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《ネタバレ》 中盤過ぎまで、地道な捜査の過程をじっくりと描いておいて、丹波哲郎の「あの一言」を皮切りに、作品の雰囲気が一気に変貌し、ほとんど「もう一つのドラマ」ともいうべき事件の背景が、それ自体交響曲のような怒濤の盛り上がりをもって再現される。よく見ると、丹波哲郎は(というより橋本忍は)、すべての捜査の結果を観客に開示していると見せかけておいて、途中からはある重要な事実を秘匿し、合同会議の席上で一気にそれを明かしているのである。脚本上の叙述トリックともいうべき、見事な構成であるといわざるをえない。普通に推理ものの作品として考えると、捜査の過程が都合よすぎとか、説明台詞が多いとか、犯人の「現在の顔」がよく見えないとかいろんな批判は考えられるが、そんなものを吹き飛ばすほどの映画としてのパワーがある。
【Olias】さん [映画館(邦画)] 7点(2005-06-26 22:52:13)(良:1票)
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