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レビュー情報
鮮やかな珊瑚に彩られた海底のオープニングから冒険の旅へと展開されるこの物語は、主要なキャラクターたちが魚ということもあって、その舞台のほとんどが海に限定されている。それだけに視覚的にはどぅしても単調になってしまいがちだが、光が射し込む明るい海の中と暗黒の深海とを対比させたり、遠くかすかにしか見えない薄ぼんやりとした海底などといった、様々なバリエーションを用意して見せ方に工夫を凝らしているのが良く解かる。そして水槽といったもぅひとつの“海の世界”を用意する事で、遠く離れているという距離感を感じさせると共に、ドラマに振幅をもたらせている。さらに終盤活躍するペリカンの登場で、海から空へと空間的な広がりをも感じさせてくれ、実に贅沢なヴィジュアルと見事な構成力で堪能させてくれる。それぞれのキャラクターたちの自然な動きの滑らかさも、これがアニメーションだと感じさせないほどリアルで完成度は高い。ただ余り必要性を感じないキャラも多く、またマーリンとドリーとのシーンになると、話の流れが止まってしまうような印象を受けるのは残念だ。「モンスターズ・インク」のような感動味は薄いが、それでも、溜息の出るような海の中の物語を見せてくれ、これはこれで満足のゆく作品ではないかと思う。
【ドラえもん】さん 8点(2003-12-15 18:17:39)(良:2票)
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