映画の後塵を拝しているかのように、何やら焦りのようなものを感じさせる作品となっている。
【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 5点(2013-04-06 16:49:25)(良:2票)
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