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えっ!もぅ終わったの?上映時間1時間20分という、昨今の映画の中にあってこれはむしろ短編といってもいいほどの作品だが、いたずらにダラダラ長いばかりでさっぱり印象が残らない映画が多い中、これほど濃密な内容の作品は稀有だといえる。映画はイランとイラクの国境山岳地帯の寒村を舞台に、そこに住むクルド人たちの悲哀と、両親と死別し懸命に生きていこうとする幼い姉弟たちの姿を克明に描いていく。難病の兄を救おうと、大のおとなでも危険な密輸仕事を手伝う次男や、見知らぬ土地へ嫁がされる長女の姿に、貧しさゆえ互いに気遣い力を合わせて生きていこうとする子供たちのけなげさに胸打たれると同時に、地球の向こう側に厳しい現実が紛れも無く存在することを改めて思い知らされる。終盤、密輸のタイヤを運搬させるロバに、(おそらく寒さの気付けの為だろうか)酒を飲ませるシーンがあって、そのあと警備兵の待ち構える国境近くで本当に酔っぱらってしまった事から、次男らが死と直面する事となる。常に危険と隣り合わせで生き抜いていかなければならない彼らの長く苦しい闘いと、子供たちの行く末を暗示するかのように映画は終わる。テオ・アンゲロプロス作品を彷彿とさせる雪山の美しいシーンなど、セミ・ドキュメンタリーのような肌ざわりだが、あくまでもこれは劇映画なのだと理解するには、多少の時間を要するかも知れない。
【ドラえもん】さん 8点(2003-02-07 00:19:06)
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