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もぅ随分昔に観た作品だが、古代フランスから継承されているギロチンという処刑儀式の在り方に異を唱えた作品として、永く記憶に残っている。それは本人に知らされないまま、或る日突然やってくる。深夜、眠っているところをいきなり起こされたA・ドロンの凍りついた表情を尻目に、余計な感情が芽生えぬよう、粛々と準備にかかる関係者たち。その無表情さ。やがて真っ白なワイシャツに着替えさせられ、この世で最期に口にする一服の煙草と一口の酒を飲まされた後、首を剥き出しにする為、ワイシャツの襟をハサミで切り取るという念の入れよう。そして今まさに舞台が始まろうとしているかのように、正面の幕がさっと開けられると、そこには断頭台がそびえ立つ。足が竦みながらも、両脇を抱えられて向かう彼が一瞬振り返りざまに見たのは、彼の保護観察司であるJ・ギャバンの眼。なんという切ない眼だろうか。それは、更生を誓った男を、恩赦も適わず社会の誤解や偏見から守ってやれなかった一人の人間としての無力感を指し示す眼である。罪を犯した者の社会復帰が如何に難しいかを改めて問い正した秀作。
【ドラえもん】さん 8点(2004-07-08 00:24:08)(良:4票)
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